根本山、熊鷹山、氷室山、高檜山

根本山、熊鷹山、氷室山
高檜山


【日時】 2006年4月8日(土)〜9日(日) 各日帰り
【メンバー】 8日:単独行 9日:5名グループ
【天候】 8日:曇り時々雨 9日:曇り時々雪

【山域】 東毛
【山名・よみ・標高三角点・県名】
 根本山・ねもとやま・1199m・なし・群馬県、栃木県
 十二山・じゅうにやま・1128m・なし・群馬県、栃木県
 熊鷹山・くまたかやま・1158.6m・二等三角点・栃木県
 本生山・ほうしょうさん・1154.2m・三等三角点・群馬県、栃木県
 氷室山・ひむろさん・1120m。なし・群馬県、栃木県
【コース】 金山林道入口より周回
【地形図 20万/5万/2.5万】 宇都宮/足尾/沢入
【ガイド】 山と高原地図「赤城・皇海・筑波」(昭文社)、分県登山ガイド「群馬県の山」(山と渓谷社)、分県登山ガイド「栃木県の山」(山と渓谷社)、私が登った群馬300山(上毛新聞社)、栃木百名山ガイドブック(下野新聞社)
【温泉】 水沼駅温泉センター 500円

【山域】 武尊山周辺
【山名・よみ・標高三角点・県名】
 高檜山・たかびやま・1315.1m・なし・群馬県、栃木県
【コース】 奥利根国際スキー場より小日向沢へ周回
【地形図 20万/5万/2.5万】 日光、高田/追貝、四万/藤原湖、水上
【ガイド】 私が登った群馬300山(上毛新聞社)、岳人2002年3月号

【時間記録】
4月7日(金) 21:20 新潟=(関越自動車道 経由)
4月8日(土) =0:30 赤城高原SA (車中泊)
6:20 赤城高原SA=(赤城IC、R.353、R.122、沢入、黒坂石 経由)=8:00 山の神(金山林道・林道佐原沢入線分岐)〜8:13 発―8:45 根本山登山口―9:16 三境山分岐―9:21 根本神社分岐―9:47 中尾根コース分岐―10:00 根本山―10:15 十二山神社―10:26 氷室山分岐―10:49 熊鷹山―11:11 氷室山分岐―11:51 宝生山―12:10 氷室山―12:18 分岐〜12:40 分岐―13:23 林道佐原沢入線―13:56 山の神=(黒坂石、黒坂石、沢入、R.122、水沼、沼田、上牧 経由)=18:00 小日向沢林道入口  (車中泊)
4月9日(日) 7:20 小日向沢林道入口=(R.291 経由)=7:40 奥利根国際スキー場〜7:50 発―8:55 ゲレンデ上〜9:10 発―10:35 1823.5mピーク―11:44 1290m分岐ピーク―11:53 高檜山〜11:58 発―12:03 1290m分岐ピーク〜12:50 発―14:06 1173.1mピーク―15:06 小日向沢林道〜15:46 発―16:02 小日向沢林道入口=(水上IC、関越自動車道 経由)=17:00 新潟

 根本山は、渡良瀬川の西、群馬県と栃木県の県境上にある山である。古くからの信仰の山で、この一帯の山域を代表する山になっている。根本山の南隣りにある山が熊鷹山であり、北隣の山が氷室山である。

 高檜山は、谷川連峰の南の水上の東に位置する山である。山頂一帯の尾根には、ブナイ林が広がっている。登山道の無い山で、登る者はまれである。

 週末は、雨との予報が出た。今年は、低気圧の通過ごとに大崩になることが繰り返されている。テント泊1泊の雪山を予定していたが、計画の変更になった。翌週予定の高檜山を繰り上げて、日曜日に登ることになった。関東まで足を延ばすとなれば、土曜日も山登りをしたいのだが、あいにくと土曜日は曇り時々雨の天気予報であった。雨でも歩ける山ということで、榛名山の未踏ピークと、根本山を考えた。GPSのコース設定や地図の印刷は両方行って、朝の状態を見て考えることにした。
 新潟をゆっくり出発し、赤城サービスエリアで寝た。朝起きてみると、霧がかかっているものの、雨は降っていなかった。天気は持ちそうなため、根本山に向かうことにした。渡良瀬川沿いのR.122に出て、車を北に進ませた。この道は、以前、袈裟丸山に登った時以来ということになる。
 沢入から黒坂石バンガローテント村をめざした。黒坂石から先は、未舗装の林道に変わった。沢の二俣で、林道も二手に分かれた。根本山への金山林道は、細くて少し荒れた感じであったので、林道佐原沢線の橋を渡った先で車を停めた。左上に、山の神の神社があり、入口に車一台ほどのスペースがあった。氷室山を周回する予定であったので、無理をして根本山の登山口まで車を乗り入れる必要はない。
 金山林道を歩き出すと、分岐から先は、道幅もある道であった。谷沿いの斜面全体が、倒木で覆われているのが気になった。台風の風で倒れてしまったのだろうか。山が悲鳴をあげているようで、気持ちの良い風景ではない。
 林道分岐に出て、根本山登山口まで300mの標識に従い、右の林道に進んだ。左の林道は良い状態であったが、右手の林道は、沢沿いに直進する道で、勾配もあって荒れていた。一般車の場合は、林道の終点にも駐車スペースがあったが、この分岐から歩き出した方が良さそうである。
 林道終点広場から、沢沿いに登ると、すぐに杉林に取り付く登山道が現れた。杉林の中のジグザグの登りが始まった。登山道は落ち葉で覆われており、辿るのが難しくなっていた。右手に沿う尾根に乗ると、道もはっきりしてきた。尾根沿いにひと登りすると、三境山との分岐に出た。直進が三境山で、根本山へは左に曲がる必要がある。標識が付けられていたが、三境山というのがどこにあるか判らず、ハイキングマップで確認する必要があった。登山標識に書かれている地名が、少し離れていたりすると、どこにあるのか判らずに頭を悩ますことも多い。また準備してきた地図の範囲から外れている場合もあるので、登山道のある山といえども安心はできない。
 トラバース道が始まった。根本山神社への道が右に分かれると、鎖のかかった岩場も現れたが、特に難しい登りではなかった。ひと登りして再びトラバース道になった。山頂が近づいてきてが、そのままトラバース道が続き、山頂から遠ざかっていった。どうやら山頂への道を通り過ぎてきてしまったようと、気が付いた。もう少し様子見と思って歩いていくと、右手から登山道が合わさった。これが根本沢コースのようであった。幅広の道であったので、先に進むと、尾根コースが道から合わさり、左に曲がって根本山を目指した。トラバース道は、山頂を巻くようにさらに続いているので、道が判り難くなっている。小雨が降り出したので、傘をさして歩き続けた。
 尾根道を辿っていくと、根本山の山頂に到着した。木立に囲まれて、山頂標識だけが立っているだけの見栄えのしない山頂であった。道は県境線沿いに先に続いていたので、北からの入口を見失って、逆から登ったことになる。
 金曜日の晩に、家へ帰る途中で、最新版の登山地図を買ってきて、今回のコースを決めた。それでも、登山地図は、山頂へや根本山神社への道が違っていたので注意が必要である。
 十二山への道は、右の道に進むことになる。直進すれば、来た道に戻ることになって、とんだリングワンデリングになるところである。坂を下っていき、なだらかな尾根道になると、十二山根本山神社に到着した。木の鳥居が立ち、石の祠が並んでいた。休憩小屋が建てられていたが、朽ちて傾いていた。その先は、トラバース道を歩いていくと、分岐に出た。結局、1128m点は通らずに通過していた。十二山の山頂は、この一帯を漠然とさしているようで、最高点は、この分岐の先の小ピークになる。
 分岐には、単独行が足を止めていた。迷っており、熊鷹山への道を聞いてきた。左は、氷室山で、熊鷹山なら直進でしょうと答えてよく見ると、道が二つに分かれていた。地図を見ても判らなかったが、ピークを越していく道と、トラバース道ではないだろうかと、返事をした。どうもこの山域は、ピークには必ず巻き道が付けられているので、かえって判りにくい。この単独行は、不死熊橋から中尾根コースを登ってきて、熊鷹山経由で周回するとのことであった。この日出会った唯一の登山者であった。
 先に立ってピークへと進んだ。ピークを越した先で、右手からもう一本の道が合わさった。帰りは、このトラバース道を使って、少し楽をすることにした。登山道周囲は、背の低い笹原で、木立の間隔がまばらで、公園のような雰囲気になっていた。ツツジも目立ち、4月下旬には花で美しく飾られそうであった。枯れ草色の原に霧が流れる風景は、別な美しさもあった。ただ、不思議なのは、新潟の山と違って、雪解け後かなりの時間が経っているはずなのに、スミレの花一本も見あたらないことであった。
 ゆるやかな稜線歩きで熊鷹山に到着した。さほど広くない山頂は、展望台でほぼ占められていた。上に登ってみたが、霧のためになにも見えなかった。周囲の雰囲気からすると、根本山よりは展望が開けているようである。
 来た道を戻って、十二山の分岐から、県境稜線を北に向かって進んだ。次の目標は、三角点ピークの本生山である。GPSを見ながら歩いていき、そろそろだなと思ったところ、右手の稜線通しに踏み跡が分かれた。巻き道の方が幅広なので注意が必要である。本生山の山頂は、木立に囲まれて、三角点しか見るものはなかった。
 再び巻き道と合わさり、氷室山をめざした。登山道を辿ると、また巻き道に入ってしまった。笹原をショートカットして小ピークの上に上がったが、ここには氷室山の山頂標識はなかった。来た方向に戻ると、一段低いところに、氷室山の山頂標識が付けられているのが見つかった。氷室山1123mと書かれていたが、この標高と山頂標識の位置は合っていない。
 県境稜線を北に辿ると、道は怪しくなったが、すぐに巻き道に合わさった。氷室山の北の分岐点となる1109mピークで一休みした。小雨も、途中で止んでおり、笹原に腰を下ろして休むことができた。
 1109mピークから椀名条山へ続く尾根に進んだ。登山道は、はっきりしなくなった。落ち葉が積もった尾根で、どこでも歩けるのだが、登山道がはっきりしないとなるとやはり不安になる。
 左の谷に下る道を探しながら歩いていった。1022mピークまで進んでしまって、これは行き過ぎと判断した。1022mピークから谷へ続く斜面は皆伐状態で、立ち入り禁止のネットが張られていた。下る予定の林道も下に見えていたが、山の斜面を巻ながら、南の山奥に向かって延びていた。林道の終点に下り立つはずであったが、様子が違っていた。ピークから少し戻ってみたが、やはり登山道は見つからなかった。登山地図にも記載されている道なので、道標があると思っていただけに意外であった。
 地形を見ると、枝尾根が落ち込んでいた。ヤブコギモードに切り替えて、この尾根を下ることにした。落ち葉に滑らないように気を付けながら、尾根を下った。踏み跡や鉈目を探したが、見つからなかった。尾根の末端で、右手の沢に下りると、杉林の中に踏み跡があったが、登山道とはいえないものであった。
 無事に林道に下り立ったが、狐につままれたような感じであった。一般登山者が、このような場面に出会ったら、どうしただろうか。安全策を考えれば、林道への下降を諦めて、椀名条山を越えて黒坂石までの尾根を辿ることになったかもしれない。林道がさらに先に延びていることが書かれていないことを考えれば、2006年版の地図の情報が、ここしばらく更新されていないことは確かである。後は林道歩きで、車に戻ることができた。
 今回の山行で登った根本山は、群馬百名山、栃木百名山、関東百名山に選ばれている。それはそれで良いとして、栃木百名山では、熊鷹山と氷室山も選ばれている。今回の歩きでは、栃木百名山を三山ピークハントした結果になったが、根本山の一山で充分で、栃木に他に選ぶ山は無いのかねとも思ってしまう。ご当地百名山は、地元民ならともかく、他県民が手を出すものではないのかもしれない。
 雨も上がり、里では桜が満開になっていた。以前にも入った水沢駅の温泉センターで入浴した。あいかわらず、カラオケで賑わっていた。
 沼田へと山越えし、夕食と食料の買い込みをしてから、水上に向かった。
 翌日の高檜山は、奥利根国際スキー場から小日向沢へ周回する予定で、待ち合わせは、小日向沢の林道でということになっていた。水上付近では、山の斜面にも残雪が現れた。小日向から林道に進むと、最終人家先の水道橋の下を通過した所で、林道が雪に埋もれていた。水道橋をくぐった先の路肩が広くなっていたので、車をここに停めることにした。車の中で休んでいるうちに本降りの雨になり、夜通し降り続いた。釣り人の車の到着で早朝目を覚ましても、まだ降り続いていた。この様子では、高檜山は中止かなとも思ったが、宇都宮からの一行の到着を待つうちに小降りになってくれた。
 私の車を置いて、奥利根国際スキー場と向かった。車を走らせると、両登山口の間は、かなり遠いなという感じであった。
 スキー場は、4月初めで営業終了になっており、静まりかえっていた。出発の準備をして、まずはゲレンデの案内図でコースを確認した。最下部の杉の子ゲレンデから林間コースを通って、レストハウス脇へ。その先は直登でゲレンデの最上部まで登るというコースを頭に入れた。
 ゲレンデの営業が終わってから圧雪も行われておらず、前日の雨の影響もあって、雪も柔らかくなっていた。つぼ足でも歩けるものの、くるぶしほどまで潜り、体力が必要になった。ゲレンデの雪はもったいないほど豊富であったが、例年の雪の量によって、事前に終了時期が決まっていたのであろう。
 ゲレンデの最上部には、1時間かかって到着した。晴れていれば、谷川連峰の眺めが得られるのだろうが、あいにくと雲が立ちこめていた。雨が止んでいただけでもありがたいと思わなければならない。
 ゲレンデを外れると、急に雪に潜るようになって、わかんを付けることにした。春になって雪も締まってつぼ足で充分と思い、使わないであろうと、わかんをザックにくくりつけてきていた。スノーシュー歩きを続けてきたので、今シーズン最初のわかん歩きになった。
 右手に沿う尾根に上がった。尾根沿いの木にはペンキマークが短い間隔で付けられていた。なだらかな尾根には、ブナ林が広がっていた。水上付近では、ペンションがスノーシューツアーを行っているので、スノーシューツアーのコースになっているのだろうか。
 ブナ林の眺めを楽しみながらの歩きになった。1168点の東はブナの大木が点在する台地になっていた。その先は、再び登りが始まるようになった。真冬ほどではないが、トップを時々交代しないと歩けないラッセルになった。
 1323.5m三角点ピークの点名は、向山である。ゲレンデにも、向山PARKという名前が使われており、地元でも使われている名前のようである。本コースでの最高点であるが、スキー場のリフトを使えば、ここまでは、難所も無く楽に登ることができる。首都圏からの交通の便も良いことから、スノーシュー歩きのコースとして、利用者が増えても不思議はない。
 向山からは、コースは西向きに変わり標高差150mの下りになる。鞍部の先には、雪庇の張り出した稜線が続き、高檜山の山頂が姿を現した。ワカンの踵も食い込み、気持ちの良い下りになった。後の登り返しが、思いやられるように、一気に高度は下がった。左手の谷越しに、尼ヶ禿山の山頂が見えていた。尼ヶ禿山までの稜線も歩いてみたい。
 登り着いた1290mピークは、小日向へ下降する尾根の分岐で、高檜山の山頂は、もう少し先である。緩やかな稜線の歩きも僅かで高檜山に到着した。木立に囲まれた山頂であった。ブナに代わって、針葉樹が生えていた。檜かと思って、植物に詳しい室井さんに聞くと、アスナロとのことであった。アスナロも檜も区別は難しいので、この植生が名前の由来になっているのかもしれない。
 谷からの吹き上げなのか、山頂は風が強く、休める状態ではなかった。分岐ピークまで戻って休むことにした。分岐ピークの下は、風当たりが弱く、腰を下ろして休むことができた。うどんを食べてゆっくり休んだ後に、下山にうつった。
 点名「南平」の1173.1mピークまでは、小ピークが連続し、下りのつもりでも意外に体力が必要であった。向山ピークへの登り返しよりは楽かと思ったのは甘かった。もっとも、この尾根もブナ林が広がり、別なコースを歩いてみるという意味でも価値はあった。晴天が広がるようになり、高檜山の山頂も振り返りみることができた。天気予報の、「晴天が広がり、お出かけ日より」というのが、送ればせながら間に合ったようである。
 1173.1mピークからは、小日向沢沿いの林道に向かって下るコースを選んだ。1173.1mピークから先は、すぐに雪が薄くなり、つぼ足になった。藪もうるさくなった。ひさしぶりのヤブコギになった。尾根が痩せると、かすかではあるが踏み跡が続くようになった。
 800m地点で、枝尾根が分かれる。そのまま直進すると、林道に平行に沿うように、長く続き、高度をなかなか下げない。左に分かれる尾根は、一気に高度を下げる。どちらが良いのか迷い、事前にも二つのコースをGPSに入力してあった。尾根上に放置されたワイヤーが現れると、この尾根分岐に到着した。
 直進する尾根は、藪がうるさいのに対し、左に分かれる枝尾根は、下生えも少なく、踏み跡もあるようであった。こちらの尾根を下ることにした。
 急な尾根の下りが始まった。山仕事のためなのか、踏み跡が続くのが有り難かった。最後は、尾根を右にはずすと、杉林を通って、林道に下り立つことができた。地図では、林道が沢を横切る地点である。もっとも、この林道と沢の関係は、現実と違っている。ひと休みの後に林道歩きをすると、地図では右岸沿いに続くはずが、数回沢を横断することになった。
 水道橋の下に戻ったところで、車の回収のために、奥利根国際スキー場へと急いだ。
 順調に山を終えて家に帰ると、「山で遭難していなかったでしょうね」と言われた。白馬岳方面で連続して遭難が起きて、テレビのニュースでも大きく取り上げられていた。天気が崩れると判っていたから、計画変更で、安全と思われる山に出かけていたのだが。

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