二王子岳、弥彦山

二王子岳、弥彦山


【日時】 2006年3月25日(土)〜26日(日) 各日帰り
【メンバー】 25日:4名グループ 26日:3名グループ
【天候】 25日:晴 26日:曇り

【山域】 二王子岳
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 二王子岳・にのうじだけ・1420.3m・二等三角点・新潟県
【コース】 南俣より
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/飯豊山、新発田/二王子岳、上赤谷
【ガイド】 アルペンガイド「上信越の山」(山と渓谷社)、山と高原地図「飯豊山」(昭文社)

【山域】 弥彦・角田山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 弥彦山・やひこやま・634m・無し・新潟県
【コース】 八枚沢登山口より
【地形図 20万/5万/2.5万】 長岡/弥彦/弥彦
【ガイド】 なし

【時間記録】
3月25日(土) 5:10 新潟=(日本海東北自動車道、聖籠新発田IC、R.7、上羽津 経由)=6:10 南俣〜6:57 発―7:45 二王子神社―9:00 一王子神社―9:43 独標―11:25 二王子岳〜12:12 発―13:16 独標―13:40 一王子神社―14:30 二王子神社―15:24 南俣=(R.460、板山、米倉、水原、R.49、新潟、紫竹山、R.8、R.116、岩室 経由)=19:30 てまりの湯 (車中泊)
3月26日(日) 7:15 弥彦スカイライン入口―7:37 八枚川登山口―9:02 弥彦山〜9:32 発―10:53 八枚川登山口―11:15 弥彦スカイライン入口=(寺泊、R.402、角田浜、R.116、R.8 経由)=14:30 新潟

 二王子岳は、日本海側に位置する飯豊連峰前衛の山である。二王子岳から始まる稜線は、ここまでは登山道のある二本木山を経て、赤津山に至り、その先は藤十郎山、二の峰から主稜線上の門内岳へと続いている。二王子岳は、信仰の山として登山道も良く整備され、新潟周辺でも人気の高い山となり、日本200名山にも選ばれている。この山の一番の魅力は、山頂からの飯豊連峰の大展望である。

 弥彦山は、越後平野の日本海際に、角田山や国上山と共にひとつの山塊を作る山である。山頂は、越後一宮として名高い弥彦神社の奥の院の置かれた弥彦山と、一等三角点の置かれた多宝山のふたつのピークに分かれている。山頂へのロープウェイや山岳道路によって観光地化が進んでいるが、一歩脇に入れば自然は良く残されている。

インターネットのブログでの知り合いが、二王子岳に雪山の時期に登りたいとのことで、案内することになった。月初めの守門・大岳に続いての山行で、新潟の雪山が気に入ってもらえたようである。雪の締まったこの季節なら高知山経由で登って山頂泊としたかったのだが、天気予報も直前にめまぐるしく変わった。雪割草見物もということで、結局、二王子神社経由の日帰り往復ということになった。
 無事に落ち合って、新発田から南俣に向かったまでは良かったが、先頭の私が、交差点で道を二度も間違うというミスをおかした。どうも、新発田からの道は相性が悪い。
 南俣の集落に到着してみると、二王子神社への林道に雪が無かった。途中まででも車で入れれば楽ができると進入したが、すぐ先で林道は雪に埋もれていた。集落内に戻って、路肩に車を停めた。高知山方面に続く林道の先にも車が停められており、高知山経由の登山者も多いようであった。
 日帰り装備といっても、ピッケルとアイゼン、わかんを持ち、ザックは重くなっていた。雪の堅さをみて、登りに関してはつぼ足で済むはずということで、スノーシューの代わりにわかんを持った。ほとんど使わない道具なら、わかんの方が軽くて良い。昨年12月から続いたスノーシュー歩きも、終わりになったようである。靴も、残雪用に使っているアイゼンとセットにしている皮靴になった。先週は、ひさしぶりに土の上を歩いたが、スパイク長靴を履いたので、ようやくプラブーツから開放されたということになる。
 林道に積もった雪も、脇は融けて地面が出ていた。林道の分岐には、二王子岳を示す標識が立てられているし、はっきりしたトレースがあるので、迷う心配はない。谷間から畑の広がる台地に出て、ここは右手の林道に進む。林道のカーブ地点は、杉林の中をショートカットした。
 林道歩きにも疲れてきた頃、左に沿う稜線の小ピーク鞍部で、二王子神社10分の標識が現れる。ここで、尾根の北側へと乗り越して、杉林の中を緩やかに下っていくと、姫田川が近づいてくる。太鼓橋を渡ると、杉の大木が並び、神社の境内に入ったことが判る。鳥居をくぐってひと登りすると、二王子神社の前に飛び出す。林道が開通していれば、ここが歩き出しなのだが、50分程の雪道の歩きで早くも草臥れてきた。ここまでの林道の開通は、五月連休前のようである。この頃は、残雪を気軽に楽しめるということで、大勢の登山者が訪れるようであるが、私は、他の山で忙しくて訪れたことはない。境内にはトイレもあるので、ひと休みした。
 沢に沿って杉林の中を登っていき、尾根に取り付くと、一合目となる。一王子から西に延びる尾根の南の谷間へとトラバースし、さらに南の尾根に取り付く。夏道は、この谷間を登っていくのだが、冬季ルートは違っている。地図を見ただけでは判断が難しいコースであるが、トレースがしっかりついているため、ただ足を運ぶだけである。
 夏道でもそうだが、一王子までの登りが一番苦しい。左手に杉の木立が現れ、そこよりも高く登って見下ろすと、一王子の避難小屋が、半ば雪に埋もれているのが見えた。冬季ルートは、避難小屋によらず、789m点へ直接登るように続いているので、注意が必要である。
 三合目到着ということで、ひと休みした。一気に展望が開けた。五頭山塊、粟ヶ岳、守門岳、越後駒ヶ岳が青空のもとに、白い姿を見せていた。目標の二王子岳は、まだ見えず、登りはまだまだである。
 雪は締まっており、歩くのは楽であったが、急坂では、ステップキックで注意深く登る必要があった。三角点の置かれている定高山に到着して、ここでようやく五合目。木立もまばらになってきて、一面の雪原が広がるようになっていく。1202m小ピークとの鞍部を通過すると、ようやく二王子岳の山頂が目に入ってくる。平坦な雪原を進んでいくと、油こぼしの急坂となる。急坂にステップを蹴り入れながら、直線的に一気に登る。夏道は、ロープもかかる岩場の登りであるが、雪の時期は、その脇の斜面を登ってしまい、少し急な斜面というだけになっている。
 風が冷たく、フリースの上に雨具の上着を着込んだ。山頂も迫り、青空を背景にした純白の山頂の眺めが素晴らしかった。写真を撮りながらの登りになった。飯豊の眺めが期待されるが、山頂に邪魔されて、最後までおあずけである。
 今回の目的のひとつに、先行して登っているはずの、ブログ仲間と会うことがあった。服装を聞いていたが、九合目奥の院手前で、それらしき人物が下ってくるのを見つけた。初対面であったが本人で、しばらく立ち話になった。
 二王子岳の山頂では、氷がついた鐘のやぐらが出迎えてくれた。その向こうには、遮るもののない、飯豊連峰の眺めが広がっていた。杁差岳、頼母木山、北股岳、飯豊本山、御西岳、大日岳と、飯豊の主稜線が長く続いていた。その左手には、朝日連峰、さらに遠く鳥海山も見えていた。これが七回目の二王子岳で、これまでにも快晴の日に当たったこともあったが、この日の展望が一番であった。これ以上の展望は望めないとなると、かえって、再訪の妨げになるような感じもする。展望を心ゆくまで楽しんだ。一週前には、高森山で大日岳を中心とした飯豊の眺めを楽しんだが、二王子岳からの眺めは長大な飯豊連峰を一望するというもので、趣が違っている。周囲から、様々な眺めを楽しむことができるのも、大きな飯豊ならではある。
 風が冷たいため、避難小屋に入ったが、中は冷蔵庫状態であった。食事を終えて外に出ると、日差しが暖かく感じられた。登りとは違った眺めを楽しみながら、下山を開始した。
 1369mの三王子からは、稜線を右に外してトラバース気味に下るので注意が必要である。稜線通しに進むのは、高知山へ至るルートであり、トレースもあるので、視界が悪い時には要注意である。赤旗を少々うったところで間に合いそうもない広大な雪原が広がっている。GPSを持っていても、天候不良の時は登らないにかぎる。
 油こぼしの急坂では、雪も締まっていたことから、アイゼンを付けた。滑落しても、下が台地状で止まるはずではあった。今年に入ってから雪山に登り続けてきたが、アイゼンはまだ履いていない。これからの残雪期がアイゼンとピッケルの出番であるが、ミスが許されない本番となりかねない。アイゼン歩行にも慣れておく必要がある。案の定、左右を間違えて履きそうになった。
 下るに連れて、雪も柔らかくなって、定高山でつぼ足になった。雪に潜るものの、ワカンを履く程ではなかったが、体力を使う下りになった。下りの途中でも、かなりの登山者に出会い、山頂の避難小屋に泊まった者もかなり出たようである。
 二王子神社に戻り、登山は終わったが、林道歩きをもうひと頑張りする必要があった。雪山を楽しむためには、避けられない林道歩きである。それだけの価値はあるのだが、とはいっても辛い。
 下山後、城山温泉で入浴。水原のスーパーで買い物をすることにして、途中、瓢湖に寄った。冬の間は、湖面が見えないほどに集まっていた白鳥や鴨も少なくなってはいたが、まだシベリアに帰らずに残っているものもいた。白鳥の数を示す掲示板には、26羽と書かれていた。湖の向こうには、茜色に染まった二王子岳を眺めることができた。
 翌日は、八枚川登山口から弥彦山を登る予定であったので、そこから遠くない、道の駅でもあるてまりの湯の下の駐車場に泊まることにした。テントを張って、鍋を作って夕食とした。登山中は、登りに専念して、あまり話もできないので、ゆっくりと山の話を楽しんだ。
 翌日は、雲のかかる天候になった。雪割草見物のためには、太陽が充分昇って、花が開く必要がある。ゆっくりと出発して良いのだが、朝食をとって片付けをしていると、国上山登山の集団が到着して歩き出す準備を始めた。なんとなく、急かされるように出発することになった。
 弥彦から寺泊に抜ける道の途中で、土砂崩れがあり、車の通行はできないという情報を得ていた。弥彦スカイラインの開通は、4月1日からであるが、観音寺の先にあるゲートはすり抜けることができて、いつもは、八枚川登山口まで車で入ることができた。少し歩けば良いはずと、覚悟を決めていた。
 ゲートを抜けると、すぐ先で、コンクリートブロックが置かれて、がっしりとブロックされていた。車を路肩に停めて歩き出した。
 結局、20分の歩きで登山口に到着した。いつもは満杯の駐車場に車はなく、他の登山者もいなかった。これくらい静かなら、20分の歩きも惜しくはない。
 沢を跨ぎ越してひと登りしたところで、雨乞山鞍部への道に進んだ。雪割草やカタクリは、まだ花が開いていないので、妻戸尾根の下山時に花を楽しむことにして、まずは弥彦山の山頂をめざすことにした。沢には、以前にはなかったのだが、アルミ製の橋が架けられていた。
 登り口から雪割草の群落が広がっている。朝のうちであるが開いている花もあり、写真を撮りながらの登りになった。尾根の上部には、カタクリの群落も広がり、雨乞山との分岐まで、花に彩られた登山道が続く。この先は、日本海からの季節風をもろにうける稜線となって、春の訪れも遅れており、花もやや少なくなる。
 緩やかな登りを続けていくと、西生寺からの裏参道が左から合流する。弥彦スカイラインと合流するが、すぐに別れて、585.6mの三角点ピークの妻戸山への登りが始まる。芽吹き前の灌木に囲まれて登山道となる。ハイキングコースといっても、前日の山行の疲れもあり、辛い登りになる。
 妻戸山からは、弥彦山山頂への最後の登りになる。雪も残っており、登山道はどろどろ状態で、足元にも注意を払う。
 到着した弥彦山の山頂は、登山者も僅かであった。風が冷たいため、到着した登山者もすぐに下っていってしまっていた。奥の院の生け垣の脇に腰を下ろしてひと休みした。
 20人以上の団体が登ってきた。新聞社の名前を冠した、ツアー会社の一行であった。聞こえてきた話越えからすると、弥彦神社から登ってきたようである。この季節のツアーなら、花の山ということで、弥彦山へのツアーが組まれているはず。確かに表参道とも呼ばれる登山道ではあるが、雪割草やカタクリの花がほとんど期待できないコースを歩かせるのはどうかと思う。
 下山は、妻戸尾根へと進んだ。良く整備されている登山道であるが、丸太の段々の階段登りが続き、登りには使いたくない。ただ、登山道周囲の花は見事である。雪割草の花の写真を撮りながらのんびり下った。国上山や新潟平野の眺めも広がっている。
 最後は、露岩状となった尾根を下ると登山口である。数台の車が停まっていた。どうやら、日本海側からは、車で入ることができたようである。車道歩きでゲートに戻ると、路肩駐車の列が続いていた。
 観光のおまけとして、寺泊港の魚市場を案内した。昼食としてカニ丼を食べて、家にはバイ貝を土産に買った。ここで、別れて家路についた。海岸線を走って、角田浜を通り過ぎると、観光バスや自家用車が数多く停まっていた。雪割草見物の登山者で、大混雑になったようである。

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