荒沢峰、烏帽子山

荒沢峰、烏帽子山


【日時】 2006年3月11日(土) 日帰り
【メンバー】 峡彩ランタン会宝蔵山1泊山行の日帰り参加
【天候】 晴

【山域】 白山山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 荒沢峰・あらさわみね・688.2m・三等三角点・新潟県
 烏帽子山・えぼしやま・820m・なし・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/加茂/越後白山
【コース】 上戸倉より
【ガイド】 なし

【時間記録】 6:00 新潟発=(R.49、茅野山、R.403、新津 経由)=7:45 上戸倉―8:47 鉄塔(No.113)―10:03 荒沢峰〜10:10 発―11:04 烏帽子山〜11:20 発―11:58 荒沢峰〜12:22 発―13:04 鉄塔―13:42 尾根取り付き―14:01 上戸倉=(往路を戻る)=15:30 新潟

 新潟平野の東端に位置し、古くからの信仰の山として知られている白山は、南に宝蔵山への稜線を連ね、権ノ神岳を経て粟ヶ岳に続いている。白山と宝蔵山の中間部にあたる890mピークからは、城ノ入川と能代川に挟まれて、北西に長い尾根が派生し、烏帽子山(820m)、荒沢峰(688.2m)を経て、下戸倉の城山に終わっている。麓の集落名から戸倉山とも呼ばれ荒沢峰と烏帽子山は、地形図には山名が記載されていないが、藤島玄氏の「越後の山旅」にこの山名が記載されている。

 荒沢峰には、2000年3月4日と2002年2月17日の二回登っているが、烏帽子山まで足を延ばしていないのが、心残りであった。初回は、午後から雨のため、荒沢峰までとなったが、この時に、荒沢峰は展望ピークであることを知り、是非人に紹介したいと思った。そこで、インターネットの仲間を誘ったのが二回目の山行になったが、山頂での宴会が目的の一つであったため、またも烏帽子山はおあずけになった。
 峡彩ランタン会の会山行が、宝蔵山での一泊で行われることになり、上戸倉から荒沢峰、烏帽子山のコースを登ることになった。あいにくと、日曜日は休日出勤であったが、この山の最初の紹介者である佐藤一正さんが、荒沢峰へのコースを事前に偵察してくれていたので、日帰り山行で参加させてもらい、烏帽子山を目指すことにした。
 この日も晴になった。ここのところ、天気が短い周期で変化しているが、うまく週末に晴がめぐってきている。20人近くの大人数のため、上戸倉までの途中で遅れる車や、泊まり組の準備のために、出発には手間取った。
荒沢峰へのコースとしては、幾通りか考えられるが、上戸倉の神社マークの北側の山に向かって延びる車道の終点から181点の南の尾根を登ることになった。車道の終点近くから民家の左側の雪原に進んだ。雪がグズグズのため、すぐにスノーシューを履いた。深い用水堀にかかるコンクリート橋を渡った先の杉林に、登る予定の尾根が落ち込んでいた。尾根の登りを始めたが、島状に残った雪もすぐに無くなってしまった。しばらく、スノーシューで藪尾根を進んだが、諦めて脱いだ。この日は、烏帽子山までどうしても行きたかったので、単独で先行させてもらうことにした。
 藪尾根といっても、踏み跡がかすかにあり、歩くのは難しくはなかった。ただ、ピッケルやスノーシューをザックにくくりつけてあるので、それが木の枝にひかかるのが煩わしかった。マンサクの花が咲いていた。これが今年最初の花であった。弥彦山あたりでは、雪割草が咲いたという話も聞こえているが、雪山にはまって、なかなか行くことができない。
 最初の目標は、送電線の鉄塔である。近づいていくと、中越幹線の黄色い標識が現れた。この先の鉄塔は、No.113であることが判った。尾根も下生えが刈られて歩きやすくなった。鉄塔の下に出てひと休みすると、下っていく尾根の向こうには五泉市街地の眺めが広がっていた。
 尾根を雪が覆うようになったが、つぼ足でも潜らないので、そのまま歩き続けた。左に張り出した雪庇はあちらこちらで崩れはじめていた。
 順調な歩きで荒沢峰に到着した。荒沢峰は、白山と宝蔵山の山頂を目の前にする展望ピークである。この二つの山に挟まれるようにピラミッド型をした烏帽子山が聳え、荒沢峰から尾根が続いている。晴天のもと、烏帽子山は先の二回の時よりも近くに見えていた。山の写真をとってひと休みした後、烏帽子山へ向かった。
 荒沢峰からは、緩やかな尾根ではあるが、標高差50mの下りになり、その後は、170mの標高差の登りになる。雪庇の縁に注意しながら近づいていくと、急斜面の登りが始まった。雪が締まっていれば、ピッケル・アイゼンが必要な斜面であるが、雪がほどほどに柔らかいため、つぼ足のキックステップで問題なく登ることができた。
 最後の雪原を右手の樹林帯に逃げて登り詰めると、烏帽子山の山頂に到着した。白山と宝蔵山は、荒沢峰の山頂よりも、さらに近く見えた。烏帽子山は、尾根の張り出しが、下からはピークに見えているため、その先は、緩やかな稜線が宝蔵山に向かって延びていた。奥には、粟ヶ岳が山頂を見せていた。振り返ると荒沢峰は下に遠ざかり、高度感のある眺めが広がっていた。
 この先、宝蔵山までは、問題の無いコースのように見えた。時計を見て迷った。烏帽子山から宝蔵山までは、この日の状態なら1時間はかからないはずである。しかし、宝蔵山まで進んでしまえば、そのまま下山を開始してしまった方が早い。しかし、烏帽子山を目指すと言ったものの、先頭に立った後は誰にも会っていない。このまま宝蔵山経由で下山する訳にもいかず、引き返すことにした。
 烏帽子山からの下りは、ザクザクの雪で、つぼ足では膝まで潜る状態になったが、滑落の心配は無いのは有り難かった。急斜面が始まるところで、泊まり組が登ってくるのに出会った。重荷にもかかわらず、意外に早いペースであった。荒沢峰への登り返しは、息が上がったが、昼のビールが楽しみになった。
 上村さん一行は、テントの中でくつろいでいた。ひと休みの後に、西尾根経由で下山することにした。登ってきた尾根は、幅も細くスノーシュー向きとはいえない。
 スノーシューでの雪原下りを楽しみながら、広尾根を一気に下った。この尾根は、樹木の間隔も開いている。先の二回は、下から登ってきてトレースもあったことから下りも問題は無かったが、一方通行の下山はなかなか難しい。スノーシュー向きの傾斜も求めてジグザグに下るため、方向が余計に判りにくくなっているのかもしれない。GPSを見ながら、コースを修正していく必要があった。迷路遊びと同じような楽しさである。雪山では、GPSを使うことによって、登りとは別な尾根を下山することが楽になった。
 雪原を一気に下ったが、430m地点で、尾根上の雪が無くなった。スノーシューを外したが、この先は下生えの少ない歩きやすい尾根であった。杉の植林地との境を歩いていると思ったら、別な尾根に引きずり込まれており、右手にトラバースして372m標高点への尾根に戻った。先回は、この一帯は、若い杉の植林地で雪原になっていたはずだが、雪解けが進んでいたのか、それとも杉が伸びたのだろうか。
 372m標高点からは、ほぼ平行な二本の尾根が始まっている。以前も使っている北寄りの尾根は、佐藤さんの先月の偵察では、猿の群れによって糞だらけになっていたというので、鉄塔経由の南寄りの尾根を下ることにした。北寄りの尾根は、下部で伐採地の藪がうるさく、雪解けの進んだ時期では、歩きづらいと、以前からも感じていた。
 鉄塔から先は、幅広の尾根が続いた。残雪も多くなり、再びスノーシューを履くことになった。残雪が途切れるところもあったが、そのままスノーシューを履いたままで尾根の末端に下り立った。尾根の取り付きには、小さな石像が、赤い衣装を付けて置かれていた。この尾根は、地元の人も利用している尾根のように思えた。荒沢峰へのスノーシューコースとしては、今後、この尾根を使うことにしよう。
 脇の林道は除雪されており、後は、上戸倉までの車道歩きになった。
 荷物の整理を終えて家路についたところで、下戸倉を過ぎた所で車を停めた。ここからは、荒沢峰と烏帽子山の眺めが広がっている。どちらも地図には名前も記載されていない無名峰であるが、ここからの眺めは、登ってみたらと登頂意欲をかき立てる。荒沢峰に登る登山者は、登山の前、あるいは下山後に、是非ここからの眺めを楽しんで欲しい。里山にあっては、麓から眺める山の姿も大切である。

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