朴坂山塊縦走

朴坂山塊縦走


【日時】 2005年11月23日(水) 日帰り
【メンバー】 3名グループ
【天候】 1曇り

【山域】 朴坂山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 のろし山・のろしやま・200m・なし・新潟県
 物見山・ものみやま・240m・なし・新潟県
 要害山・ようがいさん・281m・なし・新潟県
 三の輪山・みのわやま・303.0m・四等三角点・新潟県
 タカツボ・たかつぼ・407m・なし・新潟県
 朴坂山・ほうざかやま・438.2m・一等三角点本点・新潟県
 嶽薬師・だけやくし・391m(386.7m・四等三角点)・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 村上/中条、小国/坂町、越後下関
【コース】 平林城跡より薬師山登山口
【ガイド】 なし
【温泉】 えちごせきかわ桂の関温泉ゆーむ 500円

【時間記録】 6:20 新潟=(R.7、十文字、R.113 経由)=7:57 平林城跡入口―8:26 首洗い清水―8:38 のろし山―8:52 物見山〜8:58 発―9:07 要害山―9:22 種松―9:35 三の輪山―9:42 滝谷川鞍部―10:01 大欅―10:23 タカツボ〜10:33 発―10:48 朴坂分岐―11:00 朴坂山〜11:50 発―12:12 あこや谷鞍部―12:52 分岐―13:02 嶽薬師〜13:07 発―13:10 分岐―13:12 桂分岐―13:22 姥杉―13:28 油こぼし―13:51 薬師山登山口=(往路を戻る)=16:30 新潟

 日本海の海岸平野部と荒川と女川の間に挟まれた一帯には、標高200〜400m程度の山塊が広がり、その中では、一等三角点の置かれた朴坂山が良く知られている。赤坂川の源流部を取り巻くように弧状に連なる要害山から朴坂山を経て嶽薬師に連なる稜線には、登山道が整備されて縦走を楽しむことができる。

 嶽薬師は1997年、要害山は1998年に登ったのが最初であるので、一般に知られる以前から注目していた山といってよい。特に、所属する山の会山行でリーダーとして1999年に行った要害山から朴坂山への縦走では、31名もの参加者が集まり、低山ハイクの魅力を味わってもらえた。その当時でも、嶽薬師から朴坂山までの登山道があるということは聞いていたが、歩かないままになっていた。
 昨年の菅名山塊に続いて、今年は朴坂山塊を重点的に歩くことにしたので、この縦走路を歩く時期を考えていた。各ピークについて、コースを変えて登ってきたが、それらを結ぶ縦走は、低山歩きにもっとも相応しい晩秋に行おうと思っていた。縦走コースの両端の要害山と嶽薬師の登山口は、自転車でも使えばそれほどの時間はかからないが、友人を誘って、車をもう一台出してもらうことにした。要害山と嶽薬師は、冬のスノーシュー歩きのコースとしても楽しいので、冬に案内するのに先立って、夏のコースを知っておいてもらうという目的もあった。
 道の駅「豊栄」で集合し、まずは嶽薬師の登山口を目指した。朝焼けで空が赤く染まり、飯豊が白い姿を見せていた。
 嶽薬師は、地元では薬師山と呼ばれており、小岩内の集落の北側から、薬師堂の下に設けられた駐車場へ車道が通じている。車道の入口には、標石も置かれて判りやすくなっている。車を一台置いて、荒川沿いの道から葛籠山の集落に向かうと、集落手前に要害山の標識があり、それに従って右折して山に向かい、さらに左折すると登山口に到着する。
 平林城跡の入口には、山城の案内図や登山届けのポストが置かれている。歩き始めの登山道周囲には、城跡の土塁が並んでおり、この山が初めてならば、足早に山頂を目指すのではなく、城跡を見物するのも良い。杉林を抜けると、左にコースを変え、緩やかな登りになる。長辺田(ちょうべた)の馬洗場を過ぎると、左上に烏帽子山の山頂が迫り、周囲をピークに囲まれた谷間に入ると、首洗い清水である。数本並んだ杉の木の下から湧き水が流れ出ているが、処刑後の首を洗ったという謂われを話して、飲むかいと訊ねれば、まず「いや」という答えが返ってくる。
 ここから直進すれば、七曲坂を通って要害山の山頂へ行けるが、のろし山経由がお勧めである。右手の道に進んでのろし山の下に出ると、山腹をトラバースしながらの登りになる。西から登ってきた尾根に出ると、すぐ先でのろし山山頂に到着する。
 のろし山の山頂に木立はなく、草に覆われているだけなので、周囲の展望が広がっている。日本海や荒川の河口部を見下ろすことができ、高坪山や櫛形山塊、蒲萄山塊も眺めることができる。200mの標高とは思えない展望である。ベンチも置かれているので、ゆっくりと休みたいところだが、今日は先が長い。
 以前は首洗い清水に戻る必要があったが、今は、東に延びる尾根通しに登ることができる。山頂直下にある川部への分岐を過ぎて、雑木尾根を登っていく。じきに七曲坂を通ってきた道と合わさり、左に曲がったすぐ先が物見山である。ここにもベンチが置かれ、のろし山と同様の展望地になっている。標高が少し高くなったぶん、眺めも少し変わってきている。
 ここからは、ひと登りで土塁が残されている要害山の山頂に到着する。ここにはプレハブ小屋があり、悪天候を避けての休憩に使うことができる。嶽薬師が目の前にあるが、そこまでは大回りする必要がある。南の高坪山や櫛形山塊に加えて、北には蒲萄山塊や鷲ヶ巣山、朝日連峰の眺めを楽しむことができる。
 いつの間にか雲が広がって、雨粒も落ちてきた。傘を車に置いてきたことを後悔したが、雨雲は通り過ぎていった。青空も一部に見えてめまぐるしく変わる天気になっていた。
 山頂広場から少し先に進んだ所が、最高点の287点で、大岩が並んでおり、舘岩という標識が置かれている。その先は下りになり、新道分岐を過ぎて下り立った鞍部が、種松である。ここからは、川部に下ることができる。前方のピークに向かって急坂が始まる。標高80mの登りであるが、足元も滑りやすく、なかなか辛い。以前は、直登の道がつけられていたが、傾斜を緩くした道がもう一本付けられていた。この縦走路は、1999年以来ということなので、登山道の状態がどうなっているかと思っていたのだが、その後も手が加えられていることに安心した。
 山頂は小広場になっており、三角点が置かれている。このピークは、三の輪山(あるいは箕輪山)と呼ばれている。この先は標高差50mの下りで、80mの登りになる。この付近は深山の雰囲気を漂わせ、紅葉もまだ残っており、楽しむことができた。
 息を切らして稜線上に出ると、しばらくはなだらかな道が続く。小ピークに登ると、タカツボである。小広場になっており、朝日連峰方面の眺めが広がっていた。そろそろ疲れてきたが、朴坂山で昼食の予定であった。小休止の後に先に進んだ。
 朴坂からの登山道の分岐を過ぎると、もうひと歩きで朴坂山に到着する。三角点付近は風が冷たかったので、木立に囲まれている祠の前の広場で休むことにした。腰を下ろす前に、西に少し進んだ露岩の展望台に進んだ。白くなった光兎山が輝いていた。背後の朝日連峰は、霞んでいた。新しくできた展望台であるので、朴坂山に登った時には、ここに寄るのを忘れないことである。ここまでは誰にも会わなかったのだが、休んでいる間に、数パーウィーが登ってきて、山頂は賑わってきた。
 ゆっくりと休んでから、再び歩き出した。嶽薬師への下り口は少し判りにくい。送電線巡視路へと続く道に進んですぐの所にある岩の脇から谷に向かって下りる。下り始めはかなりの急斜面なので、しっかりした道が付けられているといっても、木の枝を掴みながら慎重に歩く必要がある。標高150mの一気の下りになる。鞍部にはあこや谷鞍部という標識が置かれている。ここからは、標高90mの登りになる。
 ここをようやく登り切ると、これで、縦走路の登りはほぼ終わり、緩やかな道になる。登山道周辺は背の低い灌木が広がり、見晴らしの良い道である。飯豊方面の眺めが広がったが、稜線は雪雲に包まれていた。要害山の山頂は、すでに遠ざかっていた。
 小岩内への下山路を見送ると、その先で嶽薬師の山頂に到着する。お堂があり、立派な彫刻が施された軒飾りが置かれている。お堂の背後にはブナの木が並んでいるが、美しく色づいていた。
 嶽薬師からは、道も良く整備されているのでのんびりと下ることができる。稜線部から一段下った所にうがい清水がある。そこから斜面を下っていくと、森の主といった感じの姥杉に出る。この先は、名残の紅葉も美しかった。尾根道を下っていくと、空が暗くなり、雷鳴も聞こえてきた。後僅かと足を早めた。
 登り口の薬師堂に到着したのと同時に、激しい雨が始まった。駐車場をつっきる間にも体が濡れてしまい、車に飛び込んだ。良いタイミングで下山することができた。
 要害山から朴坂山を経て嶽薬師への縦走路は、最高点が標高は400m強であるが、歩行時間は5時間程になり、1日をたっぷり楽しむことができる縦走路である。展望も良いので、もっと歩かれても良いコースである。
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