日本平山

日本平山


【日時】 2005年11月5日(土) 日帰り
【メンバー】 3名グループ
【天候】 晴

【山域】 川内山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 日本平山・にほんだいらやま・1081.1m・一等三角点本点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/御神楽岳/高石、
【コース】 早出川ダムより
【ガイド】 分県登山ガイド「新潟県の山」(山と渓谷社)
【温泉】 村松さくらんど温泉 700円

【時間記録】 5:30 新潟=(R.49、五十島橋、R.49、R.290、大蔵、暮坪 経由)=6:30 早出川ダム〜6:50 発―7:12 山の神―7:59 金ヶ谷徒渉点―8:16 駒の神〜8:22 発―9:27 トコヤ―10:28 ガンガ〜10:34 発―11:00 日本平山〜12:07 発―12:30 ガンガ―13:15 トコヤ―14:04 駒の神〜14:08 発―14:20 金ヶ谷徒渉点―15:17 山の神―15:30 早出川ダム=(暮坪、R.290、R.49 経由)=18:00 新潟

 日本平山は、川内山塊の盟主の矢筈岳を源流とする早出川右岸に位置する山である。細々としたゼンマイ道が僅かに通じているだけの川内山塊において、日本平山は、各方面からの登山道が切り開かれている貴重な山である。日帰りの山であるが、谷沢方面からにしろ、早出川ダムからにしろ、行程は長く、山の奥深さを感じさせる山である。山頂は、ならだかな高原状で、一等三角点本点が置かれている。

2001年10月27日に早出川ダムから登り、紅葉の山を堪能した。今年は紅葉の時期が遅れているので、11月に入った頃が丁度盛りになるだろうと思い、仲間を誘った。車二台が用意できるので、早出川ダムから三川自然の森コースへと縦走する計画を立てた。
 天気予報は、週末は雨となっていたが、直前になって曇りに変わり、登山も予定通りに行えることになった。とはいえ、前夜の真夜中に雷雨になり、天気が心配になったが、朝には晴となっていた。
 阿賀の里で集合し、五十島に向かうと、橋を渡ったところで、県道は高石で通行止めになっているとの看板が置かれていた。沼越峠を通って車の配置と回収を行う予定が狂った。大蔵経由だと時間が掛かるので、縦走は諦めて往復コースに変えて、直ちに早出川ダムに向かうことにした。
 日本平山は、相性の悪い山で、早出川ダムの登山道が工事によって通れずに敗退したのが、第一回。金ヶ谷の徒渉点が増水で渡れなかったのが、第二回。大池先で残雪のために登山道が辿れなくなったのが、第三回。四回目にようやく登れた山である。今回もと、不吉な予感がした。
 菅名山塊を大迂回したが、早出川ダムには、予定の時間に到着した。登山者の車で駐車場は一杯になっているかと思ったが、車が一台あるだけであった。前夜の雷雨で敬遠したのだろうか。
 早出川ダム湖畔の道は、しばらくチップが撒かれた遊歩道が続くが、急に細くなり、ダム見物の観光客は、ここまででお仕舞いというこになる。登山道は、入り組んだ沢を巻いていくために、なかなか奥へは進まない。道は整備され、要所には鎖が掛かっているのだが、使う必要は無い。ただ、湖面に向かって切り落ちているため、つまずくようなことがないように注意が必要である。
 山の神の祠でまずは一息。この先は、ダム湖周囲に、スラブ壁となった斜面が一気に落ち込む川内山塊の眺めが目の前に広がるようになる。急な山の斜面に刻まれた登山道が、うねうねと前方に続いていくのが印象的である。美しい紅葉が広がっており、まだ朝のうちで光が充分差し込んでいないのが残念であった。紅葉の名所として、早出川ダムは広くは知られていないようである。観光地ならいやでも目に入るシャッターチャンスを待つカメラマンがいないのが不思議に思える。
 登山道は、上下しながら、早出川の谷間から金ヶ谷に入っていく。登山道の脇は湖面まで切り落ちているが、以前よりは歩きやすくなっている感じである。金ヶ谷に入っていくと、対岸の急崖が目の前に迫ってくる。登山道が通じているはずなのだが、目で探っても、登山道は見あたらない。
 谷奥に向かって、故山道は緩やかに高度を下げていく。崖に架けられた金属製横板の橋を渡ると、その先で金ヶ谷の徒渉点に到着する。ロープの助けをかりて、泥斜面を水辺まで下りる。以前訪れた時に増水して渡れないこともあったが、今回は水量もさほどなく、飛び石伝いに渡ることができた。
 対岸は急斜面になっており、前回は、泥斜面をロープの助けをかりて登るのに苦労した。みると、草付きにじぐざぐに登山道が付けられており、登りやすくなっていた。急坂を一気に上がると、その先は、水平な道に変わる。岩を削って道を造ってあり、鉱山道だったようであるが、よくぞ、このようなところにコースをとったものだと思ってしまう。
 尾根に登り着くと、駒の神の標識があるが、祠のようなものはない。日本平山へは、ここから尾根通しに登っていくことになるのだが、尾根を乗り越して下っていく道もあり、「丸子道」と書かれている。しっかりした道のようなので、どこまで続いているかを確かめるため、谷間の紅葉を眺めながら早出川の奥まで歩いてみるのも良いかもしれない。
 ひと休みの後、尾根の登りを始めた。標高差200m程を一気に登ると、尾根の傾斜も緩やかになり、周囲の展望も開けてきた。谷向こうには、日倉山が大きく広がり、谷間は紅葉に彩られていた。尾根の周囲は、灌木帯で、他の季節では少々藪尾根であるが、この季節は黄色や赤に色づいた紅葉が見事である。紅葉に見とれて足が止まってしまうが、登っていく先の尾根を眺めれば、日本平山の山頂は、まだまだ遠かった。
 尾根が広がると周囲はブナ林になり、砕鉱が盛り上げられているトコヤに到着する。ここには水場もあり、良い休憩場所になっている。登山道は、ピークの右手を巻き、緩やかに下っていく。川内山塊というと、あまりブナ林を思い出しはしないが、この付近のブナ林は、他の山のブナ林と比べても見事である。ブナ林の写真を撮るため、足が止まってしまった。
 鞍部まで緩やかに下ると、標高差250m一気の登りが始まる。足が止まりそうになる急坂を登り終えると、小ピークに到着する。ここはガンガと呼ばれる。トコヤやガンガといった意味不明な地名が出てくるのも、川内山塊風で面白い。ここでようやく日本平山の山頂が目の前に広がる。右手には、川内山塊の幾重もの山並みが広がっているが、ひとつずつのピークは見分けることが難しい。。
 展望の良い尾根を辿った後に、日本平山への標高差150mの登りになるが、これが最後の登りと思えば、足にも力が入る。傾斜が緩んで左から登山道を合わせると、その先で日本平山山頂への到着となった。
 山頂には、途中で追い抜いていった五泉の5名グループが休んでいるだけであった。秋の紅葉の盛りとしては、意外な空きように予想が外れた。日本平山の山頂は以前よりも周囲が刈り払われて、鍋倉山や人ヶ谷山の展望が開けていた。かえるの石像は相変わらず健在であったが、踏み台代わりのビールケースは無くなっていた。広場の片隅に腰を下ろして、昼食とした。ゆっくりと1時間は休んだが、帰りも時間がかかるため、腰を上げた。
 帰りは、太陽も上がって、風景も変わっており、写真を撮りながらの下りになった。縦走できなかったことは残念であったが、このコースを充分楽しむには、片道だけではもったいない。三川コースは、以前敗退したことのある残雪期にリベンジとしよう。
 トコヤ付近で、大荷物のグループとすれ違った。どうやら泊まりで日倉山へと周回するようである。それにしても、紅葉の盛りに日帰りグループが二組だけとは、もったいない。秋の日は短く、ダムサイトを歩く頃には、日が陰り始めていた。
 日本平山への早出川ダムコースは、川内山塊ならではのスラブをまとった谷を見下ろすダムサイトの道、紅葉の尾根道、トコヤ付近のブナ林、ガンガでの眺め、と変化に富み、紅葉にたっぷりと浸ることができる。登山道も以前より歩きやすくなっており、今後は晩秋の定番の山になりそうである。

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