熊野長峰、大朝日岳、出ヶ峰

熊野長峰
大朝日岳、西朝日岳、竜門山
出ヶ峰


【日時】 2005年10月8日(土)〜10日(日) 2泊3日 各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 8日:雨 9日:晴後曇り 10日:曇り

【山域】 摩耶山塊周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 熊野長峰・くまのながみね・430.0m・三等三角点・山形県
【コース】 大谷貯水池
【地形図 20万/5万/2.5万】 20万/5万/2.5万】 酒田/三瀬/三瀬
【ガイド】 分県登山ガイド「山形県の山」(山と渓谷社)
【温泉】 かたくり温泉ぼんぼ 350円

【山域】 朝日連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 古寺山・こでらやま・1500.7m・三等三角点・山形県
 小朝日岳・こあさひだけ・1647m・なし・山形県
 大朝日岳・おおあさひだけ・1870.3m・二等三角点・山形県
 西朝日岳・にしあさひだけ・1810m・なし・山形県、新潟県
 竜門山・りゅうもんさん・1688m・なし・山形県、新潟県
 ユーフン山・ゆーふんやま・1565m・なし・山形県
 清太岩山・せいたいわやま・1464.6m・三等三角点・山形県
【コース】 日暮沢小屋より周遊
【地形図 20万/5万/2.5万】 20万/5万/2.5万】 村上/朝日岳/朝日岳
【ガイド】 山と高原地図「朝日連峰」(昭文社)
【温泉】 大井沢温泉湯ったり館 300円

【山域】 飯豊連峰周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
出ヶ峰・だしがみね・694.2m・一等三角点・山形県
【コース】 白川射撃場
【地形図 20万/5万/2.5万】 20万/5万/2.5万】 新潟/玉庭/玉庭
【ガイド】 なし

【時間記録】
10月8日(土) 8:30 新潟=(R.7、羽前水沢 経由)=10:40 大谷貯水池〜11:24 発―11:43 分岐―11:52 熊野長峰〜11:56 発―12:03 龍頭ヶ池―12:12 中山作業道分岐―12:17 龍尾ヶ池分岐―12:22 分岐―12:35 大谷貯水池=(R.345、R.112、月山IC、大井沢 経由)=17:30 日暮沢小屋  (車中泊)
10月9日(日) 4:15 駐車場所―4:20 林道終点―4:39 尾根取り付き―6:02 古寺鉱泉分岐―6:32 三沢清水―6:57 古寺山―7:21 巻き道分岐―7:32 小朝日岳―7:52 巻き道分岐―8:35 銀玉水〜8:45 発―9:08 大朝日小屋―9:19 大朝日岳―9:32 大朝日小屋―9:40 金玉水入口―9:57 中岳―10:48 西朝日岳―11:39 竜門山〜12:01 発―12:03 縦走路分岐―12:42 ユーフン山―13:10 清太岩山〜13:15 発―13:57 ごろびつ清水―14:58 日暮小屋―15:13 駐車場所=(大井沢トンネル、大江町、R.287、今泉、R.113、手ノ子 経由)=19:00 白川ダム
10月10日(月) 7:28 林道分岐―8:08 取り付き〜8:15 発―8:35 出ヶ峰―8:54 取り付き―9:31 林道分岐=(R.113、R.290、R.7 経由)=13:00 新潟

 熊野長峰は、鶴岡市の南の庄内平野の縁に位置する、なだらかな山頂を持つ山である。山頂部に水を持つことから、「水神の地」また「修験道の場」として信仰の対象になってきたという。山頂や湿原群をめぐる登山道が整備されている。

 新潟県と山形県の県境一帯に広がる朝日連峰は、冬季は日本海からの季節風を強く受ける豪雪地にあるため、その標高以上の高山帯が広がっている。たおやかな稜線には、夏まで豊富な残雪が残り、高山植物のお花畑が広がり、山麓は見事なブナ林に覆われ、この山域の大きな魅力になっている。大朝日岳が朝日連峰の最高峰で、各方面からの登山道が開かれている。

 出ヶ峰は、飯豊連峰の登山口として利用者も多い大日杉への途中にある白川ダムの北に位置するピークで、一等三角点が置かれているが、登山道はない。

 ここのところ、週末ごとに天気が悪くなることが続いている。この三連休も、初日は全国的に雨、後の二日は曇り時々晴というものであった。山の計画に頭を悩ますことになり、結局、二日目の天気に賭けて、朝日連峰の日帰り山行を行うことにした。本来なら、泊まりで二日間の山行を行いたいところであるが、連休とあっては、小屋の混雑が恐ろしい。朝日連峰では幕営禁止というのが痛い。飯豊に比べて、朝日連峰を訪れる回数が少ないのも、距離的に遠いということの他に、この幕営禁止の問題がある。
 一日目は、移動がてら簡単な山ということで、鶴岡近くの熊野長峰を選んだ。登山道も整備されているようで、歩行時間も短いため、雨でも登れるはずであった。三日目は、二日目の疲れ具合をみて考えることにした。
 熊野長峰へは、家で朝食をとってからのゆっくりした出発になった。いつもの連休での前夜の出発とは違っている。家を出た時は曇り空であったが、鶴岡が近づくと、本降りの雨になった。熊野長峰の登り口の羽前水沢は、新潟から日本海の海岸線を走ってきて、鶴岡の庄内平野に入ったところである。国道から分かれると、前方になだらかな山頂を持つ熊野長峰が見えてきた。大広の集落に案内標識があり、これに従うと大谷林道に走り込むことができた。砂利道の林道は地図にも記載されておらず、カーブを描きながら長々と続いた。林道の走り具合は、下山時に車で走りながらGPSを使って記録した。
 林道終点には、広い駐車場が設けられ、貯水池が静かな水面を広げていた。雨が激しいため、しばらく様子を見たが、弱くなる気配もなかった。雨具はズボンだけにして傘をさして歩くことにした。車の中で、出発の準備をして、長靴を履いてから外に出た。
 池の左に回り込んでいくと、登山道は、左に方向を変えた。杉の植林地をトラバースしていくと、右に曲がって尾根沿いの登りが始まった。丸太の段々も設けられ、良く整備された道であった。
 稜線上に出ると、T字路になっており、直進は湿原へ下る道で、山頂へは左の道に進むことになる。この角には、ガラス窓のついた掲示板があり、中には、湿原の花の説明などが張られていた。その先は、ほとんど平坦な道となり、あずまやが左手に現れると、熊野長峰の山頂であった。山頂らしからぬところであったが、確かに三角点が置かれていた。
 あずまやの下に入り、雨をしのいで一息入れた。あずまやの前の斜面は、刈り払いの広場になって、展望地になっていた。晴れていれば、ハイカーが腰を下ろしてお弁当を広げるのであろう。
 山頂から登山道の先に進むと、すぐ先で小さな石の祠があり、下りになった。小さな湿原に下り立つと、龍頭ヶ池と書かれた看板が置かれていた。池とはあるが、草の茂った湿原である。むしろ谷地といった方が良いかもしれない。443mピークから東に延びる尾根に上がり、トラバース気味に進むと、幅広の道に飛び出した。中山作業道とあり、湿原へは、右手の山道に曲がることになる。うっかりすると、直進しやすいところである。
 下っていくと、龍尾ヶ池の湿原に飛び出した。木道が横断するように付けられていた。先の龍頭ヶ池よりは大きかった。中間部には、登山道からは見えなかったが、三味ヶ池というものもあるようである。これら湿原群は、熊野長峰と443mピークに挟まれた、東西に広がる谷間に広がっている。湿原からひと登りすると、看板のあるT字路に出て、後は車に向かって下ることになった。
 本降りの雨は止む様子はなかった。この日の山は、これで充分という気持ちであった。月山方面に向かう途中、お馴染みのかたくり温泉に入り、食料を買い込んでから朝日連峰登山口の日暮沢小屋へ向かった。日暮沢小屋は、1996年7月20日に寒江山に登った時以来になる。先回は、工事中の砂防ダムの底を通過した覚えがあるが、今回は、ダムサイトを通過するようになっていた。日暮沢小屋の駐車スパースは狭く、連休とあって夜中にも到着する車が多いはずなので、少し手前の脇道に入った所の広場に車を停めて寝た。
 日暮れ時、雨は止んだものの、雲は厚かった。夜中に空を見上げると、星が出ていた。天気についてはあまり期待もしなかったが、なんとか登れそうだと思いほっとした。
 ひさしぶりの超12時間コースのため、未明のうちにできるだけ歩いておくことにした。3時半には車を動かして、日暮沢小屋に向かった。林道上を流れる沢を横断すると、日暮沢小屋である。小屋の周辺には、長い路上駐車の列が続いていた。これから到着の車も考えれば、相当な混みようになりそうであった。周遊コースのため、どこで車を停めてもよかったのだが、まずは林道終点の登山口まで進んでみた。根子川を橋で渡ると700mほどで林道終点広場になる。この広場も車で埋まり、テントも張られていたため、苦労して車の方向を変えた。橋との中間部に路肩のスペースがあったため、ここに車を置くことにした。
 車道終点の車やテントの脇を、静かに通り過ぎた。夏山と違って、闇は濃く、夜中の気配であった。沢沿いの道が始まった。ヘッドランプの光は、周辺の木立に吸い込まれ、おぼつかなかった。以前から使っていた第一世代のLEDヘッドランプをなくしてしまって新しい物に変えたところで、LEDも四連となって明るいはずなのだが、焦点を結ばない光は歩きづらい。このような懐電歩きがあらかじめ予測される場合には、少々重くとも、豆球も備えた2WEYモデルを用意すべきかもしれない。へつり道が続くので、足元に注意しながら、足を進めた。
 沢を離れると、尾根の急登が始まった。標高差450mの一気の登りになった。暗い中の登りは、雑念も入らず、かえって能率が上がるような気もする。傾斜がゆるんでハナヌキ峰に上がる頃になって、ようやくヘッドランプのスイッチを切ることができた。1196mピークを越すと、古寺鉱泉からの登山道が左から合わさった。ブナ林が広がっており、腰を下ろして最初の休みとした。
 古寺鉱泉から単独行が登ってきた。この後から、団体が登ってくるというので、休みを切り上げて歩き出すことにした。日暮沢小屋方面からは、先頭に立って、かなりのペースで歩いてきたので、古寺鉱泉からの団体に追いつかれそうになるとは思っていなかった。コースタイムを見ると、古寺鉱泉からの方が、この分岐までは早く登ってこれるようである。
 ここからは、標高差300mの登りが続いた。途中で、田代清水の水場があり、一服することができた。ここで単独行においつき、しばらくは、三人が前後しながら登り続けることになった。
 古寺山に到着すると、展望が一気に広がった。目の前に小朝日岳のピラミッドが聳え、その右奥には、大朝日岳から中岳から西朝日岳にかけての稜線が長々と横たわっていた。なによりも、稜線が赤を主体にした紅葉に染まっていることに目を奪われた。青空に紅葉の色が一際映えていた。以前朝日鉱泉から大朝日岳に登ったことがあるが、この古寺山は初めてになる。古寺山は素晴らしい展望ピークであることが判った。朝の太陽がまだ弱々しく、もう少し時間が経てば、もっと輝かしい風景になるであろうが、ここで足を止めるわけにはいかない。ここまでは登りに専念してきたのだが、この先は、カメラを首に下げて、写真を撮りながらの歩きになってしまった。
 古寺山の南の小ピークから緩やかに下っていき、鞍部からひと登りした所で、山頂を通らない巻き道が右に分かれる。当然、小朝日岳の山頂への道を選んだ。下から見た目よりも楽に小朝日岳の山頂に到着した。ここで、島原山からの道が合わさるので、ここから大朝日岳までは歩いたことのある道である。とはいっても、先回は、ガスのために展望は閉ざされていたため、新たな気持ちで、山頂からの展望を楽しんだ。大朝日岳までの尾根を目で追うことができ、大朝日小屋も見分けることができた。
 小朝日岳から鞍部の熊越までは急坂の下りになった。鞍部付近になると、下山してくる登山者や登りの登山者にも出会うようになった。登りの登山者は、時間的に、前夜は島原小屋に泊まった者達であろうか。前日の激しい雨で、早めに行動を打ち切った可能性がある。
 鞍部からの登りの途中、振り返ると、小朝日岳が、岩壁を抱いたピラミッド型の姿を見せていた。傾斜が緩んで尾根の上に出ると、足が止まってしまった。登山道周囲には、まさに盛りの紅葉で、錦の絨毯が広がっていた。カメラを構えている間に、何人もの登山者に追い抜かれた。
 銀玉水に到着して、水を飲んでひと休みした。朝食も、ゼリー飲料ですませていたので、腹も空いてきた。朝日連峰の登山道は、途中の水場が豊富で、水の心配がいらないのは有り難い。
 銀玉水からは、ガレ場の急斜面の登りになるが、丸太の段々で整備されて歩き易くなっていた。といっても、急坂の登りの辛さは変わらない。傾斜が緩やかになると、尾根の張り出し部の歩きがしばらく続く。右手には、黄色く色づいた草原の広がる中岳を眺めることができたが、ガスが湧いてきて、山頂が見え隠れするようになってきた。朝からの晴天も、終わったようである。
 大朝日小屋も、9時という時間のせいもあり、静まりかえっていた。ただ、一般登山者の到着はこれからで、この夜がどれほどの混みようになるのかは判らない。後で、この晩に泊まった人の噂を聞くと、そうとうの混みようであったという。
 いよいよ、大朝日岳への最後の登り。周囲の展望も開けてくるが、まずは山頂へと足を進めることに専念する。山頂は、10名以上の登山者で賑わっていた。先回の2002年6月8日の時は、12時30分に到着し、一人だけの山頂を楽しむことができた。今回は、紅葉の盛りの三連休の中日とあって、それは望めない。
 ガスも丁度切れて、平岩山から祝瓶山にかけて長々と続く稜線を眺めることができた。朝日鉱泉へと下る中ツル尾根も、ガスの中にその急激に落ち込む姿を現していた。振り返ると、中岳の向こうに西朝日岳が頭をのぞかせていたが、まだまだ遠かった。この日のコースでは、大朝日岳に登ったからといっても、気を抜くことはできない。先を急ぐことにした。幸い、写真撮影で足を止めてばかりいたので、それほどは疲れていなかった。
 大朝日小屋から緩やかに下っていった鞍部からは、金玉水への道が分かれるが、そのまま通過した。登山道は、中岳の山頂直下をそのまま巻いていた。ひと登りであったが、夏はお花畑のような草原であり、三角点もないため、そのまま通過した。中岳からは標高100mを下って、西朝日岳へは、再び同じ標高差の登り返しになる。稜線をガスが流れるようになった。乳白色のガスの中、紅葉が晴天とは違った趣を見せていた。
 西朝日岳の山頂に到着した時は、完全にガスに覆われており、三角点ピークも隠されていた。以前の登山地図では、三角点ピークまでは赤の破線が記されていたような記憶があるのだが、踏み跡を探したが、見つからなかった。水平距離で300mほどであるが、藪漕ぎとなると、往復でそれなりの時間がかかる。先を急ぐ必要もあり、今回は、三角点ピークは断念することになった。地形図をみる限り、西朝日岳は、登山道が通過しているピークをさしており、西朝日岳に登ったと言ってよいであろう。
 西朝日岳から下った後は、小ピークを越えていく道になった。相模山や寒河江山も近づいてきた。ガスの中から、以東岳がようやく姿を現した。
 緩やかに登っていくと、竜門山に到着した。この竜門山が、主稜線上最後のピークになる。山頂には家族連れが休んでおり、藪に囲まれて眺めもないため、少し先に進んだ見晴らしの利く所で腰を下ろした。時計を見れば、まだ昼前で、日暮れまでに下山できることは確かのようであった。朝の懐電歩きは行っても、夜まで延びての懐電歩きは絶対に行いたくない。
今回の山行では、ビールを持ってくるかどうか迷った。休む暇も無いかもしれないし、疲れが足に来てビールどころではない可能性もあった。順調な歩きに安心して、ビールを開けた。これだけの展望を目の前にして、ビールを飲まないことは、画竜点睛を欠くというものである。大朝日岳を目指して登ってきた一団が通り過ぎる時、「いいものやっていますね」という声がかかった。
 歩き出すと、すぐ先で、日暮沢小屋への下降点となった。尾根の先には、ユーフン山が丸みを帯びた山頂を見せていた。山腹に広がる紅葉が一際見事であった。赤の美しさに関しては、これまでに経験のうちでもベストに思えた。ユーフン山と清太岩山と、二つのピークを越えるのには、足にも頑張ってもらう必要があった。
 古寺山から紅葉の写真を撮るために一眼レフデジカメを首から下げて歩いてきたが、ようやく清太岩山で紅葉も終わりになり、ここからは下りに専念することになった。この尾根は二度目になるが、先回の1996年7月20日の山行では、寒河江山から見た相模山に心が奪われ、そのまま相模山まで足を延ばしてしまったため、下りに完全にばててしまうという失態を演じた。最後は、20分の歩きで10分の休みというペースになってしまった。ブナの大木に寄りかかって、このまま寝てしまおうかとも思ったものである。幸い、今回は、疲れてきたとはいえ、足が止まることもなく下りを続けることができた。
 下りの途中、多くの登山者とすれ違ったが、小屋は混んでいるでしょうねと聞かれることも数度に及んだ。
 急坂が急に終わると、その先で日暮沢小屋の前に飛び出す。小屋の周辺には、長い路上駐車の列が続いていた。最後の林道歩きを頑張ることになった。結局、今回の周遊には11時間かかり、時間的な余裕を持って歩きを終えることができた。
 三日目をどうするか迷うことになった。これだけの紅葉を見てしまっては、どのような山に登っても、感動は得られない。まずは、大井沢温泉に入って汗を流してからということにした。結局、紅葉や展望とは全く別な目的の山ということで、一等三角点ピークの出ヶ峰を訪れることにした。一等三角点ピークなら、三角点に触れることが一番の目的である。おそらく、藪に覆われて、展望などは得られないはずである。この山なら、新潟にも近く、下山後に早めに帰宅できることも有り難い。
 長井に出て、手ノ子から白川ダムに向かった。白川ダムに到着した時は暗くなっていたため、静かな空き地を見つけて、夜を過ごした。
 連休三日目は、雲が厚い天気になった。朝日連峰の稜線上の小屋に泊まった登山者達も、これでは、ガスの中を下山するしかないであろう。
 まずは、射撃場への林道に進む必要がある。前日は判らなかったが、ダムサイドのトンネル出口から林道が始まっており、入口には、白川射撃場と書かれた古びた標識が置かれていた。レジャー施設に通じるにしては、少し荒れた林道であった。611mピークを巻いて北側に出ると、射撃場に出たが、施設は閉鎖されているようであった。その先で、林道が二つに分かれ、先の様子が判らないため、ここから歩き出すことにした。車道脇には、入山禁止の看板が各所に立てられており、登山者は関係ないとはいってもあまり感じは良くなかった。車道は、しばらくは車の走行に問題のない状態であったが、谷地の脇を過ぎて山の斜面に取り付く頃には、車道上に草が伸びているようになった。途中、地図にも載っていない林道が現れたが、高みに向かう道が正しい道なので、間違える心配はない。ただ、カーブを何度も繰り返すため、現在地が判りにくくなった。
 40分の歩きで出ヶ峰から北東に延びる尾根に出た。ここで林道から分かれることになる。少し高くなった尾根上を見ると、枝を払った跡があった。ススキを掻き分けて進むと、山道が現れた。入口を隠してあるのか、林道工事によって植生が変わって夏草が茂りやすくなったのかは判らない。水平距離400mであるが、踏み跡があるのは有り難い。
 踏み跡を辿ってこのまま山頂へ到着かと思ったら、山頂手前はススキの原になっており、踏み跡は判らなくなってしまった。ススキを踏み倒しながら、山頂を目指した。山頂手前で灌木に捕まったが、それを突破すると、小広場があり、一等三角点が頭を出していた。周囲は灌木に囲まれており、展望は無かった。目的の一等三角点を見たことに満足して山を下った。
 時間は早かったが、早めに帰宅して、昼寝をすることにした。やはり前日の疲れが出ている。来週の山のために、体力を回復する必要がある。

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