西大巓、西吾妻山

西大巓、西吾妻山


【日時】 2005年7月24日(日) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 曇り

【山域】 吾妻連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 西大巓・にしだいてん・1981.8・二等三角点・福島県、山形県
 西吾妻山・にしあずまやま・2035m・なし・福島県、山形県
【コース】 グランデコスキー場より
【地形図 20万/5万/2.5万】 福島/吾妻山/檜原湖、吾妻山
【ガイド】 山と高原地図「磐梯・吾妻・安達太良」(昭文社)

【時間記録】 5:20 新潟=(磐越自動車道、猪苗代磐梯高原IC、R.115、R.459、小野川 経由)=8:00 グランデコスキー場〜8:45 発=9:00 ゴンドラ山頂駅―9:25 ゲレンデ上―10:28西大巓―11:14 西吾妻小屋分岐―11:22 西吾妻山〜11:36 発―11:54 天狗岩―12:05西吾妻小屋分岐―12:34西大巓〜12:57 発―13:44 ゲレンデ上―14:03 ゴンドラ山頂駅―14:17 でこ平湿原入口―14:35 でこ平湿原入口―14:51 ゴンドラ山頂駅=15:06 グランデコスキー場=(往路を戻る)=18:00 新潟

 山形と福島との県境に広がる吾妻連峰は、東・中・西吾妻に分けられるが、西吾妻を代表するピークが西吾妻山と西大巓である。西吾妻山は連峰の最高峰で、日本百名山のピークハントのためにこの山を目指す者も多い。西吾妻山へは、ロープウェイとリフトを乗り継いで簡単に登ることのできる天元台からのコースが多く用いられているが、裏磐梯のグランデコスキー場のゴンドラが通年運行されるようになったことから、このコースも歩きやすくなっている。
 一週後の北海道山行の準備に、車のオイル交換を行い、勧められるままに、タイヤにバッテリー、エアーフィルターも交換したため、土曜日は久しぶりに家にいることになった。日曜日に日帰りで山に行くことにしたが、意外に選択が難しい。暑くなっているので、標高の高い山で、なおかつ朝出発で登れる山。来週のことも考えて、体力をあまり消耗しない山。そう虫の良い山があるはずもないが、グランデコスキー場から西大巓を経て西吾妻山に登るコースが思い浮かんだ。
 西吾妻山は、以前にも天元台から登っているが、グランデコスキー場自体に関心があった。グランデコスキー場から西大巓へは、雪のある季節にも山スキーヤーがかなり登っているようで、スノーシューでも充分登れそうなコースである。問題は、地図にゲレンデのロープウェイやリフトが記載されていないため、歩き出しがどこからになるのか、見当がつかないことであった。雪の無い時期に訪れて、コースをGPSで確かめておきたいと思っていた。
 インターネットで、ロープウェイの始発時間を調べると、9時のようであった。ちょっと出発が遅くなるが、その分、朝は余裕ができる。また、割引券を印刷して持参すると、往復1200円が1000円になるという情報も入って、少し得をすることができた。
 猪苗代磐梯高原ICで高速を下りてから裏磐梯に向かい、檜原湖の少し手前からグランデコスキー場に入ることは、前から看板を見て知っていたが、スキー場を訪れるのは初めてであった。小野川湖の畔を走っていくと、スキー場に到着した。大駐車場が設けられていたが、夏の間は、ロープウェイ乗り場の上の駐車場だけが使われており、閑散としていた。
 到着時間が早かったため、車の中で居眠りをしていると、観光バス一台に続いて、学校集団がバス二台で到着した。これは混み合うのかと思ったが、後は続かなかった。ロープウェイが動き出したのを見て乗り場へ向かった。ほとんど待たずに乗り込むことができた。
 15分程で山頂駅に到着した。標高差400mを一気に稼いだことになる。とはいっても天元台コースでは、1800m地点からの歩き出しに対し、こちらは1390m地点からなので、楽をしたければ天元台からということになる。
 ハイカーの大部分は、左手のでこ平湿原・百貫清水の方へ向かったようである。西大巓の登り口が判らなかったので、地図を確認すると、右手のゲレンデを登るようであった。山頂駅の前に、登山標識が欲しいところである。
 あまりはっきりしない踏み跡を辿ってのゲレンデ登りが始まった。ゲレンデは、初心者用の緩斜面のようであったが、歩いて登るとなると、きつくて汗が吹き出てきた。上部に近づくと、ガレ場状態になって、踏み跡も乱れた。ゲレンデの右端に沿った雨水でできた溝の中を歩くようになると西大巓と書かれた標識があり、ここで溝と分かれて、右手の木立に入ることになる。標識には右を示す矢印が書かれているが、目の前にリフトの終点駅が見えており、この分岐は見落とし易い。積雪期のことも考えて、リフト終点まで歩いてGPSにマークしてから、本来の登山道に進んだ。
 ここからは、しっかりした登山道が始まった。昔からあった登山道が、ゲレンデの開発によって寸断されてしまったような感じである。
 樹林帯の見通しのない登りが続いた。地図では、なだらかな登りが続くように見えるのだが、最大傾斜線に沿って真直ぐに登っていくので、余計にきつく感じられるようである。特徴の無い地形なので、残雪期には迷い易そうであった。高度が上がっていくにつれて、ブナ林からオオシラビソの林に変わっていった。
 山頂に迫ったところで小ピークを越すと、西大巓への最後の登りとなった。山腹は草原となり、コバイケイソウの群落が広がっていた。コバイケイソウは、花の時期が少し過ぎるときたならしくなるが、花の盛りで白く輝いていた。お花畑の向こうには、西吾妻山がなだらかな山頂を見せていた。カメラを取り出しての撮影タイムになった。
 西大巓の頂上は、ザレ地の小広場となり、白布峠からの登山道も合わさってきている。ロープウェイの山頂駅からは1時間30分かかって、登山地図のコースタイムと同じであった。結構頑張って登ってきたので、このコースタイムは一般的にはきびしいような感じがする。
西吾妻山へは、標高差80m下った後に、標高差130mの登り返しになる。鞍部付近は草原が広がっていた。チングルマの実が広がっていたので、時期が早ければ、お花畑を楽しめそうであった。最低部には水場の標識があり、少し下ってみるとガレ地となって水はしたたりであったが、シナノキンバイの群落が広がっていた。
 西吾妻山へ向かってひと登りすると、小さな湿原が現れた。ワタスゲの白い綿毛が揺れていた。その先で木道が現れると、西吾妻小屋前の三叉路に出た。西吾妻山へは、右手に進むことになる。
 この分岐から西吾妻山の山頂へはそう遠くなかった。急に、すれ違う登山者も多くなった。天元台から登ってきた登山者のようである。西吾妻山の山頂は、オオシラビソに囲まれた台地状で、展望はない。立派な山頂標識が置かれているので、山頂到着と判る状態である。日本百名山という立派な標識も置かれていた。日本百名山では、吾妻山として取り上げられているので、この西吾妻山だけを登ったところで、日本百名山の「吾妻山」を登ったことになるだろうか。標識しか撮るものはない山頂で記念写真に興じる登山者を後に、天狗岩に向かった。
 西大巓から西吾妻山に向かった時は青空が広がっていたのだが、いつの間にか、ガスがかかってきた。緩やかに下っていくと、ガレ場状態の天狗岩に到着した。大勢の登山者が休んでいた。吾妻神社の前から折り返すように、トラバース道を戻った。木道の敷かれた小さな湿原が続いた。先回ここを訪れた時は、水が溜まって池のようになっていた。
 西吾妻小屋分岐の前の木道で昼食でもと思っていたが、考えることは同じなのか、混雑していた。もうひと頑張りして、西大巓に戻ってから休むことにした。西大巓への登り返しを考えれば、ビールを飲む前に歩いておいて良かったということになる。
 西大巓の山頂は、行きの時とは違って、ガスによって展望は閉ざされてしまっていた。休んでいる登山者の話を聞いていると、白布峠から登って来ている者が多いようであった。
 西大巓からの下りは、泥がついた靴底が露出した岩の上で滑りやすいため、足元に注意が必要であった。意外に疲れる下りであった。グランデコからの西吾妻山往復は、ロープウェイを利用しても、充分体力を使う歩きを楽しめるコースであった。
 ロープウェイ山頂駅に戻ったところで、でこ平湿原にも寄っていくことにした。このコースは、観光の家族連れが多くあるいていた。ゲレンデを横切りながら緩やかに下っていくと、でこ平湿原に到着した。木道を一週してから戻った。ミズギクやコバギボウシの華が咲いていたが、花はさびしい感じであった。
 ロープウェイに乗ると、一気に下界に戻ることができた。次なる訪問は、雪のある時期にしよう。

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