嶽薬師、朴坂山

嶽薬師、朴坂山


【日時】 2005年6月12日(日)
【メンバー】 単独行
【天候】 曇り 

【山域】 朴坂山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 嶽薬師・だけやくし・391m(386.7m・四等三角点)・新潟県
 朴坂山・ほうざかやま・438.2m・一等三角点本点・新潟県
【コース】 小岩内より往復
【地形図 20万/5万/2.5万】 村上/中条、小国/坂町、越後下関
【ガイド】 山の遊学道

【時間記録】 9:20 新潟=(R.7、十文字、R.113 経由)=10:50 小岩内〜11:00 発―11:33 油こぼし―11:42 姥杉―11:52 桂分岐―11:56朴坂山分岐―12:01 嶽薬師〜12:11 発―12:15朴坂山分岐―12:50 あこや谷鞍部―13:08朴坂山〜13:27 発―13:48 あこや鞍部―14:24朴坂山分岐―14:28 桂分岐―14:35 姥杉―14:39 油こぼし―15:02小岩内=(往路を戻る)=16:30 新潟

 日本海の海岸平野部と荒川と女川の間に挟まれた一帯には、標高200〜400m程度の山塊が広がり、その中では、一等三角点の置かれた朴坂山が良く知られている。赤坂川の源流部を取り巻くように弧状に連なる要害山から朴坂山を経て嶽薬師に連なる稜線には登山道が開けれて縦走を楽しむことができる。
 雨は明け方には上がるという天気予報が出てはいたのだが、早起きをして高い山に登る気持ちも薄れており、近場の低山を考えることになった。嶽薬師には1997年2月8日に登っているが、この時は雪山であったため、登山道をまだ歩いていないことを思い出した。さらに、要害山から朴坂山への道もその後切り開かれているが、これも課題として残っていた。早起きの必要のない山ということで、気楽に出かけることにした。
 小岩内のバス停広場に車を停めた。集落への入口には、嶽薬師登山口と書かれた石柱が立っている。寝過ぎたのと、途中の国道で交通事故があって通過に時間が取られたため、出発の時間は大分遅くなっていた。
 集落内に向かって坂道を上がっていくと、T字路に出て、ここは左折。その先で右の道に進む。道順は複雑だが、道標がしっかりと付けられている。お墓と畑の中を抜けていくと、医王院のお堂に出て、そこから登山道が始まっている。
 登山道は、掘状にえぐられており、古くから歩かれてきた道のように思えた。ひと登りすると、木が横たえられ、木立の切り開かれた見晴しに出た。その後は、尾根の一段下を緩やかに登っていく道が続いた。ヤマボウシが満開で、緑の中に白い群落を作っているのが印象的であった。
 再び展望地に出ると、ここには油こぼしという標識が立てられていた。蒸し暑く、荒川河口部と日本海の眺めを楽しむ間も、汗がしたたり落ちた。一般に油こぼしというと、急坂に付けられているのだが、この先の傾斜は少し増したものの、登りに苦労する程でもなかった。
  尾根を右に外して台地にでると、姥杉が森の主という感じで立っていた。樹齢800年ということで、幾本もの幹が根本から分かれて伸びていた。この木が生まれた時には、どのような風景が広がっていたのだろうか。
 姥杉の先は、急斜面に突き当たり、一旦右に回りこんで、岩場の下を左にトラバースしながら登っていく。前回の雪の中では、この付近で登山道を見失ったのも納得がいった。尾根の手前で、うがい池があり、僅かに水がしみ出していた。
 尾根の上に出ると、右は立岩で、左に少し進んだ所に桂からの山道が登ってきていた。もうひと登りすると、朴坂山への道が分かれたが、まずは嶽薬師を目指すことにした。緩やかに登っていくと、お堂の立つ山頂に到着した。山の上のお堂であるが、龍の透かし彫りが見事である。
 山頂一帯は、高坪山は見えるものの、木立に囲まれて眺めは良くない。ザックを下ろして、三角点を探した。地図を確認すると、60m程手前にあることが判った。GPSを見ながら登山道を引き返すと、登山道のすぐ脇に、頭を出していた。目印に、小枝がやぐら風に立てられていた。丁度、坂が終わってお堂が目に入るところで、どうしても先に急いでしまうところであった。
 時間はまだ12時。朴坂山へは、地図の距離からして1時間ほどと見た。朴坂山を目指すことにした。分岐に戻り、朴坂山への道に進んだ。細尾根となり、左手には赤谷(あこや)、右手には荒川流域の眺めが広がった。冬の間の季節風が吹き付けるためか、木立は背が低くなっていた。
 ヒメサユリが次から次に咲いているのに出会って、写真撮影に足を止めることになった。昨晩の雨で濡れているのも風情があった。以前に朴坂山でヒメサユリを数輪見たことがあったので、密かに期待はしていたのだが、これ程とは思っていなかった。300m程の標高の山で咲いているとは、ヒメサユリは、昔は裏山に普通に見られる花だったのではないだろうか。
 399mピークを越えると、一気の下りになった。行く手には、朴坂山が高く見えていた。鞍部にはあこや鞍部という標識が置かれていた。100m下って、140mの登りに汗を流した。思いつくままにやってきたため、地図の水平距離だけを見て、高低差を良く見ていなかった。
 朴坂山の南西部は、崖マークが広がっているが、そこに登山道は通じている。幸い、細かいジグザグを切りながら登山道は続いているので、見た目よりは難しくはなかった。下りには、木の枝を掴みながら足元に注意する必要はあったが。
 岩場を巻くように登っていくと、山頂部の登山道に飛び出した。左に進むと、三角点広場への分岐に出た。少し脇に入った広場には、新しいお堂が置かれていた。以前には無かったはずである。
 時間も遅くなったせいもあるが、誰もいない山頂であった。一等三角点の脇に腰を下ろして、遅い昼食にした。広場の下に向かって踏み跡が続いているのが目にとまった。新しい登山道でもできたのかと思って進んでみると、すぐ先で岩場の上に出た。雲に隠されていたが、光兎山や朝日連峰の眺めを楽しむことのできる展望台になっているようである。
 あこや鞍部を越すのが大変なため、このまま朴坂へ下山してしまおうかとも思ったが、車道歩きが長すぎて、それよりは尾根通しの方が早そうであった。昔の道が山越えをしているわけが理解できた。
 次の機会には、要害山から嶽薬師まえの縦走を行うことにしよう。人を誘えれば良し、単独なら自転車を使えば良い。急坂を登り返せば、ヒメサユリが出迎えてくれた。

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