大行山、天狗山、高山

大行山、天狗山
高山


【日時】 2005年5月14日(土)〜15日(日)
【メンバー】 5月14日:単独行 15日:4名グループ
【天候】 14日:曇り 15日:雨後曇り 

【山域】 尾瀬
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
大行山・だいぎょうさん・1780m・なし(1771.6m・三等三角点)・群馬県
【コース】 富士見下より
【地形図 20万/5万/2.5万】 日光/藤原/至仏山
【ガイド】 なし

【山域】 武尊山周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
天狗山・てんぐやま・1000m・なし・群馬県
高戸谷山・たかとやさん・1073m・なし・群馬県
【コース】 高戸谷林道より
【地形図 20万/5万/2.5万】 日光/追貝/追貝
【ガイド】 上州山歩(読売新聞社)
【温泉】 寄居山温泉センター  500円

【山域】 日光
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
高山・たかやま・1667.5m・三等三角点・栃木県
【コース】 滝上より
【地形図 20万/5万/2.5万】 日光/男体山/男体山、中禅寺湖
【ガイド】 分県登山ガイド「栃木県の山」(山と渓谷社)、栃木の山140(随想社)
【温泉】 寄居山温泉センター  500円

【時間記録】
5月13日(金) 21:00 新潟=(関越自動車道、沼田IC、R.120、鎌田、R.401 経由)=
5月14日(土) =1:30 戸倉  (車中泊)
6:46 富士見下―7:38 田代原―8:12 鞍部―8:45 大行山〜9:14 発―9:36 鞍部―9:50 田代原―10:26 富士見下=(R.401、鎌田、R.120、高戸谷 経由)=11:40 北登山口〜12:09 発―12:35 天狗山―12:49 高戸谷山―12:52 1073m標高点―13:31 天狗山―13:52 北登山口=(R.120 経由)=18:00 丸沼温泉  (車中泊)
5月15日(日) 6:30 丸沼温泉=(R.120 経由)=7:27 滝上―8:45 高山〜8:59 発―9:22 無名峠―9:50 熊窪〜10:10 発―10:41 赤岩―11:11 菖蒲ヶ浜―11:30 滝上=(R.120沼田、R.17、湯沢IC、関越自動車道)=18:10 新潟

 大行山は、尾瀬ヶ原の南縁を形作るアヤメ平から南に延びる尾根の末端近くにある山である。台地状の特徴ある山頂を持ち、地図を見ると気になるが、登山道はない。なお、この山の呼び名は、日本山岳名総覧では「だいぎょうさん」とされているが、白籏史朗著「尾瀬」では、「おおなりやま」とされている。
 天狗山は、沼田から尾瀬への通り道にあたる追貝にある吹割滝の対岸に聳える山である。尾根の途中にある小岩峰で、山頂に石の祠が置かれている地元の信仰の山である。その先の最高点ピークは、集落名から高戸谷山と呼ばれるようであるが、いずれのピークも地図には山名は記載されていない。
 高山は、奥日光の戦場ヶ原と中禅寺湖を分ける山である。奥日光のハイキングコースとして親しまれている。

 日曜日に、日光の燕巣山と四郎岳の予定が入ったので、前日の土曜日には、尾瀬の入口の大行山を登ることにした。一週前の平ヶ岳山行の後で、この大行山を登るつもりでいた。連休の谷間の平日の金曜日に空いている尾瀬沼を訪れて檜高山を登り、その後に大行山と思っていたのだが、天気が悪そうで、疲れも出てしまい、登らずに帰宅してしまった。一週遅れで、残雪の具合が気になるところだが、連休の尾瀬の状態からすればなんとかなるはずであった。
 高速道の深夜割り引きを利かせるため、12時を越したところで沼田ICを出て、少し遅くなったが、戸倉スキー場の駐車場まで車を走らせた。霧の流れる大駐車場に車を停めて寝た。他に車は無かったが、この駐車場が賑わう日も近づいている。
 朝食をとってから、富士見下へと車を移動させた。林道脇の雪は姿を消して、木々の緑の色が濃くなっていた。富士見下のゲート前の広場には、地元のものと思われる軽トラックが停められているだけであった。尾瀬の登山口といっても、鳩待峠や大清水と比べると、富士見峠への登山者は格段に少ない。現在では、尾瀬の愛好家といっても、余程のリピーターでない限り、富士見峠越えはしないのではないだろうか。残雪期に富士見峠からアヤメ平へと歩けば、楽しみも大きいのだが、尾瀬ヶ原や尾瀬沼の名前の前には、それも霞んでしまうようである。
 ゲートの先には、雪は全く見られないなかに、スノーモービルが一台置かれて。来年の冬まで放置なのだろうか。ミズナラの大木を見ながら、つづら折りの林道を進んだ。意外に傾斜があるようで、足も重かった。連休の疲れもまだ完全には抜けていないようである。
 登るにつれて、残雪が林道周囲に見られるようになった。最後のヘアピンカーブ手前で、路肩に四駆の車が停められていた。ゲートは締まっていたので、地元関係者の車のようである。先をうかがうと、除雪したてでぬかるみとなっており、車も先に進むのを諦めたようである。林道左に沢が入っており、この沢はまだ完全に残雪に覆われていた。スキーのトレースも認められ、冬道として使われているようであった。
 残雪に覆われた沢に進むと、すぐに右上に林道が沿うようになった。上から除雪された雪がブロックになって沢の上に落ちてきていた。沢の歩きも僅かで、田代原に到着した。田代原を覆う残雪も所々で薄くなって水の流れが出ていたものの、横断するには問題は無い状態であった。
 これから登るべき稜線は、標高差も大してなく、すぐ近くに見えていた。ただ、山の斜面は、藪が出ていて斑模様になっていた。鞍部の東斜面の南よりは、から松林となっており、雪も安定しているようであったが、当初の予定通りに、1866mピークに向かって延びる尾根沿いに登ろうとした。残雪の島を辿ったが、笹藪が行く手を遮るようになった。太い密生した笹藪で、突破には苦労が多かった。
 沢沿いなら残雪の回廊が続いているかと思い、方向を変えた。沢に近づくと、雪の消えた左岸尾根に切り跡が続いているのが見つかった。少し登ると、沢を残雪が埋めるようになった。沢を渡り、左手のから松林に進んだ。安定した残雪に助けられ、快調な登りになった。
 稜線が近づくと、ダケカンバの林が広がるようになった。鞍部から1752mピークへ登る途中、急斜面をさけるために藪に入ると、尾根通しに踏み跡が続いていた。以前、近くの荷鞍山でも、山道が隠されていたのに驚かされたことがあるが、大行山にも、切り開き道が付けられているのだろうか。
 1752mピークの先の鞍部から、ダケカンバと針葉樹が点在する緩やかな雪原を登っていくと、大行山の山頂に到着した。といっても、台地状の地形で、頂上といった感じは無い。とりあえず、1780m標高の中央部と三角点部を踏んで登頂とした。
 山頂からの眺めは、木立を避けて移動しなければならなかった。下りのしばらくは、カメラを首に下げながらの歩きになった。アヤメ平と白尾山の間から燧ヶ岳が頭をのぞかせていた。至仏山は真っ白な斜面を見せ、荷鞍山が谷向かいに大きく広がっていた。
 下りは早く、適当にショートカットしながら下ると、じきに田代原に着いてしまった。大行山は、アヤメ平と結んで歩けば、一日を楽しめるコースとなるが、今日のところは大行山の登頂だけで満足しておくことにしよう。
 車に戻って、もうひと歩きする山を考えた。ガイドブックに出ていた、沼田方面に少し戻った所の吹割の滝背後にある天狗山を思い出した。この山なら、温泉入浴やコンビニでの買い物にも都合が良い。
 高戸谷集落から高戸谷林道に進んだ。集落内からひと登りすると台地状の耕作地に出て、その先は山腹を巻いていき、どこにいるのかは判らなくなった。ガイド文によれば、登山口は林道終点の少し手前とのことなので、車で行ける所まで進むことにした。
 林道左手の法面に階段が作られて、右に標識が立てられていた。ここが天狗山の登山口であることが判ったが、「天狗山山頂1.06km、天狗山入口1.24km」とあって、天狗山入口とはなんだろうと首をひねることになった。とりあえず林道を先に進むと、尾根沿いになったところで、突然に行き止まりになった。後でGPSを確認すると、829m点に続く尾根であった。左手の斜面から山道が上がってきていた。どうやら、入口というのは、麓の登山口のことのようであった。
 地図をみてコースを考えた。ガイドブックには、天狗山1073mと書いてあったので、概念図と比べならが1073mピークへのルートを推測してみたが、歩いてみないことには判らないということになった。ガイドブックの山頂の標高が誤りであり、概念図もおかしかったために、余計に混乱してしまったことが判ったのは、下山後の話である。
 林道を戻り、法面につけられた階段に進んだ。すぐに尾根沿いの登りになった。尾根の周囲は、ヤマツツジやムラサキヤシオの花に彩られていた。緑も濃く、雪の季節もいよいよ終わりのようであった。
 緩やかな尾根の登りを続けていくと、岩混じりの尾根になった。危険という程ではないが、足元には注意する必要があった。
 1073m点はまだ先だと思っていたのだが、小岩峰の上に出ると、石の祠があり、天狗山という標識が立てられていた。標識には、標高1000mと書かれていた。後で地図を確認すると、国土地理院から落とした地図では、1022.6mの三角点が置かれた部位のようであった。三角点ピークとは思わなかったので探さなかったのだが、三角点はあったのだろうか。
 天狗山の東斜面は切り落ちており、灌木の間から、吹割の滝周辺のドライブインを見下ろすことができた。
 天狗山には登ったのだが、目の前にはさらに高いピークがあり、ここは尾根上の小さな高まりでしかなかった。山道はさらに続いているので、先に進むことにした。少し下ってから急斜面を登ると、ピークの上に出たものの、さらに先にピークがあった。
 急な登りを終えて、1073mピークは少し先というところで、木に高戸谷山という標識が置かれているのが目にとまった。少し先の1073mピークに進んだが、木立に囲まれて展望はなく、標識のようなものは見あたらなかった。山道は下りになって、北東に続いていた。高戸谷山のプレートの位置には、三角点風の石の標柱が埋められており、そのためにここを山頂としたのかもしれないが、1073m点ではない。
 戻りの途中、スミレの写真を撮ろうとしてカメラを出したところ、カメラケースを落としてしまった。杉の植林地の急斜面を転がり落ちていき見えなくなった。探しに下りていったが、見つからないままかなり下ってしまった。カモシカが、思わぬ侵入者に驚いて逃げていった。半ば諦めて登っていく途中、見つけることができた。このおかげだ、15分ほどロスしてしまった。
 天狗山からの下りは、僅かな距離であったので、ツツジの花の写真を撮りながらのんびり下った。
 天狗山を登り終えてもまだ時間は早かったので、吹割の滝を見物していくことにした。右岸沿いの遊歩道から歩き始めたが、かなり高い所まで上がるので、草臥れる道であった。遊歩道の途中で、天狗山への道を示す標識があったが、これは高戸谷の集落に続く道のようで、ここから歩いたのでは大変そうであった。吹割の滝を観光客に混じって見物し、車に戻った。
 温泉に入り食料を買い込むと、夕暮れも近づいたので、丸沼に向かった。丸沼湖畔の一般駐車場の奥から、湯沢峠の道が始まっていた。駐車場は温泉宿の玄関前で、野宿には不適であったため、一旦国道に戻り、静かな枝道を見つけて車を停め、夜を過ごした。
 翌朝、宇都宮からの一行を待つ内に、本降りの雨が始まった。車の外に出るのも、傘が必要な状態であった。一行が到着したところで、計画の再検討になった。燕巣山から四郎岳へは、ヤブコギもあるコースを予定していたので、この雨では無理で、簡単な山に登って、終えることにした。日光の高山の名前を挙げると、室井さんも、登るのは冬ばかりで、この季節は登っていないということになって、話がまとまった。来る途中、金精峠の向こうの栃木県側は、雨は小降りであったという。
 戦場ヶ原を横断し、竜頭の滝上の駐車場に車を停めた。出発の準備をしている間に、雨は止んだ。
 山小屋に通じる道に進み、小屋の前から登山道が始まった。山腹を長々とトラバースする道が続いた。楽なのかもしれないが、一気に稜線上に上がった方が、気分的には良い。小ピークとの鞍部に上がったところでひと休みになった。着込んだ雨具も、脱ぐことになった。戦場ヶ原の芽吹きはまだで、枯れ草色が広がっていた。遠くに白い線が見えるのは、湯滝のようであった。
 そこからひと登りで、高山の頂上に到着した。山頂は木立に囲まれて見晴しは良く無かったが、草地の広場で休憩には良かった。
 高山山頂から西斜面の下りは、ジグザグが大きいため、どこに向かうのか判らなくなってきた。鞍部の峠は、無名峠と呼ばれるようだが、T字路になっている。戦場ヶ原方面に向かうと、林道歩きが長くなってしまうため、左の中禅寺湖へ通じる道に進んだ。登山道は、落ち葉で覆われて、少し分かりにくくなっていた。
 十名程の団体に出会うと、「花は咲いていましたか」と聞かれた。山頂付近では、シャクナゲの蕾を見かけたものの、花は全く無かった。シャクナゲがと言ってみたが、アカヤシオがお目当てのようであった。主語が抜けた質問は困る。
 湖畔に出たところでひと休みになった。対岸には、社山から黒檜山にかけての稜線が広がり、美しい風景であった。岸辺には、大木が並んでおり、下生えがないのが、庭園風ではあるが異常であった。笹原が広がっていたようであるが、シカが食べてしまったようである。
 湖畔を巡る道は、木道も敷かれており、良く整備されていた。ただ、入り江の出入りや尾根の乗り越しの登り下りで、なかなかはかどらない道であった。アカヤシオやミツバツツジが美しい花を咲かせていた。先ほどのグループの言った意味が判ったが、花の盛りは、戦場ヶ原の湖畔だけであった。
 途中の赤岩で岩に登ってみると、湖面の眺めが広がったが、足下は切れ落ちており、注意が必要であった。
 菖蒲ヶ浜に出て、ハイキングコースは終わりになった。以前は無かったファミリー向けのスキー場ができているのに驚いた。竜頭の滝を観光客に混じって見物し、坂を登り終えると、車を置いた駐車場に戻ることができた。歩き初めから4時間経過しており、浅草を朝出てくるなら、手頃なハイキングコースといえよう。
 近くの温泉に入ろうとしたら、入浴は昼過ぎになってからと言われた。確かに時間はまだ早い。途中で入ることにして、解散にした。時間も早かったため、一般道を走って三国越えをし、谷川連峰の雪の具合を確かめた。急速に雪は消えており、残雪も稜線部にしか期待できない季節になったようである。

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