菱ヶ岳

菱ヶ岳


【日時】 2005年1月29日(土) 日帰り
【メンバー】 O、H、H
【天候】 晴

【山域】 関田山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 菱ヶ岳・ひしがたけ・1129.1m・一等三角点補点・新潟県
【コース】 キューピットバレイスキー場より
【地形図 20万/5万/2.5万】 高田/高田東部、松之山温泉/柳島、松之山温泉
【ガイド】 新にいがたファミリー登山(新潟日報事業社)
【温泉】 ゆきだるま温泉 450円

【時間記録】 6:30 新潟=(北陸自動車道、柿崎IC、浦河原、安塚 経由)=9:57 ゴンドラ山頂駅―10:47 菱ヶ岳〜10:58 発―11:32 ゴンドラ山頂駅〜11:44 発―12:15 ゲレンデ下(往路を戻る)=16:00 新潟

 菱ヶ岳は、関田山塊にある一等三角点ピークで、かつては女人禁制の信仰の山で、山頂には薬師三尊が祭られている。麓にはキューピットバレースキー場が広がっており、ゴンドラを利用すると、短い時間で山頂に到達できる。
 山登りを始めてからは、スキーも年に一度か二度滑れば良い方になってきた。フリートレックを買ったものの、新雪を滑る程の技術はないため、雪山歩きの道具は、もっぱらスノーシューになっている。スキーの練習のためにスキー場に出かけなければという気はあるものの、それよりも山登りがしたいというのが現在の気持ちである。スキーの練習と山登りを同時にできるコースとして、昨年の3月21日に登った菱ヶ岳にまた出かけようかと思っていた。
先回は、全コースをフリートレックで通したが、今は雪も柔らかく、ゲレンデ外を滑るのは難しいため、スノーシューと組み合わせるのが良さそうであった。
 普通の山登りとは違ってスキーを一部使うものの、4名のメンバーが集まった。前日の金曜日の天気予報では、新潟にも晴マークが付き、山登りの期待が高まった。
 晴天の朝になり、高速を下りる柿崎付近からは、妙高連峰の眺めが広がった。山頂からの眺めが楽しみであった。海岸部付近は例年よりも雪が少ないようであったが、安塚を過ぎると、急に雪が多くなった。キューピットバレイの駐車場では、下山後のことを考えて、雪だるま温泉近くに車を停めた。
 スキーとスノーシューを持つため、荷物は多くなった。レストハウスの切符売り場で、ゴンドラの券を買い、ゲレンデ外へ出るための登山届けをした。ゲレンデの雪原の上には、青空をバックに菱ヶ岳の山頂が高く聳えていた。登山を趣味とするものなら、その麓をスキーで滑るだけでは物足りず、あの山頂に立ってみたいと思わずにはいられない眺めであった。
 ゴンドラの山頂駅へは、12分程の空の旅で到着となる。ゲレンデの脇に菱ヶ岳の急崖が落ち込んでいるが、実際の山頂は奥で見えていない。雪の襞を刻んだ岩壁は、アルペンムードを漂わせていた。スキーは山頂駅に置いて、スノーシューを履いて出発の準備をした。立ち入り禁止のロープを跨いで、雪原に足を踏み入れた。真っ白な雪原が広がっており、誰も歩いていなかった。風が強く冷え込んだためか、雪も粉雪状態で、スノーシューの潜りも大きかった。力を入れるとそのまま沈み込んでいくため、一旦雪を固めて、それから足を踏み出す必要があった。
菱ヶ岳の山頂は、三面が崖になっており、南面だけが、緩やかな斜面になっている。山頂駅は、丁度東にあるため、南に回り込む必要がある。崖下は歩きやすそうな沢状の窪地になっているが、雪崩が怖いため、左手の斜面を登ってから、トラバースしながら谷奥に進んだ。
 ウサギという声が上がり、見ると、ブナ林の中を真っ白なウサギが逃げていくところであった。スキーゲレンデの喧噪から離れて、のんびりと休んでいるところを驚かせてしまったようである。
 汗も噴き出てきて、トップを交代しながら歩いたが、皆、早いペースであった。見ると、女性の方が、スノーシューの沈み込みは少なく、少しクラスト気味の雪の上に浮かんでいた。この日は、体重の重い男性より、女性の方が楽なようであった。
北に向きを変えると、緩やかに登っていく尾根に乗ることができる。周囲にはブナ林が広がり、気持ちの良い所である。緩やかな傾斜を選んで左手に方向を変えながら登っていくと、稜線上に飛び出した。山頂へは、左に稜線を辿る必要がある。右手の崖の縁には雪庇が張り出していた。
 わかんの跡のように見えるトレースが現れ、北東の崖の縁へと続いていた。急な北東尾根が登山ルートとして使われたとも思えず、カモシカの足跡が雪解けと共に広がってワカンの跡のように見えたのであろうか。
 雪庇が大きく張り出した高まりの上が菱ヶ岳の山頂であった。お堂の屋根の一部だけが姿を見せていた。一等三角点ピークに相応しい、360度の展望が広がっていた。東には日本海の海岸線が広がり、北には米山と刈羽黒姫山、東には守門岳から毛猛山塊、越後三山、巻機山、南には県境尾根越しに苗場山、佐武流山、鳥甲山、岩菅山、西には鍋倉山越しに、黒姫山から妙高山、火打山、焼山、大毛無山、南葉山の連なりを望むことができた。冬にはまれな晴天で、写真撮影にも身が入った。帰宅後には、これらの写真を、カシミールの展望図で確認して楽しむこともできた。
 雪庇の切れ目からのぞくと、ゲレンデ下のレストハウスが眼下に小さく見えていた。風が強く、山頂に腰をおろして大休止といかないのが残念であった。
 下りは、雪の斜面に思い思いのトレースを付けながら一気に下った。下り斜面もほとんど終えてゴンドラ山頂駅も近くなったところで、単独行とすれ違った。「早いですね」と言われたが、登るなら、バージン・スノーにトレースを付けながらの方が気持ちが良い。
 ゴンドラ山頂駅に戻ったところで、今度はスキーに履き替えた。スノーシューのぶんだけ、荷物は重くなった。一年ぶりのスキーとあって、フリートレックの滑りは難しかった。曲げやすい分だけブレーキを掛けすぎて、その分足に負担がかかるようであった。他の人も、荷物を背負ってのスキーに慣れていないため、はじめは苦労したようであったが、次第に順調な滑りに変わった。ゲレンデ下まで滑り降りた時には、スノーシュー歩きよりも汗をかいていた。
 振り返って菱ヶ岳の山頂を眺めると、満足感が沸いてきた。時間は早かったが、カレーバイキングの昼食をとり、後は温泉に入って山登りの締めくくりとした。
 菱ヶ岳は、スキー場のゴンドラを利用して冬にも比較的容易に登れる山として、もっと知られても良い山である。

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