芋沢山

芋沢山


【日時】 2005年1月15日(土) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 曇り

【山域】 山北
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
芋沢山・いもさわやま・483.0m・三等三角点・新潟県、山形県
【コース】 小俣先の林道より
【地形図 20万/5万/2.5万】 村上/温海/鼠ヶ関、木野俣
【ガイド】 山の遊山学

【時間記録】 6:20 新潟=(R.7、蓮野IC、R.113、荒井浜、R.345、神林、R.7、府屋)=8:55 小俣東の林道入口〜9:18 発―9:36 林道分岐―10:44 林道終点―11:17 尾根上〜11:22 発―11:29 県境分岐―12:16 芋沢山〜12:34 発―13:01 県境分岐―13:05 尾根上―13:22 林道終点―14:06 林道分岐―14:18 林道入口=(往路を戻る)=17:00 新潟

 芋沢山は、新潟県北部の山形県境に位置し、ハイキングの山として親しまれている日本国の東隣りにある山である。一般登山道はないため、ヤブコギあるいは雪を利用して登ることになる。
 先週末から続いた悪天候によって、山にはまとまった雪が積もったようである。土曜日は天気もよさそうなため、スノーシュー歩きのできる山に出かけることにした。どうせなら、まだ登っていない山が良い。今年に入って、順調に山行回数は重ねているといっても、再訪の山ばかりというのが物足りない。
 登っていない山を考えていくと、芋沢山が思い浮かんだ。最近の地図では、県境線上の西隣の400mピーク(土蔵峰)の直下まで林道が延びている。林道終点からはひと登りで県境稜線に達することができ、そこから芋沢山までは遠くはない。林道歩きが少し長いため、スノーシューが活躍しそうである。
 ひさしぶりの県北の訪問となった。一時期、蒲萄山塊をはじめ、山北の山を登るために足を運んでいたが、ここのところ他の地域の山に目が向いていた。芋沢山も、初冬の時期にヤブコギで登った方が楽かもしれないが、雪山を楽しむことができるなら、少々の苦労は覚悟する必要がある。
 路面が凍結しているため、スピードも控えめにする必要があり、北部県境の山へは、ドライブの時間もかかった。
 日本国の登山口にある小俣の集落を過ぎ、堀切峠への道を過ぎた300m程先に、雪で埋もれた林道の入口がある。周辺には車を置くような広場は無かったため、路肩駐車をした。車の中で朝食をとっている間も、バスやコンクリートミキサー車が行き来したので、十分な空きスペースをとっているか注意する必要がある。
 車道から林道の上の雪原へは、50センチ程の高さしかないので、この時期の積雪としては少ないのかもしれない。冬山では、路肩に雪の壁ができていて、これを乗り越すのが山行の第一歩ということが多い。
 スノーシューを履いて歩き出したが、たちまち息が上がった。重い雪に加えて、表面だけが堅い最中雪のために、一歩ずつに力を振り絞ることになった。周りの杉林の中は雪が少ないようであったが、林道上は吹きだまりになっているのか、雪は特に多いようであった。これで林道終点まで歩けるのかと弱気になった。それでも、リズムをつかむと、遅いながらも歩き続けることができるようになった。
 500m程先で、以前からある林道から分かれて左の林道に進んだ。この林道は、以前の地図では記載されていない。しばらく谷沿いに進んだ後、尾根の上に出ると、日本国の眺めが広がった。ここから眺める日本国は、左右に尾根を広げて、独立峰風の堂々たる姿をしていた。この眺めは、この林道コースの魅力の一つに挙げてよいであろう。
 林道は谷を巻きながら続いた。県境尾根が近づいてきて、終点も遠くないかと思う頃、谷へと落ち込む雪の斜面の通過が現れて、足元に注意しながらのトラバースが必要になった。雪が多いときは、手前で枝尾根に取り付いた方が良さそうである。
 林道終点部の尾根は、傾斜も緩そうで、登りに使うには良さそうであった。問題は、林道脇が林道開削で2m程の壁になっており、林道から上がれないことであった。林道終点に到着してみると、尾根の先は深い谷になっており、尾根の末端部は、削られてナイフリッジ状になっていた。
 取り付きやすい所を探しながら戻り、手前の谷間から登り始めたが、尾根に上がるのに、木の枝を掴みながらのよじ登りになった。下りの際には、この急斜面を避けるため、尾根の末端部まで下りたところで、松の木の枝にぶるさがってから飛び降りた。一旦スノーシューを脱いで、尾根の末端部から取り付くべきだったかもしれない。あるいは、下山時には雪が弛んで、林道上の踏み跡を斜面から転げ落ちた雪玉が覆っていたので、雪崩の危険性を避けるために、一本手前の尾根に取り付いた方が良いのかもしれない。
 急登のおかげで完全に息が上がってしまったが、なんとか尾根の上に出ることができた。県境線は目の前で、杉の植林地の向こうに芋沢山の山頂が姿を現した。山頂は目の前であったが、もうひと頑張りする必要があった。
 県境尾根に向かっては、雪綾が続いていたが、左の藪から枝が伸びてきており、それを避けようとする、右手の杉林の斜面に向かって張り出した雪庇を踏み抜く恐れがあり、枝を手で払いながらの歩きになった。
 県境尾根に出てからは、400mピーク(土蔵峰)への登りになった。この付近では、尾根が痩せている所があり、ヤブコギが必要になった。新潟県側の右手の谷間には杉林が広がっているのだが、一段下になっているため、尾根を忠実に辿るしかない。スピードが落ちて、時間が気になるようになってきた。
 鞍部からは、太い木が立ち並ぶ雪の斜面の登りになり、体力的にはきついものの、気分的には楽になった。傾斜が緩んで山頂かなと思ったが、これは期待はずれで、もう少し歩く必要があった。
 芋沢山の山頂は、広場になっていたが、周囲を木立が取り巻いているため、展望は良くなかった。3時間をかけての登頂であった。標高500mにも満たない山であるが、体力の限界近くまで追い込まれてしまうのも、雪山の難しさと楽しさである。
 スノーシューでは20cm程しか沈まないため、休憩のために脱ぐと、膝上まで沈む状態であった。大汗をかいての登頂であっただけに、飲むビールも美味かった。休んでいると風が冷たく、再び歩き始める必要があった。
 帰りは、自分の付けたトレースがあるだけに、ずいぶんと楽であった。再び林道に下り立てば、後は疲れてきた足にもうひと頑張りしてもらうだけであった。
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