宝蔵山

宝蔵山


【日時】 2003年1月8日(土) 日帰り
【メンバー】 8名グループ
【天候】 曇り時々雪

【山域】 白山粟ヶ岳山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 尼池山・あまいけやま・462m・なし・新潟県
 宝蔵山・ほうぞうざん・897.1m・三等三角点・新潟県
【コース】 中大谷より
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/加茂/越後白山
【ガイド】 越後の山旅上巻(富士波出版社)

【時間記録】 5:20 新潟=((R.49、亀田、R.403、加茂、出戸 経由))=7:20 中大谷林道入口〜7:42 発―7:55 柿ノ木平登山口―8:34 十二山ノ神(柿ノ木平)―8:46 鉄塔―9:18 尼池山―9:49 高柳分岐―12:00 宝蔵山〜12:17 発―13:29高柳分岐―13:43 尼池山―13:56 鉄塔―14:02十二山ノ神(柿ノ木平)―14:24柿ノ木平登山口―14:40中大谷林道入口=(往路を戻る)=17:50 新潟

 宝蔵山は、白山の隣りに寄り添う山で、粟ヶ岳へ至る稜線上のピークである。縦走路以外に、上高柳あるいは小乙から橋立経由、さらに中大谷から尼池山経由のコースがあり、現在ではいずれも登山道が良く整備されているにもかかわらず、宝蔵山を訪れる登山者は少ない。
 インターネットの仲間と、新年山行として、宝蔵山に登ることになった。同時期の山行としては、昨年の1月10日にも登っており、1月初めなら雪も比較的少ないであろうという腹づもりであった。年末年始の悪天候によって山にも雪が訪れ、当日の天気予報は大雪と出て、不安を抱えながら当日を迎えた。
 七谷コミュニティーセンターに集合し、二台の車で中大谷へ移動した。付近の山の雪は、例年に無く少なかった。中大谷の集落内は、除雪のための水が流れて、路肩の駐車スペースはあったものの、足元が濡れて登山の準備ができない状態であった。登山口への林道は除雪されていなかったが、少し乗り入れた所に車を停めた。
 8人のメンバーのうち、スノーシューが5名、わかんは3名の構成となった。この日が新しく買ったスノーシューの使いはじめになる者が3名であるが、スノーシュー歩きはたっぷりとできるはずであった。山の会に所属して雪山にも登り慣れたものよりは、一般の登山愛好家の方が新しい装備の導入は早いというのは、少し少し考えてみる必要があるのではないだろうか。
 雪が断続的に降っていたので、雨具の上下を着た。歩き始めてみると、林道の雪は少なく、車を乗り入れることができたかなと思ったが、貯水池脇で吹きだまりになっており、車の通過は無理であった。杉林の中に入ると、じきに宝蔵山への登山口に到着した。ここには、小さな標識があるが、見落としやすい。林道入口からこの登山口までは15分もかからなかったので、雪山での登山口までの余計な歩きとしては、そう長いわけではない。
 コンクリート橋を渡ると、尾根の末端が左から落ち込んでおり、柿ノ木平登山口という標識が置かれている。尾根の取り付き部は少し急であるが、すぐに傾斜は緩やかになって、歩きやすい尾根道になる。しばらくはつぼ足で歩けたが、雪が深くなったので、スノーシューやわかんを履いた。
 伐採地をひと登りすると、杉木立の中の十二山ノ神(柿ノ木平)に到着した。ここには、小さな祠と、犬くらいしか通り抜けができないであろう小さな鳥居が置かれている。そこからは、ひと歩きで、送電線の鉄塔下に出て、上高柳からの林道に飛び出す。雪が無ければここまでは20分。さらに宝蔵山へは1時間45分。この日は1時間かかった。悪天候に加えて、雪のためにスピードが落ちての時間切れの心配が出てきた。休憩もそこそこにして先に進んだ。
 雪は重いものの良くしまるため、底なし沼のような粉雪よりは歩き易かった。8名グループでラッセルの交代要員も多いため、順調に先に進むことができた。幅広の登山道が整備されているのだが、尼池山付近になると、木の枝が倒れ込んで、コースが判りにくくなった。コースが判っていても、木の枝が倒れ込んで通過できないため、脇の藪を通過する必要もあって、時間がかかるようになった。くぐる前に木の枝に乗った雪を落とす必要があり、先頭は、雪をかぶってしまうので余計に大変であった。もっと雪が深ければ地形通りに歩けばよいのだが、まだ薮が押さえられておらず、夏道を外すともぐってしまい、夏道を忠実に辿らなければならないという難しさがあった。
 上高柳への登山道の合流点を過ぎると、急坂が現れる。傾斜は急なのだが、夏道通りに細かいジグザグを切ることによって、息はきれたものの、難しいこともなく通過できた。天気も回復してきて、新潟平野や袴腰山、荒沢峰の眺めが広がった。低気圧の通過によって、一時的な天気の回復が期待できそうな雰囲気であった。
 山頂一帯の雲は消えず、前宝蔵山(765mピーク)の山頂も見えないまま御所平のトラバースに入った。前宝蔵山の下部を通過したところで、登山道が判らなくなり、東の鞍部めがけて登ったが、これは取り付きが少し早かった。尾根に上がるところで急斜面になって少し苦労した。下山時には、宝蔵山の山頂寄りに夏道が見つかったので、これを下った。後で確かめると、道を見失った所では、枝が倒れて判りにくくなっていた。雪山では、夏道を見失うのは、ある程度仕方のないことである。
 宝蔵山への鞍部からは傾斜がきつくなるが、これが最後の頑張り所ということで力を振り絞った。尾根には、小さいながら雪庇が発達していた。気温も下がって、周囲の木立は霧氷をまとっていた。傾斜が緩やかになった所でもうひと歩きすると、宝蔵山の山頂に到着した。12時到着なので、順調な歩きであったといえる。2時間少しの山に、4時間20分もかかったが、それだけに登り終えた時の充実感も大きかった。
山頂標識のようなものは見あたらず、ガスで展望も周辺に限られていた。先に進んで南北に尾根が延びることを確かめないと山頂とは判りにくい地形であるが、GPSを使えば、山頂の位置を確実に知ることができる。
 待望の登頂ということでワインを開けたが、休んでいると体が冷えて、宴会もそこそこに下山に移ることにした。
 少し下ると寒さも和らぎ、写真を撮りながら歩く余裕も生まれた。荒沢峰の眺めが広がる所で、休みを兼ねて雲が切れるのを待つうちに、宝蔵山の山頂の眺めも広がった。このコースは初めての人も多いので、どのようなコースで山頂に登ったのか知ることができて良かった。
 順調に下りを続け、十二山ノ神を過ぎた先で、スノーシューも脱いでつぼ足歩きになった。
 この日に宝蔵山に向かった者は、われわれのグループだけであった。登山道の傾斜もそうきつい所もないので、もっと登られても良い山であると思う。トレースは期待できない山で、自分でラッセルする覚悟が無いと入れない山であるが、それだけに登ったといううれしさは大きくなる。
 車に戻って集合場所の七谷コミュニティーセンターに向かう途中、夕暮れの空を背景に、宝蔵山の山頂が姿を現した。車を停めて、山頂を振り返った。山頂はひときわ白く、高く、遠くにあった。先ほどまであの上にいたのだと、感激も新たになった。三連休の第一日目は良い山に登ることができた。さて、次の山はどうしようと心は移っていった。

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