白根山

白根山


【日時】 2004年12月18日(土) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴後雨

【山域】 川内山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
白根山・しろねやま・918.1m・三等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/加茂/粟ヶ岳
【ガイド】 なし
【温泉】 七谷コミュニティーセンター100円  備品(無し)

【時間記録】 6:30 新潟=(北陸自動車道、三条燕IC、R.289 経由)=7:40 会越産業駐車場〜7:54 発―8:14 登山口―8:25 山の神―9:06 稜線上―10:26 白根山〜10:46 発―11:57 徒渉点―12:49 登山口―13:07 会越産業駐車場=(R.289、R.290、黒水、加茂、R.403、茅野山、R.49 経由)=15:30 新潟

 白根山は、粟ヶ岳の南、笠堀ダムとの間に位置する川内山塊の山である。北の駒出川と南の親沢、さらに東の笠堀川に囲まれて、粟ヶ岳と烏帽子岳に稜線が続いて、西面のみが開けた山になっている。川内山塊入口にあり、山頂付近からは、粟ヶ岳や矢筈岳、青里岳、駒形山、光明山、烏帽子岳といった山々を眺めることができる。この山は、これまでは積雪期の登山を行うか、地形図にも記載されている親沢沿いの破線をたどって最後はヤブコギで山頂に達していたが、最近登山道が開かれて、一般登山の山になった。
 今年は雪の訪れが遅れており、冬型も長続きしない。天気予報では、曇り後雨となって、午前中は山歩きができそうであった。登山道が開かれて、歩かなければと思っていた白根山に出かけることにした。白根山は、1999年11月14日に登っているが、この時は地図に書かれている破線の山道とヤブコギで登っている。
 しばらく来ないうちに、会越産業駐車場の入口手前から始まる林道は敷地内までは舗装道路に変わり、白根山という標識も立てられていた。広場の奧に進んだところの親沢林道開始部に車が二台停めてあった。林道に車を乗り入れようかなと思ったが、ならってここから歩き出すことにした。
 林道開始部のすぐ先にゲートの支柱があるが、鎖はかかっていなかった。杉林を抜けると、枝沢が石を押し出しており、林道は車が通行できなくなっていた。通行不能なため、鎖がかかっていなかったようである。しばらくは林道歩きが続いた。車の通行不能箇所は、その後も何ケ所も現れ、このまま放置されるような感じであった。
 登山道の取り付きが判らなかったが、地図を見ると、林道の実線が破線に変わるところの尾根が登りやすそうであった。登山道を付けるならこの尾根であろうということで、GPSには予想したコースを入力しておいた。
 支柱だけが残る二つ目のゲートを過ぎた先の沢の手前に、登山標識が立っていた。この先の林道は、土砂が流れ込んで草が被り気味で、状態は悪そうであった。下山のために、以前からあった沢沿いの山道を使うかどうかは、山頂で状況を見て考えることにした。
 杉林の中をひと登りすると、沢を跨ぎ越して、奥の尾根の登りが始まった。ひと登りすると、山の神の祠があり、男根のお供物が置かれていた。このコースは、昔からあった山道を整備しなおしたもののようである。雑木林を登っていくと、再び杉林の中に入り、ここは右に曲って、さらに奥の尾根に取り付いた。
 稜線部はすぐそこのように見えていたのだが、長く感じる登りが続いた。登山道は、刈り払いがやや粗い感じの所もあったが、辿るのには問題はなかった。
 稜線上に上がると、ブナの木立の向こうに粟ヶ岳の山頂が姿を現した。背後には、烏帽子岳が岩壁をまとった荒々しい姿を見せていた。
 その先は、しばらく緩やかな稜線歩きが続いた。二重稜線様の幅広尾根を過ぎると、610mと638mの二つの小ピークの通過となり、その中間部では、やせ尾根も現れた。もっとも、雪がついていなければ通過に問題はなかった。両脇が切り落ちているだけに眺めも良く、立ち止まって粟ヶ岳の眺めにしばし見入った。
 638mピークを過ぎると、白根山の山頂めがけての長い登りが続いた。朝のうちは青空が広がっていたものの、急に雲が出始めて、天気は下り気味のようであった。足を速めようと思っても、なかなか終わらない登りであった。
 ようやく登り着いたと思うと、そこは肩で、山頂はまだ先。もうひと頑張りして登り着いたピークは、西の盛り上がりであった。幸い、そこからはなだらかな歩きで、白根山の山頂に到着した。三角点の回りは、広く刈り払われて、展望が広がっていた。前回登った時は、自分で鉈をふるって眺めを確保したのとは大違いである。
 粟ヶ岳が一本岳を従えて、天に向かって聳えていた。雪がほとんどついておらず、ごま塩状態であるのには驚きであった。普通であったら、この白根山の山頂まではラッセルが必要となり、粟ヶ岳も純白の姿を見せているはずである。東には、川内山塊の両巨頭の青里岳と矢筈岳が並んで姿を見せていた。この両山を眺めるには、一般登山道のある山としては、白根山が一番であろう。
 白根山から一本岳に至る尾根が魅力的であった。白根山から粟ヶ岳までの回遊コースも、白根山の登山道の開発によって、やりやすくなった。さらに川内山塊奥地へのアプローチにも使えるなと、腰を下ろしてビールを飲みながらの考えも広がった。
 山頂にうっすらと積もった雪の上に先行グループの足跡が見られ、山頂から南に向かう刈り払い道に進んでいた。登山道というには粗い刈り払いであったが、以前は薮漕ぎだったので、それに比べれば楽なはずである。峠部まで下ると、はっきりした山道が現れることは、前回の山行で経験している。天気の様子次第では来た道を戻るつもりであったのだが、薄日も戻って少し回復してきたので、周遊コースを辿ることにした。
 青里岳と矢筈岳を眺めながらの尾根の下りは楽しかった。745m点の峠部付近からは、南に向かう尾根にも踏み跡が続いていた覚えがあるのだが、今回は伐採によって入口が隠されてしまったのか見つからなかった。
 東に向きを変えてトラバース気味に進むと、沢に突き当たり、ここからは左岸沿いの踏み跡を辿ることになる。後でGPSの軌跡を見ると、地図の破線よりも沢に突き当たるまでのトラバースは水平に近く、その後は沢際を下っている。枝沢が入り込む所では、深く掘り込まれて、山道の続き具合が判りにくくなっていた。沢がすぐ下に迫って徒渉点かと思う地点もあったが、まだまだ先であった。途中の泥斜面のトラバースは、落ち葉のために滑りやすくなっていた。左手の岩壁にすだれ状の滝を見ると、親沢沿いの谷間も間近に迫って、尾根末端の徒渉点に到着する。地図では、沢の水色の線が終わる所である。
 この徒渉点に下りる所が、傾いた岩場になっており足場が悪い。岩に抱き付き、手を延ばして木の枝にぶる下がるようにしてなんとか沢に下り立った。ここの通過には、各人で頭をひねる必要がある。
 沢を跨ぎ越した後は、水平な山道が続くのだが、難所続きになった。泥斜面のトラバースで、下が抉られているところがあった。二歩の長さなのだが、脇の壁の手がかりには泥から生え出している草しか無い。足下が崩れたらそのまま、谷底への転落になる。先行グループの足跡がついており、なんとか渡ったようである。覚悟を決めて、足を踏み出した。無事に通過したものの、木の枝を掴めるところまで高巻をするべきであったと反省している。
 土砂崩れが、沢まで達しているところもあった。もっとも、ここは大量の土砂のために谷が埋まっており、通過には問題はなかった。
 難所を通過していくうちに道幅も広くなり、草に覆われた林道歩きになっていった。枝沢を鉄橋で渡ると、新しい登山口も近かった。
 親沢沿いの山道の荒れ具合は、前回に比べてひどかった。今年の集中豪雨の影響によるものと思われる。現在の状態は通行困難といったもので、一般登山者は、新しい登山道の往復を勧める。旧道は、山頂から峠までの刈り払いは別にして、整備の手が加わった様子はないので、今後は廃道状態になっていくのかもしれない。
 車に戻ると本降りの雨になり、良い時に下山したなと思った。

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