鍋倉山(中退)、井戸小屋山

鍋倉山(中退)、井戸小屋山


【日時】 2004年11月6日(土) 日帰り
【メンバー】 佐藤、小島、小川、岡本
【天候】 晴

【山域】 会越国境
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 鍋倉山・なべくらやま・1137.4m・三等三角点・新潟県、福島県
 井戸小屋山・いどごややま・902・なし・新潟県
【コース】 棒目貫先の林道より
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/野沢/安座
【ガイド】 なし
【温泉】 七福温泉 500円

【時間記録】 6:00 新潟=(磐越自動車道、上川、七名、棒目貫 経由)=7:15 尾根取り付き〜7:25 発―8:39 井戸小屋山下―10:15 836m点―11:20 県境線上〜11:25 発―11:45 露岩帯〜12:20 発―12:34 県境線上―13:36 836m点―15:09 井戸小屋山下―15:17 井戸小屋山―15:25 井戸小屋山下〜15:31 発―16:23 尾根取り付き=(往路を戻る)=18:30 新潟

 鍋倉山は、新潟県上川村の南部、福島県との県境上にある山である。御神楽岳から笠倉山に続く県境を東に辿った所に位置している。夏道はない山で、登山記録も少ないが、もっぱら残雪期に登られているようである。
 9月に御前ヶ遊窟から井戸小屋山への周遊コースを偵察した時、佐藤さんから、井戸小屋山から鍋倉山を目指す山行の誘いがあった。来年の峡彩ランタン会の年間計画を見ると、春に鍋倉山山行が組まれ、いつの間にか、私がリーダーになっていた。偵察も兼ねて、薮山山行であっても、一度コースを見ておく必要が出てきた。
 井戸小屋山は、一週おいての再訪ということになった。時間節約のため、林道へ車を乗り入れた。ゲートの鎖は壊れており、地面に横たわっている状態であった。先週歩いた時は、小砂利も敷いて整備されていたのだが、今回は轍も深いところがあり、車の腹を泥がする所もあった。伐採された材木を運び出すため、大型車が行き来したようである。幸いスタックすることもなく登山口まで車を乗り入れることができた。これで往復35分程が節約できた。
 伐採地の縁を辿り、最後は尾根に向かって直登した。尾根に乗った所でひと休みした。この付近は、あいかわらず踏み跡不明であるが、高みに向かってひと登りすると、笹原の中に刈り払い道が現れる。偵察二回を含めた三回の山行のおかげで、道は以前よりもはっきりしてきた。
 尾根が痩せると、御前ヶ遊窟上部の岩塔も目に入ってきたが、今日の目的地は別である。844m小ピークを越えると、踏み跡は見あたらなくなる。井戸小屋山へは、ブナ林の斜面を少し登った所から杉林の並ぶ左の尾根に取り付くのだが、今回は、山腹をトラバースすることにした。
 850m等高線に沿って歩き、尾根に再び乗ると、ペットボトルが木にさしてあり、県境方向に向かって踏み跡が伸びていた。帰りにこの地点から踏み跡を辿ると、850m等高線の少し下に続いていることが判った。この踏み跡は、予測していたように、井戸小屋山の山頂は巻いていることが確かめられた。

 812m標高点を過ぎると尾根も痩せて、県境線上の沼ノ峠山の眺めも目に入ってきた。900mピークへの登りで振り返ると、井戸小屋山が、三角形の頭を持ち上げた立派な姿を見せていた。この付近は、踏み跡も明瞭であったため、これなら鍋倉山に登った後、談合峰の偵察もできるかななどと甘い考えも浮かんできた。
 台地状の山頂を持つ900mピーク付近から踏み跡はかすかになってしまった。コースも尾根通しは小さな起伏があるため、右下の窪地の笹原を通過することになった。地図で見るよりも、地形は複雑で、尾根を乗り換えるような所も現れた。GPSで進むべき方向は確かめることができたが、念のため要所には赤布を付ける必要があった。
 ブナの倒木を跨ぐようなことも多かったが、キノコが生えているなと思ってよく見えると、ナメコであった。大きな株で、収穫のために足が止まった。この後も、登山のコースを辿っているだけで、三株のナメコが見つかり、大収穫となった。キノコに専念して探せばもっとありそうだが、ここまでキノコ採りに入るものはいないようである。
 836m標高点の鞍部を過ぎると、尾根も痩せて薮も濃くなった。右手の谷越しに鍋倉山の山頂も見えるようになってきたが、県境線に出てからも距離がありそうであった。傾斜も増し、枝を掻き分けるようになって、歩く速度も落ちてきた。
 ようやく辿り着いた県境線は密生した薮であった。引き返し時間の11時も過ぎていた。鍋倉山の山頂までは無理として、県境線をもう少し歩いてみることにした。尾根の頂稜部は杉が横に枝を広げて辿れない状態であった。右手の新潟県側は崖であったので、左手の福島県側の斜面を辿ることになった。潅木が並ぶ薮のトラバースは、遅々とした歩みになった。
 鞍部の少し手前で露岩帯に出たところで、先に進むのを断念した。県境線に出てから、120mほど進むのに20分かかっていた。鍋倉山山頂は目の前であったが、尾根には杉の列が続いていた。ここから山頂を往復するには2時間近くかかりそうで、そうなると明るい時間に下山することはできなくなる。登山道のある山ならいざしらず、薮コギの山では歩けなくなる。鍋倉山を眺めながら、昼休みにした。
 「ここで登ってしまったら、残雪期の鍋倉山山行が面白くなくなる」と言ってはみたものの、これはやせ我慢の言葉。やはり残念である。登山とは、山頂を踏んでこそ完結する。
 重い腰を上げたが、ここから引き返すのでも時間との競争になった。GPSの助けをかりて、迷うようなこともなく下山を続けた。井戸小屋山が近づいてきた頃には、疲れも出てきて足も重くなってきた。
 井戸小屋山の下部まで戻ったところで、小島さんが井戸小屋山に登っていなかったので、寄り道していくことにした。ひと登りで、これが四度目でお馴染みになった井戸小屋山の山頂に到着した。一応、この日の登頂ピークを確保した。ここまでの薮コギ山行と比べると、井戸小屋山からの下りは、登山道を歩いているようで緊張感も和らいだ。
 なんとか明るいうちの4時半には、車に戻ることができた。近くの温泉へ移動する間にも暗くなってしまい、ぎりぎりのタイミングであった。この季節の山行は、行動時間の短さが一番の問題である。秋の今頃は、10時間程の行動時間しかないが、これでは鍋倉山には届かない。山中1泊の覚悟をすれば、鍋倉山は十分登れることが判っただけでも収穫といえよう。836m標高点付近までならば、大型ザックが邪魔になるような薮コギはない。

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