大杉岳、赤岩高山、高土山、貝鳴山

大杉岳、赤岩高山
高土山、貝鳴山


【日時】 2004年8月28日(土)〜29日(日) 各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 21日:曇り 22日:曇り後雨

【山域】 会津駒ヶ岳周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 大杉岳・おおすぎだけ・1921.4m・三等三角点・福島県
【コース】 御池より
【地形図 20万/5万/2.5万】 日光/燧ヶ岳/燧ヶ岳
【ガイド】 南会津・鬼怒の山50(随想舎)、会津百名山ガイダンス(歴史春秋社)、山と高原地図「尾瀬」(昭文社)

【山域】 会津駒ヶ岳周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 赤岩高山・あかいわたかやま・1496.9m・三等三角点・福島県
【コース】 広沢沿いの林道より
【地形図 20万/5万/2.5万】 日光/燧ヶ岳、檜枝岐/燧ヶ岳、会津駒ヶ岳
【ガイド】 なし
【温泉】 燧の湯 600円(ボディーシャンプーのみ)、木賊温泉露天風呂 200円(石鹸無し)

【山域】 南会津
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 高土山・たかつちやま・10748.4m・四等三角点・福島県
【コース】 滝ノ原橋より周遊
【地形図 20万/5万/2.5万】 日光/糸沢/糸沢、荒海山
【ガイド】 南会津・鬼怒の山50(随想舎)、会津百名山ガイダンス(歴史春秋社)

【山域】 南会津
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 貝鳴山・かいなりやま・1222m・なし(1196.7m・二等三角点)・福島県
【コース】 萩野登山口
【地形図 20万/5万/2.5万】 日光/糸沢/糸沢
【ガイド】 南会津・鬼怒の山50(随想舎)、会津百名山ガイダンス(歴史春秋社)
【温泉】 芦の牧ドライブ温泉 350円(石鹸無し)

【時間記録】
8月27日(金) 21:00 新潟=(北陸自動車道、中之島見附IC、R.8、川崎北、R.351、栃尾、R.290、渋川、R.252、只見、R.289、南郷、R.401、内川、R.352 経由)
8月28日(土) =0:30 檜枝岐  (車中泊)
=(R.352 経由)=6:30 御池登山口―6:57 水場―7:30 大杉岳―7:55 水場―8:14 御池登山口=(R.352 経由)=9:18 林道分岐―10:27 林道終点―10:36 赤岩高山〜11:10 発―11:15 林道終点〜11:33 発―12:35 林道分岐=(R.352、檜枝岐、木賊温泉、R.352、内川、R.401、南郷、R.289、会津田島、R.121、貝鳴、R.352 経由)=18:00 滝ノ原橋登山口  (車中泊)
8月29日(日) 7:08 滝ノ原橋登山口―7:36 No.84鉄塔―7:48 No.85鉄塔―8:07 旧八総鉱山小学校分岐―8:13 No.87鉄塔分岐―8:16 高土山―8:18 No.87鉄塔分岐―8:23 旧八総鉱山小学校分岐―8:25 No.86鉄塔―8:39 旧八総鉱山小学校登山口―9:09 滝ノ原橋登山口=(R.352、貝鳴、R.121 経由)=9:25 萩野登山口―10:17 三角点―10:29 貝鳴山標識―10:34 1222mピーク〜10:52 発―10:55 貝鳴山標識―11:05 三角点―11:36 萩野登山口=(R.121、湯の上温泉、R.118、南原、会津坂下、R.49、会津坂下IC 経由)=15:30 新潟

 大杉岳は、尾瀬の福島県側の玄関口である檜枝岐村の西に聳える会津駒ヶ岳から御池にむかって延びる稜線上にあるピークである。日本百名山にも選ばれて人気の高い会津駒ヶ岳とは異なり、訪れるものも少ないピークである。
 赤岩高山は、大杉岳の北西部、只見川右岸にある山である。山頂直下まで林道が通じており、一般的な登山の対象とはなっていない。この山頂へのアプローチに使う広沢林道は、ダート走行あるいはクワガタムシの採取場所として、その方面では有名なようである。
 高土山は、荒海山の登り口として知られる旧八総鉱山の背後に佇む山である。良く整備された送電線の巡視路を使って登ることができる。
 貝鳴山は、会津藩の見張り場として使われた山で、名前は、山頂で吹き鳴らしたほら貝に由来するという。きれいな三角形をしたピークで、山頂へは、一直線の急登が続く。

 8月最後の週末ということで、北アルプス方面を考えていたのだが、大型の台風が九州に接近しており、前線が活発化して、高い山は無理のようであった。全国的に天気もぱっとしないようなので、とりあえずという感じで、会津に出かけることにした。
 土曜日には、檜枝岐の大杉岳を目指すことにした。檜枝岐までのアプローチには、通常は磐越自動車道に乗って、会津坂下ICから会津田島経由で入るのだが、久しぶりに八十里越のコースを使うことにした。高速代も、中ノ島見附ICまでで済むので、安くなる。結局、時間的には同じだったのだが、カーブ連続の峠越え道は、運転していて疲れてしまった。体力とお金のどちらをセーブするかでコースを選択すべきであろう。日付けが変わった所で檜枝岐に到着し、「ミニ尾瀬公園」前の駐車場に車を止めて寝た。
 大杉岳は、七入の駐車場に車を止めてシャトルバスで御池に移動し、大杉岳を登った後は、送電線の巡視路を通って七入に下山するという予定であった。朝起きたところで、七入に移動すると、大駐車場には、人の気配が無く、案内所の施設も閉ざされていた。シャトルバスは、出そうもないので、御池の駐車場の様子を見るために移動した。
 御池の駐車場の車は少なく、沼山峠へのバスを待つ登山者も数人であった。夏山と秋山の端境期のためか、台風が接近しているためであろうか。しかし、土曜日は、台風の影響は、会津には及ばないはずであったが。季節外れの観光地の侘びしさがただよっていた。押し寄せる登山者の車で御池の駐車場が満杯になるため、七入の駐車場からシャトルバスが運行されているのだが、これでは、シャトルバスの必要もないようであった。また、今年は、大型の観光バスは規制日以外は御池まで入れることになっており、8月に規制日は無いようであった。周遊コースは諦めて、大杉岳へのピストンをするため、国道352号線沿いある登山口に進んだ。
 つづら折りの坂道を進んでいくと右手に大杉岳登山口が現れて、その先の路肩広場に車を止めることができた。
 尾瀬の各登山口に設置されている入山者のカウンターが、この登山口にも置かれていた。尾瀬の沼山峠あるいは鳩待峠あたりのカウントと比べると、年間入山者は、これらの1時間分にも達しないのではないだろうか。ブナ林の中の急登が続いた。歩く者は少ないためか、登山道に積もった落ち葉が足裏に柔らかい感じであった。
 ひと登りすると、水場の標識が現れた。水場まで1分と書かれていたが、左下すぐの沢状の窪地であった。パイプが差し込まれて水場になって、蛇口を少し絞った水道くらいの水が流れていた。
 高度が上がっていくと、ブナは消えて、アオモリトドマツの森が広がるようになった。傾斜が少し緩むと、登山道に木道が敷かれるようになったが、苔が生えて朽ちかけており、足を乗せるのが危険な状態であった。
 大杉岳の山頂には、突然という感じで到着した。三角点の脇に山頂標識があるので、山頂到着と判ったが、木立に囲まれて山頂らしくは無いピークであった。登山道の先をのぞいてみると、確かに下りになっていた。大杉岳は、会津駒ヶ岳と結んで歩いてこそ、価値が出るようである。
 下りの途中、燧ヶ岳の展望が広がったが、山頂付近は雲に覆われていた。登山口近くになって、二人連れとすれ違ったが、登山者ではなく、工事用ヘルメットに道具をぶら下げたベルトを付けた、電力関係の人であった。
 時間も早いことから、予定には無かったが、近くの赤岩高山の様子を見ることにした。国土地理院の電子地図を眺めているうちに、この山の山頂近くまで破線が延びていることに気がついた。少し古い地図には記載されていない新しい道で、辿れる可能性が高かった。林道終点から山頂までは僅かな距離なので、薮漕ぎでも登れるはずであった。どのような山かは判らなかったが、平ヶ岳とは只見川を挟んで向かい合う位置にあることからも、面白そうに思えた。
 国道352号線を鷹ノ巣方面に向かい、広沢の先で広沢林道が右に分かれた。ここから歩く覚悟をしていたのだが、悪い道では無かったので、車を乗り入れた。林道は未舗装で、水切りの横溝が深いため、頻繁に徐行をする必要があったが、それほど車の走行には問題はなかった。大津岐ダムへの近道として利用されているようであった。
 峠部について破線道を確かめると、未舗装の林道であった。入口に鎖がかかっていたが、鍵は無く、ただ引っ掛けてあるだけであった。林道の先の様子が判らないため、ここから歩き出すことにした。
 林道は、稜線直下の山腹を切り開いて、ほとんど高低差もないまま長く続いた。途中から林道の状態は少し悪くなり、オフロード車でないと、走行は難しい状態になった。1時間程あるいてようやく赤岩高山が姿を現した。林道からはひと登りの小ピークであった。山頂は樹木に覆われ、名前から想像したような岩場のようなものは無かった。林道から眺める付近の山肌はスラブに覆われているので、山腹あたりに岩場が隠されているのだろうか。地図では、北側の赤岩沢に落ち込む斜面が険しそうに見える。
 山頂に近付いたところで、赤岩高山の山頂に向かう踏み跡のようなものはないかと探しながら歩いた。結局、見つからないまま、尾根を北側に周りこんだ所で、林道は広場になって終わっていた。
 山頂一帯はブナの木が生えていたが、その下生えの笹は、猛烈な薮になっていた。覚悟を決めて、方向を見定めて、薮に突入した。山頂付近に到着し、三角点を探したが、つるがからまっていて身動きもままならず状態であった。30分程、笹薮の下を覗き込みならが、ぐるぐる回ったが見つからなかった。古い鉈目や木に登るために横木を打ち付けた跡は見つかったが、最近登ったような痕跡はなかった。
 三角点の探索をあきらめて、林道に下り、そこで大休止にした。林道からは展望が開け、平ヶ岳は向い合っているようであったが、雲が山頂を隠していた。
 林道沿いにはブナ林が広がっているので、キノコ狩りには利用できるかもしれないが、赤岩高山自体は、登って面白いという山ではなかった。
 ところで、林道には、何台もの県外ナンバーの車が入り込み、捕虫網を持っているものが目立った。どうしてこの林道が知られているのか不思議に思えた。ダート走行の林道としてか、あるいは虫採りのフィールドとして、その方面では有名なのだろうか。
 帰宅後インターネットで検索すると、赤岩高山の登山記録は見つからなかったが、広沢林道で検索をかけると、クワガタ採取の有名スポットであることが判った。どうやらクワガタムシには目もくれず、薮に潜り込んで三角点を探していた私の方が、変人であったようである。
 時間も少し早かったが、温泉に入ってのんびりすることにした。まずは燧の湯で登山の汗を流した。国道脇の蕎麦畑の花が満開であったことから、ソバが食べたくなり、村の裁ちソバの店に入った。先週の山都の蕎麦打ち体験で自分で打った蕎麦と味がどう違うのか確かめたかったのだが、同じような味であった。檜枝岐から木賊温泉に抜ける林道を走った後、ここの露天風呂に入った。河原に作られた露天風呂は野趣たっぷりで、会津を代表する温泉である。湯の温度も丁度良く、ほてった体に沢風が心地よかった。
 会津田島に出て食料を買い込み、翌日をどうするか考えた。当初の予定では、那須方面の山に登るつもりであったが、標高が高く、大平洋側の気象の影響を受けることから、天気も悪くなりそうであった。会津田島から眺める西の空には、雲が厚くたれ込めていた。
 会津百名山のうち、会津田島から遠くない、高土山と貝鳴山を翌日の山とすることにした。貝鳴山の登り口を確認した後、国道352線から八総鉱山跡に向かう車道に少し入った所の路肩に車を停めて寝た。この先は、旧八総鉱山小学校跡にできたキャンプ場か荒海山の登山口へ向かう者しか通らず、静かに夜を過ごすことができる。以前にも、ここでテントを張って寝たことがある。
 翌日は雨を覚悟していたのだが、曇り空の朝になった。少し戻り、滝ノ原橋のたもとから送電線・下郷線の巡視路に進んだ。用水路に沿って少し進み、川から別れて山奥に進むと沢沿いの登りになった。ここまでは枝道は分かれるものの、巡視路は良く刈り払われているため、一本道のように感じられる。
 丸太をたばねた橋で沢を越すと、左右の尾根の間の斜面にジグザグを刻む急斜面の登りになった。ブナやナラの雑木林が広がっていたが、下生えが少なく、開放的な林であった。急な登りに汗を流すと、尾根の上に出て、すぐ先で鉄塔が現れた。前方の高みに次の鉄塔が見えて、登りをもうひと頑張りしなければならないことが判った。
 次の鉄塔からは、一旦、大きな下りになった。稜線歩きは、大きく谷を回り込むため、送電線ともしばらくお別れになった。途中で、岩が露出しているところもあったが、特に歩くのが難しいようなことはなかった。
  旧八総鉱山小学校登山口への下降点を過ぎると、高土山への登りになった。直接山頂には向かわず、山腹をトラバースしていくと、送電線の立つ尾根に乗った。巡視路はその手前から山腹を巻くように先に続いていたが、尾根の上に向かって踏み跡が付けられていた。これをひと登りすると、高土山の山頂に到着した。
 高土山の山頂は、木立に囲まれて展望は無かった。特徴のある山頂ではないので、この山の魅力は、むしろ良く整備された巡視路を歩くことのように思える。
 一旦分岐まで戻り、旧八総鉱山小学校登山口への下降を開始した。すぐ先で鉄塔の下に出ると、高土山の山頂を振り返ることができた。一気に高度を落とすと、沢沿いの下りになり、右手の尾根に移って、最後は、キャンプ場奧の登山口に下り立った。
 旧八総鉱山小学校は、研修センターにもなっているようだったが、人影は無かった。橋を渡った後は、車道歩きで車に戻った。
 続いて、貝鳴山に向かった。国道を進んでいくと、正面に貝鳴山のピラミッド型の山頂が姿を現した。萩野の集落の入口に車を停めて歩き出した。登山口の目印は朽ちかけた鳥居ということであったが、本当に朽ちてしまったのか見当たらなかった。農作業置き場の小屋掛けの裏手に石の祠があり、傍らの木に山とペンキでかかれており、ここが登山口のようであった。国道寄りには、新しい刈り払い道ができていたので、そちらに迷いこまないように注意が必要である。
 左方向に尾根を登った後、直登となり、ひと汗かくと尾根の上にのった。始めはカラマツや赤松が広がっていたが、高度が上がっていくうちに、周囲には雑木林が広がるようになった。登山道の状態は、はじめは植林のための作業道といった感じのものが、登るにつれてはっきりしてきた。
 ひたすら急な登りが続いた。背後に聳えるピークが、次第に同じ高さに変わっていった。このピークが、会津百名山に選ばれている家老山のようであった。登りたい山は、まだまだ隣にも並んでいる。
 傾斜が緩むと、二等三角点の置かれた広場に到着した。まだ8月ということで木の緑も濃いせいもあるが、見晴しは得られなかった。この先は、緩やかな尾根歩きが続いた。麓から見た時は円錐状の山に見えたので、山頂付近は狭い頂点になっていてよさそうなものだが、実際には奧に長くなっていた。
 最高点の1222m点はまだ先だなとGPSをのぞきながら歩いていると、突如、貝鳴山と書かれた山頂標識が現れた。ほぼ平坦な稜線の途中で、山頂らしからぬ所であった。付近には、祠のような信仰関係のものも見当たらず、ここを山頂とする理由が判らなかった。
 その先で、稜線上に大岩が突き出ており、ここは右手を巻いて通過した。この岩が見晴らし台であったのだろうか。その先で、1222mに到着した。この先で尾根は左右に分かれており、左にははっきりした道が続き、右の尾根にもうっすらと踏み跡があった。このピークには、山と書かれた標石が埋められていたが、周囲は木立に囲まれて展望はなかった。
 薮に囲まれた山頂というのも会津らしいと思いながら、腰を下ろしてひと休みした。急な登りの連続のおかげで、タオルを絞るほどの汗をかいていた。
 下りの途中で雨が降り出した。本来なら、朝からの雨を覚悟していたので、下山の途中なら我慢をする必要がある。雨具を着るのも面倒なため、そのまま歩いたが、車に戻った時は、すっかり濡れてしまい、山を終わりにする気分になっていた。

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