守門・大岳

守門・大岳


【日時】 2004年6月27日(日) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 曇り

【山域】 守門山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 大岳・おおだけ・1432.6m・三等三角点・新潟県
【コース】 大穴沢コース
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/守門岳/栃堀、穴沢、守門岳
【ガイド】 なし

【時間記録】 6:30 新潟発=(北陸自動車道、中之島見附IC、R.8、川崎北、R.351、栃尾、栃堀、刈谷田川ダム)=8:00 砂防ダム下〜8:22 発―8:41 石打―9:16 大穴沢―9:39 一本ブナ―10:56 三休平―11:21 中津又岳―11:40 大岳〜12:08 発―12:26 中津又岳―12:44 三休平―13:23 一本ブナ―13:37 大穴沢―14:10 石打―14:27 砂防ダム下=(往路を戻る)=16:40 新潟着

 守門岳は、新潟県の中越の会津との国境近く、浅草岳と隣り合う独立峰である。裾野を大きく広げたコニーデ型火山で、大岳(前守門)、青雲岳(中守門)、主峰の袴岳(奥守門)と頂稜を連ねている。この山は200名山に挙げられ、大勢の登山者が訪れている。守門岳を中心に各方面から登山道が開かれているが、栃堀の奧の赤花を基点とする、大岳への高森尾根コースは、栃尾市の手で整備されているにもかかわらず歩く者は少ない。
 栃堀の集落を過ぎると、刈谷田川ダムの堰堤が目の前に迫ってくる。大きなカーブを描いて高度を上げると、堰堤脇の公園に出て、この先は狭い車道になる。道院あるいは、長峰から保久礼へ通じる道であるが、この道はまだ全線走ったことがない。
 谷に沿って緩やかに右に曲がっていくと、左手に車道が分かれる。この分岐は赤花と呼ばれる地点のようで、「うるおいとやすらぎの河川公園」という案内標識が立てられている。谷を下っていく道に進むと、未舗装に変わり、徐行運転する必要がある。下りきった車道終点は広場になって、前方に巨大な砂防ダムの堰堤が横たわっていた。車道は、地図に書かれているよりは、100m程南の堰堤近くへ延びていた。
 大穴沢コースは、登山者はいないのだろうと思っていたのだが、駐車場は10台程の車で埋まっていた。一部は釣り人の車のようであったが、これほど登山者に人気のあるコースなのだろうかと、ちょっと不思議に思った。
 登山道の入口には、中津又岳まで7.9kmと書かれていた。このコースは、入塩川コースと並ぶ大岳へのロングコースであり、頑張って歩く必要がある。鋼板を渡した橋で右岸に渡ると、砂防ダムの堰堤脇への登りが始まった。いきなりの急登で汗が噴き出してきた。堰堤を越すと山道の始まりとなるが、幅3m程のしっかりした道であった。岩を削ったへつり道で、植林のための作業道として整備されたような感じである。高名沢の合流点を過ぎると、前方に良く目立つ一群の杉木立が現れた。ここには石打の標識が立てられていた。
 中村譲祇の「ふるさとの山」によれば、かつては、ここから母(む)川を遡り、保久礼小屋に出る道があったというが、今は失われたコースになっている。
 石打を過ぎると、高みに向かう幅広の道が左手に分かれるが、これは大雲沢ヒュッテの浅井さんいよれば、雨量観測所に通じる道で、尾根に出て行き止まりになるという。谷に沿ったへつり道をさらに進むことになる。
 前方から回転ノコの音が聞こえてきたと思うと、登山道を整備している一団の人と出会った。この先にも十名程の人が作業をしていると教えてくれた。この日は、大岳の山頂まで、登山者には会わなかったが、登山道整備の人と行き交うことになった。大岳の山頂方面から下りながら草刈り作業を行っているグループもいた。登山道整備のお礼を言いながら通過したが、登山者としてできることは、この登山道を利用して楽しむことであろう。登山道ブームと言われるが、登山者が集まるのは一部の有名山。それも歩行時間の短いコースに決まっている。一度登ったらその山はもう卒業で、次は別なコースでという気持ちが欠けているようである。この日は、浅草岳の山開きで、大賑わいだったというが、このコースの整備も山開きの一環であったのかもしれない。20人以上はいたであろう、作業の人々に改めて感謝の意を捧げる。
 歩いていくうちに、見下ろすように深かった谷間も、脇に水の流れをみるようになった。本流から別れて枝沢沿いに進むと、草地の広場があり、大穴沢という看板が置かれていた。地図に書かれている大穴沢の流れとは離れているので、昔小屋がけでもあった地名なのであろうか。脇には沢水も流れており、休み場として良さそうであった。
 この先は、水の少ない沢に沿っての登りになり、ひと汗かくと尾根の上に出て、ここには一本ブナという看板が立てられていた。周辺には杉の植林地が広がっていたので、それほど太い木ではないが、良い目印になっていた。
 尾根の上に出て気が緩んでしまったが、この先は長かった。急な登りはない代わりに、だらだらの登りが続いた。首に巻いたタオルもしぼると汗がしたたり落ちる状態になった。冷やしてもってきたペットボトルのお茶も、口をつければ一気に一本飲み干しそうな喉の渇きであった。
 尾根の周辺には杉林が広がっていたが、発育は悪く、雑木林に飲み込まれそうな感じであった。
 1167m地点が近づくと傾斜も緩んで、三休平に到着した。この付近から、待望のヒメサユリが現れた。登山道脇に花の列が続くところも出てきた。カメラを取り出して撮影しながらの歩きになった。朝露に濡れたピンクの花は美しかった。ヒメサユリは、山形、福島、新潟の限られた山に咲くだけであるが、群落状態で咲くのを見ることができるのはうれしい。
 前方に見えるピークが中津又岳の山頂のようであった。重くなった足を運んでいくと、中津又岳に到着した。二週間ぶりということになる。展望はこのピークにきてようやく広がり、雪渓を沢に残した大岳の山頂がドーム状に聳えるのを眺めることができた。ヒメサユリの他には、ゴゼンタチバナやアカモノで彩られた登山道を進んでいくと、大岳の山頂に到着した。
 山頂は大勢の登山者が休んでいたので、少し引き返したところの草付きの脇に腰を下ろした。静かなコースを歩いてきただけに、人声で賑わう山頂は、避けたい気分であった。烏帽子岳方面からガスが上がってきて、展望は閉ざされてしまった。展望を期待しての登山ではないので仕方がない。喉の渇きに催促されるままにビールを飲むと、一気に酔いも回った。足が重くなるのは判っているが、引き返す道は長いものの歩きやすい道であるため、それ程の体力は必要としないはずであった。ヒメサユリの花を、ガスが白くつつんでいた。
 三休平までは、カメラを首に下げての撮影モードでの歩きであったが、その後は下りに専念して足を速めた。

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