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守門・大岳


【日時】 2003年4月10日(土) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 守門山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 大岳・おおだけ・1432.6m・三等三角点・新潟県
【コース】 二分より
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/守門岳/穴沢、守門岳
【ガイド】 積雪期コース なし
【温泉】 守門温泉SLランド青雲荘 500円

【時間記録】 5:00 新潟発=(北陸自動車道、中之島見附IC、R.8、川崎北、R.351、栃尾、R.290、貫木 経由)=6:20 二分〜6:48 発―7:19 大平―8:10 林道横断点―8:30 保久礼―9:13 きびたき小屋―10:10 大岳―10:30 発―10:49 昼食〜11:02 発―11:09 きびたき小屋―11:31 保久礼―11:56 林道横断点―12:34 大平―13:10 二分=(往路を戻る)=16:20 新潟着

 守門岳は、新潟県の中越の会津との国境近く、浅草岳と隣り合う独立峰である。裾野を大きく広げたコニーデ型火山で、大岳(前守門)、青雲岳(中守門)、主峰の袴岳(奥守門)と頂稜を連ねている。この山は200名山に挙げられ、大勢の登山者が訪れている。春の大岳は、山スキーのコースとして人気が高いが、東洋一の大雪庇と呼ばれる山頂からの眺めを楽しみに訪れる登山者も多くなっている。
 土曜日の天気予報は、めずらしく日本全国が太陽マーク一色に染まった。快晴が期待されるとなると、選択肢も多く、どこに行こうかとかえって迷うことになる。ここのところ、幾人かの山仲間から大岳に登ったという話を聞いており、私も雪庇見物に出かけることにした。残雪期の大岳は、97年4月20日と03年4月6日の二回登っているが、昨年の山行はガスで何も見えず残念な結果に終わっている。未知の山を目指すのも良いが、何度も歩いている山で、のんびり風景を楽しむのも良いであろう。
 今年三度目の二分訪問になった。快晴の予報が出たので、大勢の山スキーヤーが繰り出すはずであった。駐車スペースに困るかなと思い、早起きをして出かけた。二分に到着してみると、道路脇には車の列が長く続いていた。といっても、道路は二車線幅なので、少し歩きが長くなるのをいとわなければ、路肩に車を停める場所には困らない。
 除雪の終点は、2月の訪問の時と同じであった。林道を覆う雪も締まっており、つぼ足で歩ける状態であった。念のためにアイゼンとワカンは持ちはしたが。林道の先には、大岳が白い山頂を見せていた。少し雲が残っていたが、山頂に到着する頃には青空が広がりそうであった。
 大平橋を渡り、林道のショートッカットコースに入った。雪解けが進んだためか、田圃の段々も目立ってきていた。ひと汗かいて再び林道に上がり、大平に向かった。林道脇の斜面の雪も落ちきって、枯れ草が現れていた。草が芽吹いて緑に染まるのも、もうすぐのように思えた。
 30分の歩きで大平に到着した。以前はこの大平まで除雪されていたが、居住者がいなくなってしまったため、除雪は二分までということになってしまったようである。2月末の万太郎山行の時は、4人のラッセル交代でも1時間かかり、しかも大汗をかいての到着であったので、それと比べれば、楽な歩きであった。大岳から守門岳にかけての眺めが広がっていた。ここからの眺めは素晴らしい。山を眺めながら汗を拭った。大岳の山頂は、まだ遙か先に見えた。
 台地の中央部を走る送電線の終点からは、沢に沿っての登りになる。右岸の斜面をしばらくトラバース気味に進むと、沢も雪で完全に埋まって、窪地の中を歩くようになった。杉林に囲まれて展望はないが、スキーのトレースが続くので、コース取りに迷うことはなかった。谷も狭まって斜面に突き当たるところで、左の斜面に取り付いて雪原を登った。尾根の上に出るとその先で、林道の横断点に到着した。
 ここは、地図には長峰と書かれているが、尾根の末端部にしかすぎない。夏には車も乗り入れることのできる林道の通っている広尾根の歩きがしばらく続く。大岳も大分近づいてきたとはいえ、山頂はまだ高みにあり、本格的な登りは始まっていない。僅かに下った鞍部のブナ林の中に保久礼小屋が佇んでいる。先行の山スキーヤーも数組休んでいた。
 ここからは、いよいよ急な登りが始まる。雪の無い時は、階段登りが続いていやになるが、雪のある時の方が登りやすい感じがする。急坂の登りに汗を流していると、周囲に見事なブナ林が広がるようになる。カメラを取り出してブナ林の撮影。良い写真が撮れるかは別問題として、足を止める理由になる。きびたき小屋は、ブナ林に囲まれる中にあるが、三角屋根の上が僅かに見えているだけであった。
 きびたき小屋を過ぎると、ブナ林は急に姿を消して、一面の雪原が広がるようになる。山頂は近いように見えるが、距離感が失われているのか、なかなか近づいて来ずに、辛い登りが続く。山頂の右肩には、守門岳方面の雪庇も姿を現してきた。
 ドーム型の山頂のため、歩けば歩く程山頂は遠ざかるような感じがした。登りに苦しんでいる脇を、気持ちよさそうに滑り降りる山スキーヤーにもすれ違うようになった。それでも足を前に出し続けているうちに大岳の山頂に到着した。山頂の祠と鐘を吊す金属パイプが、雪の上に姿を現していた。
 ザックを下ろすなり、カメラを持って雪庇見物を行った。大岳の山頂は台地状で、東の縁は雪庇が怖くて近寄れないため、南の下降部に進んで写真を撮った。青雲から守門岳にかけて、火口壁の縁には雪庇が発達していた。雪原の上に、登山者の姿が点在するのを見て取ることができた。二分から守門岳を目指した登山者も多かったようである。その右手には、毛猛山塊、越後駒ヶ岳、権現堂山塊の眺めが広がっていた。このような晴の日に残雪の山に登ることのできた幸せを感じた。
 祠の位置まで戻り、今度は中津又方面の稜線をのぞいた。いまにも崩れ落ちそうに薄く雪庇が張り出しているのが見えた。その右手には粟ヶ岳から、青里岳、矢筈岳の眺めが広がっていた。遠くに一際白く見える山稜は、飯豊連峰のようであった。
 山頂で眺めを楽しみながら一休みしたかったのだが、風が冷たいため、少し下ってから腰を下ろすことにした。雪原を下っていく途中、大勢の登山者に出会うようになった。とはいえ、残雪歩きの絶好のコンディションであっても、夏山と比べれば混雑とはほど遠い。
 これ以上下るとブナ林が広がって展望がなくなるため、きびたき小屋の少し上で、腰を下ろした。お待ちかねのビールをあけた。雪の上に置いたビールは、ほどよく冷えた。気温も上がって、喉の渇きも増すようになってきた。季節によって、山で飲むビールの味は違ってくるように思う。
 気温が高くなって雪も緩み、足がもぐるようになったので、ワカンを履くことにした。つぼ足で下っていく登山者も見かけ、つぼ足でも歩けないことはなかったが。
 休んでいる間には誰にも会わず、今日の登山者はこれで終わりかと思ったが、歩き始めると、その後も登ってくる登山者とすれ違った。最後の登山者は、長峰の近くであった。昼になっていたが、山頂まで達することはできたのだろうか。時間的には可能といっても、リスクは高い。
 大平から二分までの下りは、足も草臥れてきて長く感じられた。遠ざかった大岳を最後に振り返って登山を終えた。

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