0406

京ヶ森山、五色沼
笠ヶ森山


【日時】 2004年1月30日(土) 1泊2日 各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 30日:晴 1日:晴

【山域】 裏磐梯
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 京ヶ森山・きょうがもりやま・1019m・なし・福島県
【コース】 猫魔スキー場入口より
【地形図 20万/5万/2.5万】 福島/磐梯山/磐梯山
【ガイド】 なし

【山域】 裏磐梯
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 五色沼・ごしきぬま・800m・なし・福島県
【コース】 五色沼入口より
【地形図 20万/5万/2.5万】 福島/磐梯山/磐梯山
【ガイド】 なし
【温泉】 国民宿舎五色沼 600円

【山域】 安積山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 笠ヶ森山・かさがもりやま・1012.6m・三等三角点・福島県
【コース】 湖南より
【地形図 20万/5万/2.5万】 福島/猪苗代湖/岩代中野
【ガイド】 うつくしま百名山(福島テレビ)、新福島百山紀行(歴史春秋社)

【時間記録】
1月30日(金) 20:30 新潟発=(磐越自動車道、猪苗代磐梯高原IC、R.115、R.459、小野川湖入口 経由)=21:30 早稲沢 (車中泊)
1月31日(土) 8:30 猫魔スキー場入口発―9:30 京ヶ森山―10:43 猫魔スキー場入口=10:43 五色沼入口発―11:54 深泥沼〜12:17 発―12:52 青沼―13:45 五色沼入口=(R.459、R.115、堅田、R.49、上戸、湖南 経由)=6:00 除雪終点 (車中泊)
2月1日(日) 8:05 除雪終点発―8:31 峠の地蔵様―9:22 諏訪峠―10:25 笠ヶ森山〜10:44 発―11:04 諏訪峠―11:39 峠の地蔵様―11:58 除雪終点=(湖南、上戸、R.49、堅田、猪苗代磐梯高原IC、磐越自動車道 経由)=15:00 新潟着

 京ヶ森山は、裏磐梯で最大の檜原湖の南岸にある山である。南岸を通過するR.459の脇にありながら登山道は無く、観光地化の進む裏磐梯で忘れられたようなピークである。
 五色沼は、裏磐梯の代表的な観光スポットになっており、全長3.6kmの五色沼探勝路が設けられ、夏は観光客やハイカーで賑わっている。冬にはこの探勝路は雪に覆われるが、最近ではスノーシュー歩きのフィールドとして人気が高まっている。
 猪苗代湖の南岸と郡山のある中通りの間には、安積山塊と呼ばれる1000m級の山が連なっており、額取山や高旗山が登山者に親しまれている。笠ヶ森山は、高旗山の南にある山で、笠を伏せたようなドーム型の山頂が目に付く山である。
 会津の藪山の誘いが入ったので、この週末は会津方面に出かけることにした。土曜日は、かねてから気になっていた、スノーシュー歩きの定番になっている五色沼を訪れることにして、それだけでは、もったいないので付近の小さな山を登ることにした。直前になって約束の山行がキャンセルになったが、とりあえず土曜日の予定はそのままとし、日曜日は、天候や雪の状態をみて、登る山を考えることにした。
 磐越自動車道の猪苗代磐梯高原ICを下りると、路面は圧雪状態になっていたが、除雪も完全で、車の走行には問題はなかった。天候が許すなら大早稲沢山に登ろうかと思い、檜原湖湖畔を北上して、早稲沢集落手前で車を停めて夜を明かした。
 目をさますと、雪が舞う状態で、すぐ近くの山の状態も判らなかった。本格的な登山は難しそうということで、檜原湖南岸にある京ヶ森を登ることにした。京ヶ森は、標高こそ1019mとそこそこあるものの、登り口の道路で800m程の標高があるため、ひと登りの丘である。
 京ヶ森の東の山裾には清水沢が通っているため、沢を越したところから歩き出そうと考えた。現地に到着してみると、道路の切り通し部が崖状になっており、沢の畔に下りることができなかった。地図を見て、猫魔スキー場への連絡道路入り口から歩き出すことにした。ここには、広い除雪スペースも設けられており、車を停めておくのにも都合が良かった。登山口探しに手間取っている間に、青空が広がるようになっていた。
 スノーシューを履いて雪に覆われた雑木林の中に踏み入った。緩やかに下っていくと、沢の流れにぶつかった。檜原湖は凍結していたが、この沢には水が流れていた。沢の幅はひとまたぎであったが、深さは身長程で、落ちるとやっかいそうであった。付近を見渡すと、雪庇が張り出して幅が狭くなっているところがあった。今回はSTLのスノーシューを履いていたので、ヒールを固定し、足場を固めて、ジャンプして、沢を通過した。普通のスノーシューでは、ヒールがフリーなため、このようなジャンプはしずらいのだが、その点STLのスノーシューは使いやすい。
 緩やかな尾根を登ると、1016mピークの北の肩部に到着した。雪で白く飾られた雑木林の向こうに、こんもり頭を持ち上げた京ヶ森山の山頂を眺めることができた。ここからは、傾斜を増した登りが続いた。柔らかい粉雪で、スノーシューは潜るものの、足の負担にはそれ程ならなかった。登るにつれて、雪の吹きだまりによる段差が現れ、細かいジグザグ歩きになった。
 ひと汗かいたところで山頂に到着したが、小さな山ではあるが、大きな雪庇ができており、目を楽しませてくれた。山頂は雪原となっていたが、木立に囲まれて、木の間から磐梯山や凍結した檜原湖を眺める状態であった。
 山頂から北に向かう尾根には、スキーの林間コースといった白いベルトが続いていた。誘われるままに、北に向かって下山を開始した。気持ちの良いスノーシュー歩きが続いた。右手には大きな雪庇が発達していた。尾根をそのまま檜原湖まで下ってしまうと、帰りが大変になるので、雪庇が途切れたところから。右手に方向を変えて、急斜面を下った。
 雪玉と一緒に下っていくと、前方にカモシカが現れた。カメラを構えながら近づいていくと、逃げていった。ウサギの足跡は無数にあり、国道脇にありながら、人は入らない一帯のようであった。
 京ヶ森山の山裾を巻いて、行きのトレースに行き当たるまで戻った。
 京ヶ森山は小さな山なので、往復するよりは、今回のように周遊コースとして歩く方が楽しいと思う。コース上の一番の問題点は、沢の通過であるが、そこさえクリアすれば、後はスノーシュー歩きとして難しいところはない。
 続く五色沼は、檜原湖側から歩き出そうかと思ったが、入り口のレストハウス付近は雪で覆われ、檜原湖河畔の駐車場は、ワカサギ釣り客用に有料になっていたため、東側の毘沙門沼から歩き出すことにした。コンビニで昼食用の天丼を買って温めてもらい、五色沼の駐車場に向かった。ここの駐車場は、冬も観光客が入るためか、幅広く除雪してあり、車を停めるのに支障はなかった。
 冬季閉鎖中のお土産屋の脇を通り抜けると、毘沙門沼の畔に出る。雪の上にははっきりしたトレースが続いており、スノーシューの必要はなかった。入り口付近は、観光客も入るため、余計に雪が締まっているようである。毘沙門沼は、凍り付いて一面の雪原になっていた。檜原湖は凍結して氷上でワカサギ釣りを行っていたが、五色沼は、湧き水のせいか凍っていないところもあり、氷の上には出ないようにという看板が立てられていた。
 毘沙門沼の湖畔を辿る道をしばらく辿ると、トレースも柔らかくなり、足がもぐるようになったので、スノーシューを履くことにした。ただ歩くだけならともかく、写真を撮ろうとしてトレースから外れるには、スノーシューが必要であった。毘沙門沼はかなり大きな沼で、バンガロー村からの道を合わせた先で、ようやく離れることになった。
 その先は、小さな沼を辿る歩きになった。五色沼は、磐梯山の北麓、標高800m内外に点在する湖沼群の総称で、1888(明治21)年の磐梯山の大爆発によりできたものである。沼の色はそれぞれ青緑色やコバルトブルー、赤色などに異なっているが、これは湖底の沈殿物や棲息する生物、湧出成分などが原因といわれている。小さな池が多いが、水面が現れているものが多く、湖面の色を楽しむことができた。凍らないのは、湧き水の影響もあるのかもしれない。
 スノーシューを履いた団体にも何グループか行き会った。厚着をした服装からも、雪山にはあまり慣れていない人達のようであった。お昼時になっており、お弁当を食べるために、景色の良い所を見つける必要があった。深泥沼の畔で展望が開けたので、腰を下ろして昼食とした。幸い、コンビニ弁当もまだ暖かかった。ビール片手に眺める沼の上には、白鳥が4羽ほど泳いでいた。野生の白鳥なのかどうか。羽ばたきはするが飛び立とうとはしなかった。
 気になったのは、昼なのに、腰を下ろして昼食あるいは宴会を行っているグループはいないことであった。五色沼をスノーシューツアーとして歩くと、半日ツアーとなって、途中でお昼休みの時間は含まれていないせいなのだろうか。雑誌に出てくるようなスノーシュー歩きのように、チーズフォンデュやワインで昼食といったようにはいかないようである。
 ビールを飲んで、ほろ酔いかげんで先に進んだ。弁天沼は、凍結して一面の雪原。コバルトブルーのるり沼と青緑色の青沼を眺めたところで引き返すことにした。もう少し歩けば、一方の入り口の柳沼に出ることになる。バスで引き返すことも考えられたが、バスの時刻表を確認していなかったので、来た道を戻ることにした。帰り道は、光線のかげんで、行きとは違った風景を楽しむことができる。
 毘沙門沼まで戻ったところで、バンガロー村への道に進んだ。すぐ先で除雪された道となったので、スノーシューを脱いで、歩いて駐車場に戻った。
 五色沼探勝路は、景色を眺めながらのスノーシュー歩きを楽しめる良いコースであった。ただ、はっきりしたトレースが刻まれているため、自由に雪原を歩くという目的にはあまりそわないが、雪山入門には良いであろう。
 近くの国民宿舎で温泉に入ってから外に出ると、粉雪が舞っていた。翌日は、寒そうな日になりそうであった。雪が柔らかいことを考えると、大早稲沢山は、単独行では登り切れない可能性もあった。もう少し雪の少なそうな山を考えて、安積山塊の笠ヶ森山に向かうことにした。
 猪苗代湖の湖畔を南に回り込んで、諏訪峠に通じる県道に入った。道路上に雪が目立つようになると、ほどなく除雪終点地点に達した。暗くなっていて周囲の様子は判らなかったが、車のナビは諏訪峠まで3kmと示していた。3kmの林道歩きは、雪が無ければ問題にもならない距離であるが、雪が深いと辿り着くのがやっとということにもなりかねない。朝になってから最終判断することにした。
 朝になってからあたりを見渡すと、除雪終点部は、谷間の畑地が終わるところであった。積まれた雪の山の向こうをうかがうと、つぼ足でも歩けるかなと思うくらい林道上の雪は少なそうであった。なんとかなるだろうということで、笠ヶ森山をめざすことにした。
 スノーシューをザックにくくりつけて歩き出した。杉林の中に延びる林道を進むと、数歩毎にひざまで潜る状態なので、すぐにスノーシューを履いた。スノーシューではほとんどもぐらず、林道を順調に進んだ。ひと汗かいたところで、左手に峠の地蔵様が現れた。車で走っていれば、気が付かずに通過してしまったかもしれないが、このような史跡に目がとまるのも歩いていてこそである。
 峠の地蔵様を過ぎると、谷間から離れて、山の斜面をトラバースしながらの登りが続いた。車道上に雪庇状の吹きだまりができているところもあれば、雪が飛んでアスファルト面が出ているところもあった。谷向こうに、山頂にマイクロウェ−ブの反射板が置かれたドーム状のピークが姿を現し、これが笠ヶ森山であった。
 諏訪峠までは1時間15分程の歩きであった。林道には、スノーシューやスノーモービルの跡がかすかに残っており、この峠までは入る者もいるようであった。
 諏訪峠から笠ヶ森山への登山道を探したが、登山標識のようなものは無く、自分で登るコースを決める必要があった。後日、インターネットで笠ヶ森山への登山道を調べると、岩瀬村方面へ下がったところから登山道が整備されているようで、峠からの登山道は、見あたらなかったという報告ばかりであった。雪山では、いずれにせよコースを自分で考える必要がある。
 峠の手前から尾根に取り付いた。峠から直接山頂を目指すと、途中で急斜面になるようなので、一旦北側の尾根に乗ることにした。峠の周辺はカラマツの植林地であったが、登るに連れて雑木林が広がるようになった。振り返ると、高旗山が、山裾を大きく広げた姿を見せていた。
 山頂の反射板も見えてきて、GPSの表示も残りの距離は200m程になったが、それからの登りはきつかった。傾斜が増し、スノーシューのトップを雪面に蹴り入れてステップを作りながらの登りになった。STLのスノーシューは、トップの長さが比較的短いため、このような急斜面にも強いように感じた。ステップを切ってスノーシューは水平に保つため、クライミングサポートは使わなかった。また、スノーシュー用の別売りアイゼンも用意はしたものの、使わずに登ることができた。
 息が切れて思わず足を止めて周囲を眺めると、ブナ林が広がり、幹や枝には雪がはりついて美しい風景を見せていた。ようやく山頂に這い上がり、反射板の下に進んだ。二基の反射板が並んでおり、手前の反射板の下に笠ヶ森山の山頂標識が立てられていた。三角点は、反射板の中間点にあるようであったが、雪が深くて確認できなかった。
 笠ヶ森山の山頂からは、猪苗代湖を見下ろすことができ、その向こうの磐梯山は、雪雲で霞んでいた。北に続く稜線の先には、高旗山が大きな山頂を見せていた。
 冷たい風を避けて腰を下ろした。スノーシュー歩きは、やはりこのような誰もいない静かな山を目指す方が面白い。雪原を自分で考えたコースで歩けるのがスノーシューの醍醐味である。
 ビールを飲みながらひと休みするうちに、体が冷えてきたので下山にうつった。
 山頂直下の急斜面は、雪を突き崩しながら、半ば滑るように下った。峠までは、あっという間に戻ることができたが、その先の林道歩きは、最後には疲れも出てきていささか嫌になった。
 車に戻って荷物をかたづけていると、鉄砲を持ち、犬を連れたおじいさんが現れた。ウサギ狩りに入ったがとれなかったとのことであった。笠ヶ森山へ登ってきたというと、あんなところまでと驚いていた。お互いのことであるが、異なる趣味は理解できないのが常である。
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