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三国峠〜稲包山〜三坂峠


【日時】 2003年11月16日(日) 日帰り
【メンバー】 宇都宮グループ(6名)
【天候】 晴れ後曇り

【山域】 谷川連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 長倉山・ながくらま・1439m・なし・新潟県、群馬県
 キワノ平ノ頭・きわのだいらのかしら・1511m・なし・新潟県、群馬県
 稲包山・いなづつみさん・1597.7m・三等三角点・群馬県
 西稲包山・にしいなづつみさん・1570m・なし・新潟県、群馬県
【地形図 20万/5万/2.5万】 高田/四万/三国峠、四万
【ガイド】 岳人2003年12月号
【温泉】  浅貝温泉 ますや 500円

【時間記録】
11月15日(土) 20:30 新潟発=(関越自動車道、湯沢IC、R.17 経由)=22:30 元橋平標登山口  (車中泊)
11月16日(日) 6:30 元橋平標登山口=(R.17 経由)=6:40 三国峠〜8:10 発―8:50 三国峠〜8:55 発―9:23 長倉山〜9:30 発―10:25 キワノ平ノ頭―11:50 新道分岐―11:55 稲包山〜12:26 発―12:29 新道分岐―12:40 小稲包山―12:55 西稲包山〜13:04 発―13:19 三坂峠―13:48 丸木橋〜14:02 発―14:16 黄蓮沢出合―14:30 三国スキー場=(往路を戻る)=18:00 新潟着

 稲包山は、谷川連峰の西端の三国山と白砂山の間に続く上越国境から、わずか南に外れた群馬よりにある山である。ピラミダルな山頂を持ち、里人の信仰の山として開かれてきた。四万温泉と法師温泉を結ぶ赤沢林道を経由して登るのが普通であるが、稲包山の東面の送電線巡視路を下山路にとるコースも利用されている。最近、三国峠から三国スキー場に至る県境稜線縦走路が整備され、その途中で稲包山を登ることができるようになった。
 三国峠は、越後と上州を結ぶ三国街道が通っているが、稲包山の西近くにある三坂峠は、越後と上州を結ぶ山越え道として、三国峠よりも古くから利用されてきたという。小林一茶もこの峠を越しており、「ここはへい(信州)はちゃ(上州)とそんま(越後)の国ざかい」という方言を盛り込んだ川柳が残されている。藪に埋もれて久しい峠であるが、遠く白毛門から始まる谷川連峰縦走路の西の終点となっている。
 宇都宮の室井さんから稲包山に行くという連絡が入った。赤沢林道からの往復のようであったが、三国峠から三坂峠への縦走をするなら車をもう一台だして協力すると連絡したところ、そのように計画を変更することになった。私としては、稲包山には二回登っており、特に登りたいわけではないのだが、ある遠謀があった。室井さんとは、谷川岳縦走や清水峠から巻機山への縦走を一緒に歩いている。室井さんには三国峠から三坂峠の区間を歩いてもらい、谷川連峰から白砂山方面へと銃走路をつなげる意欲を高めておいて欲しかった。
 しぐれ模様の天気が続くようになり、深夜や早朝での峠道の凍結の心配が出てきた。金曜日に、スタッドレスタイヤを購入し、週末の山に備えた。土曜日は仕事があり、夜になってからの出発になった。当日の朝出発しても間に合う時間であったが、前夜に登山口に入っておいた方が朝はゆっくりできる。
 小雨の中をドライブして、平標山の登山口の駐車場で夜を過ごした。駐車場のトイレはすでに閉鎖されていた。朝起きてみると、他に二台の車が到着していた。そう遠くない三国峠の駐車場に移動し、朝の準備を行った。
 天気予報に反して、晴れ間が広がり暖かい朝になった。室井さん一行が到着したところで、他の人には待っていてもらい、まずは、下山口の三国スキー場に車を置きに行った。両登山口は、7.4kmほど離れており、前回は1時間45分の車道歩きで苦労した。三国スキー場は、入り口にロープが張ってあったため、入り口の路肩に車を置いて戻った。
 周辺の山を見上げると雪は無く、冬枯れの木立が広がっていた。今年は雪の訪れが遅くなっている。三国峠へは、幅の広い緩やかな九十九折の道が続く。足元には落ち葉が積もり、冬枯れの風情を楽しむことができた。
 三国峠には夫婦連れが休んでいた。話をしてみると稲包山へ行くというが、峠でゆっくりと休んでいる様子では、稲包山までの往復だと、時間切れになりそうであった。ひと休みの後、「稲包山・三国スキー場」という標識に従って縦走路へ進んだ。
 歩き始めるとすぐに鉄塔の下を通過する。稲包山の近くまでは、送電線の巡視路として整備の手が入っているようである。小ピークへの登りから振り返ると三国山が大きな山頂を見せていた。ピークに登ると、展望が広がった。予期せぬ晴天のもと、群馬県側には子持山、赤城山、袈裟丸山塊、日光連山、上州武尊山、新潟県側には苗場筍山や平標やまから仙ノ倉山を眺めることができた。緩やかな稜線を辿った先の小ピークが、長倉山の山頂である。ここからは一旦下りになり、その途中からは、稲包山を良く眺めることができるが、まだかなりの距離があった。
 鞍部には送電線の鉄塔が立ち、巡視路が峠越えをしている。この縦走路は、送電線がうるさく感じられるが、登山者にはめったに会わずに静かな山歩きを楽しむことができる。ここからは、キワノ平ノ頭に向かっての登り返しになる。歩いてみるとアップダウンのある結構体力のいる縦走路である。キワノ平ノ頭に到着する頃には、雲が出てきて展望は閉ざされてきた。風も南風から北風に変わってきて、気温も下がった。雨につかまる前にと、足を速めることになった。
 キワノ平ノ頭を下った鞍部には、二本の送電線が通過している。コベックラ沢から立派な巡視路が登ってきている。この道は、新潟方面からの稲包山の周遊コースに使えそうなので、一度歩いてみる必要があると思っているものの、そのままになっている。
 巡視路から分かれると、稲包山への登りが始まる。雨が降り出したので雨具を着たが、すぐに止んで、上は脱ぐことになった。苦しい登りを終えて稲包山の北の肩部に到着すると、ここには新道分岐の標識がある。縦走路から離れて、群馬県側にひと登りすると、稲包山の山頂に到着した。
 稲包山は、三回目の登頂になった。二組の登山者が休んでいたが、みな群馬県側からの登山者であった。新潟県からのコースは知れれていないようであった。先回は、この山頂から大展望を満喫したが、今回はガスが流れる状態であった。それでも、腰を下ろしているうちに、県境稜線のガスが上がり、群馬県側には青空が広がった。眺めているうちに、滝雲状にガスが流れ込み、再びガスに展望は閉ざされた。風が冷たくて、長居はできず、早々に歩きだすことになった。
 ビールが回って、登りにかかると、とたんに足が重く感じられた。分岐の先の1570mピークは、小さいながらきれいなピラミッド型をしており、小稲包の標識が立てられている。しばらくなだらかな稜線を辿った後に、シャクナゲの目立つ急坂を登ると、1550mピークの西稲包山の山頂に到着した。
 西稲包山を下っていくと、縦走上での最終目的地の三坂峠に到着した。三坂峠という標識がなければそれと気づかずに通り過ぎてしまうであろう、特徴のない場所で、昔を偲ばせる石碑のようなものはないのが残念である。
 1449m点に登り返した後、道は県境線から緩やかにそれていき、笹原の中の下りが始まった。昨年歩いた報告では、笹がかぶっているように書かれていたが、最近刈り払いが行われたようで、気持ち良く歩くことができた。ブナ林に囲まれた尾根を下っていくと、急坂の下りが始まり、最後には沢に降り立った。その先で、丸木橋と書かれた、ガランノ沢の徒渉点に出た。丸木橋も残されているが、沢を飛び石伝いに渡るのにも問題はなかった。
徒渉点から先は湯ノ沢左岸沿いの歩きが続いた。途中から、林道の跡と思われる幅広の道になった。
 先回とは違って、三国スキー場に到着したところで、山歩きは終わった。車を回収し、浅貝のホテルで温泉に入り解散した。

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