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裸山
威守松山


【日時】 2003年11月1日(土) 1泊2日 各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 1日:晴 2日:晴

【山域】 守門・浅草山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
裸山・はだかやま・1010.4m・三等三角点・新潟県
【コース】 一本松沢林道より
【地形図 20万/5万/2.5万】 日光/須原/毛猛山
【ガイド】 なし
【温泉】 浅草山荘 600円

【山域】 谷川連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
威守松山・いもりまつやま・1214.2m・三等三角点・新潟県
【コース】 清水より
【地形図 20万/5万/2.5万】 高田/越後湯沢/巻機山
【ガイド】 なし

【時間記録】
11月1日(土) 6:30 新潟発=(北陸道、中之島見附IC、R.8、川崎北、R.351、栃尾、R.290、渋川、R.252、大白川 経由)=10:00 一本松沢林道ゲート〜10:12 発―10:51 東北電力林道入口―11:11 裸山乗越―11:57 裸山〜12:28 発―13:09 裸山乗越―13:26 東北電力林道入口―13:59 一本松沢林道ゲート=(大白川、R.252、小出、R.
17、六日町、R.291 経由)=18:00 清水 (車中泊)
11月2日(日) 7:20 林道入口発―7:41 山道入口―8:04 稜線分岐―9:00 威守松山〜9:22 発―9:59 稜線分岐―10:01 送電線鉄塔―10:18 沢―10:24 車道―10:42 林道入口=(R.291、六日町IC、関越自動車道 経由)=16:00 新潟着

 裸山は、浅草岳の南に連なる鬼ヶ面山の南西に位置する山である。国道252号線を走り、六十里越の県境が近づくと、頭上に聳えるこの山が目に飛び込んでくる。山頂一帯はスラブをまとい、木の生えていない姿が、裸山の名前の由来になっている。
 威守松山は、巻機山から清水峠に至る稜線上の、米子頭山と柄沢山の中間にある1809mピークから西に派生する尾根の末端に位置する山である。巻機山あるいは清水峠の登山口の清水部落のすぐ奧に聳えている。

 紅葉も車道脇まで下りてきて、山はヤブコギに都合の良い季節になった。昨年来懸案になっていた、六十里越近くの裸山に出かけることにした。
 裸山の北側には、裸山乗越という峠があり、そこからなら短時間で登れそうであった。浅草山荘から一本松沢沿いに裸山乗越までは車道が通じているが、大雲沢ヒュッテの浅井さんに去年尋ねたところ、途中でゲートがあるとのことであった。
 藤島玄氏の「越後の山旅」には、六十里越の旧道は、一本松沢に沿って裸山乗越を過ぎて六十里越へ出たという。また、裸山乗越から横倉沢沿いに六十里越道に下る歩道があったとも書かれている。地図を見ると、国道252号線から横倉沢沿いに何本かの破線が書かれている、尾根の途中には送電線も通じており、送電線の保守道として整備されている可能性があった。この道が辿れれば、裸山乗越までは、そう大して時間もかからないはずであった。まずは、この道をあたってみることにした。
 国道252号線沿いの紅葉は盛りになっていた。横倉沢脇の破線の開始部に到着してみると、砂防ダムの工事道路が始まっていた。入口に車を停めて歩き出した。谷越しに、裸山がスラブをまとった姿を見せていた。工事事務所の前の右手に、草に被われた道形が続いていた。幅5m程の、元は車道であったような道に思われたが、草に被われ、中央部は沢状に削られていた。横倉沢を渡るところで、完全に道は無くなっていたが、対岸の藪の中に、再び道形を見つけることができた。巡視路として使われている可能性は無くなったが、行ける所まで進んでみることにした。尾根の末端部を回り込み、再び沢に出たところで、道形は完全に無くなった。対岸部は、ススキの原で、この中に道が続いていたのかもしれないが、これ以上進むのは諦めることにした。
 車に戻り、裸山乗越には、六十里越から入るか、一本松沢林道から入るか考えた。鬼ヶ面山に登った時の道の状態からすれば、六十里越からなら歩けることは確実であったが、山腹をトラバースする道は距離が結構ありそうであった。ゲートの位置を確かめに一本松沢林道に向かうことにした。
 国道252号線を戻り、破間川ダムに向かった。浅草山荘の下から破間川ダム沿いに進む道は、東屋も途中に設けられて、観光用に整備されていた。一本松沢沿いになると、道も細くなった、それ程走らないうちに、林道のゲートが現れた。手前には駐車スペースも設けられていた。GPSで裸山乗越までの距離を測ると、2.4kmと出た。カーブを考えても、歩けない距離ではなかった。ここから歩き出すことにした。
 林道歩きといっても、谷の周囲は美しく紅葉しており、そう苦にはならなかった。峠が近づいたところで、林道に鎖がかかっており、これから先は東北電力の専用道とのことであった。結局、1時間の林道歩きで裸山乗越に到着した。車道は、この先も鬼ヶ面山の山腹をトラバースする形で続いていた。この道は、六十里越から鬼ヶ面山へ通じる登山道の一部にもなっている。
 峠の脇に送電線の鉄塔が立ち、ここからが登山の開始になる。灌木の藪であるが、かすかに踏み跡が続いていた。テープが短い間隔で付けられていたが、それもすぐに無くなった。小さなピークを越すあたりが一番藪は濃く、木の枝の間に体をつっこんでは、すり抜ける必要があった。前方には、すっきりした三角形をした裸山の山頂を望むことができた。
 鞍部を越すと、藪は薄くなり歩きやすくなった。尾根は痩せてきて東側にはスラブの斜面を見下ろすようになったが、特に危険な道ではなかった。登るにつれて藪も薄くなり、はっきりした踏み跡が続くようになった。尾根の途中には松が並んで生えているが、横に延びた枝を、鋸で引いて落とした跡もあった。それなりに歩く者もいるようであった。
 遠目で見ると、裸山の山頂直下は急斜面なため、安全に登れるのか心配していた。到着してみると、スラブとまではいかない岩が露出した崩壊地で、傾斜もそれほど無かった。ひと登りした中間部からは左手の草付きに逃げて灌木の枝を掴みながら簡単に登ることができた。
 裸山の山頂は狭い切り開きで、中央に三角点が頭を出していた。足元には、スラブの斜面が落ち込み、国道252号線が眼下にうねうねと続いていた。振り返ると、鬼ヶ面山の稜線が屏風のように広がり、浅草岳の山頂が頭を僅かにのぞかせていた。毛猛山塊は目の前で、守門岳もやや遠くに眺めることができた。展望の絶頂であった。浅草岳付近はすでに初冠雪を迎えていたが、ここ最近の暖かい陽気で、枯れ草色の山肌が広がっていた。
 とりわけ危険箇所も無かったので、展望をつまみにビールを飲むことにした。お山の大将の気分を味わうことができた。
 下りは、スラブを見物しながらの歩きになった。ヤブコギ区間は、行きよりは短く感じられたものの、峠から車までの歩きは、最後にはいささかいやになってきた。
 浅草山荘で温泉に入り、大雲沢ヒュッテによって裸山の報告をし、蕎麦を食べた。
 翌日は、巻機山近くの威守松山に登ることにして、清水に向かった。威守松山は、山頂まで破線が通じており、途中の尾根には送電線が通過しており、登れる可能性は高かった。途中、六日町のショッピングセンターで時間をつぶし、暗くなってから清水に到着した。
 清水部落を過ぎて清水峠への林道に進み、といっても開かずの国道291号線ではあるのだが、畑地の間のカーブを登り切った先に、鎖のかかった林道が始まっていた。すぐ先に「1」と番号の書かれた待避スペースがあったので車を停めて夜を過ごした。この先へは、清水峠への登山者しか入ってこないため、静かに寝ることができた。
 のんびりと起き出して出発の準備をした。朝から青空が広がっていた。
 しばらくは林道歩きが続いた。威守松山の山頂もすぐそこに望むことができた。柄沢川を渡ると、林道は大きなカーブを描いた後、上流部に向かって方向を変えた。稜線の末端部の858mピークには鉄塔が見えており、送電線の巡視路がそこに向かって続いているはずであった。頭上を送電線が横切ると、林道は再び下流方向に向きを変えたが、小さなカースを描いて反転した。山の斜面をジグザグを描きながら登っていくのかと思ったが、林道は真っ直ぐに谷奥に向かっていくようであった。入口を見落としたと思い、引き返した。
 カーブ地点から、入口が草で隠されて判りにくくなっていたが、巡視路が始まっていた。ここには、よく見かける送電線の案内板は置かれていないので注意が必要である。すぐに鉄塔の下を過ぎ、その後は、山の斜面を斜めに登っていく道が続いた。体力をそれ程使わないが、残雪期のルートとしては使えない道であった。
 鉄塔の直前で稜線に上がると、威守松山方面に向かっても、刈り払い道が続いていた。威守松山方面に向かって歩き出すと、すぐに、左手の子沢川に向かって道が分かれ、威守松山方面への道の刈り払いはあらくなった。とはいっても道形はしっかりしており、歩くのには問題はなかった。しばらく緩やかな尾根を辿ると、急な登りが始まった。道の上には落ち葉が厚く積もり、表面の状態が判らないため、足を滑らさないように注意が必要であった。
 痩せた尾根の急登を終えると一旦傾斜は緩やかになったものの、再び急斜面の登りが始まった。ブナやナラの疎林で下生えが少ないたため、掴まる枝が無く、かえって登るのに苦労した。そこが山頂かと思って頑張ると、まだ先というのを繰り返すことになった。これくらいの山ならば一気に山頂まで登りきれるのだが、途中で腰を下ろしてひと休みした。風邪をひいており、体調が悪いようである。
 ツバキの混じる灌木帯の中を登っていくと、ようやく威守松山の山頂に到着した。山頂は、三角点の回りが刈り払われた小広場で、遮るもののない展望が広がっていた。割引岳からニセ巻機山、巻機山が目の前に連なっていた。天狗岩の岩壁も手に取るようであった。威守松山から先の稜線が、柄沢山に向かって緩やかに登っていくの目で追うことができた。残雪期にこのピークまで上がれれば、柄沢山までは稜線漫遊といった気分で歩けそうであった。その他にも、大源太山の鋭峰や六日町方面の眺めなど、見飽きない眺めが広がっていた。
 暖かな陽気に包まれ、枯れ草色の山を眺めながら腰を下ろした。天候に恵まれた三連休で、巻機山も賑わっているかもしれない。静かな初冬のひと時を、独り占めの山頂で味わう気分は、日本百名山の巻機山では得られない。登山道も通じているにもかかわらず、威守松山に登ったという話を聞いたことがないのは不思議である。巻機山と登山口が同じというのが、関心を引かない原因になっているのだろうか。
 下りは、落ち葉ごと滑落しないように、足元に注意を払う必要があった。稜線の分岐に戻り、鉄塔をのぞいてみることにした。分岐のすぐ先に鉄塔が立っていたが、果たしてというべきか、尾根の先に向かって、巡視路が延びていた。清水の集落もすぐ下に見え、地図を見ても、桜坂に通じる車道に出ることは確かに思われたので、この道を下ることにした。
 幅広の道がつづら折りに続いていた。次に現れた鉄塔の下からは、清水部落や巻機山の展望が広がっていた。威守松山の山頂よりは低い位置から見ているため、天狗岩の天を突く感じが増していた。落ち葉を蹴散らかしながら快調に下って行くと沢に下り立ち、その後は沢沿の歩きでじきに車道に飛び出した。車を置いた林道歩きまで戻るのも、それ程長い歩きではなかった。
 鉄塔の立つ858mピークからの尾根はつづら折りの急斜面であるので、行きは林道経由で、帰りにこの尾根を使えば、変化に富んだ歩きを楽しむことができる。
 この日のもう一つの課題である無黒山に、点の記にある一之沢からのルートで登ろうとしたが、林道終点から道は見つからず、残雪期に狙うための偵察だけになった。

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