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網張山


【日時】 2003年10月26日(日) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 曇り

【山域】 守門・浅草山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
網張山・あみはりやま・1023.5m・三等三角点・新潟県
【コース】 入塩川コースより
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/守門岳/栃堀
【ガイド】 なし

【時間記録】 7:00 新潟発=(北陸自動車道、中之島見附IC、見附、人面、上塩、入塩川 経由)=8:15 砂防ダム〜8:39 発―8:56 山の神―9:30 滝の上―9:43 水場広場―9:49 三角点―10:03 〆掛小屋―10:49 雨晴清水〜10:59 発―12:03 網張山〜12:14 発―13:09 雨晴清水〜13:24 発―14:03 〆掛小屋―14:16 三角点―14:20 水場広場―14:30 滝の上―15:03 山の神―15:20 砂防ダム=(入塩川、上塩、人面、R.290、三条、三条燕IC、北陸自動車道 経由)=17:10 新潟着

 網張山は、守門岳から大岳、中津又岳を経て北に延びる尾根上のピークである。尾根上の張り出しといった感じのピークであるが、北面は急峻な崖になって、吉ヶ平の南に広がる台地に落ち込んでいる。
 守門岳の登山道のうち、最長のコースとしては、入塩川コースが上げられる。先週、守門岳から大岳の周遊コースを歩き、大岳から北に続くこの入塩川コースに興味を持った。地図を見ていくと、このコースから僅かに外れた所にある網張山に目がとまった。網張山には登山道が無いため、残雪期に登るのが普通であろうが、一番近い登山口の吉ヶ平から登るとして、残雪期にはそこに至るまでの林道自体が危険であり、さらにナイフリッジの尾根が待ちかまえている。時期を余程見定める必要がありそうであった。入塩川コースを登って、藪コギで北尾根に移れば、網張山の山頂に立てそうであった。入塩川コースを大岳まで歩くよりも面白そうなため、網張山を目標として出かけることにした。
 入塩川を訪れるのは始めてであったが、ナビまかせで、この集落までは無事に到着することができた。しかし、地図と少し様子が変わっており、林道の入口が判らなかった。谷の左岸の道を進めば良いはずということで、車道のカーブ地点から、拡張工事中の道に進んだ。しばらくは畑の中の道であったが、沢沿いに谷の奥に分け入る道になった。車でどこまで入れるのか判らなかったが、幸い、舗装道路が続いた。谷が二つに分かれる所に、広場があり、その脇から簡易舗装の林道が始まっていた。坂をひと登りすると、砂防ダムの堰堤に出て、車道は終わった。この広場には、守門岳登山口の看板や案内図が置かれていた。
 砂防ダムの上流に出ると、登山道は右岸に移り、その後は数え切れない程の回数、沢を横断することになった。徒渉点には、初めのうちは木の板が渡されていたが、そのうち飛び石伝いに渡ることになるので、長靴であれば足を濡らす心配がなくてよい。思っていたよりもしっかりした道が続いていた。最近刈り払いが行われたような感じであった。
 歩き始めてすぐに山の神の祠が現れた。登山道は緩やかな勾配のまま、谷の奥に入り込んでいくのが目的のように続いた。ナメ滝の脇を抜けていくと、谷も広がり、沢の流れも細くなっていった。沢をひと登りすると、滝の上と書かれた看板が立てられていた。沢音が一際高くなっていたものの、滝自体は隠れていた。その先で、広場があり水飲み場と書かれていた。沢の源頭部のようで、沢の流れも落ち葉の中をぬうように細くなっていた。
 ここからはひと登りで、案内図にある三角点に到着した。三角点といっても、山と書かれた標石が広場の中央に傾いて頭を出していた。藤島玄氏の「越後の山旅」でも、ここの標石は、営林署のもので、国土地理院の所謂三角点ではないことが記されているが、昔から地名として使われているようである。ここからは尾根沿いの道となり、登山道周辺に杉の植林が目立つようになると、〆張小屋に到着した。小さな三角屋根の小屋で、扉がなくなっており、中をのぞくと一斗缶が散乱していた。雨宿りには使えるが、横になって寝ることはできそうもない広さであった。
 この先は造成地と案内図には書かれていたが、杉はいかにも成長が悪そうであった。植林地を過ぎると、雨晴(あばらせ)ブナ林が始まった。巨木はないので二次林のようであったが、すらりと背の高いブナ林が広がる風景は美しかった。紅葉も盛りで、林は黄色に染まっていた。
 雨晴清水に到着し、ここからがいよいよ本番ということになった。雨晴清水をのぞくと、水は涸れていた。最後の水場ということでは、あてにしない方がよさそうである。雨晴清水が地図上でどこにあるのかは判らなかったが、GPSに落としたトラバース開始地点も丁度ここからにしてあった。
 登ってきた途中の雨晴ブナ林は、下生えが少なくて安心していたのだが、登山道から一歩踏み込むと、密な藪にぶちあたった。斜面に下に向かって灌木が横にはっており、横への移動は苦労を極めた。上下方向は比較的移動しやすいため、少し登っては藪の薄いところを辿ることになった。地図でも予想していたのだが、沢が何本か走っており、その縁の斜面の上り下りにも体力を消耗した。北尾根が近づいたところからは、ルートを登り方向にとり、尾根の上に一旦乗ってから下ることにした。
 後になってからの反省だが、雨晴清水から登山道をもう少し登り、北尾根との距離を短くしておいてから、斜めに下るようなコースを取るべきだったようである。藪の中を右往左往してしまったが、GPSのおかげで位地が判らなくなるということはなかった。
 北尾根の上に出ると、藪は薄くなった。緩やかに下っていくと、僅かな高まりが前方に現れた。これが網張山の山頂のようであった。網張山の山頂部は、密な藪が広がっていた。尾根上のポイントで、明確なピークになっていないため、GPSで山頂の位地を確認することになった。山頂部は藪が濃く、見晴らしも完全に閉ざされていた。
 この付近と思われるところで、ザックを下ろし三角点探しを始めた。GPSの指標を見ながら、10m程の範囲で行ったり来たりしながら藪に頭をつっこんだが見つからなかった。諦めて戻ろうとすると、少し戻ったところの崖際に三角点を見つけることができた。GPSで三角点の位置をマークしておき、あとで地図にデーターを落としてみると、三角形の右の頂点をさしていた。真ん中の点の位置に三角点があると思っていたので予想外であった。これは、三角点の位置にマークを書き入れると、崖にはみ出るように見えてしまうため、少し位置をずらして書いたためと思われる。三角点が見つからない時は、GPSで示される地図のポイントよりは、少し範囲を広げて探す必要があるようである。
 三角点を発見したことで、すっきりした気分で引き返すことができた。帰りは、行きよりも下側をトラバースしたが、尾根の乗り越しが現れたりして、相変わらずの苦労が続いたが、行きよりは短い時間で雨晴清水に戻ることができた。
 雨晴清水脇で、落ち葉をクッションにして座り込み、遅い昼食をとった。後は登山道を下るだけなので、安心してビールを飲むことができた。ひと休みの後、草臥れた足取りで、午後の光に照らされたブナ林を後にした。
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