0357

浅草岳


【日時】 2003年10月11日(土) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 守門・浅草岳
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
浅草岳・あさくさだけ・1585.5m・一等三角点本点・新潟県、福島県
【コース】 登り:ブナ曽根コース 下り:桜曽根コース
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟、日光/小林、須原、守門岳、只見/田子倉湖、毛猛山、守門岳、只見
【ガイド】 新・にいがたファミリー登山(新潟日報事業者)、新潟花の山旅(新潟日報事業者)、アルペンガイド「上信越の山」(山と渓谷社)、山と高原地図「越後三山・卷機山・守門岳」(昭文社)
【温泉】 浅草山荘 600円

【時間記録】 6:30 新潟発=(北陸道、中之島見附IC、R.8、川崎北、R.351、栃尾、R.290、渋川、R.252、大白川 経由)=8:55 ネズモチ平駐車場〜9:02 発―9:10 ネズモチ平登山口―9:23 沢―9:32 前岳分岐―10:46 浅草岳〜11:17 発―11:55 前岳分岐―12:10 カヘヨノポッチ―13:00 桜曽根コース登山口―13:20 ネズモチ平登山口―13:29 ネズモチ平駐車場=(往路を戻る)=16:30 新潟着

 浅草岳は、江戸時代より越後と会津を結ぶ交易路として利用された六十里越と八十里越に挟まれたかつては未開の山域にある。只見線の開通、只見ダムの完成と六十里越の車道化(R.252)によって、この地も登山客が入り易くなり、最近では、東京方面からの登山者も多くなっている。なだらかな山容の西面に対し、福島県側の浅草岳から鬼ヶ面山に続く稜線の東側は、大岩壁になって、対称的な姿を見せている。登山道は、一般には、歩行時間の短いネズモチ平あるいは桜曽根から登る者が大部分であるが、沼の平のブナ林と組み合わせることのできる入叶津に至るロングコース、急登の連続となるが鬼ヶ面山の岩壁の眺めが素晴らしい田子倉登山口からのコース、六十里越峠から岩壁の縁を辿りながら鬼ヶ面山を越して浅草岳に至るコースなど、それぞれ特徴のあるコースを楽しむことができる。

 今年から、大白川からの林道にゲートが設けられ、ネズモチ平あるいは桜曽根の登山口まで車で入ることはできなくなった。その代わりに、ネズモチ平の手前に、大駐車場が整備された。大白川側からは、登山を始めた時に桜曽根の往復で登ったきりで13年が経過し、しかもネズモチ平登山口からのブナ曽根は歩いていない。登山口の様子が変わったことと合わせて、歩き直してみようという気持ちになっていた。体育の日がらみの三連休の初日は晴の天気予報が出て、紅葉を楽しみに出かけることにした。
 大白川でR.252と分かれ、破間川ダムに向かい、浅草大橋を渡って大自然館を過ぎると、右沢に沿っての林道になる。舗装化が進んでいるが、途中から未舗装の道に変わった。以前からある展望台の入口を過ぎた先で、今回設けられた駐車場に到着した。駐車場は、100台以上は停められるのであろうか、きれいに整地され、駐車の仕切にロープが地面に張られていた。連休初日ということで、混雑を覚悟していたのだが、半分程が埋まっているだけであった。以前の状態であったなら、登山口の駐車場から溢れた車で路上駐車の長い列ができていたはずなので、ゲートが設けられて、歩く距離が少し長くなったが、かえってよかったと思う。
 駐車場付近の紅葉はまだ早かったが、山を見上げると、山腹は紅葉で色づいていた。青空も広がり、山頂付近での展望が楽しみであった。
 林道には、がっしりした鉄のゲートが設けられていた。車道歩きは意外に傾斜があり、汗が噴き出てきたが、準備運動と思えば良い。10分程でネズモチ平の登山口に到着した。しばらくは緩やかな登りが続いたが、沢を二つ渡ると、急な登りが始まった。この尾根はブナ曽根と呼ばれるが、ブナ林の中を黙々と登ていくと、紅葉も盛りになっていった。時折見下ろす谷間は、紅葉に美しく染まっていた。
 岩場が現れたが、迂回路も設けられており、それ程難しいものではなかった。ただ、初心者には、ここは登りに使った方が安全であろう。二つ目の岩場を越すと、痩せ尾根の上に出た。背後を振り返ると、守門岳が大きな姿を見せていた。尾根をもう一頑張り登ると、前岳に到着し、右手から桜曽根の登山道が合わさった。分岐から少し進むと、浅草岳の山頂が姿を現した。草原は黄色に染まり、緑の笹原の中には色づいた灌木が点在していた。ここまでの登りで結構草臥れたので、風景を眺めながらひと休みした。
 この先は、木道も整備されており、カメラを首から下げて、のんびりと歩くことができた。山頂下の草原には、テラスが設けられ、大勢の登山者が休んでいた。山頂で休むことにして先に進むと、ひと登りで浅草岳の山頂に到着した。以前登った時には、腰を下ろす場所も無いほど混んでいたこともあったが、今回は、それ程は混み合ってもいなかったので、ザックを下ろし、ビールを取り出した。
 これまでのうちでも最高の展望が広がっていた。田子倉ダムの湖面が眼下に光り、その向こうには会津朝日岳から会津駒ヶ岳に至る稜線、その右手には双耳峰の燧ヶ岳、ドーム状の日光白根山、さらに右手には平ヶ岳に荒沢岳、鬼ヶ面山の向こうには毛猛山塊、その奧には中ノ岳、越後駒ヶ岳、八海山が並んでいた。久しぶりに、山での展望を楽しむことができた。
 ビールを飲み干し、写真を撮りながら、下山に移ることにした。鞍部のテラスから分かれる田子倉への登山道に進むと、鬼ヶ面山の岩壁の眺めを楽しむことができた。鞍部の草原に戻ると、守門岳と並んで粟ヶ岳の眺めも広がっていた。
 前岳の分岐からは、桜曽根コースに進んだ。痩せ尾根になって展望も広がり、周囲の紅葉も盛りで、写真撮影のために、思わず足を止めることになった。展望という点では、ブナ曽根よりは、桜曽根の方が優れている。
 カヘヨノポッチを過ぎると樹林帯の下りになったが、紅葉が美しく、楽しみは続いた。時折鳴る鐘の音が近づいてきたと思うと、ピラミッド型の支柱に支えられた「浅草の鐘」が現れて、すぐ下が林道終点の登山口であった。皆にならって、鐘をひと打ちした。この付近の山では、登山道の整備というと、鐘が付き物というように、鐘が置かれている。
 駐車場までは、30分程の林道歩きになったが、車が入ってこないこともあり、のんびり歩くことができた。ゲートができたことによって、ブナ曽根を登って、桜曽根を下るというのが、これからの一般コースになりそうである。以前は、桜曽根の往復が主であったので、山にじっくり浸るという点では、ゲートができて良かったと思う。

山行目次に戻る
表紙に戻る