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大白森
翁山


【日時】 2003年8月30日(土)〜31日(日) 前夜発1泊2日各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 23日:晴  24日:雨

【山域】 秋田駒ヶ岳周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 小白森山・こじろもりやま・1144m・なし・秋田県
 大白森・おおじろもり・1215.6m・三等三角点・秋田県
【コース】 鶴ノ湯
【地形図 20万/5万/2.5万】 秋田/雫石、八幡平/ 秋田駒ヶ岳、曲崎山
【ガイド】 アルペンガイド「八甲田・白神・早池峰」(山と渓谷社)、分県登山ガイド「秋田県の山」(山と渓谷社)、新編東北百名山(山と渓谷社)、山と高原地図「八幡平・岩手山・秋田駒」(昭文社)
【温泉】 鶴ノ湯 400円(石鹸のみ)

【山域】 秋田駒ヶ岳周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 小白森山・こじろもりやま・1144m・なし・秋田県
 大白森・おおじろもり・1215.6m・三等三角点・秋田県
【コース】 鶴ノ湯
【地形図 20万/5万/2.5万】 秋田/雫石、八幡平/ 秋田駒ヶ岳、曲崎山
【ガイド】 アルペンガイド「八甲田・白神・早池峰」(山と渓谷社)、分県登山ガイド「秋田県の山」(山と渓谷社)、分県登山ガイド「宮城県の山」(山と渓谷社)、新編東北百名山(山と渓谷社)、山と高原地図「八幡平・岩手山・秋田駒」(昭文社)

【時間記録】
8月29日(金) 17:00 新潟発=(R.7、本庄、R.105、大曲 経由)=23:30 中仙  (車中泊)
8月30日(土) 5:20 中仙=(角館、R.341、田沢湖橋 経由)=6:20 鶴ノ湯〜7:00 発―7:06 林道―7:35 水場―8:10 稜線分岐―8:32 小白森山―9:15 大白森〜9:51 発―10:24 小白森山―10:43 稜線分岐―11:05 水場―11:26 林道―11:30 鶴ノ湯=(田沢湖橋、R.341、角館、R.105、大曲、R.13、新庄、高橋 経由)=19:00 林道入口  (車中泊)
8月31日(日) 6:20 林道入口―7:24 翁山小屋―7:47 五合目(白髭の泉)―8:09 八合目―8:15 翁山―8:27 八合目―8:37 五合目(白髭の泉)―8:52 翁山小屋―9:36 林道入口=(高橋、尾花沢、R.347、寒河江、R.287、長井、手の子、R.113、大島、R.290、新発田、R.7 経由)=15:00 新潟

 大白森は、秋田駒ヶ岳から乳糖山を経て八幡平に続く稜線の途中にある山である。山頂は台地状で、高層湿原が広がり、秋田駒ヶ岳や岩手山の展望が楽しむことができる。登山口には、秘湯で名高い鶴ノ湯があり、この山の登山の楽しみを増している。
 翁山は、尾花沢の東、奥羽山脈の中央部の山形県と宮城県の県境に位置する山である。山頂から南にかけての稜線はのびやかな笹原になっている。地形図には翁峠と書かれているが、ガイドブックなどでは翁山と現されている。

 この夏の天気はどうなったのだろうと恨み言をいいたくなる。この週末も前線が日本を横断して、その影響が出そうであった。新潟から南は天気が崩れるので、東北方面に出かけることにした。東北百名山のうち、大白森と翁山を目的に出かけることにした。大白森の登山口は乳頭温泉の鶴ノ湯であり、下山後の温泉も楽しみであった。
 金曜は午後から他の用があったために早退し、新潟を早めに出発することができた。日本海沿岸の国道7号線を北上するうちに、象潟付近で、暴風雨に出くわし、ノロノロ運転になったが、しばらく忍耐の走りを続けていると、小降りになった。新潟を夜出発すると、本庄の道の駅あたりが限界になるのだが、この日はもう少し先に進むことができ、結局、角館手前の中仙の道の駅で寝ることになった。
 翌朝は、車の運転をもうひと頑張りすることになった。田沢湖を通過して、秋田駒ヶ岳への道を分けてしばらく走ると、鶴ノ湯への未舗装の道路が分かれた。谷に向かって下りていくと、ブナ林に囲まれた鶴ノ湯の駐車場に到着した。大きな駐車場が設けられていていたが、人気のある温泉ということで、駐車場は、早朝にもかかわらず半分程が埋まっていた。一軒宿であるが、茅葺きの建物が並び、入り口には黒く塗られた門が立てられていた。秋田藩主の佐竹公が湯治に訪れた際、警護の藩士の詰め所であったという長屋造りの「本陣」が古色蒼然とした佇まいで一際印象深い。映画のセットに出てきそうな感じであった。温泉の開湯は今から350年前(元禄14年)というから、そこらの温泉と比較することはできない。入浴は10〜15時ということなので、下山後の入浴には問題はなかった。
 大白森への登山口は、温泉入り口に向かって左側の駐車場の片隅で、鳥居が立ち、大白森への標識が立てられていた。
 温泉客の散策路も兼ねているのか、整備された道が続いていた。ひと登りすると、鶴ノ湯神社のお堂が現れ、その後はブナ林の中の緩やかな道が続いた。蟹場温泉への道を右に分けると、すぐ先で林道に飛び出した。登山道は、林道の右手10m程のところに続いていた。
 しばらくは杉林、その後はカラマツ林に囲まれて、あまり面白くない登りが続いた。植林帯を抜けて、ブナ林が広がるようになると、傾斜が増してきた。キン(肝)取坂と呼ばれるらしいが、ジグザグに道を付けてあるため、特に大変という訳ではなかった。背後を振り返ると、秋田駒ヶ岳の展望が広がっていた。坂の途中に水場があり、喉の乾きを癒すことができた。
 一旦傾斜は緩やかになるが、前方の小ピークに向かって、傾斜は再び強くなった。坂を登りきると、乳頭山からの縦走路が右手から合わさった。その先からは、登山道が、泥沼状態になっているところが何カ所もあり、柔らかいところに足を下ろしたため、登山靴が泥だらけになってしまった。
 大きなブナを眺めながら登っていくと、木道が現れた。木道の敷かれた台地を進んでいくと、小白森山という標識が立てられていた。脇には湿原が広がっていた。この標識が無ければ、山頂と思わずに通過してしまうような、山頂らしからぬところであった。
 小白森山からは一旦下り、登り返すと、再び木道が現れて、山頂に到着したことを知ることができた。大白森の山頂は、広大な湿原で、その中に一条の木道が延びていた。木道を進んでいくと、大白森山頂と書かれた標識が立てられていた。
 木道に腰を下ろして、ひと休みした。ひさしぶりの青空のもと、岩手山から秋田駒ヶ岳に至る稜線がパノラマ状に広がっていた。山頂に湿原が広がる山としては、苗場山、平ヶ岳、田代山などが思い浮かぶが、この大白森は、小振りながら、周囲の展望が広がっていて独自の魅力を持っていた。湿原の草はすでに黄色く色が変わりはじめ、草原に咲く花も、フデリンドウとウメバチソウで、夏は終わってしまっていた。浮かぶ雲も、秋の気配を漂わせていた。風は冷たかったが、汗が引く前にと、さっそくビールを飲んだ。
 休みながら地図を確認すると、三角点は、木道から少し離れたところの灌木亭の中にあるようであった。出来るだけ草原歩きの少なそうな所から木道をはずれて、灌木帯の藪に入った。GPSを頼りに進んでいくと、矮小化したダケカンバの木にプレートが取り付けられており、その脇に三角点が埋まっていた。
 プレートを見ると、「藪山登山家集団 TRIANGLE POINTS」と書かれていた。プラスチック製で制作費もかなりかかっており、盛岡を中心に活動しているグループのようであった。インターネットで検索をかけると、幾つかの山で見たという報告があったものの、活動状況は公開されていないようなのは残念である。
 下りの途中にも、10名程の団体を含めて、5グループ程とすれ違い、そこそこに人気のある山であることが判った。これは、山の魅力というだけではなく、登山口の鶴ノ湯も人気に大きく貢献しているものと思われる。温泉を期待しながら、下山の足を運んだ。
 鶴ノ湯の受付前のベンチには、湯涼みの温泉客で賑わっていた。黒湯、白湯、中湯と、幾つかの浴槽があったが、写真で良く取り上げられているのは、中湯の露天風呂であった。浸かっていると体が見えないような乳白色の湯で、露天風呂の中から湯が湧いていた。回りに生えているススキが風情を醸し出していた。混浴とのことであったが、男性客で賑わっており、女性が入れる雰囲気ではなかった。ガイドブックに出ている混浴風景の写真はヤラセである。女性用には、専用の露天風呂が設けてあるようであった。他の湯にもひと通り入って、温泉疲れをおこした。
 時間的には、もうひと山というところであったが、温泉に入って、山の気分はすっかり無くなっていた。翌日の東北地方の天気は悪そうであったが、翁山なら登山に時間がさほどかからないため、なんとかなりそうであった。
 尾花沢までの移動は、一般道を利用するため、かなりかかりそうであった。途中で、大規模スーパーによって本の売り場をのぞくと、秋田の地方出版で有名な無明舎から出されている「秋田の山登り50」と「秋田のハイキング50」のガイドブックを見つけたので買った。旧版は持っていたが、新しい版はカラー写真入りで、山の数も増えており、役に立ちそうであった。夕食を取ったりしながら、休み休みの運転のため、翁山の登山口の取り付きの高橋の集落には、薄暗くなった7時少し前に到着した。
 高橋バス停の脇には、翁山の案内図が置かれていた。市道を進むと、山に向かっての林道が始まった。舗装された道が続き、尾根を乗り越す手前で、左手に未舗装の林道が現れた。入り口には、案内図と標識が立てられて、翁山へのコースであることを示していた。
 林道は荒れているようであったし、暗くなって路面の状態も判らないため、入り口に車を停めて夜を過ごすことにした。周囲には空き地のようなものが無かったため、路上駐車になった。道幅は充分あったし、周囲には田圃があるだけで、車の通行は、夜間は無いはずであった。天気の崩れが思ったよりも早く、寝る頃から雨が降り出してきた。
 目を覚ますと、本降りの雨になっていた。未舗装の林道から、舗装道路の上に小石が流されてきていた。翁山の第一関門は、悪路といわれる林道の走行であったが、無理をせずに歩くことにした。案内図にも、「道幅狭し勾配急車両通行止め」と書かれていた。地図やガイドを見ると、1時間ほどの林道歩きになるようであった。
 車の中で雨具を着込んでの出発になった。林道歩きも長いことから、傘をさして歩き出した。林道歩き5分ほどで、右手の沢を渡る橋が現れ、翁山への林道はその先に続いていた。橋の脇には駐車スペースがあるので、ここまで車を進めるのが良さそうであった。
 橋の脇には、この先の林道は車の通行困難という案内がとめられていた。林道を歩き出してみると、車のすれ違いが難しいところがあるが、路面の状態は悪くはなかった。最近、砂利を入れて、路面の補修が行われたようであった。車を取りに戻るか迷ったが、雨のせいで落石でもあるといやなので歩くことにした。
 大きくジグザグを切る林道は、登りが続いて汗が噴き出てきた。傾斜がゆるむと、クルミ平の台地状の地形が広がった。地図を見ると、途中で林道が分かれるようであったが、分岐する林道は草で覆われており、コースを誤る危険性は少なかった。途中には、クルミ平沼や養老の泉といった看板も現れたが、そこに通じる道は草に覆われているようであった。
 結局、1時間の歩きで、登山口の翁山山荘に到着した。この日の林道は、ここまで車で入ることができる路面状態であった。山荘の回りは草地にの広場になっていた。
 翁山への登山道に進み、小沢を越した先で右手にも登山道が分かれた。これは、黒倉山方向への周回コースのようであった。翁山へは、そのまま直進した。ブナ林の中の登りが始まった。ひと登りした後で、左手にトラバースしていくと、五合目の標識が現れ、そのすぐ先の沢に白髭の泉と書かれていた。泉というから、通常は、伏流水がわき出しているのかもしれないが、本降りの雨のもとで、沢水が流れていた。その先しばらくは、足場の悪いトラバ−スが続い。谷を巻き終わると、尾根沿いの登りが続いた。登山道周囲の木立は、次第に背が低くなって灌木状になっていった。
 八合目の標識を見つけてもうひと頑張りと思ったが、急坂をひと頑張りすると、翁山神社の祠が現れた。その先の高まりが翁山の山頂であった。感じでは、八合目は、久合目といった方が良さそうであった。
 雨に打たれながらの翁山の山頂であった。カメラで写真を撮るのもやっとであった。黒倉山方面の斜面は、のびやかな笹原が広がっているというが、この様子では、もろに雨に打たれそうであった。周回コースは諦めて、早くブナ林に逃げ込むことにして、周回コースは諦めることにした。
 下りは早く、あっという間に翁山山荘に戻ることができたが、その後の林道歩きは長く感じられた。それでも、帰りの歩きは短くなった。車に戻り、ともかく登山を行ったことに満足して家路についた。
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