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中山、斉藤山


【日時】 2003年6月29日(日) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 曇り

【山域】 南会津
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 中山・なかやま・865.6m・三等三角点・福島県
【コース】 中山風穴公園駐車場より
【地形図 20万/5万/2.5万】 日光/田島/湯野上
【ガイド】 南会津・鬼怒の山50(随想社)、会津百名山(歴史春秋社)、うつくしま百名山(福島テレビ)

【山域】 南会津
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 斉藤山・さいとうさん・1278.3m・二等三角点・福島県
【コース】 会津長野からの林道より
【地形図 20万/5万/2.5万】 日光/田島/田島
【ガイド】 南会津・鬼怒の山50(随想社)、会津百名山(歴史春秋社)、うつくしま百名山(福島テレビ)
【温泉】 芦ノ牧ドライブ温泉 350円

【時間記録】 7:10 新潟発=(磐越自動車道、会津坂下IC、R.49、会津坂下、南原、R.118、湯野上 経由)=9:45 中山風穴公園駐車場〜10:02 発―10:17 林道入口―10:23 第6指定地―10:51 階段下―10:56 中山中継所―11:02 中山〜11:12 発―11:27 中山中継所―11:30 階段下―11:52 第6指定地―12:07 中山風穴公園駐車場=(湯野上、R.121、長野橋 経由)=13:00 ヘアピンカーブ〜13:05 発―13:21 林道終点先の尾根―13:50 埋設ケーブル尾根分岐―14:01 ヘリポート―14:05 斉藤山―14:11 ヘリポート〜14:28 発―14:31 埋設ケーブル尾根分岐―14:52 林道終点先の尾根―15:00 ヘアピンカーブ=(往路を戻る)=18:20 新潟

 中山は、湯野上温泉の背後にある山である。東斜面には、積み重なった岩石の間から冷気が吹き出る風穴が点在し、周囲が冷却されるため低高度でも高山植物が生息する「中山風穴特殊植物群落」が形成され、天然記念物に指定されている。

 斉藤山は、会津田島の下流の阿賀野川(大川)右岸にある山である。麓からは、山頂に立つ中継基地が目に入り、良く目立つ山になっている。

 土曜日は、雨のために飯豊山行が中止になり、計画変更で登った菅名岳ではヒルに襲われて、すっかり新潟の山は嫌いになった。日曜日に登る山をあれこれ考えた結果、会津に出かけることにした。朝出発で登ることのできる山として、中山と斉藤山を選んだ。
 小雨の新潟を離れて会津に入ると、薄日もさしてきた。中山は、湯野上温泉の裏手に登山口があることを知っていたが、何度も通る道であるにもかかわらず、登山口を確認したことはなかった。温泉街を通り抜けようとする所に、「中山風穴地特殊植物群落」の標柱が立っている。その脇の、急坂になった細い道に入ると、金塚山ウォーキングコースの標識があった。金塚山とは知らない山だと思って地図を見たが、この一帯には、中山しかピークらしい山はなかった。結局、中山のことを地元では金塚山と呼んでいるようであった。
 畑地の広がる段丘上に出ると、中山が尖った山頂を突き上げる姿が目に入った。中山への登山道入口を過ぎた少し先に、公園の駐車馬が設けられていた。一帯は、きれいに整備された草地が広がり木々が点在していた。目の前に中山が、先ほどとは大きく形を変えて、台形の姿を見せていた。
 登山の準備を整えた後、先ほどの登山道入口に歩いて戻った。この角には、中山風穴特殊植物群落の説明板が置かれ、次のように書かれていた。
 「天然記念物「中山風穴地特殊植物群落 1964年6月27日国指定
西にそびえる山は中山(855.6m)です。およそ200万年前に地下から現れた火成岩でできています。柱状節理を持った岩で、節理面から崩壊し易く、そのかけらが麓に堆積して巨大な崖錘を形成しています。この金塚の丘もその崖錘の一部です。角張った岩のかけらでできた崖錘のなかは透き間が多く、それが外に開いた穴からは冷たい風が吹出しています。これを風穴といいます。風穴が多いところでは夏でも気温が上がらず、そのため特殊な植物が群生しています。そのような風穴地がここ中山には6箇所ほどあり、天然記念物に指定されています。6箇所はそれぞれ少しずつ異なりますが、イワダレゴケ、ウサギシダ、オオタカネバラ、ベニバナイチヤクソウといった、ふつうならば高山か北辺の地にしか育たない、氷河期の遺存植物がみられます。風穴が冷気を吹出すためには、崖錘の表面から空気が出入りすることが大切ですが、崖錘の透き間が長い間腐葉土で塞がれずに、風穴が健全に機能してきたのは、当地で古くから行われていた「山焼き」によると考えられます。風穴地の管理には、この代わりになる処置が必要で、樹木の伐採等を行っています。風穴や植物を痛めないように、囲いの外から観察して下さい。  文化庁 下郷町教育委員会」
 看板の脇から遊歩道を進むと、第3指定地に出た。アイズシモツケやオオタカネバラといった高山性の植物が見られるとのことであったが、植物にうとい身にとっては、夏草の延びきった藪としか見えなかった。遊歩道が左右に分かれたがそのまま直進していくと、左下に国道を見下ろすようになり、国道から上がってきたものと思われる林道に飛び出した。山の上方に向かう林道には鎖が掛けられており、分岐の先には進めなくなっていた。
 林道をひと登りすると、第6指定地に到着した。山の斜面に広がる草地には、ヤナギランが咲いており目を楽しませてくれた。この先は、中山の裏側に回り込むまでの、長く感じる林道歩きが続いた。少し不安に思うようになったところで、右手の稜線に上がっていく階段道が現れた。道の脇には電柱の列も並んでおり、中継基地への保守道のようであった。
 階段登りに汗を流して稜線に上がると、中山中継所と書かれた施設が現れた。ここからは、尾根沿いの道になった。薄暗い杉の植林地を抜けると、視界が開けて、眼下に阿賀川の眺めが広がった。その先のピークに登り着くと、ここにも中継基地が置かれていた。ここが山頂かと思ったが、GPSはまだ先を示していた。
 僅かに下ると、その先に小高いピークが現れた。登り着いたピークには、中山の山頂標識が置かれいた。小野岳がすぐ隣りに聳えているはずであったが、山頂部は雲に覆われていた。周辺は伐採地になっており、天気が良ければ、腰を下ろしてお弁当を広げるのに良さそうな山頂であったが、次の山を考えると長居はできなかった。
 林道を戻り、途中の第6指定地からは、林道のゲートではなく、第5指定地への道に進んだ。山腹をトラバースした後に、階段道で一気に下ると、行きに歩いた遊歩道に下り立ち、後は来た道を戻ることになった。
 登りと下山の途中に二人連れ二組と出合った。この山は、そこそこに知られているようであった。湯野上温泉の裏山で、下山後の温泉を楽しむことができることも、影響しているかもしれない。
 ひと休みした後、斉藤山に向かった。阿賀川沿いのR.121を走り、会津田島手前で長野橋を渡った。橋の正面には、斉藤山が山裾を大きく広げていた。斉藤山であることは、山頂部に無線塔がたっているので、すぐに判った。
 会津長野駅の入口を通り過ぎて、あかまつ荘をめざした。会津鉄道の踏切を渡ると、その先の右手にあかまつ荘が現れた。その入口を過ぎると、未舗装の林道が始まった。右手に採石場かなにかの入口があり、ここは斉藤山の標識に従って左の道に進んだ。
 アママツやカラマツ林の中の、山の高みに向かって緩やかに登っていく道が続いた。分岐を右に進むと、傾斜も増してきた。道は狭いようにガイドブックには書かれていたので、適当な所から歩き出すつもりでいた。谷間状の窪地で、急な登りになり、道幅も狭くなった。あいにくと、駐車スペースも回転場所も無いことから、先に進むしかなくなった。ハンドルの切り返しが必要なヘアピンカーブに出た所で、車を置くスペースがあったので、ここから歩き出すことにした。
 なんとかの法則といっても良いかもしれないが、悪路のために車を諦めて歩き出すと、その先は、道の状態が良くなることが多い。もうちょっと車で頑張れば良かったかなと思いながらの林道歩きになった。二番目のヘアピンカーブを過ぎると、駐車できる広場に到着し、その先で僅かな下りになり、林道は草で覆われるようになった。その先で尾根上に出ると、右手の下向に向かってこの林道跡は下っていった。
 登山道は、林道終点から始まると書いてあるし、斉藤山の山頂は左手であった。登山道とはいえないが、明らかな踏み跡が尾根沿いに続いていた。林道終点というのがどこか判らないので、この踏み跡を登ってみることにした。尾根沿いの雑木林の下生えは少なく、歩くのは楽であったが、逆にどこでも歩けて踏み跡を見失いやすかった。尾根の合流点では、下りのために、赤布を付けながら登る必要が出てきた。GPSと赤布のおかげで、帰りの心配はなかったが、これでは、初心者向きの登山では無くなってきており、怪訝な気持ちになってきた。
 左下から登ってきた尾根に登り着くと、埋設ケーブルの道に飛び出した。幅3m程のしっかりした道で、ここまでの踏み跡とは大違いであった。硬質ゴムを埋め込まれた階段登りを続けていくと、中継施設が現れ、その先でコンクリートで固められ、十文字が書かれたヘリポートに出た。
 斉藤山の山頂はさらに100m程先のようであったが、ここで道は再び判りにくくなっていた。身の丈を越す笹藪に入り込んで、足元に続いている踏み跡を辿って先に進んだ。幸い、すぐに笹藪は終わったものの、登山道は藪に覆われている状態であった。
 辿りついた斉藤山の山頂は、木立に囲まれて展望はなく、古びた山頂標識が置かれているだけであった。ヘリポートに引き返してから休むことにした。ヘリポートの上は、周囲の山並みを眺める絶好の展望台になっていた。とはいっても、山頂部は雲に覆われているため、どのような山が見えているのかは判らなかった。
 下山は、コースを外さないように注意深く下る必要があった。雷電神社へ続いている南北尾根を辿っているようであった。所々にビニールテープが残されているのを見つけることもできたが、一般コースとは言えそうもなかった。
 林道に戻って、ひと息ついた。少し手前の、車が到達できる最終広場に戻ると、高みに向かう登山道を見つけることができた。入口が草に覆われているのと、登ってきた方向に折り返すように続いているので見落としてしまったものである。車は、確かにこの広場で終点になるが、林道跡がその先に続いているのも、誤解のもとであった。山には登ることができたものの、登山道を辿れなかったという反省が残る山行になった。
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