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菱ヶ岳、五頭山


【日時】 2003年6月7日(土) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 曇り

【山域】 五頭山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
菱ヶ岳・ひしがたけ・973.5m・二等三角点・新潟県
五頭山・ごずさん・912.5m・三等三角点・新潟県
【コース】 中ノ沢渓谷森林公園より周遊
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/津川/出湯
【ガイド】 新潟花の山旅(新潟日報事業社)

【時間記録】 6:00 新潟発=(R.49、三川、岡沢、中ノ沢 経由)=7:30 五頭山林道入口〜7:49発―7:52 中ノ沢渓谷森林公園菱ヶ岳登山口―8:05 登山道入口―8:24 幸地蔵沢―8:27 尾根取り付き―9:05 天平〜9:10 発―9:30 796mピーク―9:48 与平峰―10:06 菱ヶ岳〜10:13 発―10:29 与平峰―11:16 三叉路―11:23 五頭山―11:26 主稜分岐〜11:46 発―12:20 杉峰〜12:25 発―13:15 五頭山登山口―13:30 五頭山林道入口=(往路を戻る)=15:10 新潟着

 五頭連峰は、新潟平野の縁に連なる飯豊連峰の前衛の山である。新潟市に近いことから、日帰り登山の山として親しまれている。宝珠山、菱ヶ岳、五頭山、松平山のピークには、縦走路をはじめ、各方面からの登山道が切り開かれている。この内、五頭山塊東面の中ノ沢からは、菱ヶ岳と五頭山のそれぞれに登山道が通じているが、裏五頭とも呼ばれるように、新潟市から近い西面がメインになって、こちらからの登山者は少ない。
 五頭連峰は、各方面から登山道が開かれており、しかも最近では、新しい登山道の開通がブームのような感がある。話題性のためもあり、新しい登山道に足が向いてしまい、古くからの裏五頭からのコースを歩いていないのが気にかかっていた。
 三川から岡沢を通り、中ノ沢をめざした。中ノ沢集落へ通じる道路は、渓谷沿いで幅の狭い所があり、車の運転には注意が必要であった。集落を過ぎてさらに進むと、中ノ沢渓谷森林公園に到着した。道なりに進むと、五頭山登山口に通じる五頭山林道入口に到着してしまったので、菱ヶ岳登山口になるキャンプ場に車を回した。看板を見ると、中ノ沢渓谷森林公園の利用者は200円を徴収するとのことなので、駐車場の利用も料金が必要なのか判らず、車を五頭山林道入口の路肩に停めることにした。いずれにせよ、二つのコースを周遊するつもりなので、下山口に近い方に車を置いた方が都合が良い。
 キャンプ場に戻り、菱ヶ岳登山道の標識に従って、バンガローの並ぶ園地の中の車道を上方に向かって進んだ。車道が左に大きく曲がって下りにかかるところで、右手に登山道が分かれた。ここからは、見通しの利かない杉林の中の歩きがしばらく続いた。地形的にもほぼ平坦で、目印に乏しかった。道はしっかりしているが、残雪にでも覆われていると、この登山道のトレースは難しそうであった。
 細い流れの幸地蔵沢を渡ると、その先で尾根の末端部に到着した。杉林の作業のためなのか、直進方向にも山道が続いていて、進入禁止のために木の枝が横たえられていた。うっかりすると直進する可能性もあり、注意する必要がある。右に曲がって尾根に取り付くと、急な登りが始まった。
 ひたすらな登りが続き、汗がしたたり落ちた。見晴らしもなく、足を前に出し続けるしかなかった。標高620m付近でようやく傾斜が緩むと、稜線の平坦部に到着した。天平と呼ばれるらしいが、腰を下ろしてひと休みする区切りになった。
 僅かに下った後に、再び急な登りが始まった。背後に展望も開けるようになって、少しは気が紛れるようになった。796mピークが近づくと、右手の谷間にブナ林が広がるようになって、心がなごんだ。夏も近づき、緑もすっかり濃くなっていた。登るにつれて、左に山頂が平らになった菱ヶ岳の山頂が迫ってきた。菱ヶ岳は、とんがりピークと思っていただけに、この見え方は意外であった。
 縦走路の分岐となる与平峰に到着して、まずは菱ヶ岳の山頂を目指した。緩やかな高原状の地形の中の小ピークを乗り越していく道で、展望も開けた。目の前の笠菅山は大きく見えるものの、遠くはもやって飯豊の展望は得られなかった。ここのところの山では、雨はふらないものの、薄曇りで遠望は利かない天気が続いている。菱ヶ岳から下ってくる登山者にもすれ違うようになった。
 菱ヶ岳の山頂は、単独行が休んでいたが、五頭山方向に歩き出し、一人だけになった。この山頂は、木立に囲まれて展望が開けていないのは残念である。これから五頭山まで歩かなければならないため、ビールを開けるにはまだ早い。
 縦走路を戻り、与平峰から下っていくと、五頭山方面の展望が開けた。五頭山は、稜線から標高差のあるピークではないが、崩壊地の筋が三本刻まれているので、それと見分けることができる。木立に囲まれて、長く感じる歩きが続いた。途中で展望が開けると、中ノ沢に下る尾根が一望でき、途中の杉峰が、三角形の山頂を見せていた。下りのコースといっても、途中で登りに汗を流す必要があるようであった。三叉路が近づいたところで、夫婦連れに追いついた。奥さんの方は、かなり疲れているようで、足が止まっていた。「山頂まではもうすぐですか」と聞いてきたので、「もう少しで三叉路ですよ」と答えた。菱ヶ岳からここまで歩いてきたとすると、時価的にかなりのペースであるが、オーバーペースになってしまったのかもしれない。気温も高くなっており、ペース配分も難しい季節になってきた。
 三叉路で右折して五頭山をめざした。あいかわらず木立に囲まれて展望の無い登山道を行くと、五頭山の山頂に到着した。単独行が休んでいたので、そのまま先に進んで、中ノ沢への下降点の分岐で腰を下ろした。三叉路から前一ノ峰に寄り道して、そこで休めば、展望を楽しむことができたのにと、遅まきながら気が付いた。ようやくお待ちかねのビールを開けた。
 松平山方面の登山道は、少し草が伸びており、中ノ沢への道の方がしっかりしていた。菱ヶ岳から五頭山の間は、周遊できるため、登山者も多いが、松平山への縦走となると個人では難しいため歩く者は少なくなってしまうようである。
 中ノ沢への道は、急な下りで始まった。杉峰との鞍部近くで、5名グループに出会った。朝、中ノ沢キャンプ場の菱ヶ岳登山口脇のトイレで出会ったグループであった。ここまで登るのに、かなり苦労したようであった。
 杉峰への登りは、力を振り絞る必要があった。杉峰は、その名前のとおりに、天然杉が並んでいた。杉の植林地は、ブナ林と違って、登山愛好家の評判が悪いが、このような天然杉は、風格があって好きである。稜線には天然杉、谷間の風当たりの弱いところはブナと、自然な状態では共存していた。
 杉峰からは、長い下りが続いた。途中で小さな登り返しがあり、体力を消耗した。この尾根のブナ林は立派で、紅葉の頃でも歩けば美しそうであった。
 最後に尾根を左にはずし、杉の植林地を行くと、林道に飛び出した。未舗装の林道であったが、車が三台停められていた。林道を下っていくと、15分の歩きで車に戻ることができた。
 菱ヶ岳から五頭山への周遊なら、五頭スキー場からも歩けるが、中ノ沢からのコースは、しっかりした登山道が整備されているにもかかわらず、登山者にはほとんど会わない。静かな山歩きを好む人には、お勧めのコースである。

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