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唐松山から高鼻山


【日時】 2003年5月24日(土) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 権現堂山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 唐松山・からまつやま・1079.3m・三等三角点・新潟県
 高鼻山・たかはなやま・817.5m・三等三角点・新潟県
【コース】 松川林道終点より
【地形図 20万/5万/2.5万】 日光/須原/須原
【ガイド】 なし
【温泉】 守門温泉SLランド青雲荘 500円

【時間記録】 5:30 新潟発=(北陸自動車道、中之島見附iC、R7、川崎北、R.351、栃尾、R.290、上条、R.252、細野、松川、松川林道 経由)=7:55 高鼻橋〜8:15 発―8:50 山頂まで約90分標識―9:59 1060mピーク―10:13 猫岩―10:27 1060mピーク―10:39 唐松山―11:14 980mピーク(下降点)―12:56 高鼻山〜13:14 発―13:49 三角点〜13:54 発―14:12 高鼻橋=(往路を戻る)=17:00 新潟着

 越後三山の北に位置する権現堂山塊では、一般登山道が整備されている下権現堂山、上権現堂山、唐松山の三つの山が良く知られている。唐松山は、守門村と広神村の境界に位置しているが、これまでは広神村側の中子沢からのコースが一般的であった。最近、守門山岳会の手で、守門村側の松川林道終点の高鼻橋から登山道が開かれた。高鼻山は、松川林道終点部の高鼻橋から山道が通じており、松川川の源頭部を巻くように稜線が唐松山へ続いている。この稜線沿いには測量のための切り開きが行われており、登山道として整備されてはいないので少々藪っぽいが、唐松山と高鼻山を結んで歩くことができる。
 2001年9月15日に、高鼻山を訪れた際に、登山口手前の高鼻橋脇から道が切り開かれており、入口に付けられたテープに守門山岳会という名前が書かれていることから、唐松山への登山道なのだろうかと興味を持った。翌2002年5月26日に会山行として高鼻山を選んで再び訪れると、唐松山登山口という標識が立てられていた。高鼻山よりも唐松山に登りたかったが、会山行の主催者とあってはそうもいかず、高鼻山に登ることになった。高鼻山の山頂からは、唐松山方面に踏み跡が続いており、歩くなら二つの山を結んだ周回コースが面白そうに思えた。その後、高鼻山に登ったメンバーが、このルートで唐松山に登ったという話も聞かず、自分自身も他の山にかまけてそのままになっていた。このルートのことで問い合わせした大雲沢さんが、2002年7月11日に登ったというのが、唯一の山行報告になっている。
 先回とほぼ同じ時期に、高鼻山をまた訪れることになった。松川の集落の先で、冬季閉鎖のゲートが置かれていたが、半分開けてあり車の通行は可能であった。今は、山菜採りのシーズンたけなわでもあり、いくらなんでも冬季閉鎖というわけはあるまい。道路にはなんの問題もなく、舗装され松川林道を、新緑を楽しみながら進んだ。林道終点の高鼻橋周辺には、山菜採りの車が数台停められていた。
 唐松山登山口には、新しい標識が置かれ、山頂まで120分と書かれていた。いきなりの急登を10分近く頑張ると、ぬりっこ沢と松川川本流に挟まれた尾根の上に出た。この先は、ひたすらの登りが続いた。幅広の登山道が整備されていたが、歩くものは少ないようであった。急な斜面では、ロープも取り付けられていたが、砂混じりの斜面で、下りにこの尾根を使う時は滑らないように注意する必要がありそうであった。気温も高く、汗がしたたり落ちるようになった。
 尾根の途中で、ブナの木に山頂まで90分と書かれた標識が現れた。すでに45分経過しており、このペースではコースタイムよりも時間が掛かりそうであった。もっとも、後で時間を振り返ると、おおよそコースタイムの時間では登っていたので、この地点での時間表示が少しおかしいだけのことのようであった。
 登るにつれ、谷向こうの高鼻山の山頂が目の高さになり、その向こうから毛猛山塊の檜岳のピラミッドの山頂が次第に姿を現してきた。山頂が近づいてきた所で傾斜が一旦緩むと、ブナ林も現れた。谷筋には残雪が残り、登山道が残雪を横断するようなところも出てきた。雪解けの後の草付きには、カタクリやイワウチワが、季節遅れの花を開いていた。
 灌木帯の中の切り開きを登り終えると、唐松山の山頂の西隣の1060mピークに到着した。ここには、松川林道90分という小さな標識が置かれていた。ここまでの道と比べると、上権現堂山方面からの登山道は、遊歩道のように立派な道に見えた。
 唐松山に向かう前に、猫岩を往復してくることにした。1060mピークから下って、僅かに登り返すと、猫岩の基部に出た。唐松山から先のことが気になり、猫岩の写真を撮っただけで、岩の上に上がるのはやめて引き返した。1060mピークから猫岩までの間だけでも、4人の登山者に出会ったことから、唐松山も結構知られるようになってきたようである。私の書いた岳人における紹介文も少しは役に立っているのだろうか。
 1060mピークからは、唐松山が美しい三角形の山頂を見せている。この先は、展望の開けた稜線となり、のんびり歩いていくと、ひと登りで唐松山の山頂に到着した。唐松山は、数人が腰を下ろせば一杯の狭い山頂である。守門岳、浅草岳、毛猛山塊、未丈ヶ岳、越後駒ヶ岳、八海山、権現堂山といった山々が周囲に並んでいる展望は、眺めていて飽きることがない。ただ、春霞のせいで、遠くの山がぼんやりしているのが残念であった。
 先回の山行で、踏み跡が先に続いていることは確かめてあった。唐松山山頂での休みもそこそこに、先に進んだ。唐松山からは、痩せた稜線の下りがしばらく続いた。岩場風のところもあり、コースを考える必要があった。尾根が広がると、幅広の刈り払いが続くようになった。刈り払いの中には、頭が赤い杭が埋め込まれていた。
 残雪も現れて、雪の上と刈り払い道を交互に辿るようになった。振り返ると、唐松山が三角形の山頂を高く突き上げ、新緑と残雪の縞模様に彩られているのが美しかった。権現堂山方面からでは、残雪模様は見られなかったので、一般には見ることのできない唐松山の姿ということになる。
 1001mピーク手前の980mピークで、東に続く稜線と分かれ、高鼻山へ向かっての下降が始める。ピークから下降点をうかがうと、刈り払いはしてあるようだが、急斜面に木の枝が積み重なって、足場が判りにくくなっていた。急斜面を少し下りたところで、岩場風の段差が現れた。引き返すべきか迷ったが、良く見ると、草がかぶったところに足場があり、木の枝を掴んで後ろ向きで下りることができた。
 その先で傾斜は少し緩み、荒い刈り払いの中、足元に注意しながらの下りが続いた。刈り払いの中には、頭が黄色い杭が埋められていた。国有林境界杭だろうと思うのだが、赤や黄色の色には、意味があるのだろうか。刈り払いが続くおかげで、手で枝を掻き分けるよなところもなく、ヤブコギとしては簡単なレベルであった。途中で尾根が分かれるところもあったが、高鼻山が見えていることと、刈り払い道が続くことで、コース取りを間違えるようなこともなかった。
 770m標高点を過ぎた鞍部付近まで下ると、道もずいぶんとはっきりしてきた。松川川源頭部へ破線が延びているが、山菜採りがこの付近に上がってきているのだろうか。道の心配が無くなってくると、喉の渇きが気になってきて、高鼻山山頂でのビールが楽しみになってきた。標高がずいぶんと下がってきたにもかかわらず、登山道上に、消え残りの残雪が現れた。ビニール袋に雪をとり、ビールを冷やした。冷えたビールの期待で、高鼻山山頂への登り返しも、元気が出てきた。
 山頂手前で、見覚えのあるザレ場に到着した。ここからの檜岳は、目の前に大きく素晴らしい。高倉山山頂からはそれほどの距離があるわけではないが、見え方がかなり違うのは面白い。黒又ダムの湖面も姿を現していた。
 その先で、高鼻山の山頂広場に到着した。当然ながら、誰もいない山頂であった。守門岳や毛猛山塊を眺めながら腰を下ろした。唐松山の山頂が木立に隠されているのは残念であった。高鼻山は、これが三回目となり、この先の下りは問題はない。安心してビールを飲むことができた。
 高鼻山からの下りは、道はしっかりしているが、尻餅をつかないように充分注意が必要である。途中で展望が開けると、唐松山の山頂が高く遠ざかっていた。三角点を過ぎると、急降下が始まり、地面に積もった落ち葉とともに滑落ししそうになる。道が広く付けられていると、捕まる木の枝がないのでかえって苦労する。
 唐松山から高鼻山への周回は、6時間ほどがかかった。ヤブコギのレベルは低いといっても、測量のための刈り払いを利用するため、事前に唐松山や高鼻山に登って偵察を行っておく必要はあろう。皆が歩けば、登山道なみに踏み固められるのだが、このコースを歩く者はそうはいないであろうか。

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