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山毛欅沢山、小手沢山、恵羅窪山、城郭朝日岳


【日時】 2003年4月12日(土)〜13日(日) 1泊2日(テント泊)
【メンバー】 宇都宮グループ(6名)
【天候】 12日:曇り後雨 13日:曇り後晴

【山域】 南会津
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 山毛欅沢山・ぶなざわやま・1522.5m・三等三角点・福島県
 小手沢山・こてざわやま・1519.3m・三等三角点・福島県
 恵羅窪山・えらくぼやま・1429.2m・三等三角点・福島県
 城郭朝日山・じょうかごあさひやま・1448.4m・三等三角点・福島県
【コース】 鳥井戸橋より
【地形図 20万/5万/2.5万】 日光/檜枝岐、小林/内川、城郭朝日山
【ガイド】 なし
【温泉】 たていわログビレッジ 400円

【時間記録】
4月11日 8:30 新潟発=(磐越自動車道、会津坂下IC、R.49、芦の牧温泉、R.121、会津田島、R.121、上ノ原、R.352 経由)=23:30 番屋  (車中泊)
4月12日 6:20 番屋発=(R.352、内川 経由)=7:10鳥井戸橋〜7:30 発―8:36 祠―10:34 1285mピーク〜10:45 発―11:52 稜線分岐―12:09 山毛欅沢山〜12:15 発―12:23稜線分岐〜12:50 発―13:04 1526mピーク―13:39 小手沢山〜13:49 発―15:20恵羅窪山―15:30恵羅窪山北鞍部  (テント泊)
4月13日 6:24恵羅窪山北鞍部発―6:56 1446mピーク―7:49 1353mピーク―8:22城郭朝日山〜8:27 発―8:41 1353mピーク―9:38 1446mピーク―10:14 恵羅窪山北鞍部〜10:50 発―11:04恵羅窪山―12:27小手沢山―12:43 1526mピーク―13:03稜線分岐〜13:27 発―14:00 1285mピーク―14:55 祠―15:21鳥井戸橋=(往路を戻る)=20:20 新潟着

 会津駒ヶ岳から三岩岳、窓明山、坪入山、高幽山、会津丸山岳を経て会津朝日岳に至る稜線は、会津アルプスとも呼ばれ、藪山愛好家のあこがれのコースになっている。この稜線は、坪入山から北は黒谷川左岸に沿っているが、坪入山から東に向かって、黒谷川右岸沿いに連なる稜線が分かれ、稲子山、山毛欅沢山、小手沢山、恵羅窪山、城郭朝日山といったピークが連なっている。城郭朝日山は、2万5千分の1地形図の図名にもなっており、興味を引かれるが、登山道は無く、登ることが難しい山である。
 昨年の会津丸山山行の際に、室井さんから城郭朝日山に登った話を聞いた。ブナ林の続く稜線のすばらしさを聞かされ、是非連れて行ってとお願いしたところ、城郭朝日山への山行を計画してくれた。
 今年は、これが最初のテント泊の山行になった。忘れ物がないかと考えて、準備には手間取った。ひさしぶりに背負う70Lザックは肩に食い込みそうであった。
 先日の尾白山から丸山山行の時と同じに、番屋の駐車場で待ち合わせした。天気予報では土曜日の朝方は雨が残るものの、日曜は晴れということであったが、晴れ間ものぞく朝になった。朝食をとり、もう一眠りしようかと思ったところに、室井さん一行が到着した。
 山毛欅沢山へは、二年前にも坪入山へ抜ける際の入り口の山として登っている。鳥井戸橋の手前に林道があり、その路肩に車を停めることができる。出発の準備をしていると、バイクに乗ったおじいさんがやってきて、「登山かと」いろいろ聞いてきた。「沢は危険だから注意しろ」とか、心配そうにいろいろ話しかけてきた。山毛欅沢山までのコースは前にも登っており、様子は判っていると説明することになった。ヘルメットには営林署と書かれていたので、山菜採りあたりの事故防止のために見回っているのかもしれない。
 林道入り口から檜枝岐よりに進んだ所の深瀬沢に鉄製の橋が架かっており、ここが登り口になる。山道を登っていき杉林の中に入ると、尾根の末端が落ち込んできている。ここから取り付いても良いが、急斜面なのと藪が少し濃いため、尾根の左に回り込み、残雪を登って高度をかせいでから、少しのヤブコギで尾根に上がった。尾根の上は、踏み跡があるといっても藪を掻き分ける必要があるが、登るに連れて、雪道に変わってきた。幽ノ沢を右手に見下ろしながらのだらだらの登りを続けていくと、五葉松の木の下に石の祠が置かれているのに出会う。登山の安全を祈って手を合わせた。
 ここからしばらくは傾斜が急になり、岩混じりの痩せ尾根で雪も滑り落ちやすく、足元に注意が必要であった。この尾根は、下りの際には、入り口を見失って、そのまま直進しやすいので注意が必要である。
 この急坂を登りきると、幅広尾根となり、ブナ林が広がるようになった。先はまだ長いが、傾斜も緩やかになって、じっくりと登る態勢になった。1285mピークに登り着いて、ひと息ついた。先回は、ここで山毛欅沢から登ってきた登山者に出会った。山毛欅沢からのコースの方が知られているようだが、沢の徒渉があるようである。山毛欅沢山へ至る尾根は、ブナの木が点在し、スキーの林間コースといっても良い雰囲気であった。山毛欅沢山が、まだ遠いとはいえ、雪庇を張り出し、その下の斜面は一部雪崩れ落ちるという姿を見せていた。
 1285mピークから僅かに下った後、稜線に向かっての登りを続けた。稜線に登り着いたところで、丁度昼飯の時間になっていたが、まずは山毛欅沢山の山頂を空身で往復することにした。先回もそうだったのだが、山頂までの間は、足が時折落ち込んで苦労した。雪はわかんがいらない程度に締まってきているのだが、灌木の上に雪が乗って空洞になっているようであった。
 山毛欅沢山の山頂は、雪庇が大きく発達し、最高点部には怖くて近寄れなかった。山頂の西側に進んで、小沢山から稲子山に至る稜線を眺めた。稲子山への雪稜の急登といった、先回の山行の苦労が蘇った。
 稜線の分岐に戻り、昼食をとった。稜線に登り着いた時は、会津丸山岳方面の稜線も見えていたのだが、急に天気が崩れて雨が降り始めた。本降りになりそうで、諦めて雨具を上下着込んだ。
 分岐からひと登りした1526mピークからは、塩の岐沢の右岸を形作る稜線が分かれ、丸山に続いている。丸山は、先日登ったばかりであり、懐かしく眺めることができた。丸山に至る稜線もブナ林が広がっているようで、今度はテント泊で歩いてみようという話が出てきた。
 次の目標地点の小手沢山は、小さな高まりで、途中にいくつもあるピークと変わらないのだが、山頂部にダケカンバの林があることから、ひと目で見分けることができる。山頂からは、北側の展望も開け、休みたくなる山頂であった。
 小さなピークを越していくうちに疲れも出てきた。雨は本降りとなり、稜線沿いにどこまでも続くブナ林を辿って、ひたすら歩くだけになった。恵羅窪山は、名前が付けられてはいるものの、特徴のあるピークではなかった。これを下れば、予定のテン場に到着ということで足を速めた。
 恵羅窪山を下っていくと鞍部に出たので、ここをテン場とした。風も強まっていたが、ここは稜線の陰になって風当たりも弱かった。テント張りと、テント内に持ち込む荷物の整理は、雨の中では、少々やっかいであった。テント内に落ち着くなり、さっそく夕食兼宴会の準備を始めた。一品持ち寄りの鍋をメインに、イカの一夜干しと栃尾の油揚げが、前菜になった。雨は本降りになり、トイレのために外に出るのも、小降りになるのを待つ必要があった。朝が早かったせいもあり、8時過ぎには早々と眠りについた。
 翌朝は、雨は止んだとはいえ、ガスがかかって視界は20mほどであった。テントはそのままにして、城郭朝日山まで、空身で往復することにした。雪が雨のためにグズグズであったため、ワカンを履いた。城郭朝日山までの稜線は、小さなピークが幾つも連なり、方向が変わるところもあって油断がならなかった。地図読みの達人の室井さんがいるので問題はなかったが、それでもGPSが威力を発揮した。磁石をたよりに歩く場合には、ピークの上に立って次の尾根の方向を確認するというのが原則である。GPSの場合、屈曲点の位置が手前から判るので、トラバ−スできる地形なら、そのままピークを巻いていくことができき、体力と時間の節約ができた。これからは、パーティーに一人はGPS使いを入れておくのよさそうに思う。
 1353m ピークに到着すると、城郭朝日山がようやく目の前に迫った。山頂はガスで隠されていたが、東面には崖をめぐらしているのを眺めることができた。幸い、登りに使う尾根はブナ林が点在し、それほど難しくはなさそうであった。展望については、帰りに期待することにした。城郭朝日山の前には、1360mピークと1386mピークの二つの鋭峰が、立ちはだかっていた。稜線は痩せて、雪庇が大きく発達し、東側斜面は崖になっていた。城郭朝日山が城の本丸だとすれば、前衛の要塞といったところか。ここまでは、ブナ林の中の、緩やかな上り下りであったので、ここからが一番の難所になった。
 最初の1360mピークは、西側斜面を巻き、急坂を慎重に下って鞍部に達した。次の1386mピークは、雪庇の縁に気を付ければ、稜線沿いに登ることができ、見た目よりは簡単であった。一旦緩やかに下った後に、城郭朝日山に向かっての標高差100mの登りが始まった。尾根も広く、問題の無い登りになった。
 登り着いた城郭朝日山の山頂は、雪庇が発達しており、一段下がった灌木の脇で登頂ということになった。ガスで覆われて展望は無く、風も冷たかったため、記念写真を撮るなり下山に移った。
 山頂直下の鞍部までは、あっけなく下ることができ、次の二つのピークを慎重に越し、1353m ピークに戻った。ようやくガスの切れ間から城郭朝日山の山頂が姿を現した。雪が落ちた岩壁を巡らした姿からは、城郭という名前も納得がいった。以前の山毛欅沢山から坪入山への縦走の際に、稲子山の山頂から城郭朝日山方面の稜線を眺めた時には、目立ったピークは見あたらず、城郭朝日山も平凡な姿にしか見えなかったのだが。巡らせた岩壁が稜線の陰になって見えなかったのかもしれない。
 途中のブナ林の美しいところで、ひと休みした。白石さんは、さかんに秋にキノコ狩りにこようと誘っていた。キノコはともかく、雪が消えたら容易には人を寄せ付けないこのブナ林が、秋にどのような姿を見せるのか、興味はある。
 風が強まり、朝よりも気温が下がってきたように感じた。テン場に戻り、荷物を撤収した。再び背負ったザックは重く、山毛欅沢山分岐まで引き返すのに、体力を振り絞る必要があった。分岐で遅い昼食をとり、麓をめざしてブナの尾根を一気に下った。


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