0319

小出俣山
仏山、鷹ヶ峰、笠抜山


【日時】 2003年3月8日(土)〜9日(日) 前夜発1泊2日 各日帰り
【メンバー】 8日:宇都宮グループ(総勢5名) 9日:単独行
【天候】 8日:曇り後吹雪 9日:雪後曇り

【山域】 谷川連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 小出俣山・おいずまたさん・1749.1m・三等三角点・群馬県
【コース】 川古より
【地形図 20万/5万/2.5万】 高田/四万/水上
【ガイド】 なし
【温泉】 湯宿温泉 300円 (石鹸のみ)

【山域】 西山連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 仏山・ほとけやま・136.3m・三等三角点・新潟県
【コース】 馬越より
【地形図 20万/5万/2.5万】 長岡/三条/与板
【ガイド】 なし

【山域】 西山連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 鷹ヶ峰・たかがみね・142m・なし・新潟県
【コース】 三島林道三号線より
【地形図 20万/5万/2.5万】 長岡/三条/与板
【ガイド】 なし

【山域】 西山連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 笠抜山・かさぬきやま・202.5m・三等三角点・新潟県
【コース】 三島林道一号線より
【地形図 20万/5万/2.5万】 長岡/三条/与板
【ガイド】 なし

【時間記録】
3月7日(金) 9:00 新潟発=(関越自動車道、水上IC、R.291、湯原、県道270線 経由)
3月8日(土) =12:10 川古林道入口  (車中泊)
7:25川古林道入口発―9:05 千曲平手前の橋―11:25 岩場下(1410m)〜12:00 岩場上発―13:10 引き返し(1620m)―13:47 岩場上〜14:03 岩場下発(1410m)―14:49 林道〜15:07 発―16:32 川古林道入口=(猿ヶ京、R.17 経由)=18:30 湯沢  (車中泊)
3月9日(日) 6:00 湯沢発=(R.17、中之島、与板橋 経由)=9:10 馬越林道入り口着〜9:43 発―10:03 三島林道四号線分岐―10:14 仏山―10:20三島林道四号線分岐―10:36 馬越林道入り口=(塩之入トンネル、三島林道三号線 経由)=11:00林道カーブ地点―11:05 鷹ヶ峰―11:08 林道カーブ地点=(塩之入トンネル、与板、阿弥陀瀬トンネル、阿弥陀瀬、県道443 経由)=11:30 三島林道一号線入り口〜11:47 発―12:15 笠抜山―12:33三島林道一号線入り口=(県道443、阿弥陀瀬、阿弥陀瀬トンネル、与板、大河津橋、R.116、新潟西バイパス 経由)=15:20 新潟着

 谷川岳と万太郎山の間に位置するオジカ沢の頭から南西に分かれる稜線を俎ぐら山稜と呼ぶ。小出俣山は、この俎ぐら山稜の南部に位置するピークである。この山からは、小出俣沢源頭部を取り巻くように、東に阿能川岳に向かう稜線、西には十二社峰へと続く稜線が分かれている。

 長岡付近の信濃川左岸には、西山連峰と呼ばれる丘陵地帯が広がっている。仏山は、その西山連峰の北端近くの馬越集落の西測に位置する山である。
 鷹ヶ峰は、西山連峰の北部に位置し、与板と和島を結ぶ塩之入峠の南にある山である。
 笠抜山は、与板と小島谷の間に位置する阿弥陀瀬の南に位置するピークである。

 谷川連峰は、かなり歩いているが、新潟県側からが主であり、群馬県側は手薄になっている。小出俣山は、群馬県側の重要な登山口の一つの川古温泉近くの山であるが、登るつもりでこの付近の地図を眺めたことは無かった。宇都宮の室井さんから小出俣山の誘いが入り、喜んで参加することになった。以前の山行の途中の話でも、小出俣山の山頂からの素晴らしい展望のことを聞かされており、登りたいと思っていた。
 いつものことだが、天気がきにかかる週末になった。トンネルを抜けて雨の新潟から脱出すると、雨は止んでいた。水上ICで高速を下り、コンビニに夜食を買いに入ると、そこの駐車場には、雨でグズグズになった雪が積もっており驚かされた。最近まとまった降雪があったようで、明日のラッセルは必至の様子であった。歩き始めの林道歩きにまずは苦労しそうであった。
 集合場所の川古温泉には、仏岩トンネル経由で向かうことにした。山の中を抜ける道であったが、猿ヶ京方面への抜け道にもなっているのか、道路も広く、除雪も完璧であった。県道から分かれると、川古温泉までは、そう遠くはなかった。温泉の建物に行き当たって、引き返すことになった。少し戻ったところに、雪に埋もれた小出俣林道の入り口があった。路肩が少し広くなっていたので車を停めて寝た。
 夜中には星がでたものの、曇り空の朝になった。予定の時間少し前に室井さん一行が到着した。装備は、わかんとストックをメインに、ピッケルを持つことにした。念のためにとザックに10本爪アイゼンを入れておいたのを忘れていた。気がついていたら、雪が柔らかいのをみて、置いていったと思う。余計な荷物を持っていったことになる。
 つぼ足での林道歩きをしばらく続けたが、雪が深く、ワカンを履くことになった。長い林道歩きが続いた。室井さんが昨年の4月中旬に登った時は、雪はなかったが、林道入り口のゲートが閉まっていたという。今回は、ゲートは開いていたが、車の乗り入れは無理で、頑張って歩くしかない。1時間40分かかって、ようやく千曲平手前の橋に到着した。
 橋を渡った先に小出俣山の尾根が落ち込んでいる。橋のたもとには杉林が広がっており、ここから取り付きたくなるが、少し林道を進んで尾根の末端から登り始めた方がやはり楽そうである。
 ここからようやく本格的な登りが始まり、尾根上のラッセルが続いた。ミズナラやブナの林が広がり、大木も混じって、気持ちの良い尾根であった。雪は重たく、ラッセルのトップを皆で交代する必要があった。気がつくと、いつの間にか時間がたっていた。
 1410m地点で、尾根上に地図では読み取れない岩場が現れる。昨年室井さんが登った時には、雪が落ちそうな状態で、危険な思いをしてトラバースしたことから、今回はスワミベルトを携行するようにという連絡が入っていた。その手前での休憩で、ベルトを装着し、シュリンゲの用意をした。岩場の下に到着してみると、雪の状態は悪くは無さそうであった。岩場の直登は無理なため、一旦10m程トラバースした後に直上する必要があった。
 室井さんはスノーシューを履いてきていたため、この急斜面の登りは無理。ということで、私がトップで登ることになった。ロープを引きずりながらの登りは、初めての経験であった。足場を固めながらのトラバースは、そう難しくはなかった。弱い隆起を超すと、尾根上に向かってのラインが見えたので、方向を上に変えた。傾斜も急で、足場が崩れると体がずり落ちるため、慎重に登る必要があった。中間の支点を取っていなかったので、ロープの長さだけ落ちることになり、滑落をするわけにはいかなかった。ストックの逆刺しも使って体を支え、なんとか登り切った。尾根上の木にテープシュリンゲを巻き付け、ロープを固定した。全員が登りきるまでには、結構時間がかかった。
 今回の雪壁は、大巻きをすれば、ロープが無くとも登れたであろうが、確保されていると、やはり安心感は違ってくる。雪山ではどのような場面に遭遇するか判らないので、パーティーの安全のためには、確保の道具を持っていくべきであろう。このメンバーには、岩トレでも世話になっているが、今回も良い勉強になった。
 再び尾根の登りを頑張ると、樹林帯を突破して傾斜も緩やかになってきた。1550mの肩部に上がって、山頂をうかがえば、そう遠くはなさそうであった。もうひと頑張りと思ったが、風が強くなり、足を止めて風をやり過ごす必要がでてきた。天気は急速に悪くなっているようで、吹雪で視界も閉ざされてきた。リーダーの室井さんに気をつかわせないため、天気も悪いし、ここで引き返しても良いと伝えた。
 結局、1620m地点で、引き返しの決定となった。ラッセルに時間がかかってタイムリミットになっていたことと、天候がこれ以上の無理を許してはくれそうもなかった。山頂までの残りは、標高差120m、後30分ほどの距離であろうか。
 急いで下りを開始したが、すでにトレースは消えていた。1550m付近は尾根が広がり、コース取りが難しい。GPSを取り出して、それを指標に歩いたが、時折大きくコースの方向がぶれた。GPSのこのような不安定さは、初めての経験であった。衛星放送で、冬に雷雲が発達すると、電波が乱れて受信状態が悪くなることを経験しているが、上空で雷雲が発達しているためだろうか。室井さんに、磁石でも方向を確かめるようにお願いした。
 尾根に乗ることができて、コースの心配は無くなった。岩場の下降も無事に終え、後は雪原の一気の下りになった。2時間20分かかって登ったところを45分で下りてしまった。雪は途中から本降りになっていた。
 最後の林道歩きは長く感じられた。小出俣山のリベンジは、阿能川岳周遊をしようということで、希望をつなぐことにした。晴れた日に、小出俣山山頂からの展望を楽しむことにしよう。今回の山行を無駄にしないためにも。
 小出俣山から下山した時は、体力的にも精神的にも落ち込んでいたが、湯宿で温泉に入ると、翌日の山行を続けるだけの気力が戻った。三国越えをして湯沢で野宿し、翌日の山に備えることにした。吹雪も本格的になり、三国峠付近では、国道にも雪が積もって、スキー客なのか、立ち往生の車も見受けられた。
 湯沢の役場の駐車場で夜を過ごした。朝起きると、車には20センチ程の雪が積もっていた。国道も除雪車が出動していた。雪は時折激しく降っていた。白板山を計画していたのだが、諦めることにして、新潟へ戻ることにした。途中で山に登りたかったが、六日町、小出、小千谷を過ぎ、ようやく長岡が近づいたところで、曇り空になった。らじおいでは、新潟市は雪が激しく降っているようであった。山に登るなら、長岡付近しかないようであった。
 長岡の西に広がる西山丘陵の北端部には、仏山、鷹ヶ峰、笠抜山といった、ピークが地図には記載されている。林道が山頂付近を通過しており、一般的には登山の対象にならない山であるが、こういった悪天候の時に登るには適当な山である。
 中之島から信濃川を渡って、仏山の東の麓の馬越を目指した。仏山の山頂には無線中継基地のマークが記され、林道が通じている。ただ、この林道は、馬越か和島村側からか、どちらがメインなのか判らなかった。馬越の集落で、溜め池の下の林道入り口に到着してみると、林道は、未舗装で雪に埋もれていた。歩くには支障は無さそうであったので、出発の準備をした。
 予定にない山であったので、地図は持っていなかった。とはいえ、悪天候でこのような予定変更もあると思い、日本全国の2万5千分の1地図を収めたノートパソコンとプリンターを車に積んでおいた。カシミールを立ち上げて、地図にGPS用のデーターを打ち込み、地図をプリントアウトして、データーをGPSにダウンロードして登山の準備を終えた。
 林道の歩き始めは、竹が倒れかかって、くぐったり、避けたりの騒ぎであったが、少し進むと歩きやすい道になり、尾根に乗ると雪も無くなった。地図でチェックポイントとしていたT字路に出てみると、舗装された林道が延びてきていた。三島林道四号線と呼ぶようであり、仏山山頂の放送施設の保守道は、こちらの道を使っているようであった。分岐脇には小さな池があり、ちご池跡という標識が立てられていた。
 左折して間もなく、右前方に小高いピークと中継アンテンが見えてきた。山頂を通り越したところに、保守のための道が分かれた。金網に囲まれたNTT仏山中継所に出たが、最高点はその脇にあった。密生した笹藪で、短いがヤブコギが必要になった。笹藪の中に、三角点を見つけることができて、無事に登頂とあいなった。下山は、山頂から林道めがけて下って、少し近道をした。
 車に戻り、GPSのデーターを入れ替え、鷹ヶ峰を目指した。塩之入トンネルを抜けたところから始まる林道を使うつもりであった。現地に到着してみると、中部北陸遊歩道「A-9 草木のうた良寛をしのぶ道」の看板が立てられており、峰沿いに続く林道は遊歩道になっているようであった。三島林道三号線と名前が付けられた林道に車を進めた。林道がヘアピンカーブを描くところで、右手に小ピークが現れ、これが鷹ヶ峰のようであった。林道から山頂付近にかけては、伐採後の植林地になっており、「出雲大社植林地」という標識が立てられていた。植林地の入り口には、作業小屋が建てられて、広場の入り口には鎖が掛けられていたが、ちょっと入らせてもらった。
 植林地を登って、木の祠脇を通り過ぎると、鷹ヶ峰の山頂に到着した。林に囲まれて、山頂標識のようなものはなかった。鷹ヶ峰は、車横付けで登ることができた。
 続く笠抜山へは、与板から阿弥陀瀬トンネルを抜け、阿弥陀瀬から県道443に進んだ。県道の入り口は、冬季閉鎖ということで、半分が柵で閉められていたが、車を乗り入れるスペースが開いていた。いけるところまでと思いながら車を走らせた。林道の分岐に到着してみると、ここにも中部北陸遊歩道の標識が立てられていた。鷹ヶ峰方面から歩いてくるとするとかなりの距離である。林道も複雑に分かれるし、地図読みをよほどしっかりしないと迷子になりそうなコースで、歩く者はどれほどいるのだろうか。
 県道から分かれる林道は、三島林道一号線と名前が書かれていたが、入り口から先は雪に覆われていたため、歩くことにした。地形的な問題か、標高が少し高くなったためか、膝上まで雪にもぐるような歩きが続いた。GPSを覗き込みながら歩いていると、電波がうまく拾えず、とぎれとぎれの受信になった。周辺の背の高い杉林が邪魔をしているようであった。連続したトラックデーターは記録できなかったが、それでも林道歩きが長くなったため、現在位置の確認には役にたった。
 林道は、笠抜山の山頂の下を通過しているため、最後は雑木林に入って最高点を目指した。三角点を見つけて、笠抜山の山頂を確認することができた。この山にも、山頂標識のようなものはなかった。
 この一帯の三つのピークを登り終えて、新潟に戻ることにした。新潟市内が近づくと雪が激しく降り始めた。

山行目次に戻る
表紙に戻る