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二倉山


【日時】 2003年2月15日(土) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 川内山塊周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
二倉山・ふたくらやま・587.7m・二等三角点・福島県

【コース】 箕輪林道より
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/御神楽岳/越後豊川
【ガイド】 LATERNE vol.6
【温泉】 みかぐら荘 250円(温泉まつり期間中で半額)

【時間記録】 6:20 新潟発=(R.49、津川、上川、八田蟹 経由)=7:45 箕輪林道入口の排水路施設〜8:08 発―8:18 除雪終点(一番目の橋)―8:50 口無沢橋〜8:55 発―10:20 谷横断―11:25 北西の肩―11:35 二倉山〜12:10 発―12:16 北西の肩―12:43 谷横断―13:24 口無沢橋―13:51 除雪終点(一番目の橋)―14:05 箕輪林道入口の排水路施設=(往路を戻る)=17:05 新潟着

 二倉山は、川内山塊の東の境界を形作る室谷川の左岸にあり、鍋倉山から大峰、人ヶ谷山、大鱒谷山を経て焼山で阿賀野川河畔に終わる稜線から南に僅かに外れた所に位置している。周辺からは、本峰と東峰の二つのピークが並ぶ姿が目に入る山である。
 二倉山は、以前から気になっていたものの、地図を見ても、奥地にあって、山の麓に辿り着くのが難しそうであった。南から西山麓を巻く様に走る箕輪林道から入るとして、山頂南の台地の突破がとりわけ難しそうであった。GPSを使うことによって、この難所もなんとかなりそうに思えたので、出かけることにした。
 金曜日の夕方から冷え込み、土曜日は晴天の予報が出て、絶好の山行日和になりそうであった。みかぐら温泉への道が分かれる八田蟹の先の御番沢川を渡った所に、箕輪林道の入り口がある。車を乗り入れると、すぐ先の排水施設の建物から先は、車の腹をするほどの雪が積もっていた。轍は続いており、無理をすれば車で先に進めそうであったが、建物の脇の空き地に車を止めて、ここから歩きだすことにした。
 GPSをセットし、まずは林道から山に入る地点の5番目の橋を目指した。林道歩きも長くなると、橋の数を間違える可能性もあるし、林道は雪で覆われているため、小さな橋だと、それと気がつかない恐れもある。
 2番目の橋を渡る手前で除雪は終わり、ここからスノーシューを履いての歩きになった。青空が広がり、気温も上がってきた。雪解けも進んでいるのか、番沢川の瀬音も高く聞こえた。小さな川であるが、谷は深く削られていた。ひと汗かいて、目標の5番目の橋に到着した。小さな沢が入り込んでおり、その右岸沿いに、山に分け入る必要があった。林道脇は切り通し状になっていたが、短い間隔で現れる6番目の橋の手前が、林道から這い上がるに都合の良い斜面になっていた。
 沢の右岸には、植林のための作業道でもあるのだろうか、雑木林の間隔が開いた雪の回廊が続いていた。右手の沢は、思ったよりも深く掘り込まれていた。直に、沢から地図では読み取れなかった枝沢が登ってきて、左にコースが逸らされていった。枝沢は左手の尾根に向かって続いているため、これを横断する必要があった。幅は2mほどで、助走をつければ、簡単に飛び越せそうであった。ただ、スノーシューを付けての立ち幅飛びとあっては、試みる気も起きなかった。渡れそうな地点を選び、スノーシューを脱いで対岸に放り投げ、沢に下り立った。対岸の雪の上に這い上がるのに、足元の雪が崩れたりして、少々苦労した。
 再びスノーシューを付けての歩きが始まった。山の斜面をトラバース気味に登っていくため、方向が掴みにくかった。谷間に広がる雑木林の間を抜けていく歩きが続いた。時折、GPSを確かめると、目標のポイントから方向が逸れているのが判った。一旦方向がずれると、その修正を過剰に行ってしまい、さらに方向が狂ってくるようであった。山勘は、やはり当てにならないようであった。一人でラッセルしながら歩いているうちに、あっという間に時間が過ぎ、雪も緩んで、一歩ずつ潜るようになってきた。朝方の冷え込みに助けられてとの思いも虚しいものになった。木の枝についた雪が落ち始め、青空の下の吹雪になった。
 右手から深い谷が入り込んできて、これを越す必要があった。谷の縁に沿って、左手に向かって進んでいくと、越すことができそうなほど、谷も浅くなってきた。谷に下り、対岸の斜面を登った。体力をかなり消耗して、再び台地の上に立った。雑木林越しに、ようやく二倉山の山頂を望むことができた。
 二倉山の山頂には、東峰と、北西の肩経由の二通りのコースが考えられる。思わぬ体力の消耗で、楽そうな北西の肩経由のコースを取ることにした。二倉山の麓からは、左上に向かって、登り続けた。最大傾斜線方向の山頂を目指したくなるが、それでは、最後は山頂直下の急斜面に行き当たってしまうはずであった。肩までの標高差は150mであったが、疲労も大きく、休みを取りながらの登りになった。ようやく傾斜が緩むと、610m小ピークとの鞍部よりは少し上の、北西の肩部に出た。
 ここからは、稜線沿いの登り僅かで、杉林が広がる二倉山山頂に到着した。最高点部は杉に囲まれていたが、その先に進むと、北から東方面の眺めが広がった。飯豊連峰が雲に隠されているのが残念であったが、津川周辺の山を良く眺めることができた。南には、木の枝をうまく避ける必要があったが、真っ白な御神楽岳を眺めることができた。
 一通り眺めを確かめると、雪の上に腰をおろして、ビールの栓を抜いた。雪が重く、思わぬ苦戦を強いられたが、それだけに山頂でのビールの味は格別なものになった。今年一番の辛い山になったが、これで600mに満たない山とは、低山には低山の難しさがある。
 東峰への稜線は、雪が帽子のように盛り上がっており、通過は難しそうであった。北西の肩から登ってきたのは正解であった。帰りは、雪の上に深いトレースが刻まれており、コースを迷う心配はなかった。次第に足に疲れがきて、林道に下り立つ頃には、足がつりそうになっていた。重い足取りで林道歩きを続け、車に戻ると、まずは近くのみかぐら温泉をめざした。

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