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国上山、剣ヶ峰、黒滝城跡


【日時】 2003年1月11日(土) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 曇り

【山域】 弥彦・角田山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 国上山・くがみやま・313.2m・三等三角点・新潟県
 剣ヶ峰・けんがみね・292m・なし・新潟県
 黒滝城跡・くろたきじょうせき・246m・なし・新潟県
【コース】 てまりの湯より周遊
【地形図 20万/5万/2.5万】 長岡/弥彦/寺泊、弥彦
【ガイド】 周遊コースについてはなし
【温泉】 てまりの湯 500円(タオル付き)

【時間記録】 8:50 新潟発=(新新バイパス、新潟西バイパス、R.116、県道新潟・寺泊線 経由)=8:20 てまりの湯〜10:39 発―10:59 尾根乗越―11:10 東大門車道―11:19 朝日山展望台―11:26 国上寺登山口―11:46 展望台入口〜11:50 発―11:58 国上山〜12:14 発―12:20 剣ヶ峰分岐―12:39 林道終点―13:00 剣ヶ峰―13:14 黒滝城跡登り口―13:24 黒滝城跡―13:35 黒滝城跡登り口―13:50 林道終点―14:11 剣ヶ峰分岐―14:16 蛇崩―14:24 山の神参道分岐―14:36 稚児道分岐―14:43 麓登山口―15:00 てまりの湯=(往路を戻る)=16:30 新潟着

 国上山は、角田山から弥彦山に連なる丘陵の西端にあって、その西の麓には信濃川から日本海に向かって大河津分水が切り開かれている。国上山には、良寛ゆかりの国上寺(こくじょうじ)があり、史跡巡りの観光で訪れる人も多い。また、酒呑童子はこの国上寺の稚児であったという伝説も残されている。低山ながら展望に優れ、ハイキングコースも良く整備されている。
 国上山は、国上山の駐車場から登って、蛇崩から稚児道を通って下山するという周遊コースが、一般的に歩かれており、その他のコースを歩く者は少ない。昨年の春に行った国上山・弥彦山・角田山縦走のために、西参道を登るコースを確かめたが、その他に、稚児道が始まる麓からと、てまりの湯から始まる中部北陸自然歩道にもなっているコースが、歩いたことのないコースとして残っていた。三連休の初日であったが、天気もそれ程良くはないため、コースの確認を兼ねてのハイキングに出かけることにした。
 いつも利用しているてまりの湯は、道の駅が併設されたようで、県道脇に新しい建物が造られていた。まずは、登り口の酒呑童子神社を探す必要があったが、駐車場脇の国上健康の森公園の絵看板に載っていた。県道から向かって公園の左奧にあるようであった。温泉の駐車場に車を置いて歩き出した。
 公園の左外縁に沿った車道を歩いていくと、山際にある五重塔と鳥居が目に飛び込んできた。神社の境内は雪に埋もれてひっそりとしていた。
 境内に置かれた箱の脇に、立て看板が立てられていた。

縁結びの願い書
 酒呑童子はこの分水町に生まれ育ちました。外道丸と呼ばれて国上寺に稚児として上がりましたが、生来美男子であった外道丸は、近所の娘達から恋文をたくさん貰いますが、開きもせずに葛の中に入れてしまいます。ある日、外道丸に恋い焦がれて娘さんが死んだことを知らされた外道丸は、葛の中の恋文を取り出します。すると、一瞬のうちに炎となって外道丸の顔を焼き、顔は鬼のようになってしまいます。もし、外道丸が娘さんの恋文を読んでいたなら、娘さんは死なずにすんだでしょうし、外道丸も鬼のような顔にならなかったでしょう。
 このような伝説がある中で、酒呑童子の御霊から、異業種交流会に対して「外道丸の頃に受けた娘さんたちの熱い想いを、いま昇華させて、若いカップル達の幸せのために尽したい」という思召がありました。そこで当会では、この神社を建立し、縁結びの神として酒呑童子をまつることにしました。
 この文箱は、皆さんの熱き想いを。酒呑童子之神を通じて、相手片に伝えてもらいたいと思い設置しました。どうぞ想いのある方は手紙にしたためて、この文箱にお入れください。必ずその想いが相手に通じることと想います。
分水町異業種交流会

 国上寺の境内にも酒呑童子ゆかりの鏡井戸があり、そこにも同様の内容の話が書かれていたが、酒呑童子の霊がうんぬんの後半は少し無理があるように思う。酒呑童子のお告げとなると、なにやら妖気がただよってきてしまう。この伝説からでは、無理矢理に想いを遂げようというストーカー的な御利益の期待になってしまうような気がするのだが。参拝客はいないようで、雪にも踏み跡は刻まれていなかった。
 国上山への道は、どこにあるのだろうと探すと、杉林の入口に、「自然歩道 朝日山展望台 1.9km」という看板が立てられていた。幅3m程のしっかりした道が続いていた。登山道は雪に覆われていたが、踏み跡が続いており、この道を歩くハイカーもいるのかと思った。杉林の中のトラバース気味の登りが続いた。前方からチェーンソーの音が近づいてくると、二人連れの作業員が、登山道上の倒木を片づけていた。雪の上の踏み跡も、この二人のもので、この先は、誰も歩いた様子のない雪道になった。
 尾根を乗り越して僅かに下ると、谷間を巻くような道になった。途中から踏み跡が現れて、一瞬稚児道に合流したかと思ったが、どうやら引き返した跡のようであった。てまりの湯へ下ろうとしたが、道が雪に覆われており不安になって引き返したものなのかもしれない。右手上に車道が現れると、その先で車道に飛び出した。いつもは分水方面から車で上ってくる道であるが、下から歩いてくるのも悪くはない。この車道ができるまでは、東大門と呼ばれる参道が通じており、五合庵への道は西大門呼ばれることが、案内板に書かれていた。
  カーブ地点をショートカットして登っていくと、国上山の駐車場に到着した。観光客よりは、下山してくるハイカーの方が目立った。雪景色の国上寺を眺めた後、国上山への登山道に進んだ。登山道の雪は踏み固められて、歩くのには支障はなかったが、汗が噴き出てきた。低山といっても、それなりに体力が必要である。五合目の赤谷見晴らしで、この後訪れる予定の剣ヶ峰を眺めた。いつもは通り過ぎてしまう、山頂手前の展望台によっていくことにした。雪に覆われて道の状態が判らなかったが、僅か先で、木立が切り開かれているところがそのようであった。雲がかかって遠望は利かなかったが、眼下にてまりの湯の施設を見下ろすことができた。てまりの湯から登ってきたならば、この展望台によってみることを勧める。
 展望台からはひと登りで国上山の山頂に到着した。どんよりした日本海の眺めが広がっていた。山頂広場は、数組のハイカーがお昼を食べているだけで、賑わいのピークは過ぎたような感じであった。ベンチに腰を下ろして、昼食のひと休みとした。低山であるので、下山までに酔いが醒めるように、ここでビールを飲んでおくことにした。比較的気温は高く、腰をおろしていても、寒さを感じなかった。
 続いて、剣ヶ峰への登山道の確認をすることにした。昨年の縦走では、山道があるとは知らずに、藪尾根を下って、途中でコースを逸れるというミスもしでかした。その後、この道の入口に案内標識が新しく立てられたということを聞いていた。
 ほろ酔い気味で国上山から下っていくと、蛇崩手前で、左の谷をさして、剣ヶ峰の標識が立てられていた。誰も歩いていないため、谷に入ると、雪のためにコースが判りづらくなった。木立の開き具合から見当をつけて進んだ。国上山から剣ヶ峰へ至る尾根は左に走っているため、左よりに下っていくと、右手の沢が深くなっていった。山腹を左に巻くように下っていくと、剣ヶ峰へ続く尾根道に乗ることができた。ここからは、縦走の際に歩いた覚えのある道になった。
 緩やかに起伏する尾根道を進んでいくと、林道の終点に到着した。ここまでの途中には、何カ所かで城跡の説明板が取り付けられていた。剣ヶ峰へは、杉林の中を登ったが、出だしは雪のために不明瞭になっていた。国上山での昼食でビールを飲んだため、剣ヶ峰への登りで息が切れた。傾斜が緩やかになって、土塁跡のような地形を通過すると、台地状の剣ヶ峰山頂に到着した。山頂の海側は、木立が刈り払われていた。しかし、国上山や途中には多くの標識があったにもかかわらず、ここには山頂標識は立てられていなかった。ハイカーが入る山としては、ちょっと不親切である。
 剣ヶ峰からは黒滝城跡への尾根を下った。鞍部の林道に下り、今度は黒滝城跡に登り返した。黒滝城跡は、ひと登りで山頂に到着するが、ここからは、国上山や弥彦山の展望を楽しむことができる。黒滝城跡を一周した後、林道経由で国上山へ戻ることにした。林道は吹きだまり状で、膝上まで潜る状態になった。わかんを背負ってきてはいたものの、つけるほどでもない。つぼ足で歩き続けたが、林道終点まで戻った時は、足がひくついていた。
 国上山の登山道への登り返しで、再び汗をかくことになった。国上山の登山道に戻ると、分岐の少し先が蛇崩であった。ここからの眺めは、低山とは思えない素晴らしさである。今登ってきた剣ヶ峰と黒滝城跡が目の前に並んでおり、その向こうには弥彦山が高く聳えていた。
 蛇崩からは、いつものように稚児道をめざした。雑木林の中の一気の下りになった。大勢のハイカーが歩いているため、登山道は雪が融けてグチャグチャの道になっていた。このような道は、長靴でなければ歩く気にはなれない。国上山へ続く稚児道に合わさるT字路で、いつもは右折して国上山の駐車場に戻るのだが、今回は左折して麓に向かった。尾根を少し下ると、右手の谷間に大きな堰堤が現れて、その先で集落に下り立った。T字路は、思ったよりも低い位置にあることを知った。
 県道に出て、車に気を付けながら歩いて駐車場に戻り、温泉へと直行した。
 今回は、剣ヶ峰まで足を延ばしたため、結構な歩きになった。一般には、てまりの湯から国上寺に登り、国上山から蛇崩山経由で麓に下山して駐車場に戻るという周遊コースにすれば、丁度良いハイキングコースになるであろう。
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