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角田山


【日時】 2003年1月1日(水) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 角田山
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 角田山・かくだやま・481.7m・二等三角点・新潟県
【コース】 稲島コース
【地形図 20万/5万/2.5万】 長岡/弥彦/角田山
【ガイド】 新新潟ファミリー登山(新潟日報事業社)

【時間記録】 3:20 新潟発=(新新バイパス、新潟西バイパス、R.116、県道新潟・寺泊線 経由)=4:00 稲島登山口〜4:57 発―5:17 五合目―5:41 向陽観音堂―5:50 角田山〜6:00 発―6:09 向陽観音堂〜7:14 発―7:30 五合目―7:43 稲島登山口=(往路を戻る)=8:30 新潟着

 弥彦山と連なって日本海の波打ち際にたたずむ角田山は、佐渡弥彦国定公園に指定され、新潟市民の日帰り登山の山として最も親しまれている山である。角田山は、各方面から登山道が開かれており、変化に富んだ山歩きを楽しむことができる。豪雪地の新潟にあって、海岸部にあることから冬でも積雪量はそう多くはなく、四季を通じて登山を楽しむことのできる貴重な山になっている。
 太平洋側の山と違って、新潟の山で元旦の初日の出を拝めるチャンスは少ない。登山道が整備されて暗いうちから登ることができ、雪の心配の少ない山として、新潟周辺では、角田山が初日の出登山の山として多くの登山者に登られている。とはいえ、日本海側の冬の気象の特徴として晴天率が低いため、山に登ったとしても初日の出を拝める機会はめったにない。
 先回に角田山の初日の出登山に登ったのは、1997年1月1日で、5年前ということになる。この時は、前日の大晦日の晩から雲一つ無い星空が広がり、天気予報でも新潟の天気は晴という予報が出ていた。今年の天気予報は、週間予報では曇り時々雪、直前になって曇り朝方雪となっていた。この様子だと、初日の出登山は中止かなと思っていた。低気圧が太平洋岸を通過するということで、関東方面は雪の予報が出ていた。冬型の気象配置が崩れるということで、一縷の期待を抱いて夜空を見上げていた。大晦日のテレビで、騒々しいだけの紅白歌合戦に代えて、猪木主催の総合格闘技の中継を見ていると、終わった頃には星空が広がっていた。一応山の支度はしてあったので、初日の出登山に出かけることにして急いで布団に潜り込んだ。
 夜中に目が覚めてしまったのをきっかけに出発した。稲島登山口には、少し早い時間に到着してしまい、車の中でひと眠りすることになった。駐車場には三台が停まっているだけであった。先回の初日の出登山で、太陽が昇るのは7時10分頃になることは判っていた。角田山山頂までは1時間程の登りになるので、5時30分頃に出発が良いとは思ったが、他の登山者が歩き出すのに引きづられるように、待ちきれずに出発した。日の出を待つために、厚い下着も着込んで、寒さ対策を充分にしてあった。登山道は凍結しており、スパイク長靴を履いていたから良かったものの、普通の登山靴では軽アイゼンが必要な状態であった。
 稲島コースは、お地蔵さまのある五合目まで一直線の棒登りが続く。ヘッドランプを頼りの登りは、前方が見えないだけ、余計に長く感じられた。五合目からは、階段登りが続く。登山道を雪が覆い、足元に注意する必要があった。他の登山者のライトが登山道上に見え隠れし、町の灯りが眼下に広がるようになった。途中でマウンテンジャケットは脱いだものの、急登が続いて汗がふきだしてきた。角田山の登山道の中でも、稲島コースは最も利用者の多いコースであるが、登るたびにきつい登りだと感じてしまう。
 灯りが前方に見えてきたと思うと、向陽観音堂に到着した。自家発電で、お堂の中に明かりがともされていた。この広場で初日の出を待つことになるが、時間も早いので、まずは角田山の山頂を往復してくることにした。この先は、ほぼ平坦な道が続く。雪も多くなって、トレースを外すと、膝くらいまで足が潜る状態になった。
 角田山の山頂は、雪に覆われて静まりかえっていた。山頂の三角点は雪の上に頭を出しており、積雪量はそう多くはないようであった。向陽観音堂の前の広場に戻り、ベンチに腰を下ろして初日の出を待った。上下の衣類の防寒対策は充分であったが、長靴を通して冷たさがしみこんできた。お湯割りのウイスキーを飲みながら夜明けを待った。
 山頂に登り着いた頃は、細く引いた眉の様な月と星が明るく輝き、町の灯りがイルミネーションの様に模様を描いていた。太陽が昇るにつれて東の空が赤く染まり、町の灯りの輝きは失われていった。空がすっかり明るくなっても、太陽はまだ山陰になって現れなかった。地平線間際の雲は、刻々と色を変えていった。いつの間にか、広場に大勢の登山者が集まっていた。今年は、天気予報があまり良くなかったためか、広場が埋め尽くされた1997年に比べれば少な目であった。1997年の時は雪は無かったので、今回の雪景色と初日の出の取り合わせの方が美しかった。7時過ぎに、太陽が白山の上に顔を出し、空が赤く染まった。昨日の日の出や明日の日の出とどこが違うと言われれば、特には変わらないのだが、元旦の日の出は、特別な思いを込めて眺めることになる。写真のシャッターを数枚切るうちに、太陽の光りも力を増して朝の風景に変わり、日の出の眺めも終わりになった。
 日の出が終わるなり、多くの登山者が下山を始めた。大半は、角田山の山頂に向かい、小屋の中や雪原で朝食をとることになるのであろう。家には、おせち料理のために9時までに戻ると言ってあったので、下山を急ぐことにした。明るくなってから登ってくる登山者も多かった。登山道が凍っているところもあったので、足元に注意する必要があった。三合目あたりで、足を怪我したらしい登山者がおり、駐車場に到着した時、救急車が登山道の上に向かって進んでいくのに出会った。駐車場は満杯で、路肩駐車の列が、下の集落まで延びていた。
 まずは、2003年第一回の登山も終了し、今年一年の山の、さい先の良い幕開けになった。

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