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黒石山


【日時】 2002年11月17日(日) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 飯豊連峰周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
黒石山・くろいしやま・600.2m・三等三角点・山形県
【コース】 市野沢牧場より
【地形図 20万/5万/2.5万】 村上/手ノ子/小国
【ガイド】 なし
【温泉】 えちごせきかわ桂の関温泉ゆーむ 500円

【時間記録】 6:10 新潟発=(R.7、新発田、三日市、R.290、大島、R.113、羽前落合、下新田、市野沢 経由)=8:00 市野沢牧場〜8:57 発―10:34 東の鞍部―11:06 黒石山〜11:48 発―12:05 東の鞍部―13:29 市野沢牧場=(往路を戻る)=16:15 新潟着

 黒石山は、飯豊連峰から流れ出る玉川の右岸にあって、大境山と向き合う山である。小振りながらドーム型をした山頂が良く目立つ山である。
 地図を見ると、黒石山の北山麓には、東の向片貝と西の市野沢牧場を結ぶ破線が記されている。この破線は、集落を結ぶかつての山越えの峠道のようで、今でも辿ることができるのか興味をもった。この道が歩ければ、山頂まではヤブコギとなっても、そう大した距離では無さそうであった。黒石山に登るための問題は、どちらからアプローチするかということであった。今年は早くも雪山となってしまったので、市野沢牧場からの方が傾斜も緩やかで登りやすそうであった。
 前日は、奥只見丸山スキー場で、フリートレックで滑る練習をしたので、今度は牧場の雪原でシールを付けて歩く練習をすることも目的のひとつであった。
 飯豊を訪れる時のように長者原へ向かわずに、下新田から橋を渡って市野沢をめざした。市野沢付近に雪は全く無かったのだが、牧場への林道に進むと、雪がみるみる増えてきた。冬用タイヤに交換してあり、雪の上に轍が刻まれているのを幸い、車の腹をすりながら進んだ。路肩には車の方向転換が可能なスペースがあるので、少々無理もできた。そろそろあきらめようかなと思う頃、前方に送電線の鉄塔が現れ、左手に池が見え、牧場に到着したことを知った。霧がかかっており、黒石山の山頂を目で確かめることができないため、しばらく車の中で待機した。
 コーヒーを飲みながら待つうちに、ガスが晴れてきた。牧場の雪原の向こうに黒石山のドーム型の山頂が青空をバックに姿を現した。下部は杉の植林地が広がり、山頂付近は雑木林の急斜面のようであった。地図を見ながらコースを考えた。できるだけ山道をたどり(あるのかどうかは判らないが)、東の鞍部に上がって、稜線伝いに登るのが良さそうであった。
 フリートレックでの雪原歩きは、雪も締まっていることもあり、なかなか快適であった。池の南の縁を辿っていくと、池から流れ出る用水堀に行き当たってしまった。堀は深くて越せなかったが、池の出口で幸い浅くなっており、渡ることができた。牧場の中の作業道にのって、山道の入口を探しながら進んでいくと、牧場の縁の鉄条網に行き当たった。緩やかに下っていくと、湿原状の谷地に出た。
 山道は見つからなかったため、右手の杉林に入って、稜線の上に向かって登ることにした。杉林の中は、雪は少なかったため、フリートレックは脱いでザックの脇にくくりつけた。最後の急斜面のためにわかんも持ってきていたため、ザックに色々括り付けた格好になってしまった。ひと登りで稜線の上に出ると、左手に向かって僅かな下りになった。地図を見る限りは山道に乗っているはずであったのだが、藪の状態からすると、道があるとは思えない状態であった。東の570mピークとの鞍部付近では、杉林の中をトラバースするような道が続いているように思えた。あるいは杉の植林のための作業道だったのかもしれないが。
 見通しの利かない杉林の中を進んでいくと、前方を谷が横切っていた。地図で予想していたよりも、沢が深く抉られており、横断することができなかった。上流に向かって進むと、ひどがあり、僅かな下りで沢に下り立つことができた。破線は谷を横断して北に延びる尾根に上がるように続いているが、これ以上辿るのは諦めることにした。沢を渡った先の尾根沿いに、東の鞍部を目指した。展望の利かない杉林の中で度々方向を変えているため、帰りの心配が出てきたが、雪の上の足跡が役に立って、赤布を付ける箇所はそう多くならなかった。
 東の鞍部に上がると、その先は雑木林の尾根が続き、黒石山の山頂も迫ってきた。この尾根には鉈目も残されており、人が入っているようであった。しばらく緩やかな尾根を辿ると、急斜面の登りが始まった。雪も深くなり、木の枝を掴んで体を持ち上げるような登りが続いた。木の枝がうるさく、わかんを付けても邪魔になりそうであったため、つぼ足で登り続けた。もう少し雪が多くなった方が登り易かったかもしれない。
 黒石山の山頂は、台地状で藪に囲まれていた。中央の最高点と思われるところでザックを下ろした。三角点は、雪の下になっており、探すことはできなかった。山頂の縁に進んでみると、藪が切れて、飯豊方面の展望が広がった。眼下の玉川の向こうには大段山が白くなった山頂を空に向かって突き上げていた。大段山の右肩に位置するピークが、沼山のようであった。北股岳を中心とする飯豊連峰は、逆光気味となり、白く光っていた。今年はずいぶんと遊ばせてもらった飯豊も来年までお休みである。飯豊の今年のフィナーレとするのに相応しい眺めであった。
 帰りは、来た道を忠実に辿った。杉林の中では、雪の少ない木の枝の下を通っていたりするので、踏み跡を辿るのにも注意が必要である。牧場に出て、ほっとひと息ついた。結局、フリートレックをザックに付けてのヤブコギの練習ということになった。頭の高さとほとんど変わらないくらいなので、ヤブコギ中にもさほど邪魔にはならなかった。
 フリートレッックを付けて、牧場の雪原をひと周りすることにした。誰もいない雪原の歩きは気分が良かった。関東方面であったなら、この牧場は、歩くスキーやスノーシューの格好のゲレンデになるところであろうが、雪国にあっては、冬の間は厚い雪に閉ざされることになる。青空と木立を映しだす池を眺めながら歩いていくと車に戻ることができた。

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