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九才坂峠、目指岳


【日時】 2002年10月20日(日) 日帰り
【メンバー】 峡彩ランタン会会山行(L岡本 明、上村幹雄、佐久間剛、斉藤春美、大石イチ子、中静一博、松本健一、真柄順子、岩谷尚子、碇 ユキ、池田憲一、風間 均)
【天候】 曇り

【山域】 会越国境
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
九才坂峠・くさいざかとうげ・560m・なし・新潟県、福島県
目指岳・めさしだけ・650.3m・三等三角点・新潟県、福島県
【コース】 土井より
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/野沢/安座
【ガイド】 新潟の低山藪山(白山書房)、LATERNE vol.6

【時間記録】 6:30 新潟発=(磐越自動車道、津川IC、R.49、合川、七名 経由)=7:40 土井〜7:53 発―8:41 二俣の滝―8:58 九才坂峠〜9:09 発―9:42 目指岳〜11:13 発―11:43 九才坂峠―11:55 二俣の滝―12:44 土井=(タキガシラ湿原経由で往路を戻る)=15:30 新潟着

 新潟と福島との県境のうち、只見川から南の県境線は、古惣座山、土倉山、黒森山、目指山、大倉山、木地夜鷹山、高陽山といったピークを連ねて南下した後、西に向きを変えて、御神楽岳から浅草岳へと続いている。この県境線を越える峠道が幾つも開かれているが、その一つに九才坂峠があり、新潟県側の土井と福島県側の水沢を結んでいる。目指岳は、この九才坂峠の北に隣り合うピークである。
 峡彩ランタン会の秋の低山ハイクを引き受けて、どこにするか迷ったあげく目指岳を選んだ。登山口の土井の集落から2時間ほどで登れて、九才坂峠までは昔の山道、その先は踏み跡がついており、軽いヤブコギなので、丁度良い程度に思われた。会員の登ったという報告は、佐藤一正さんの沢を経由した山行くらいのもので、経験者はほとんどいないようであった。
 心配された天気も曇りとなり、まあまあの山行日和になった。車三台に便乗して、登山口の土井の集落に向かった。土井の集落は、福島との県境近くにあり、この近くで一般登山者が用のあるのは、タキガシラ湿原と御前ヶ遊窟を訪れる時くらいのものであろうか。
 柴倉川を遡り、七名の集落を過ぎ、さらに峠を越してようやく土井の集落に到着する。道路標識にも、土井の集落を示す看板は現れないので、道路地図を良く確認する必要がある。土井の集落内の路肩に、車三台を邪魔にならないように置いた。数軒の民家が建ち並ぶ風景は、子供の頃に訪れた田舎を思い出させ、郷愁を呼び起こす。冬は豪雪地になるであろうから、住むのは大変だと思うが。
 目指岳までは沢沿いの歩きになるので、登山靴の代わりに、長靴を履いた。山行の案内にも、長靴が望ましいと書いておいたせいもあり、登山靴は数人だけの集団になった。
 集落の車道突き当たりから、杉林に向かってあぜ道を進むと、九才坂峠から目指岳一帯の自然環境保全地域の案内板があり、これが九才坂峠への途中で現れる唯一の標識となる。杉林を抜けていくと、沢に突き当たり、山道は右に曲がる。大きくヘアピンカーブを切ると、沢の本流の左岸沿いの道となる。東小出川を渡り、戸屋山を越して中山の集落に通じる道が、沢の下流から合わさるように地図には記載されているが、今は廃道になっているようである。
 沢沿いの道は、山奥に入り込んだ雰囲気となり、ハイキングの気分も高まった。沢を何回か渡るが、飛び石伝いに歩けるので、登山靴でも問題はない道である。滝のかかる二俣に到着すると、ここからは、ブナ林のなかのつづら折りの道が始まる。ブナ林の紅葉に少し早いのが残念であった。ひと汗かくと九才坂峠に到着した。
 峠から福島県側には、尾根通しの道が続いており、新潟県側の登山口にこだわらなければ、水沢の集落から上がってくるほうが判りやすいかもしれない。機会を見つけて、峠の半分も歩いてみる必要がある。
 新潟県境縦走の金属プレートを見ながらひと休みした後、目指岳へ向かった、この先は、踏み跡があるといってもヤブコギになるので、磁石を合わせて、赤布の準備をした。歩き始めは笹原で、すぐに踏み跡はおぼろになるが、尾根が痩せてくると、枝を掻き分ける必要はあるが、はっきりした道に変わる。灌木の中を進んでいくと、小ピークに出て、大きく下った鞍部越しに目指岳が姿を現す。ここからの下降が少し難しいところである。左に向かって尾根を下ると、すぐに踏み跡は右に方向を変える。藪の枝を掴んで急な坂を下ると、鞍部に下り立つことができる。40m 程の高度差であるので、思ったほどには大変ではない。痩せ尾根を辿っていくと、標高差90mの目指岳への登りが始まる。これも藪の中で木の枝を掴めるからよいようなものの、木が無ければ転落が怖いような急坂である。藪の中から尾根の上に出て背後の展望が開けると、山頂までは僅かになる。
 目指岳の山頂は、松の木が所々に生えているが、ほぼ360度の展望が広がっている。あいにくと、雨が降らないのが幸運と思わなければならないような曇り空で、御神楽岳や飯豊連峰の遠望は利かなかった。それでも目の前に聳える大倉山、竜ヶ岳、土埋山といった山を眺め、西会津の盆地を見下ろして風景を楽しんだ。尾根から谷に広がる森も紅葉に染まっていた。山頂は、今回の参加者の13人が車座になって座り、ザックを下ろすと、それで満杯状態になった。ザックの荷物を後ろに置くと崖から落とすおそれがあるため、荷物は前に置く必要があった。
 さっそく宴会の開始。10時前からの宴会も、低山ならではのことである。最近は、山頂は混雑していたと不平をもらす人が多いが、このように貸し切り状態になる山も探せばいくらでもある。次から次に回ってくる御馳走を食べているうちに、座っているのも疲れて、腰を上げて下山にうつることにした。
 ムカゴ採りでのんびり歩いても、12時過ぎの下山であった。もっとも往復で3時間10分くらいは歩いているので、ガイドブックに載っている山でも、これくらいの歩行時間の山もけっこうある。先回よりも踏み跡ははっきりしていたので、半日の山として、もっと多くの人に登ってもらいたい山である。
 時間も早いということで、タキガシラ湿原によったが、これは整備のしすぎという感じがした。

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