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デベソ山、天狗山・杉立峰


【日時】 2002年7月14日(日) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 曇り

【山域】 飯豊連峰周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 デベソ山・でべそやま・なし・520m・山形県
【コース】 朴ノ木峠登山口
【地形図 20万/5万/2.5万】 村上/小国/小国
【ガイド】 なし

【山域】 朝日連峰周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 天狗山・てんぐざん・612m・なし・山形県
 杉立峰・すぎだてみね・664.3m・三等三角点・山形県
【コース】 二ノ鳥居より
【地形図 20万/5万/2.5万】 村上/手ノ子/手ノ子
【ガイド】 分県登山ガイド「山形県の山」(山と渓谷社)、山形百山(無明社)

【時間記録】 8:05 新潟発=(R.7、新発田、三日市、R.290、大島、R.113、道の駅白い森おぐに、林道朴ノ木峠線 経由)=10:00 朴ノ木峠〜10:08 発―10:42 デベソ山―10:45 関川小国線鉄塔No.71〜10:51 発―10:54 デベソ山―11:20 朴ノ木峠=(林道朴ノ木峠線、小国、R.113、手の子、小白川十文字 経由)=12:35 林道入口〜12:38 発―13:01 荒尾沢二ノ鳥居―13:19 林道横断点〜13:24 護摩堂―13:58 天狗山〜14:02 発―14:20 杉立峰〜14:23 発―14:35 天狗山〜14:48 発―15:04 護摩堂―15:06 林道横断点―15:25 荒尾沢二ノ鳥居―15:51 林道入口=(往路を戻る)=18:25 新潟着

 デベソ山は、小国町の荒川左岸にあり、横根山の南の峰伝いに位置する山である。地図には山名は記載されていないが、「健康の森横根」の遊歩道が整備されている。
 天狗山は、山形県西置賜郡飯豊町と小国町との境にある山で、源頼朝の叔父にあたる護念上人が不動尊を祀ったのがはじめと伝わる修験の山で、登山道の途中にある護摩堂には天狗が祀られている。天狗山の頂上は、置賜平野を一望できる展望地となっている。杉立峰は、天狗山の西隣りにあるピークである。天狗山から杉立峰へは道が続いているが、次の小ピークを越した鞍部付近から消えてしまい、最後はヤブコギになる。

 デベソ山は、ひと月前の6月15日(土)に、小枕山への途中に寄り道をして、登った山である。登山口を見つけて、興味の引かれるまま、地図も持たずに登ったため、後で地図を見直しても、林道の途中のどの地点が登山口であったのか判らなかった。また、デベソ山の山頂から稜線沿いに切り開かれている道が、横根山まで続いているのかという疑問がわいてきた。
 日曜日は、朝方まで雨が残っていた。あれこれ考えていた山も、標高の高い山は雨が残りそうで、登山の意欲も低下してしまった。家で朝食を食べながら、遅出でも登ることのできる低い山を考えた。デベソ山に先回は歩いていない朴ノ木峠から登り、できたら横根山まで歩くことにした。さらに時間の余裕があった時用に、山形県飯豊街の天狗山を予備の山にすることにした。
 デベソ山には、道の駅「白い森おぐに」を通り過ぎると、すぐに「健康の森横根」の標識が右に現れるので、ここから始まる林道朴ノ峠線に車を乗り入れる。1.5車線幅の舗装道路が緩やかな登り坂で続いている。林道の様子を地図と見比べながら車を走らせ、先回登ったデベソ山登山口の位置を確認した。登山口は、三叉路の北側のヘアピンカーブのすぐ手前にあるようであった。
 三叉路を右折し、もう一方の登山口の朴ノ木峠に向かった。朴ノ木峠からは、飯豊の展望が広がっていた。天気が予想以上に回復してきたようである。
 朴ノ木峠にも、同じようなデベソ山登山口の標識が立てられている。登山口からは、幅広の登山道が続いていた。登山道の回りには、ブナやミズナラの林が広がっていた。木立の間からは、小国の市街地を見下ろすことができた。ひと登りすると、稜線の上に出て、周囲の展望が広がった。先回登った東登山口よりは、朴ノ木峠コースの方が展望を楽しむことができるだけ、歩いていて気持ちが良い。標高差も、朴ノ木峠からデベソ山山頂までは、120m程しかない。水平距離は少し余計にかかるが、急な登りはあってもごく短い区間で、楽に歩くことができるコースである。ただ、暑さがきびしく、タオルを絞る程の汗をかきながらの登りになった。
 手前の小ピークを山頂と間違えたが、その先で見覚えのあるデベソ山に到着した。先回よりも見晴らしは利いており、飯豊連峰や朝日連峰を眺めることができた。デベソ山の山頂は、山頂標識は立っていないが、三方から道が合わさっており、地面に案内図が横たわっているので、それと判る。
 さっそく、横根山方向へと続く稜線沿いの道に進んだ。小さなピークを越した先で、送電線の鉄塔下に出た。この送電線は、地図には記載されておらず、新しいもののようであった。さっそくその先の道を探した、左手に道が下がっていたが、残念ながら、稜線沿いの道は無かった。ここから551mピークまでヤブコギをするにしては、夏草も茂り季節が悪かった。高根山へは、551mピークの北側を通過する送電線の巡視路を利用するのが良さそうであった。秋になってから再挑戦することにした。
 デベソ山からの下りは、道も良いことから、快調に下ることができた。デベソ山への登山道は、どちらか一方ということなら、朴ノ木峠コースの方が面白い。周遊コースということなら、朴ノ木峠と東登山口の間の距離は1.5kmであるので、歩けない距離ではないが、林道歩きの標高差があるのが少々問題か。
 横根山登山が不発に終わったため、天狗山に向かうことにした。新宇津トンネルを越えると置賜平野に入るが、手ノ子でR.113から分かれ、羽前椿方面の県道に進む。小白川十文字で左折すると、赤い大鳥居が現れる。この立派な鳥居を見て、関東の高尾山のように参拝客めあてのお土産屋も門前に並ぶような観光地化した山を思い浮かべたが、すぐ後で、この勘違いを知らされることになった。舟越の集落手前で天狗山の標識があり、小白川を渡った。集落を通り過ぎると未舗装の道に変わり、沢沿いの林道が始めるところで、車両通行止めの看板が立てられていた。車の轍は先に続いていたが、先の様子が分からないことから、ここから歩き出すことにした。車を路肩ぎりぎりに寄せて停めた。
 沢沿いの歩きが続いた。通行止めになるような箇所は見あたらなかった。車を停めるにしても、少し進んだあたりの方が、路肩のスペースが広い所があった。戻ろうかと迷ったが、林道歩きも山歩きの一部ということで、歩き続けた。道が右に方向を変えて沢から離れるようになると、谷間に田圃が広がるようになった。ここが荒尾沢のようであった。人気のない家を通り過ぎると、路面の状態も轍が深くなってきた。前方に見える、三角形のピークを持つ山が天狗山のようであった。
 林道の終点にこじんまりした木の鳥居が立てられており、ようやく天狗山の登山口に到着したことを知ることができた。一ノ鳥居と二ノ鳥居は、かなり格差があった。鳥居脇には、コンクリート造りのトイレが設けられて、そこそこに登山者がいるようではあった。最後は道が少し心細い状態になるが、車でもこの登山口まで入ることは可能であった。車両通行止めの看板はなんであったのかという疑問が残る。
 鳥居をくぐり田圃の脇のあぜ道を少し辿ると、沢に向かって緩やかに下っていく山道が始まった。へつり道で、木の橋も設けられていた。前方に滝が見える所で、山道は、沢に下り立った。パイプの梯子で3m程登ると、右岸沿いに道が続いていた。その先は、ナメ状の岩場の登りになった。傾斜は緩く、岩に足場が彫り込まれていたが、水も流れており、足元に注意しながら登る必要があった。修験道の山ならではのコース取りであった。これまで履いていたトレッキングシューズを靴底の張り替えに出したところで、雨上がりの登山に新しい靴をおろすのもいやだったので、スパイク長靴を履いてきたのは正解であった。
 沢から上がって、杉の植林地の中のトラバース気味の登りになると、林道に飛び出した。汗がしたたり落ちる状態になり、ひと休みする必要があった。蒸し暑く、気温がかなり上がっているようであった。林道を横断した先の山道を登っていくと、杉木立に囲まれた護摩堂が現れた。天狗が祀られているとのことであったが、中を覗いたが、良く判らなかった。その先の広場に、「清浄水」の水場があった。さっそくコップを取り出して、水を飲んだ。山の窪地からの湧き水で、冷たく、生き返るように美味しかった。
 この先は、尾根沿いの登りが始まった。急な登りの傾斜が緩んでひと息入れるようなところには、石仏や石碑、石の祠が置かれていた。山頂が近づいた所で、崖に穿たれた岩屋に姥権現が置かれていた。この左手の5m程の高さの岩場に登山道が付けられていた。一枚岩に足場が彫り込まれ、鎖が掛けられていた。岩に苔がついているのが、危なそうであった。両脇にいくらでも登山道を切り開くことができるのに、わざわざ岩の上を通過させるのも、修験道の山特有のものである。
 そこからは、ひと登りで天狗山の山頂に到着した。奥の院ということで祠が置かれ、中には鏡や鉄剣の飾り物が奉納されていた。眼下には置賜平野が広がり、その向こうには、蔵王連峰や二口山塊の眺めが広がっていた。汗を拭きながら杉立峰方面をうかがうと、山道が続いていた。ガイドブックには、登山道は途中までしかないので、立ち入らないようにと書かれていたが、最近になって道が整備されているという可能性だってない訳ではない。道が無いなら、それを確かめてみる必要もある。時間も遅くなっていたので、急いで杉立峰にむかって歩き出した。
 次の小ピークに向かっての急な登りには、ロープが掛けられていた。ピークの上には、新しい石の祠が置かれていた。小ピークからの下りも急斜面であったが、ここにもロープが掛けられていた。鞍部から杉立峰への登りになると、踏み跡程度に変わった。尾根沿いの登りで、歩くのに支障は無かったので先に進んだ。頂上が近づいたところで、踏み跡は完全になくなり、笹と灌木の藪を掻き分ける状態になった。帰路確保用に赤布を付けながら登った。藪から草地の広場に飛び出して、杉立峰の山頂に到着したことを知った。身の丈を越す草原で、三角点を見つけるのは難しいかなと思ったが、登り口から僅かに右に寄ったところで、土から頭を僅かに出した三角点を見つけることができた。眺めはなにも無い山頂であった。三角点の写真を撮っただけで引き返すことになった。
 杉立峰に登るには、藪山に慣れていれば、ヤブコギ区間も短くて問題は無いが、赤布を付けておかないと、下山時に尾根に乗るのに苦労しそうであった。一般登山者は、天狗山までとするのが安全というものか。
 天狗山に戻り、腰を下ろしてビールを開けた。大汗をかいた後のビールは美味しかった。夏の暑い時期の低山は、歩行時間は短くても体に応える。夕暮れにはまだ時間はあるはずではあったが、空が暗くなってきたので、下山を始めた。「清浄水」に戻って、再び冷たい水を飲み、下山の足を速めた。
 車に戻って着替えをしていると雨粒が落ちてきた。小国の町を通過する頃は、暴風雨状態になったが、新潟が近くなると雨は止んだ。山の稜線部では、天気の崩れも早かったようなので、晴天に誘われて下山が遅れて嵐にあった人も出たかもしれない。

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