0243

池平峰、滝沢峰


【日時】 2002年6月16日(日) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 飯豊連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 池平峰・いけだいらみね・1024.8m・三等三角点・新潟県
 滝沢峰・たきざわみね・1361.4m・三等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/飯豊山/えぶり差岳、二王子岳
【コース】 胎内ヒュッテより胎内尾根
【ガイド】 岳人カラーガイド「飯豊連峰、朝日連峰」(東京新聞出版社)、山と高原地図「飯豊山」(昭文社)

【時間記録】
5:40 新潟発=(R.7、新発田、三日市、R.290、胎内 経由)=6:50 胎内ヒュッテ〜7:08 発―7:27 ブナノ峰―7:54 見晴台〜8:04 発―8:13 頼母木越―8:46 五葉峰―9:26 池平峰〜9:35 発―9:47 雨量観測所―9:56 水場入口―10:51 郷倉峰―11:28 滝沢峰〜12:00 発―12:34 郷倉峰〜12:40 発―13:17 水場入口〜12:47 発―12:55 雨量観測所―14:05 池平峰―14:29 五葉峰―14:52 頼母木越―15:03 見晴台〜15:08 発―15:22 ブナノ峰―15:41 胎内ヒュッテ=(往路を戻る)=17:30 新潟着

 飯豊の登山道のうち、奥胎内から二ツ峰を経由して門内岳に至る胎内尾根は、距離の長いハードコースとして知られている。利用者も少ないことから、廃道化が進み、最近の登山地図からは登山道を示す赤線が消えてしまっている。しかし、個人的なボランティア活動で道の刈り払いが行われており、途中までは歩くことができる状態になっている。池平峰と滝沢峰は、胎内尾根の途中にあるピークである。
 胎内尾根は、ハードコースとはいえ、少し前のガイドブックでは飯豊の案内でよく紹介されていた。飯豊に足を踏み入れるようになって、胎内尾根を歩きたいと思ったものの機会がないままに、廃道のうわさが聞こえてきた。胎内尾根の整備の話を聞いて、歩いてみたいと思っていた。胎内尾根は、二ノ峰付近から藪ということで、登りきって縦走路に出るには一泊の準備が必要である。まずは偵察ということで滝沢峰を目標にすることにした。
 日帰りということで、胎内ヒュッテには、飯豊山行としては遅い7時近くの到着となった。駐車場の車も多く、バードウォッチングなのか、軽装の一団が歩き出していった。
 胎内尾根の取り付きは、車止めのゲートを通り抜けたすぐ先で、谷に向かって下りていくコンクリート打ちのスロープである。入口を入ったところに、通行不能の警告文が掲げられていた。
 「通行不能のお知らせ
「胎内ヒュッテ」より「胎内尾根」を経由して「二ッ峰」に至るルートについては、地形及び道路状況等の不良により登山道としての管理は行っておりませんので、通行をご遠慮願います。
通行不能区間 胎内尾根(頼母木川吊橋〜二ッ峰)
 下越森林管理局
 黒川村」
 通行不能なのは判っており、どこまで行けるかを確かめるのが目的なので、躊躇することなく先に進んだ。頼母木川に向かって下っていくと、吊り橋が現れた。川幅があり、高い所にかけられているが、しっかりした作りなので、渡るのが怖いようなことはなかった。
 対岸に渡ると、ここにも警告文が掲示されていた。尾根に取り付くと、しっかりした道が続いていた。登山道の周囲には、ブナ林が広がり、痩せたところでは姫小松が目立った。登りの途中、ブナノ峰と書かれた新潟県の古い登山標識が現れた。坂の途中であったので、その先でピークに出るのかと思ったが、そのまま登りが続いた。
 胎内尾根を貫いているトンネルにつながっている工事道路の橋が眼下に迫ってくると、傾斜が緩んでピークの上に出た。下り口まで進むと、飯豊方面の眺めが広がり、見晴台と書かれた古い標識が木に打ち付けられていた。二王子岳から飯豊に連なる稜線が目の前に広がっていた。気温も高く、水を飲みながらひと休みした。
 見晴台からは、帰りの登り返しが思いやられるような一気の下りになった。鞍部には、頼母木越という標識が木に取り付けられていた。トンネルを抜けた胎内川側では、なにやら工事を行っているようであった。ここから、いよいよ本格的な登りが始まった。日も高く昇っており、汗が噴き出てきた。池平峰までは500mの標高差があり、ゆっくりと登り続けることにした。木立に囲まれてほとんど展望の無い登りであったが、時折大樽山や足の松尾根の眺めが広がった。途中の登り坂の途中に、五葉峰という標識が掛けられていた。
 横に広がった峰の上に出て、左に稜線を辿っていくと、池平峰に到着した。三角点の周りが刈り払われて、登山道の幅が広がっていた。鉾立峰から頼母木山にかけての眺めが広がっていた。杁差岳は、鉾立峰の背後になっていた。池平峰の山頂から先は、ブナ林の広がる台地状で、小さな水溜まりもあったが、これが山名の由来なのかどうか。登山道の脇に、かまぼこ屋根の雨量観測施設が現れた。小屋の前は刈り払いが行われていたが、今でも働いている施設なのだろうか。
 その先は、台地上を登山道がカーブしながら続いていた。登山道がはっきりしていないと、通過が難しくなりそうであった。水場を通過し、小ピークから僅かに下ると、左右がザレ場になって切り落ちた痩せ尾根の通過になった。幸い、遠目で見たよりは、幅もあって、通過には問題は無かった。再び急な登りが続いた。
 最後は岩を巻くようにして小ピークの上に出ると、さえぎるもののない展望が広がった。地図を見ると、ここが郷倉峰で、滝沢峰はまだ先であった。滝沢峰までの稜線を目で追うと、途中には小岩峰があり、巻くにしても、通過はそう楽では無さそうであった。かなり草臥れてきており、風景を楽しみながらひと休みした。胎内尾根最後のピークの二ノ峰は一ノ峰に隠されていた。南は赤津山から藤十郎山、北はアゴク峰から鉾立峰、大石山、頼母木山、地神山と続く稜線の眺めを思うままにできるはずの山頂であったが、雲が流れて、展望は所々で隠されていた。
 郷倉峰からは、固定ロープを頼りに、ザレた急斜面を下った。このロープが無かったとすると通過は難しそうであった。下った先には、雪原が広がっていた。小岩峰を巻いていく道が続いた。ヒメサユリが咲き始めていた。ひと登りすると、残雪が消えて現れた草付きに出た。ここにはサンカヨウと白花のシラネアオイが咲いており、最後の登りの前のひと休みになった。先日の二王子岳でも白花のシラネアオイを見ており、飯豊付近には多いようである。
 急斜面をひと登りすると、滝沢峰に到着した。三角点の周りは灌木に囲まれて展望は無かったので、下りにかかるところまで進んで腰をおろした。ここまでの登りで大汗をかいて、さっそくビールの栓を抜いた。稜線伝いに、登山道が続いているのが見えた。胎内尾根を突破するには、ここまではなんの問題もない登山道であったので、一ノ峰から二ノ峰の間が勝負所になりそうであった。身の丈を越す笹藪と聞いている。胎内ヒュッテから滝沢峰までは4時間20分の登りであった。一泊のつもりなら、藪漕ぎをして門内岳に抜けるのは、そう難しくは無さそうであった。残雪期なら、水も途中で得ることもできるので、途中で幕営になってもかまわない。偵察の目的は果たすことができた。胎内尾根は、来た道を引き返すなら、時間的にも、滝沢峰までが日帰りの限界のようであった。滝沢峰を目的とした歩きでも楽しめるが、その時間をかければ、足の松尾根経由で大石山に上がれてしまうとあっては、歩く人が減ってしまうのも無理はないことか。
 下りも時間がかかることから、休みも適当に切り上げて歩き出した。途中の水場で、様子を見ていくことにした。入口の木に水と彫り込まれ、10分と書かれていた。水場への踏み跡はしっかりしていた。右寄りに急斜面を下っていくと、涸れ沢状の窪地に出た。水は流れていないのでさらに下っていくと、ようやく水がしみ出すようになってきた。岩の下をのぞくと二条ほどのしずくがたれており、コップをおくと、1分くらいで一杯にすることができた。水も冷たく美味しかったが、今の季節なら、残雪からしみ出ている水を探した方が早そうであった。ここまでで10分強の下りであったが、これからの季節にはもっと下る必要がありそうであった。水場からの登り返しにも体力を使った。この水場は、あまり期待しないほうが無難のように思われた。
 胎内尾根の下りは、日帰り装備でも長く感じられ、最後に頼母木川吊橋に出たときは、ほっとした。滝沢峰までは、問題のない登山道が続いているので、もっと多くの人が歩くとよいのだが。

山行目次に戻る
表紙に戻る