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高曽根山


【日時】 2002年4月21日(日) 日帰り
【メンバー】 宇都宮グループ(室井、白石、田辺、池田、小森、他 全9名)
【天候】 曇り

【山域】 裏磐梯
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
高曽根山・こうぞねやま・1443.2m・三等三角点・福島県
【コース】 登り:高曽根山林道終点(猫石別)より 下り:蘭峠
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟、福島/熱塩、吾妻山/熱塩、檜原湖
【ガイド】 会津百名山ガイダンス(歴史春秋社)、山を訪ねて(歴史春秋社)
【温泉】 檜原湖ふれあい温泉湖望 400円

【時間記録】
4月20日(土) 20:30 新潟発=(R.49、会津坂下、喜多方、R.459、檜原湖 経由)=24:00 桧原  (車中泊)
4月21日(日) 8:14 猫石別発―10:58 高曽根山〜12:08 発―13:00 1122mピーク―13:40 1175mピーク〜13:50 発―14:38 蘭峠=(R.459、R.115、猪苗代磐梯高原IC、磐越自動車道 経由)=19:10 新潟着

 高曽根山は、裏磐梯の檜原湖の西、北塩原村と喜多方市の境界線にある山である。喜多方市の最高峰であり、雄国山と飯森山と合わせて、喜多方三山と呼ばれている。登山道は無いため、残雪期を選んで登ることになる。
 宇都宮の室井さんが高曽根山に行くというので、山行に加えてもらうことにした。この高曽根山は、会津百名山に選ばれている山である。会津百名山には、登山道の無い山が多く含まれているが、台倉高山、黒岩山、男鹿岳、坪入山等、これまで登った会津百名山の中の難しい山は、どれも室井さんと一緒に歩かせてもらっている。
 桧原の先の登山口には、8時集合で、早朝発で間に合う計算であったが、早起きよりは前夜に登山口に入って野宿の方が、翌日のんびりできる。角田山から戻り、夕食をとって、誕生日のケーキを食べてから家を出た。目的地は裏磐梯の檜原湖であったので、喜多方を回って入ることにした。時間の余裕もあることから、高速道は使わずに下道を走った。喜多方から大塩を通り、檜原湖手前の峠道あたりから道路脇にも残雪が現れるようになった。今年は雪消えが早いので心配していたが、一応は雪がありそうでひと安心した。湖岸に出て左折して、到着してからのビールの事を考えながら車を走らせていると、道路が閉鎖されていた。みると、細野から桧原の間は、冬季閉鎖中であった。桧原は、すぐ先なのに、檜原湖をほぼ一周して回り込む必要があった。真夜中の檜原湖一周ドライブは、長く感じられた。早朝発で、集合時間が迫っていたら、困ったことになるところであった。
 桧原集落手前の桧原中学校の手前から大川入沢沿いの舗装された車道に進んだ。左に未舗装の林道が分かれたが、暗い中では、これが集合場所の猫石別への道かどうか判断できなかったので、その先に進んでみた。これは行きすぎたなと思うころ、舗装区間は終了になった。あたりは暗く、邪魔も入らなそうだったので、ここで車を停めて夜を明かすことにした。
 寝る前にビールをしっかり飲んだためか、目覚ましが鳴るまで熟睡していた。明るくなってから当たりを見回すと、周囲は谷間に広がった畑になっていた。地図における856m標高地点のようであったので、通り過ぎてきた林道分岐に引き返した。林道入り口を見ると、高曽根山林道という標注が立っていた。畑の中を進んでいくと、直に終点になり、ここが885m標高の猫石別のようであった。誤解があるといけないので、林道入り口で待つことにした。
 宇都宮グループは、二台の車でやってきた。室井さんとは、昨年8月11〜12日の岩菅山縦走以来の再会となる。下山は、蘭(あららぎ)峠に出るというので、車を置いてくることになった。他の人達は登山の準備をしながら待っていてもらうことになったが、戻ってみるとフキノトウ採りに夢中になっていた。
 蘭峠には、磐梯高原と喜多方方面を結ぶ三つの道のうち最も古い道が通じており、伊達政宗の葦名家攻略の舞台となったという。道路地図でも細い線が書かれているだけなので、林道のようなものかと思ったら、二車線幅の立派な車道が通じていた。下山時に、喜多方方面から数台の車が走ってきたところをみると、檜原湖湖岸の道が冬季閉鎖になるため、この道が代替えの道として利用されているのかもしれない。
 峠部の路肩に室井さんと白石さんの車を置いて猫石別に戻った。ガイドブックなどでは、蘭峠から延びる林道の奥から取り付くようなことを書いてあるが、この林道をのぞいてみたら、沢沿いで、積雪期には斜めの雪の斜面を辿る必要があり、歩けそうもなかった。
 885m標高点の猫石別からは、二つのコースが考えられる。1071m点を通過する北側の尾根と、1231m点に通じる南側の尾根である。高曽根山の北東部でこの二つの尾根は合わさる。南側の尾根の方がはっきりしており簡単なように思えたが、室井さんは、北側の尾根の方が面白いという。
 歩き始めは、雪は完全に消えておりヤブコギになったが、尾根の上は若いブナ林が広がっており、歩くのにそう支障はなかった。1000m付近からは、残雪を辿ることができるようになった。昨日の初夏のような陽気と違って、冷たい風が吹いていた。幅広の尾根を辿り、1200m付近で台地に出ると、高曽根山の山頂が目の前に迫ってきた。尾根を直進すると、急斜面に行き当たり、登るのは難しそうであった。室井さんは、これが三回目の高曽根山とのことであったが、クライミングの得意な室井さんは登れたものの、他のメンバーが登れなかったために、一旦下りて、北の村界線に回り込んだという。地図では、それほど難しいようには見えないのだが、実際と違っていた。ブナ林の斜面をトラバースし、北尾根に回り込んだ。50m程の急斜面が待ちかまえていたので、ピッケルを取り出した。雪は柔らかく、キックステップが入りやすいので、アイゼンは使わないことにした。
 先頭に立って、雪原を登った。キックを深く入れながら登ったが、柔らかいところと堅いところが混じっていた。急傾斜のところを避けて右手の藪に寄っていくと、雪の下がガサガサになっていた。ピッケルで探ると、木の周りにドーナツ状に堅いところがあったので、その細い回廊を使って、尾根上の平坦地に上がった。後から登ってくる人には、方向を変えるように指示した。室井さんと白石さんが上がってきたところで、ロープをたらし、それを手がかりに登ってきてもらうことになった。
 全員が上がって一息入れると、飯森山が白く雪をかぶって谷奥に聳えているのが目に入ってきた。さらにブナ林の中を登り、雪庇の縁の雪堤を辿っていくと、高曽根山の山頂に到着していた。
 高曽根山の山頂は台地状で、中央部に現れた藪の中に三角点が埋まっていた。東側には磐梯山から吾妻連峰にかけて、西側には飯森山から飯豊連峰にかけての遮るもののない眺めが広がっていた。予想していたよりも素晴らしい展望の山であった。高曽根山は、磐梯山、吾妻連峰、飯豊連峰といった山塊からも外れているために目に停まりにくい山であるが、そのために、絶好の展望台としての位置を占めている。
 風当たりの弱い西側斜面に腰を下ろし、昼食とした。多くのおかずが回ってきたが、登山前に採ったフキノトウをいれた鍋が美味しかった。
 アルコールも入ってほろ酔い加減になって、下山を始めた。下山は、蘭峠に向かうことになった。地図をみても、コースは判りにくそうであった。一気に高度を落としていくと、1150m付近で台地状となり、方向を見定める必要があった。1122m小ピークに上がったところで南の1150mに向かい、山頂手前で東に向きを変えて1175mに向かった。振り返ると、高曽根山がピラミッド型の姿を見せていた。1175mの頂上で磁石を切って、南の1150mに向かった。このコースは小ピークに上がるたびにコースが変わるために、磁石をいちいち確かめる必要があり、地図読みの練習になった。藪も次第に現れるようになったが、最後は、車を置いた蘭峠にどんぴしゃりと下りることができた。
 車の回収を行う間も、他のメンバーはフキノトウ採りに夢中になっており、そのお裾分けで、家へのお土産ができた。翌日天麩羅になったが、ほろにがい春の味がした。檜原湖の湖畔にできた共同浴場で入浴し、家路についた。
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