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赤安山、五頭山


【日時】 2002年3月31日(日) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 五頭山塊周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 赤安山・あかやすやま・582m・なし・新潟県
 五頭山・ごずさん・912.5m・三等三角点・新潟県
【コース】 少年自然の家より
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/津川/出湯
【ガイド】 なし
【温泉】 村杉温泉薬師の湯 250円(石鹸のみ)

【時間記録】 7:30 新潟発=(R.7、競馬場IC、豊栄、月岡、R.290、少年自然の家 経由)=10:00 赤安山登山口〜10:15 発―11:10 赤安山―11:50 八合目分岐―12:06 五ノ峰―12:14 三ノ峰―12:28 一ノ峰―12:39 五頭山〜12:44 発―12:58 一ノ峰〜13:25 発―13:35 三ノ峰―13:43 五ノ峰―13:53 八合目分岐―14:20 赤安山―15:01 赤安山登山口=(R.290、出湯、水原、R.49 経由)=16:30 新潟着

 五頭連峰は、新潟平野の縁に連なる飯豊連峰の前衛の山である。新潟市に近いことから、日帰り登山の山として親しまれている。連峰中央部の五頭山は、各方面から登山道が開かれ、最も親しまれている山になっている。五頭山は、五つの峰が並んでいることからいつむりと呼ばれていたのが、ごずに変化したという。信仰の山でもあり、それぞれの峰に石仏が祭られている。
 五頭山の登山道の一つに、少年自然の家から赤安山を経て、出湯コースの八合目に合わさるコースがある。この赤安山登山口は、山葵山経由の松平山コースの登山口にも近く、五頭山から松平山への周遊コースとしても利用価値は高い。このコースは地図にも破線が記載されているが、ガイドブックには紹介されておらず、歩いたという話もとんと聞かない。
 運転免許の更新のために、休みであった土曜日に引き続いて、日曜日に再度出かけることになった。天気も良さそうなため、どこかの山を登りたかった。朝一番で手続きをしたとしても、登山口までの移動時間も考える必要があった。近いのは五頭山塊ということになるし、来週は菱ヶ岳に登る予定のために、雪の状態も確認しておきたかった。五頭山塊の登山コースを考えると、少年自然の家から赤安山を経由して五頭山へ至るコースは、歩いたことは無く、赤安山というピークハントもできることから興味が惹かれた。果たして登山道が整備されているのか判らなかったが、それを確かめるのも登山の楽しみのひとつであった。
 少年自然の家は、前庭に鎖が掛けられて、閉鎖状態であった。冬季休業中のせいなのか、客が少なくて閉鎖になったとも聞いたような気もするのだが。この先の林道は、1994年5月7日に菱ヶ岳から五頭山を経由して松平山まで縦走し、魚止滝に下山した時に歩いて以来ということになる。以前は、道は悪かったような気もするが、舗装された車道が続いていた。大きな砂防ダムの堰堤を左に見た先で、右手に赤安山経由五頭山の標識が立っていた。脇には車を置くスペースもあった。時間が遅いにもかかわらず、他の登山者の車が停まっていないのが、少し気に掛かったが、標識があることにひとまずは安心した。
 杉林からすぐに雑木林の中のつづら折りの登りになった。急斜面になると、登山道の脇には、虎ロープが張られており、思ったよりも整備の手が加えられていた。暖かい日で、山シャツの腕まくりが必要になった。山桜やマンサクの花が目に入った。左に向きを変えると稜線沿いの登りになった。小ピークに登り着いて、赤安山かと思ったが、512mピークであった。幅の広い切り開き道が続いていた。足元の落ち葉の感触も気持ちが良かった。赤安山582mが近づいてくると、登山道上にも残雪が現れるようになった。
 赤安山の山頂は台地状で、一面の雪原が広がっていた。最近歩いたような跡は見あたらなかった。谷向こうには、山葵山から松平山に至る稜線を一望することができた。出湯から烏帽子岩を経由するコースは、南に平行に走る尾根の向こうで、まだ見えていないようであった。稜線の先をうかがうと、高くピラミッド型に聳えているのが五ノ峰のようであった。まだ距離はありそうで、気を引き締めて登りの足を速めることにした。出発の時間が遅かったため、少し慌ただしい登山になった。快適な雪稜歩きが続いた。雪は少し柔らかく、少しもぐるところもあったが、急な所では長靴でもステップキックを入れやすかった。
 714m点を超すと、急傾斜の雪面に出会った。その上の稜線上には出湯コースが通じているはずであった。登り初めてみると、長靴でもキックステップが入りやすく、滑落の心配は無かった。息は切れたものの、一気に高度を上げることのできる雪原歩きは気持ちが良かった。稜線に上がると、多くの人が歩いた跡があり、出湯コースに合流したことが判った。先を歩いている登山者を眺めることもできた。すぐ先には、八合目の標識が立てられていた。
 ここからは、トレースに沿っての歩きになったが、稜線部を外して、一段下の林の中を歩いていた。不思議に思ったが、登山道は深く抉られており、そこの積もった雪がクレパス状に割れていた。穴を覗くと、1m位の深さはあり、これでは危なくて登山道は辿れないことが判った。ピラミッド型のピークめざして、ブナ林の中の登りになった。
 登り着いた五ノ峰の山頂は、地面が露出しており、石の祠と並んでお地蔵様が佇んでいた。新潟の山で良く見かける山頂の鐘「友情の鐘」も完全に姿を現していた。ここまで上がると、風は冷たかった。歩き出す時間も遅かったため、12時までに行けるところまででいいやと思いながら歩いてきた。五ノ峰で丁度タイムリミットの時間になったが、この先の稜線を眺めると欲が出てきた。小さなピークを連ねた雪に覆われた稜線を一望でき、その先に盛り上がってピークが五頭山のようであった。夏道と違って雪稜歩きは一直線のコースを辿ることができ、意外に早く歩けるものである。ここで引き返すのは、アンパンの皮を食べて、時間が無いからといってあんこを残すようなもの。ここからが、美味しいところである。迷うよりも、足が先に進んでいた。
 小さいアップダウンの繰り返しになった。三ノ峰に登り着くと、どんぐりの森コースへのトレースが続いていた。すれ違う登山者も多くなってきた。二ノ峰山頂の石仏も姿を現していた。一ノ峰の山頂は、半分ほど雪が融けて、石仏は姿を見せていた。菱ヶ岳と五頭山に向かって続く稜線を一望することができた。続いて前一ノ峰。雪稜を足早に下ると、菱ヶ岳に至る縦走路との分岐に出た。目の前には、五頭山山頂に向かって、雪庇を張り出した稜線が続いていた。夏に登ると藪に囲まれて、単なる縦走路の通過点に過ぎないようなピークであるが、雪をまとった姿は、しっかりと自己主張をしていた。
 もうひと頑張りの登りで五頭山の山頂に到着した。雪庇は所々で崩れて隙間があいており、端には近寄れなかった。三角点の位置も、厚い雪の下ではっきりとはしなかった。早朝発ならば、松平山への縦走に心が引かれるのだが、今日のところは諦めるしかなかった。ここまで来れただけでも有り難いと思わなければならない。
 戻る途中からは、五頭山ゆかりの五つのピークが並ぶ様を良く眺めることができた。一ノ峰に引き返すと、風当たりも弱かったので腰を下ろして大休止にすることにした。夏には大勢の登山者で賑わう山頂であるが、誰もおらず、静かに展望を独り占めすることができた。あまりにもポピュラーになりすぎて敬遠気味の五頭山であるが、周囲の展望は素晴らしかった。稜線部は雪に覆われていても、谷には雪崩の跡が見られ、雪の表面が黄色く黄砂に汚れているのも春を感じさせてくれた。雪を眺めながらも、春を感じることができた。五頭山は、近くて良い山であった。
 下山は、雪道を快調に下り、赤安山を超すと夏道の歩きになった。登山道の脇にイワウチワの花が咲いているのに出会った。今年初めてのイワウチワであった。シーズン最初の花は、とりわけ貴重なものに思える。3月にイワウチワが咲き出すとは、今年の雪解けは、異常に早いようである。

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