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高知山


【日時】 2002年3月17日(日) 日帰り
【メンバー】 鈴木 眞、玉木 実、岡本 明
【天候】 晴
【山域】 二王子山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 高知山・こうちやま・1024.0m・三等三角点・新潟県
【コース】 南俣林道より
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/新発田/上赤谷
【ガイド】 片雲往来 阿賀北の山々p.193〜201、LATERNE vol.5 p.277〜278、LATERNE vol.6 p.203〜208
【温泉】 月岡温泉 美人の湯(石鹸・シャンプー無し)
【時間記録】 5:00 新潟発=(R.7、新発田、上羽津、南俣 経由)=6:10 南俣林道水上橋手前〜6:40 発―7:23 山の神―7:30 堰堤手前取り付き―8:19 稜線分岐(675点)―9:22 高知山〜10:04 発―10:45 稜線分岐(675点)―11:13 堰堤手前取り付き―11:17 山の神―11:50 南俣林道水上橋手前=(米倉、松浦、月岡、豊栄、競馬場IC、R.7 経由)=13:40 新潟着

 高知山は、二王子岳の南西に位置する山である。高知山から続く尾根は、南俣沢及び田貝沢の源流部を大きく巻いて、山頂近くの三王子神社付近で二王子岳に合わさっている。二王子神社から一王子神社、独標を経て二王子岳に至るコースは、四季を通じて多くの岳人に利用されているが、この高知山を経由するコースは、経験者だけがその素晴らしさを語る秘められたコースになっている。高知山があまり人目を引かない理由には、明瞭な山頂を持たないこと、背後の二王子岳にどうしても目がいってしまうこと、地形が複雑なこと、南俣沢沿いの林道歩きが長いこと等が挙げられる。しかし、高知山の山頂は、大雪原となり、その向こうには二王子岳が大きく広がるのを眺めることができる。
 2000年1月23日の会山行で高知山を目指したが、ラッセルに時間を取られて、稜線に登り着いた675標高点で引き返しになった。二名が山頂を往復したが、他は宴会モードに入り、登頂は次の機会ということになった。
 高知山といっても知らない人がほとんどであるが、新発田市郊外の加治川沿い付近からは、二王子岳よりも低いものの、横に大きく広がった姿を眺めることができる。地図上では稜線の張り出しにしか過ぎないのだが、麓からは立派な山頂に見えることから名前が付けられたようである。登頂を果たせなかった山行の後、近くの秋葉山や黒石山といった里山に登り、高知山の姿を目に焼き付け、再訪を誓った。
 玉木さんと鈴木さんから高知山の誘いが入った。喜んで参加ということではあったが、前日に学会のため東京日帰りの予定が入っていた。山行の決定は前日の土曜日とのことで、帰りも遅くなるため、最終連絡がとれそうも無かった。とりあえず、私のことは無視して、6時の集合に私が現れなかったら、出発してくれということにした。
 二王子岳登山口の南俣に6時に集合するには、遅くても4時30分に起きなければならない。準備にもたついて少し出発が遅れた。結局、南俣には6時10分の到着となった。登山口にいた登山者を眺めたが、玉木さん一行は見あたらなかった。南俣の集落から先も除雪されていたため、行けるところまでということで車を進めた。夏には鎖がかけられているゲートまで進んでみると、鍵は掛かっておらず、その先の林道にも雪が無かった。先回歩いた時は、南俣から山の神までは2時間近くを要したため、林道歩きが短縮できることは有りがたかった。
 大きな堰堤を右手に見下ろしてからカーブを交えながら杉の植林地の中を進んでいくと、南俣沢の右岸から左岸に移る水上橋で除雪が終わっていた。少し戻った路肩に広場があり、車が一台停めてあった。これが玉木さんの車のようであったが、すでに出発した後であった。とりあえず朝食をとっていると、3人連れが到着して、スキーを持って出発していった。どうやら玉木さんの知り合いのようであった。
 玉木さん一行との間に他のグループが入ったため、追い越したり追い越されたりするのも面倒なため、少し時間を開けて出発することにした。橋を渡った先の雪の上は、杉の伐採の集積場になっていたのか、杉の葉や小枝が雪の上に踏み固められており、潜らない状態であった。先回はもう少し先で伐採作業が行われて、プレハブ小屋があったのだが、作業が手前に移ってきたようである。伐採地をすぎると、雪に足が取られるようになり、わかんを付けた。南俣から歩くのであったらスノーシューを使うところであったが、車で入れて短縮できたので、我慢してワカンで歩くことにした。左岸から右岸に移り、長く感じる林道歩きが続いた。幸い雪崩を心配しなければならないような所は無かった。
 再び左岸に渡ると、杉木立があり、ここが山の神である。裏手に回ると、木の鳥居があり、石の祠が置かれている。中をのぞくと、ご神体の男根が、二本納められていた。
 この山の神が高知山の登り口の目印である。山の神付近から何本かの尾根が稜線に向かって立ち上がっているため、コースを自分で選ばなければならない。山の神の裏手付近から尾根に取り付くと遠回りになるため、少し進んだ先から取り付く、南東に延びて675標高点に至る尾根を使うつもりであった。
 先行グループの足跡についていくと、左手前方に堰堤を見る地点で、林道から離れて山に向かって登り始めていた。これが、あらかじめ考えていた尾根の取り付きのようであった。杉林を抜けて急な斜面を登ると、尾根にのることができた。雑木林の尾根は、ところどころで雪が痩せていたが、ワカン歩きには支障はなかった。左からの尾根が合わさると、尾根も広くなり、歩きやすくなった。左前方には高知山の山頂が頭をのぞむことができ、左手には、二王子岳が大きな姿を見せていた。両側に谷が入って、展望の良い尾根であった。尾根の途中では、木の枝が鋸で切られた跡が多く見られた。どうもこの尾根には、踏み跡がありそうであった。
 675標高点に辿り着くと、今まで見えなかった五頭山塊方面の眺めが広がった。高知山の山頂も、かなり近づいてきた。先回は、ここで時間切れとなり、一段下の林の中で大天蓋を張っての宴会になったのだが、今回は先に進むことにはなんの問題は無かった。
 尾根が痩せている所もあったが、注意して歩けば問題は無かった。雪も堅くなってきて、ワカンの爪を利かせながらの登りになった。ピッケルは持ってきたものの、アイゼンは持ってこなかったが、ワカンにダブルストックで登ることができた。尾根の合流点は、幅広の斜面になって、もしも足跡が隠された状態になったら下山の時に迷う心配があった。紙テープが頻繁に付けられており、おそらく鈴木さんによるものだと思ったが、他のグループが付けたもので下山時に撤去されると困ることになるので、自分でも赤布を付けておくことにした。
 登りの途中で、先行の二人連れが目に入ってきた。山頂直前で追いつくと、鈴木さんと玉木さんであった。朝寝坊のために、追いかける形になったが、ともかく山頂直前で合流することができた。スキーの三人組は、途中で追い越して、二王子岳方面に向かったとのことであった。
 高知山山頂は、緩やかに起伏する大雪原になっていた。三角点の置かれている山頂部は、等高線一本分だけ盛り上がっているだけの小ピークで判り辛い。小鞍部の手前がどうやら山頂のようであった。噂に聞いていた二王子岳のパノラマが目の前に大きく広がっていた。高知山から続く稜線が気になり、いつか歩いてみたいものと思った。
 風は冷たく、鞍部の林の中に入って腰を下ろした。ビール片手に見る二王子岳は最高の眺めであった。鈴木さんと玉木さんは、酒は飲まないため、一通り食事をとると、風も冷たいために早々と腰を上げることになった。
 眺めを楽しむため、もう少し進んでみることにした。内の倉ダムや蒜場山、棚橋山から馬ノ髪山への稜線などを眺めることができた。二王子岳への稜線は、広々とした雪原が広がり、晴れていれば稜線漫歩を楽しめそうであるが、天気が悪ければ怖そうであった。
 下りは、雪も緩んで足が潜るようになったが、滑落の心配が無くなって、歩くのには好都合であった。赤布を回収しながら下ったが、残置テープも多く残されていた。順調に下って、最後は林道歩きに汗を流した。
 心残りの山となっていた高知山をようやく登ることができた。ひとつの課題は終わったものの、いつか二王子岳までという新たな課題が出てきた。


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