0219

百石山


【日時】 2002年3月2日(土) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴後雨

【山域】 朝日連峰周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 百石山・ひゃっこくやま・598.8m・三等三角点・山形県
【コース】 伊佐領より
【地形図 20万/5万/2.5万】 村上/手ノ子/小国東部
【ガイド】 新潟の低山藪山(白山書房)
【温泉】 えちごせきかわ桂の関温泉ゆーむ 500円

【時間記録】 7:00 新潟発=(R.7、新発田、三日市、R.290、大島、R.113 経由)=9:10 領分沢踏切〜9:27 発―10:03 440m尾根分岐―10:36 百石山〜10:55 発―11:18 440m尾根分岐―11:39 領分沢踏切=(往路を戻る)=14:30 新潟着

 朝日連峰南部を代表する鋭峰の祝瓶山から南に続く稜線は、柴倉山の南で二つに分かれ、南西方向には孫守山、荒沢山と続いて、荒川に至って終わる。その荒川に臨む稜線末端の脇にある山が百石山である。米坂線伊佐領の町の背後に聳える山である。
 ここのところ新潟県内の山を中心に登っているが、飯豊や朝日連峰となると、県境で区切ることは無意味であり、県境を越えた山にも心が惹かれる。インターネットで飯豊連峰の情報を発信している井上さんのホームページで、百石山の山行報告を見て興味を持った。百石山は、小国から赤湯に抜けて山形に出て東北の山を登ったその帰りに、伊佐領付近で国道からよく見えて気になっていた山である。
 地図を見て確認と思ったら、2万5千分の1地形図「小国東部」は持っていなかった。新潟県の山関係の2万5千分の1地図は揃えてあるのだが、百石山は、山形県の山であった。25000分の1の数値地図の「村上」は持っていたので、そのプリントアウトで済ますことにした。数値地図は、山行を企画した時に、プリントアウトしたものを参加者に配るのに都合が良い。また拡大したものもプリントアウトできるため、等高線のつまり具合を確認しやすいという利点もある。さらに、地図を重ね合わせることもできるため、境界にある山を見るのにも都合が良い。
 地図でコースを検討すると、南から山頂に向かって良い尾根が延びていて、特に難しそうな所もなさそうであった。先回の小瀬ヶ沢山で中退となっているので、今回は、確実に登れそうな山を目指したかった。
 3月という言葉は、三番目の月という以上の意味を持っているようで、早春という言葉を思い起こさせる。長かった冬もようやく通り過ぎ、開放感で心が浮き立ち始める。
 荒川沿いの山肌からは、雪が落ちて、黒々とした木立が太陽に輝いていた。県境を越すと、霧がでて、山の稜線部は隠されてしまった。時間が経てば、霧は晴れるはずであったが、山が目視できないことは、少々辛かった。
 伊佐領の集落を通り過ぎてから、集落内に入る道の入口の路肩に車を停めた。すぐ先の踏切には、「領分沢踏切」と名前が記されていた。踏切を渡った先でスノーシューを付け、杉林に入った。ひと登りで雑木林の中に出た。登るに連れてスノーシューでは少し辛い急斜面になり、左手の尾根に逃げた。一旦傾斜が緩むと、赤松の生えた広尾根に出た。その先に進むと、右からも尾根が合わさって、緩やかな窪地の中の登りになった。左手の尾根には杉の植林地が広がっていた。雑木林の中の気持ちの良い登りになった。木の幹の周りの空洞もかなり大きくなっていた。霧も晴れて視界も広がり始め、木立の間から、百石山の山頂も顔をのぞかせるようになった。
 440mの尾根の合流点で、コースは左に方向を変えた。右手の尾根からは、ワカンのトレースが上がってきていた。かたわらのブナの木に、H十一・三・十四と赤ペンキで書かれていたのは、何のマークであろうか。熊撃ちのものにしては、里に近すぎるような気もするが。
 百石山の山頂に向かっては、雪庇が右に発達した尾根の歩きが続いた。所々、地肌がのぞいているところも現れた。百石山の山頂が近づいてくると、浅い窪地状の雪原の登りが続くようになった。見上げると、頂上付近は、かなり急になり、雪庇が張り出していた。左の尾根に回り込んで、山頂の一画に上がった。
 山頂に登り着いた所からは、展望が広がって、伊佐領の町を眼下に見下ろすことができた。日に数本しかない米坂線の列車が駅に到着するところであった。飯豊方面の眺めが広がっているはずであったが、雲に覆われているのは残念であった。
 百石山の山頂は、雪原を少し辿った先で、雪原の縁に枯木が一本立っていた。冷たい風が吹いていたため、東側に一段下りて風を避けて、腰を下ろした。北には、朝日連峰の眺めが広がっているはずであったが、やはり遠くは見えない状態であった。
 山形県の山といっても、新潟からはそれほど遠くはない山である。手頃な雪山登山の山として、もっと知名度があがっても良いと思う。
 下りは、頂上直下の急斜面はつぼ足で下り、そこからスノーシューを履いた。その先の緩やかな下りは、スノーシューで快調に歩くことができた。最後の急斜面で再びつぼ足になり、ずぼずぼ潜りながらも強引に下っていくと、踏切脇の車道に飛び出した。
 車に戻って後かたづけをしていると、雨が降り始めた。伊佐領の町から眺める百石山の山頂は、雨雲に霞んでいた。


山行目次に戻る
表紙に戻る