0213

八ッ橋山


【日時】 2002年2月10日(日) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 曇り

【山域】 朝日連峰周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 八ッ橋山・やつはしやま・464.1m・三等三角点・新潟県
【コース】 小揚より
【地形図 20万/5万/2.5万】 村上/塩野町/越後門前
【ガイド】 新潟の低山藪山(白山書房)
【温泉】 胎内グランドホテル  300円

【時間記録】 6:30 新潟発=(R.7、村上、大場沢、釜杭 経由)=8:30 小揚〜8:49 発―9:42 取り付き〜9:47 発―11:13 400mピーク―11:34 八ッ橋山〜11:40 発―12:37 取り付き〜12:45 発―13:26 小揚=(往路を戻る)=16:00 新潟着

 八ッ橋山は、県北の朝日村にあり、鷲ヶ巣山の南面から流れ出る小揚川の左岸にある山である。三面川左岸から山形県との県境にかけての一帯は、かなり広大な山地が広がっているものの、地図に名前が記載されている山は少なく、前ノ岳と鷲ヶ巣山、黒倉山、鷹ノ巣山に八ッ橋山があるにすぎない。八ッ橋山は、標高もさほどなく、一般には訪れる機会の無い小揚の集落からさらに奧に入ったところにあるため、馴染みの無い山になっている。
 土曜日は、下山後に御神楽温泉を出ると、本格的な雪になっていた。新潟に戻って、寝る時に外をのぞいてみると、雪は止んでいた。冷え込みも厳しくなっていた。日曜日の山は、雪がしまって、歩きやすくなりそうであった。少し難しそうな山でもなんとかなりそうなため、八ッ橋山をめざすことにした。八ッ橋山は、長い林道歩きを覚悟する必要があり、雪が締まっている時を狙う必要があった。
 新発田、中条と国道を北上しても、雪はほとんど無かった。県北を目指したのは正解と思ったものの、村上が近づくと、とたんに雪が増えた。国道から分かれて、小揚をめざすころには、一面の雪原の中を、道路と田圃との境界を見分けるのに神経を使うドライブになった。
 小揚の集落に到着し、小揚川右岸沿いの林道に進んだ。集落のはずれで除雪は終わっていたが、終点部分は、車をおくことのできる広場になっていた。雪の上に乗ってみると、古いトレースがあり、しまっていたので、つぼ足で歩きだした。時々踏み抜いては、膝上まで雪に埋もれたが、なんとか歩き続けることができた。トレースは、田圃の見回りだったのか10分ほどで終わり、雪にはまるようになって、スノーシューを履くことになった。
 八ッ橋山は、小揚川の左岸にあり、林道は右岸にある。山に取り付くには、川を渡る必要があるが、途中の田圃脇にかかっている橋は、横板が外されて、L字鋼の枠が残されているだけであった。三角点の点の記では、途中で、山の南に入り込む沢沿いに進み、山頂をめざすというルートが書かれていた。沢の合流点は、田圃の幅が広く、林道からでは川の様子が判らず、橋があるのかないのか、渡れる状態であるのか確認できなかった。雪が深いために、川岸まで足を運んでみてくるというのも大変であった。谷間に入り込んでも、雪のために沢沿いに遡れるかどうか判らないので、そのまま林道を進むことにした。
 1時間の歩きで、ようやく左岸に渡る最初の橋に到着することができた。ここは、八ッ橋山の山頂の北西部に位置している。ここまでの歩きで、かなり体力を消耗しているが、ここからが登山の本番である。橋を渡った先の山裾は、杉の植林地になっていた。地図では、最初の登りは等高線の間隔が狭まっていたが、杉林の下に広がる雪原をじぐざぐに登って、傾斜のゆるくなった杉林上部に到着することができた。杉林の上に広がる雑木林を見上げると、左寄りに急な尾根が落ち込んできていた。雪を使って登っっていくと、明瞭な尾根に乗ることができた。ここからは、木の枝をすり抜けるのに手間取ったり、スノーシューを履いていても雪に落ち込んだり、木の枝を掴んで体を持ち上げたりと、我慢の登りが続いた。今使っているスノーシューは、このような藪尾根でもなんとか取り回すことができるので、実に役だっている。
 297mピークの南東部の稜線に登り着いてホットひと息付いた。左手の谷越しには、少し傾いた台形状の山頂を持つ八ッ橋山が山頂を見せていた。(実は、このピークは、400m標高の尾根の張り出しにしかすぎず、八ッ橋山の山頂はその奧にあることを、後に知ることになる。)谷向こうに聳える大きな山は前岳であったのだろうか。鷲ヶ巣山は雲に隠れていた。
 稜線を進むと、ブナ林の広がる広尾根になった。一旦、右手の尾根に乗り換えてから、登りを続けた。木立の間は開いており、枝に煩わされる心配のない雪原は、スノーシュー歩きの楽しさを味わさせてくれた。風のあたり具合によってか、雪の表面がクラストして潜らないような所も出てきた。
 傾斜が緩んで、雪に覆われた小広場に出た。ようやく八ッ橋山に到着と思い、ザックを下ろした。まずは地図を確認ということで、地形を見てみると、稜線は緩やかに先に続いていた。八ッ橋山の山頂であったら、山頂の先は大きな下りになっているはずである。どうやら、八ッ橋山の山頂はまだ先であることに気がついた。家に戻ってから「新潟の低山藪山」を読み返してみると、同じように、一旦はここを山頂と思いこんだようである。
 気が緩んでからの歩き出しは、足に堪えた。尾根も途中で痩せてきて、雪庇の踏み抜きに注意する必要がでてきた。幸い、冷たい風が通り抜け、雪が軽くなっており、歩く際の雪の抵抗は少なかった。再び尾根が広がり、雪原を登っていくと、ようやく八ッ橋山の山頂に到着した。いつもなら、山頂での憩いということで、ビールをさっそく飲むところであるが、風が冷たく、飲む気が起きなかった。雲の流れを見ると、黒雲が近づいてきているようであった。小雪も舞い降り初め、早々に山頂を後にした方が無難なようであった。
 周囲の様子を眺めただけで、下山に移ることにした。下りは足が軽く、藪こぎで登った急斜面の尾根も、枝を掴みながら難なく通過することができた。林道に戻った所で、昼の大休止とした。再び長い林道歩きが待ちかまえていた。途中で、二人連れの鉄砲撃ちに出会った。カモシカはいるものの、ウサギには出会わないとのことであった。途中で、崖から雪玉が落ちてきていたが、カモシカが歩いていたのかもしれない。
 車に到着するのと同時に、烈しく雪が降り始めた。天気が崩れる予感は当たっていたようである。どこの温泉にするかと考えながら車を走らせ、結局、中条の胎内グランドホテルで入浴し、新潟に戻った。

山行目次に戻る
表紙に戻る