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白髭山


【日時】 2002年1月26日(土) 日帰り
【メンバー】 えび太、えんじぇるん、Akira
【天候】 晴れ

【山域】 飯豊連峰周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 諏訪峠・すわとうげ・446m・なし・新潟県
 白髭山・しらひげやま・657.4m・二等三角点・新潟県
【コース】 柳新田より諏訪峠経由
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/津川/津川
【ガイド】 新潟の低山藪山
【温泉】 津川高原保養センター 500円

【時間記録】 6:20 新潟発=(R.49、津川 経由)=7:58 柳新田〜8:09 発―8:19 林道分岐―9:17 マイクロウェーブ中継基地〜9:25 発―9:56 屈曲点―10:38 白髭山〜12:07 発―12:33 屈曲点―12:51 マイクロウェーブ中継基地―12:57 諏訪峠〜13:05 発―13:32 林道分岐―13:41 柳新田=(往路を戻る)=16:10 新潟着

 白髭山は、飯豊連峰の大日岳付近から南西に向かって延びてきた尾根が、棒掛山や土倉山を経て、最後に阿賀野川に落ち込む所に位置する山である。白髭山は、阿賀野川右岸に独立峰的に頭を持ち上げているため、飯豊連峰、二王子山塊、五頭山塊、菅名山塊、川内山塊、御神楽岳、会越国境部の山々の絶好の展望台になっている。
 白髭山の東の肩には、旧会津街道の一部で、参勤交代のために新発田や村上藩主が、また新潟奉行も通ったという諏訪峠が越えている。現在では、林道が諏訪峠まで上がってきており、旧街道も寸断されている。現在、諏訪峠越えの道は、中部北陸自然歩道「D-1 阿賀野川ラインみどりの道」として整備されているが、積雪期には、この林道を利用して絶好のスノーハイキングあるいは山スキーのコースとして利用されている。
 この日は、当初の予定では白髭山に登るつもりではなかった。上川村の小瀬ヶ沢山に登る計画を立てていたところ、えび太とえんじぇるんから同行の希望が入った。登ったことの無い藪山なので、登れるという保証はできないこと。悪天候の時は無理はせずに諏訪峠あたりのハイキングに変更すると連絡し、津川のコンビニで待ち合わせとした。
 土曜日は、移動性高気圧が日本を被い、晴の予想が出ていた。阿賀野川沿いの道を走る頃には、空が明るくなってきた。東の谷間が赤く燃えあがり、菅名山塊や五頭山塊の峰峰はバラ色に染まった。今日は、快晴で、絶好の登山日和になりそうであった。そうなると、展望があるのか無いのか判らない小瀬ヶ沢山よりは、展望を楽しめる白髭山に心が傾いた。白髭山は、1997年3月29日に残雪の山として登り、頂上からの展望の素晴らしいことは体験済みであった。同行の二人は白髭山を登っていないので、お勧めの山ということでの変更は、さしつかえなかった。
 コンビニで落ち合い、白髭山への変更の了解をとった。山頂でのんびりできそうなため、酒のつまみを兼ねて、コンビニで一人用鍋を買った。再び来た道を戻り、津川高原保養センターの駐車場に私の車を置いて、えび太の車で柳新田に向かった。登山口では路上駐車になり、除雪の状態によると車の置き場所に困ることになるため、最小限の車で柳新田に向かった方が良い。
 柳新田の林道入口には、以前には無かった、中部北陸自然歩道の看板が立てられていた。林道奧に雪上車が入るか判らないため、邪魔にならないように路肩に車を寄せて停めた。えび太とえんじぇるんはワカン、私はスノーシューを履くことになった。ワカンとスノーシューを手に持って林道に進み、さて履こうかと思ったら、雪上車のキャタピラの跡が続いており、そのままつぼ足で歩ける状態であった。雪に刻まれたキャタピラの跡がとがっているため、歩きづらいところもあったが、積もったままの雪をラッセルしながら歩くのよりは楽であった。とりあえず用の無い道具をザックにくくりつけて、諏訪峠までのスノーハイキングになった。
 空は青く、雪は白く輝いていた。春を思わせる陽気であった。10分ほど歩いたところの分岐から、諏訪峠への道に入ったが、除雪帯が続いているため、道を間違いようは無かった。気温が高いため汗が吹き出てきて、山シャツだけになった。汗かきのえび太は、半袖Tシャツになっていた。途中の一里塚は雪に埋もれていたが、案内板は姿を現していた。
 一里塚の案内板には、次のように書かれている。
「諏訪峠一里塚
 江戸時代、お江戸日本橋を起点として全国の主要な道路に一里塚がつくられた。
 一里(約4キロ)ごとに道をはさんで二つの塚(土を盛った壇)をきずき木を植えた。旅人は一里塚を道中の目標としたり、いこいの場ともした。
 現在のこっているのは新潟県では八つしかない。
 この一里塚は形がよくのこっているものである。寛文七年(一六六七)に会津藩では、領内に一里塚をきずいたので、その頃のものと思われる。
 昭和五十一年三月二日 津川町教育委員会」
 足も重くなってきた頃、諏訪峠の下に到着した。雪上車の跡は、峠の手前からマイクロウェーブの中継基地に向かっていた。峠までは僅かな距離であったが、つぼ足では歩けないため、峠には帰りに寄ることにして、先に進んだ。マイクロウェーブの中継基地付近からは、御神楽岳方面の素晴らしい眺めが広がった。前景となる杉林も雪帽子を被って、美しい姿を見せていた。飯豊も姿を現したが、ここからでは峠の反対側に立つ鉄塔が邪魔をしていた。写真撮影も兼ねての休憩タイムになった。
 ワカンとスノーシューをそれぞれ付けて、いよいよラッセルの開始になった。スノーシューでも、30センチ程は沈み込み、先週の船久保山よりは足を運ぶのに体力が必要な歩きになった。鉄塔背後の尾根の取り付きが、急斜面になっているが、スノーシューで登ることができた。その後の傾斜が緩んでからの稜線歩きは、スノーシューの得意とするところであった。背後を振り返ると、鉄塔は低くなり、右に棒掛山、左に蒜場山、を従えた大日岳が純白の姿を見せていた。この大日岳の眺めだけでも、ここまで登ってきた価値がある。北の展望が開けると、五頭山塊の眺めが広がった。贅沢な展望で、撮影のためにしばしば足が止まった。
 杉林を通り抜ける時、枝に触れると雪が落ちてきて、雪のシャワーを浴びた。時折腰まで雪にはまり、雪だらけになったが、快晴のもとでは、これも楽しみのひとつのようなものであった。590m標高でコースは西に直角に向きを変えるので、コース取りに注意が必要であるが、幸い、白髭山の山頂も目でとらえることができて、方向を見定めることができた。
 スノーシューを使っているため、先頭で歩くのは問題は無かったが、疲れたので、二人に先に歩いてもらった。ワカン歩きでできたトレースは、スノーシューではひっかかって歩き辛く、結局、先頭で歩くことにした。スノーシューは単独歩行用、ワカンは大人数でのラッセルトップ交代、といった風に、適した歩き方も変わってくるようである。
 杉林の中で方向を定めるのが難しいが、一旦窪地を越して登り返すと、白髭山山頂への急斜面の登りが始まった。雪も深くなり、足場を固めながら登る必要が出てきた。三人でトップを交代しながらの登になった。後ろを振り返ると、二人連れが追いついてきたが、急斜面手前で足を止めて休んでいた。ラッセルを助けてもらいたいと思う反面、山頂直下まできてトップを譲るわけにもいかないと思って頑張ることにした。最後の急登は、標高差60mであるが、なかなか体力を必要とした。諏訪峠までつぼ足歩きで楽をすることができたが、そうでなかったら、かなり大変なことになっていたかもしれない。
 白髭山の山頂は台地状の雪原が広がり、三角点の位置は判らないため、最高点と思われるところで登頂とした。後ろから追いついてきたおじさん二人連れは、犬を二匹連れ、一人はスノーシュー、もう一人はスキーをかついでいた。話をすると、白髭山の山頂からは、柳新田手前から別れる林道に下降するとのことであった。確かにそのコースも面白そうである。白髭山の南を林道が通っていることは知っていたが、地図にも記載されていないため、林道の走り具合を確かめておく必要がある。
 どこで腰をおろすか迷ったが、大日岳の眺めが開けているところに決めた。スコップを持ってきていたので、雪を踏んで固めてから掘り込んで、雪のベンチとテーブルをこしらえた。ビールを飲みながら、鍋を煮た。暖かい日差しのもと、のんびりと雪山を楽しむことができた。
 1時間以上雪の上に腰をおろしているとさすがに肌寒くなってきた。動き回って、写真撮影を行うことになった。白髭山は、飯豊連峰、二王子山塊、五頭山塊、菅名山塊、川内山塊、御神楽岳、会越国境部の山々の展望を楽しむことができるが、これまで登ってきた津川付近の小さな山々もひとつずつ見分けることができて、見飽きることはなかった。記念写真を撮ってから下山にうつることにした。
 合計5名が歩いて、しっかりしたトレースができあがっていたが、スノーシューではかえって歩きづらく、まっさらな雪面を歩くことにした。登りに苦労した急斜面は、雪玉と一緒に転がり落ちるように下ることができた。帰りも、写真撮影のためにしばしば足が止まった。
 中継基地まで戻り、圧雪された林道をそのままワカンで歩いて、林道の分岐から諏訪峠をめざした。ひと登りで峠に到着した。あずまやが、杉の木立の中にひっそりと佇んでいた。峠の先の林道は、雪に埋もれて、どのように走っているのか判りづらくなっていた。悪天候の時の予備にと考えていた諏訪峠に、快晴だからという理由で登ってきたのは、なんだかおかしい気もする。
 林道に戻り、後は、つぼ足になって山を下ることになった。柳新田に戻って片づけをしていると、山頂で会った犬連れの登山者も戻ってきた。
 津川高原保養センターの駐車場に戻り、温泉に入った。白髭山は下山後の温泉もすぐ近くにあるのが良い。晴天のために計画変更して登った白髭山であるが、雪山を満喫することができた。


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