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船久保山


【日時】 2002年1月19日(土) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 曇り

【山域】 津川周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 船久保山・ふなくぼやま・476.9m・三等三角点・新潟県
【コース】 花立より
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/野沢/徳沢
【ガイド】 新潟の低山藪山
【温泉】 津川高原保養センター 500円

【時間記録】 6:30 新潟発=(R.49、津川経由)=8:20 花立〜8:28 発―8:58 200m尾根屈曲点―10:21 船久保山〜10:41 発―11:38 200m尾根屈曲点―11:55 花立=(往路を戻る)=15:00 新潟着

 船久保山は、新潟と会津を結ぶ国道49号線の県境近くにあり、音無川と田沢川に挟まれて山体が作られている。国道脇にあるが、谷が狭まり、山頂付近には幾つかの小ピークが連なっているため、山頂を見分けることは難しく、注目されることは少ない山になっている。
 津川周辺の山をひとつずつ登ってきたが、まだ登っていない山に船久保山があった。船久保山は、標高はそれ程のものではないが、三方を川に挟まれ、山頂付近には小ピークが複雑に入り組んで、登山コースを考えるのが少々面倒である。「新潟の低山藪山」では、北東部の八木山から歩き出しているが、このコースは山頂に隣り合う470mを越すのがやっかいである。点の記の順路では、「花立部落にキリン山ドライブインがある。同ドライブイン西側の小径を南に約1.8km進み、さらに北へ600m尾根を登ると山頂に達する。」とある。田沢川沿いにアプローチするようであるが、登りやすそうな尾根は見あたらない。
 地図を見ると、船久保山から西に延びる尾根は、距離は少し長いものの、緩やかな傾斜で続いていることに気がついた。問題は音無川をどこで渡れるかであった。花立の集落か、その東の左岸に田圃マークが記載してあるあたりに、橋がありそうに思えた。昨年の冬、山をひとつ登った後で偵察を行った。花立の集落の新潟よりに、対岸のお墓に渡る橋があるのを確認した。登るコースは決まったものの、その後、他の山に目が向いている間に雪が融けてしまい、そのままになっていた。
 今年の冬は、正月に寒波が入り込んで、新潟平野部にも20セント程の積雪があった。しかし、その後は暖かい日が続き、小雪の様相を見せている。雪のラッセルの心配もなさそう、というよりはスノーシューでの雪山歩きをしたくて、船久保山に出かけることにした。
 国道から花立の集落内を通り抜けている道に入ると、新潟よりの路肩に2台程の駐車スペースがあるので、ここに車を置くことができる。ここは、集落内の除雪後の雪捨て場になっているようであった。川を覗き込むと、上流近くに橋がかかり、対岸に登り口となる尾根末端の墓地を確認することができた。
 スノーシューを履くことにして、出発の準備を整えた。船久保山へは少し距離はあるものの、ほぼ一定の傾斜の尾根が続いており、地図を見る限りはスノーシュー向きのコースに思えた。
 民家の間を抜けると橋に出る。橋の上には、30セント程の雪が積もり、踏み跡が続いていた。橋を渡るとトレースは下流部に向かっていき、それと別れて墓地に向かうと、たちまち膝上まで雪に埋まってしまった。つぼ足では橋を渡ることができただけで、雪もある所にはあるものだと感心することになった。スノーシューを履くと、ほとんど潜らなくなった。雨や晴天が交互に繰り返して、さらに昨晩は冷え込んで雪が締まっていた。1月下旬の厳冬期というよりは、3月上旬の春も近づいた頃のような雪質であった。
 墓地の間を抜けて、尾根の登りに取りかかった。右手から広がってきた伐採地の縁を抜けると、雑木林が広がるようになった。灌木の枝が少し煩わしかった。小ピークに出た所で、コースは、尾根沿いに左に方向を変わった。小ピークの下りは僅かであったが、帰りは巻いて近道することにして、鞍部に目印の赤布を付けた。ここからの傾斜は少し増した。スノーシューの爪が雪にくいこんで気持ちよく登ることができた。傾斜が緩むと、しばらくは赤松が目立つ緩やかな尾根の歩きが続いた。前方を横切る尾根が近づいてくると、その上に向かっての急な登りが再び始まった。このコースは緩急が交互するので、体力を整えながら歩くことができる。
 尾根の上に出ると、左方向に弧を描く尾根の先に、船久保山の山頂が姿を見せていた。まだ距離はあるものの、確実に到達できる距離まで近づいており、ひと安心になった。高度を上げたために雪も多くなったのか、灌木の枝も気にならなくなってきた。しかし、木の根元にはドーナツ状に空洞が開いており、春のように雪融けが進んでいた。雪の上にはカモシカやウサギの足跡も記されていた。谷向こうには餅倉山、その右奥には兎ヶ倉山のピラミッド型の山頂が聳えていたが、木の枝を透かして見る状態なのが少し残念であった。
 船久保山の山頂への最後の登りは、ここまでで一番の急斜面になった。スノーシューでは、ワカンのようにトップを蹴り入れることが難しいため、スキーのように八の字に開いて、爪をきかせて登ることになる。雪の表面がしまっているため、足を置いただけではステップが切れず、急斜面で体重をささえるに爪だけでは心許なかった。なんとか傾斜の緩い方にコースを変えて登ったが、これくらいの傾斜がスーノーシューの限界のようであった。もっとも、スノーシューの場合は、製品ごとに性能が違っており、現在使っているエキスパート・オブ・ジャパンの黒龍は急坂には強い方であるが、最初に使っていたTabusのトレッキング用のものでは、この斜面は登れなかったと思う。
 傾斜が緩やかになり、右手に進んでいくと、雪の小広場になった船久保山の山頂に到着した。三角点は深い雪の下であったため、周囲の地形を地図と照らし合わせて、山頂であることを確認した。スノーシューをはずし、雪の上に腰をおろして一服した。周囲は木立に囲まれて、展望はあまり良くなかった。周囲を歩き回ろうとすると、つぼ足では、膝上まで雪にもぐる状態であった。
 下りは、自分の付けたトレースをたどれば良いので、気楽な歩きになった。雪の無い季節のやぶこぎでは、尾根の分岐部に気をつける必要があるので、天気が良ければ、雪山の方が簡単ともいえる。新しい山をひとつコレクションに加えることができ、満足して家路についた。

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