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多宝山


【日時】 2001年12月23日(日) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 雪

【山域】 弥彦・角田山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 多宝山・たほうざん・633.8m・一等三角点本点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 長岡/弥彦/弥彦
【ガイド】 LATERNE vol.2
【温泉】 岩室温泉 だいろの湯 800円 貸しタオル付き

【時間記録】 6:30 新潟発(新新バイパス、新潟西バイパス、R.116、県道新潟・寺泊線、経由)=7:30 石瀬神社登山口〜8:00 発―8:12 石瀬峠〜8:15 発―9:19 大滝沢左岸尾根分岐―9:34 間瀬道分岐―9:52 多宝山〜9:55 発―10:02 間瀬道分岐―10:09 大滝沢左岸尾根分岐―10:32 大滝小屋―10:50 石瀬神社登山口=(だいろの湯入浴後往路を戻る)=13:00 新潟着

 弥彦山は、越後平野の日本海際に、角田山や国上山と共にひとつの山塊を作る山である。山頂は、越後一宮として名高い弥彦神社の奥の院の置かれた弥彦山と、一等三角点の置かれた多宝山のふたつのピークに分かれている。
 弥彦山の山頂部に通じる弥彦スカイラインによって、弥彦山への登山道は荒廃してしまったが、最近の登山道ブームもあってか、再び整備の手が加えられるようになっている。弥彦山の南の妻戸尾根も中部北陸自然歩道の一部として十分すぎる程の整備が加えられて利用者が増えているが、岩室温泉から石瀬峠を経て北尾根を辿るコースも、指導標が設けられ、安心して歩くことのできるコースになっている。
 今年も残り少なくなって、残りの山行回数もあと三回にほぼ確定してしまっている。今年は満足のいく山行ができたということで、むしろ来年の山に気が向かうようになっている。来年の1月20日に岩室温泉から多宝山に登ろうという話が入って、その下見を兼ねて、多宝山に登る必要が出てきた。石瀬峠経由のコースは、LATERNEvol.2を読んで以来気になっていたのだが、まだ歩いていなかった。このコースは、最近コース標識などが整備されて、ハイカーにも知られるようになってきたようである。とはいっても、1月下旬ともなれば雪も本格化している可能性が高いので、初めてだと弥彦山といえども少々不安である。
 三連休の初日は、起き出して山の服装を着込んだものの、みぞれが激しく降るのを見て、登山を断念することになった。二日目は、なにがなんでも山へという意気込みであったものの、天気はあいかわらず悪そうであった。藪漕ぎ山行は難しそうなため、登山道のある山ということで多宝山を目指した。
 新潟市内はみぞれであったものの、雲の上に頭を現している角田山は真っ白、岩室温泉が近づいてくると、道路上にもシャーベット状に雪が積もった状態になった。石瀬峠の登り口の入り方は少し難しい。岩室温泉を通り過ぎ、石瀬バス停の信号機のある交差点を右折し、青龍寺に向かう。青龍寺手前で右折し、すぐに左に分かれる林道に入る。天神山城跡への登山口に通じる林道を右に分けて、そのまま直進していくと、山間に入っていく。尾根を乗り越して下り気味に進んでいくと、カーブ地点に、コンクリート製で中にベンチが設けられた建物が現れる。建物の手前の道路の反対側のカーブミラーの脇に「多宝山・弥彦山登山道 石瀬神社登口」という標識が立てられている。駐車スペースは、数台が可能である。整備の手が入って、以前とは様子が変わっているようであった。ここまでの林道は、舗装されて問題なく走れる路面状態であったが、轍が切れる積雪があり、車の運転に神経を使った。雪が積もっていると、車でどこまで入れるのだろうか。
 雨具を着込み、長靴を履いて、一応わかんを背負った。石瀬峠への道は、杉林の中に続いていた。緩やかな登りが続き、大きくじぐざぐを切ると、急坂の階段登りが現れ、それを登り切ると、石瀬峠に到着した。正面は、弥彦スカイラインに突き当たり、左右に木の階段が整備された登山道が続いていた。峠の標識によれば、「岩室温泉登口1727m」とあり、どこに続いているのか、興味を持った。松ヶ岳なのか、あるいは別の地点なのか。新たな課題が一つ増えた。
 階段登りを続けていくと、尾根沿いの登りになった。雪も時折激しく降りしきり、登山道周囲には白い世界が広がっていた。雪は、膝下のため、歩くのに問題になるほどではなかったが、歩きはゆっくりとしたものになった。周囲は雑木林で、この尾根も春にはユキワリソウやカタクリの花を楽しめそうであった。400m付近で尾根をはずしてトラバース道に変わった。地図を見ると、北尾根は急斜面に突き当たるため、一旦北西尾根に乗り換えるようであった。尾根に乗って左にコースを変えるところには、多宝山1.1km標識があった。雪が多いときは、要注意地点になりそうであった。
 次の目標は、下降に使うつもりの大滝沢左岸尾根との分岐であった。510m地点に多宝山0.6kmの標識があり、その脇に下っていく道があった。道標にはどこに続いていくかは書かれておらず、尾根が分かれているようには見えなかったが、大滝沢左岸尾根に通じる道に間違いなさそうであった。その先は緩やかな登りを続けていくと、左右に幅広い道が通じているT字路に飛び出した。標識があり、多宝山は左に、右に100mで水場があるようであった。これが旧間瀬道で弥彦スカインラインに通じているとして、「だいろ坂」四等三角点(290.1m)から下は今でも歩けるのだろうか。歩けば歩くほど、興味の種は増えていく。
 山頂のレーダードーム建設のための工事用の林道として使われたものなのか、幅広の道が続いた。周囲にはブナ林が広がるようになった。傾斜が増して階段登りになったようであるが、雪に覆われて、時折ステップが足底に感じられる程度であった。周囲の木立が灌木に変わると、レーダードームが姿を現して、多宝山山頂に到着したことを知ることができた。
 山頂には、弥彦山方面からの足跡が付けられていたが、登山者の姿は見あたらなかった。吹雪状態のために、山頂は早々に退散してしまったようである。三角点を掘り起こし、山頂一帯の写真を撮れば、山頂の用はそれで終わった。石瀬峠から登ってきた5名グループが、到着したのと入れ違いに下山することにした。石瀬神社コースもそこそこに人気があることが確かめられた。
 雪を蹴ちらかしながらの下りは、楽しかった。あっという間に、大滝沢左岸尾根との分岐に戻ることができた。背後から話し声が近づいてきたので、地図を見ながら立ち止まっていると、山頂で出会ったグループが追いついてきて、そのまま石瀬峠に戻っていった。
 誰もいなくなったところで、足跡の付いていない道に進んだ。急な下りが始まった。雪は柔らかいため、足元が定まらず、木の枝を握って、一歩づつ足を下ろすようなところもあった。雪のある時期は、急斜面のこの尾根を登るのは難しそうであった。幸い、明瞭な尾根道となり、コース間違いの心配は無さそうであった。知らない道を下る時は、万が一の時は登り返せば良いという気持ちでいるが、どんどん下っていくと、この道を登り返すのも容易ではないということで、緊張感は下るにつれて高まってくる。
 右手に小屋を見て、ようやくひと安心になった。この小屋は、吉田山岳会の大滝小屋のはずであった。小屋には誰も登ってきてはいないようで、下からの足跡はついていなかった。小屋からの道は、ジグザグを切るようになり、雪の中を辿るのに注意が必要であった。最後に杉林の中を下っていくと、石瀬神社登山口のすぐ先の林道に飛び出した。振り返って登山口を見ると、杉林に通じる道は明瞭なものの、植林のための作業道と区別が付かない状態で、十分な情報を得ていないと、大滝沢左岸尾根を登山道として使うのは難しそうであった。
 すっかり濡れてしまい、新しくできただいろの湯に急ぐことにした。


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