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細越山


【日時】 2001年10月14日(日) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 奥只見
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 細越山・ほそごしやま・1069.8m・三等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 日光/八海山/奥只見湖
【ガイド】 なし
【温泉】 丸太沢の温泉 無料(石鹸禁止)

【時間記録】 6:20 新潟発(関越道、小出IC、R.352 経由)=9:03 恋ノ岐越え〜9:11 発―9:26 湯のくら観測局―10:01 No.65鉄塔―10:26 細越山(No.63鉄塔)〜11:10 発―11:27 No.65鉄塔―12:16 恋ノ岐越え=(往路を戻る)=15:10 新潟着

 越後駒ヶ岳、荒沢岳、平ヶ岳、会津駒ヶ岳山塊、未丈ヶ岳の間に広がる奥只見湖は、只見川をせき止めた巨大な人工湖である。この奥只見湖の南岸の、中ノ岐川と恋ノ岐川に挟まれて岬状に飛び出した稜線上のピークが、細越山である。稜線上を送電線が通過しており、R.352が峠越えをする恋ノ岐越えから巡視路が通じている。
 越後三山のハイキング地図を見ていて、奥只見湖に岬状に飛び出した稜線の先にある細越山に、黒の破線が通じていることに気がついた。2.5万分の1地形図には、破線は書かれておらず、昔の道のようであったが、送電線が通じており、巡視路として道が整備されている可能性は高そうであった。奥只見の奥地のために、偵察の機会がないままに、気に留めた状態が続いていた。9月16日に平ヶ岳に出かけ、その際に登山口を偵察し、送電線の巡視路が続いていることを確認した。10月始めの連休は、風邪のために自宅謹慎となり、この週末が山への復帰になった。体力的に不安が残っていたため、歩行時間もそれほどかからないであろう細越山に出かけることにした。まごまごしていると、道路が冬季閉鎖になって、来年まで持ち越しになる恐れがあるという事情もあったが。
 小出から銀山平への道は、お馴染みの道である。銀山平では、紅葉が道路脇まで下りてきて、紅葉見物の観光客やカメラマンが入り込んでいた。湖畔に沿ってうねうねと曲がりくねるR.352は、できたら避けたい道であるが、今回は、紅葉の風景を眺めることができ、楽しいドライブになった。R.352は、中ノ岐川に沿って深く切れ込んだ湖畔を南に向かって辿り、雨池橋を渡った後に、再び北に方向を変えて稜線に登っていく。銀山平から鷹ノ巣の間の最大の難所といってよい。その乗越部が細越山への登り口で、恋ノ岐越えという標識が置かれている。
 峠の空き地に車を停めて歩き出す準備をした。入口には「只見幹線NO.68」という標識が立てられていた。地図を確認して高度計を合わせた。恋ノ岐越えの標高は1000mで、細越山の標高は1069.8mなので、ほとんど標高差はないが、間に二つのピークが挟まっているので、それなりの歩きではありそうであった。切り通し状の斜面を登ると、尾根沿いに幅2m程のしっかりした道が続いていた。尾根の周囲の灌木は色づき、秋の風景を楽しみながらの歩きになった。まずは、1114mピークに向かっての登りが続いた。体調は、風邪のこともあるし、前日の飲み会の疲れもあって、好調とはいえなかった。
 1114mピークには、コンクリート製の建物の雨量観測所があり、湯のくら観測所と書かれていた。このピークは、湯の倉山(あるいは岳)と呼ばれるようである。このピークの頂上は灌木に囲まれて眺めはなかったが、下り坂にかかると、鉄塔の立つ1106mピークにかけての眺めが広がった。送電線の巡視路を右にも分けてピークを下ると、細尾根の歩きになり、奥只見湖の湖面や、荒沢岳東面の東ノ城の眺めが広がった。振り返ると、平ヶ岳や燧ヶ岳が逆光にになって、空にシルエットを浮かべていた。
 登り着いた1106mピークは、このコース一番の展望台であった。東斜面には、奥只見湖の湖面を見下ろし、その向こうには虚空蔵岩が広がっていた。ナイフのように鋭い稜線が、スラブによって磨かれ、湖面を切り裂いていた。遊覧船が白い航跡を描きながら、眼下をゆっくりと過ぎていった。虚空蔵岩の観光案内をしているのか、スピーカーの声が、風にのって届いた。細越山も目の前に迫っていた。稜線に立つ鉄塔が気になるものの、送電線の巡視路を歩いている以上は、文句は言えない。
 緩やかに起伏する稜線を辿っていき、最後にひと登りすると、細越山に到着した。鉄塔は、山頂より僅か下に立てられていた。ひと息入れた後で、荷物を置いて三角点探しに取りかかった。最高点付近は灌木の藪になっていた。僅か東側に進むと、ススキの原が現れて、三角点広場かと喜んだものの、廃材が地面に埋もれて横たわっていた。送電線の鉄塔を立てる際の作業小屋の跡なのだろうか。この周囲を探したが、三角点は見つからなかった。廃材の下に埋もれている可能性もあり、あきらめることにした。
 送電線の巡視路は、細越山を越えて先に続いていた。下り斜面まで進むと、湖面近くまで鉄塔が並び、対岸に続くのを眺めることができた。鉄塔の下の広場は、東ノ城方面が見えるだけで、あまり眺めは良くはなかったが、腰を下ろしてひと休みすることにした。紅葉に囲まれ、ビールを一人楽しんだ。
 帰りは、太陽の光が増して、朝よりも美しく輝く紅葉を眺めながらの歩きになった。ピークの登り返しもそうたいした苦労ではなかった。恋ノ岐越え近くになると、紅葉見物の観光客が手ぶらで巡視路に入り込んできているのに出会った。車に戻って帰りの用意をしていると、三脚に取り付けた中版カメラを持ったカメラマンが、この道はどこに通じているのかと尋ねてきた。細越山に通じていると答えたが、地図を見てもらわないことには理解不能であろう。道路脇からの安直撮影で紅葉の傑作写真が撮れるとは思えないが、この日は多くのカメラマンが入り込んでいた。
 新しいピークを踏むことができたことに満足して、少し早いが山歩きは終えることにした。帰りに丸太沢の温泉で汗を流した。この温泉も、銀山平に温泉施設ができるのに伴い無くなると聞いているので、これが最後の入浴になるのかもしれない。


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