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唐松山、上権現堂山


【日時】 2001年9月1日(土) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 曇り

【山域】 越後三山周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 唐松山・からまつやま・1079.3m・三等三角点・新潟県
 上権現堂山・かみごんげんどうやま・997.9m・二等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 高田/須原/大湯、須原
【ガイド】 分県登山ガイド「新潟県の山」(山と渓谷社)、関越道の山88(白山書房)
【温泉】 中子沢温泉羽川荘 300円 シャンプー、ボディシャンプー有り

【時間記録】
5:30 新潟発=(関越自動車道、小出IC、中子沢 経由)=8:20 手ノ又登山口〜8:26 発―8:50 滝見台〜8:55 発―9:28 稜線分岐―9:40 鏡池―10:05 いっぷく平―10:31 猫岩―11:07 唐松山〜11:37 発―12:06 猫岩―12:25 いっぷく平―12:50 鏡池―13:02 稜線分岐―13:28 上権現堂山〜13:36 発―14:00 稜線分岐―14:26 滝見台―14:42 手ノ又登山口=(往路を戻る)=17:50 新潟着

 小出の北側に位置する権現堂山は、中越地方のハイキングの山として人気の高い山になっている。しかし、その峰続きの唐松山は、登山道が整備され、標高もより高く、きれいな三角形をした山頂からは、守門岳、浅草岳、毛猛山塊、越後三山などの360度の展望が楽しめ、山頂手前には猫岩というスリルの味わえる岩場の通過もあり、下山口には温泉まである、といった好条件が揃っているにもかかわらず、なぜか知名度は高くない。
 雑誌社から山と温泉についての原稿依頼があり、中越からは唐松山を取り上げることにした。登山口には中子沢温泉があり、晩秋には展望を楽しみながらの稜線歩きができるというのが、選んだ理由である。あらかた原稿は書き上げたが、先に登ったのは1998年で少し時間が経っており、変わりがないか、改めて登っておきたかった。9月の始めで、秋には少し早いけれども、原稿締め切りの関係で、ここで登るしかなかった。
 まず、羽川荘前から始まる川東地区遊歩道の入口を探した。羽川荘の前に案内板があるので、その上の尾根に上がるのだろうと見当をつけたのだが、道路脇の一段高い所にあるお堂の裏手を探したが見つからなかった。バイクで通りがかった地元の人に聞くと、バス停脇の沢の右岸に沿う道路を進んだところにあるお堂から入ると教わった。沢の上流にかかる堰堤に向かって登っていくと、左手の杉の木立の中にお堂があり、その左脇に「川東地区遊歩道中子沢登り口」という標識が立っていた。地図では、408ピークから尾根伝いに破線記入されており、これが遊歩道と思ったが違うようである。地図では、確かに破線は途中で途切れている。
 川東地区遊歩道を登り始めたものの、登山道を草が覆っており、足元が見えず、草の露で下半身は濡れてしまった。草をかき分けて歩く状態では、距離もあることだし、唐松山までは難しいので、あっさりとあきらめて手ノ又登山口に回ることにした。葉の落ちた頃になったら、川東地区遊歩道を歩きにこよう。ところで、川東地区遊歩道を歩く際に問題になるのは、下山後の車の回収である。中子沢温泉発のバスは、日に二便しかないが、8:42に小出行きが出ることが判った。車を置いて、バスで中家新田に戻ってから歩き出せば、一人でもなんとかなりそうに思えた。
 手ノ又登山口へは、羽川荘を過ぎてすぐに現れる夏伏橋の手前から左に分かれる林道に進む。途中から未舗装の林道になるが、道路脇の草が刈ってあり、以前よりも走り易い感じがした。手ノ又登山口には、すでに一台の車が停まっていた。出発の準備をしている間もブヨがよってきてさすので、急いで出発することになった。養鯉池の脇の尾根の取り付き部には、立派な標識が設けられていた。尾根を少し登ると、周囲の展望が開けた。権現堂山塊は豪雪地のためか、標高に比べて尾根沿いの樹木が無くなるのが早い。前日丸一日休んで、夏の疲れも抜けており、快調なペースで登り続け、思ったよりも早い感じで滝見台に到着した。
 滝見台は上権現堂山の山裾にかかる滝で、遠くに見えるが、水音は大きく聞こえた。川東地区遊歩道も、稜線沿いに続くのがはっきりと見えた。上権現堂山の右肩に続く尾根に付けられた登山道もはっきり見分けることができる。登山者が一人登っているのが見えた。猫岩から唐松山に続く稜線もはっきり見えていた。一旦僅かに下ると、急な登りが始まる。砂礫地で滑りやすく、谷に向かって傾斜しているところもあるので、注意を払う必要がある。先行者を追い抜き、傾斜がさらに増してくると、上権現堂山の山腹に登り着いて、周囲にはブナ林が広がってくる。
 上権現堂山との分岐には、「稜線分岐」の標識が立っており、唐松山に向かっては右折する。大きく下る道が始まる。登山道は、少し草がかぶり気味になる。前夜の雨ためか、露がびっしりとのっており、ストックで落としながらの歩きになったが、それでも下半身はずぶぬれになった。最低鞍部を越したあたりで鏡池に到着した。池は右の木立の奥にあり、半ば水草に覆われた小さな池である。左手に標識があるが、草に覆われており、判りにくい。その先で、痩せ尾根に出て、再び展望が開ける。登るにつれて、上権現堂山が大きく聳えるように見えてきた。上権現堂山には二度登っているが、手ノ又登山口には抜けていない。稜線分岐からの僅かな区間であるが、縦走路を繋げるために、帰りに寄っていくことにしよう。足元が滑りやすい急斜面が現れ、回りの灌木の枝も掴んでの登りになった。
 急登を終えると、いっぷく平に到着した。いっぷく平は、点名「猫岩」四等三角点が置かれ、目指す猫岩や唐松山の山頂も望まれ、ひと休みするには良い所であった。周囲には、測量のためのプラスチックの杭が置かれていた。いっぷく平に登りきる手前で、左から伐採道が合わさっていたが、測量のための道のようであった。アオリ山(785.06m四等三角点)から繁松山( 658.13m三等三角点)に続くようであった。灌木の切り株が飛び出して、足元に注意する必要があったが、藪漕ぎよりは楽なことは確かである。晩秋になったら、歩いてみることにしようか。
 いっぷく平から、緩やかな稜線歩きを続けていくと、猫岩に到着した。猫岩のコースは、ふた通りある。岩の頂上を乗り越していくものと、手前から基部を迂回するものである。まずは、猫岩を越すコースに向かった。猫岩の登りは急に見えるが、しっかりしたステップがあり、難しくはない。頂上には、猫岩頂上という標識があり、周囲に遮るもののない展望が開ける。ただ、今回は、頂上に羽アリの大群が乱舞しており、足を止める余裕が無かった。数メートル離れると、虫はいなくなったのが不思議である。頂上を越したところで、右に下る。ここには、巻き道入り口という標識も立っている。岩の上をそのまま進んでいく踏み跡もあるが、最後は、5m 程の絶壁になって下りられないので、入らないこと。灌木の中を数メートル下ると、岩の中間部を横切る岩棚の上に出る。この棚に下りる時、足が届かず、手がかりも少ないので苦労する。岩棚に下りたってしまえば、トラバース自体は、三点支持を守る必要はあるが、それ程難しくはない。最後は、岩の反対側の稜線に出て、ほっとひと息ついた。猫岩は、この東側からの方が切り立っており、美しい。
 唐松山の山頂へは、もう一つピークを越す必要がある。この手前のピークに立つと、ようやく唐松山の三角ピークが目の前に迫ってくる。唐松山の山頂からは大展望が広がっているのだが、あいにくとこの山頂も羽蟻に占領されており、さらにトンボも加わって、大混乱になっていた。山頂の三角点が掘り起こされて横倒しになり、スコップが脇に転がっていた。測量のための埋め直しなのかどうか。
 山頂を越して少し下ったところで腰をおろした。守門岳、浅草岳、毛猛山塊、未丈ヶ岳、荒沢岳、越後駒ヶ岳、八海山といった山々が目の前に広がっていた。雲が多く、山頂部が隠されているのは残念であった。山頂を越して、尾根沿いに踏み跡が続いていた。高鼻山(817.5m三等三角点)への尾根に続いているようであった。黒又川ダム周辺は、忘れられたような山域であるが、山菜採りの道が付いているようで、もう少し研究が必要である。大汗をかいて登ってきたため、ビールが美味しかった。
 帰りは、猫岩は迂回路を通ることにした。岩の手前の松の木の脇に踏み跡が続いている。岩の基部の高さまで下りると、水平方向の踏み跡になった。先回は、さらに下ってからトラバースに入ったような覚えがあるが、コースが変わったのかもしれない。岩の基部を、灌木の枝を掻き分けながら進んでいくと、最後は、岩を通り越して稜線に上がることができた。踏み跡ははっきりしないが、岩と灌木の境界部に沿っている。
 稜線分岐に戻り、上権現堂山に向かった。急な登りが続いた。登山道をススキが覆い、足元がまったく見えない所もでてきた。振り返ると、唐松山の山頂が、手前のピークと並んで双耳峰のように見えた。傾斜が緩むと、台地状の山頂の一画に到着した。平坦な道を少し辿った先で上権現堂山の頂上に到着した。山頂には、他の登山者はいなかった。まだ暑い盛りとあっては、権現堂山の登山者は少ないのかもしれない。下りは、急坂を灌木の枝を掴んで下りるようになって、登りと同じくらいの時間がかかってしまった。稜線分岐からは、眺めを楽しみながらの下りになった。
 最後に中子沢温泉羽川荘の温泉に入って、原稿の確認を終えた。



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