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神楽ヶ峰、苗場山


【日時】 7月8日 日帰り
【メンバー】 T、K、岡本(3名)
【天候】 曇り

【山域】 苗場山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 神楽ヶ峰・かぐらがみね・2029.6m・三等三角点・新潟県
 苗場山・なえばさん・2154.3m・一等三角点補点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 高田/苗場山/苗場山
【ガイド】 アルペンガイド「谷川岳と越後の山」(山と渓谷社)、分県登山ガイド「新潟県の山」(山と渓谷社)、山と高原地図「谷川岳・苗場山・武尊山」(昭文社)
【温泉】 街道の湯 500円 石鹸、シャンプー

【時間記録】 4:50 新潟発=(関越道、R.17、三俣 経由)=6:40 祓川駐車場〜6:55 発―7:17 和田小屋〜7:20 発―8:26 下ノ芝―8:50 リフト終点〜9:04 発―9:09 中ノ芝―9:25 上ノ芝〜9:32 発―9:38 小松原湿原分岐―9:53 神楽ヶ峰―10:12 雷清水―11:16 苗場山〜12:45 発―13:31 雷清水―13:54 神楽ヶ峰〜14:10 発―14:21 小松原湿原分岐―14:26 上ノ芝―14:36 中ノ芝―14:45 リフト終点―15:14 下ノ芝〜15:20 発―16:03 和田小屋〜16:35 発―16:50 祓川駐車場=(街道の湯入浴後往路を戻る)=19:30 新潟着

 上信越国境にある苗場山は、4キロ四方に及ぶ平らな山頂を持ち、矮小化したオオシラビソの原生林の間に湿原が広がっている。この山の名前は、日本有数の豪雪地の辺境秋山郷を著した鈴木牧之の「北越雪譜」によって世に広められた。登山道は各方面から通じており、和田小屋より神楽峰を経てのコースが代表的であったが、最近では、車を利用すると短時間で登ることのできる小赤沢コースの利用者が増えている。
 仕事相手のKさんから、京都から新潟へ講演にやってくるTさんが、新潟の山に行きたがっているので、山を案内してという話があった。いつもお世話になっているので、それなら山に行きましょうということになったものの、時期が少々まずかった。京都付近の低い山しか登っていないTさんと、スキーはともかく登山は始めてというKさんをどこに案内したらよいものやら。低い山は、暑いし虫が出て、快適とはいかなそうである。どうせなら、知名度のある山ということで、苗場山ということにした。秋山郷に回るには時間がないため、和田小屋から登ることにした。
 梅雨の末期ということで雨を心配していたのだが、幸い、晴の天気予報が出た。自宅まで迎えにきてもらったKさんの車で、湯沢に向かった。湯沢ICで高速を下り、R.17から三俣のペンション街を抜け、和田小屋に通じる林道に進んだ。
 以前は、営林署の許可証を事前に取る必要があったのだが、今は、ゲートでノートに記入すれば通してくれるように変わっていた。ここの番人は、何時から何時までいて、ゲートを開けてくれるのか、少し心配になった。下山が遅れて、ゲート内にとじ込まれては一大事である。結局、帰りの際に、5時過ぎにゲートを通過したところ、ゲートは解放されており、番人は帰ってしまったようであった。なんのためのゲートなのやら。
 うねうねと続く林道を進むと、ゲレンデの下部に出たが、そこから先も結構な距離があった。一般駐車場に着くと、その先で鎖が掛けられて、和田小屋までは車では入れなくなっていた。前日に、湯沢のジャンボタクシーが林道から転落して怪我人が出ており、林道の不通が心配事になっていたので、ここまで入れたことで良しとしよう。
 駐車場から登山道の案内板にしたがって山道に進むと、ひと登りで林道に飛び出した。和田小屋までの林道歩きで、早くも汗が噴き出てきた。ゲレンデの中で、遠くまで見通せて距離感が掴みにくいこともあるが、傾斜も結構あるようであった。
 和田小屋前で、ゲレンデの先を見上げながらひと息ついた。登山コースは、ゲレンデの右手につけられているとはいえ、高みに立つリフト駅を越してさらに登っていかなければならないとは、いささかうんざりする。ゲレンデを横切ると、樹林帯の中の登りが始まった。石が露出して歩きづらい登山道であった。歩き始めて、直にTさんが遅れ始めた。マイペースでという希望なので、適当に進んでは追いつくのを待つことになった。
 下ノ芝にたどり着いて一息ついたものの先は長く、まだゲレンデ内であった。ようやくリフトの山頂駅にたどりつき、ひと登りすると、中ノ芝に到着した。イワイチョウの花が咲き、気持ちの良い休み場所になっていた。思ったよりも雲が多く、展望は望めないようであったが、梅雨時とあっては、雨が降らないだけで満足するべきなのであろう。
 傾斜が少しゆるやかになった登山道を登っていくと、次の目標の上ノ芝に到着した。小松原湿原への分岐を通り過ぎると、じきに神楽ヶ峰に到着した。登山道脇の高みにしか過ぎないが、2000m級ピークには違いなく、二人にピークの上に立ってもらった。始めての2000mピーク登頂とのことであった。このピークには、三角点が埋まっていることになっているが、実際には見あたらない。よく見ると、平らな四角い石が転がっており、どうやら三角点の磐石が露出したもののようであった。三角点は、「亡失」してしまったようである。
 神楽ヶ峰からの下りにかかると、ようやく苗場山がその姿を現す。高く聳え、そこへ至る細尾値が続くさまは、このコースを代表する眺めである。もっとも、疲れた体には、いささか辛い眺めではある。少し下った所にある雷清水で喉をうるおした。その後は、踏ん張りどころの登りが待ちかまえている。鞍部付近はお花畑となり、ニッコウキスゲやミネウスユキソウ、モミジカラマツ、シラネニンジンが咲いていた。足を止めて、写真撮影モードに入った。
 苗場山へ向かう最後の急登は、息も切れて、自分自身、力を振り絞る必要があった。登り切って木道に出たところで、遅れたTさんを待った。離れてからは、20分程の登りだったので、そうたいした距離ではなかったのだが、待っていてもなかなか上がってこなかった。山頂の休憩用テラスで、お湯を沸かして待つことにした。探しに戻らなければならないかと心配になる頃、Tさんが、足を引きずりながらようやく到着した。2000m級の山は、これまで登ってきた山とは、さすがに違うということであった。
 ともあれ登頂ということで、ビールで乾杯ということになったのだが、Tさんは、ビールを飲む元気もなくなっており、食事もそこそこに横になってしまった。ビールの酔いもまわり、つきあって横になったものの、太陽が顔をのぞかせて暑くなったので、山頂一帯をひと周りしてくることにした。
 山頂一帯はガスが流れて、佐武流山方面の眺めは閉ざされていた。大小の池塘が点在する風景は、苗場山ならではの美しい風景であった。木道を辿っていくと、残雪が湿原を覆っているところに出た。平らな湿原なので、一様に雪が融けても不思議はないだろうが、吹きだまりになりやすい地形的な特徴があるようである。山頂部の混み合い具合は、多からず少なからずといった風であった。
 下山にもかなりの時間がかかりそうであったため、戻ってTさんを起こし、下山にとりかかった。Tさんには、かなり辛い下山になったようであるが、なんとか5時までには下山することができた。



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