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化穴山(中退)


【日時】 2001年6月9日(土)〜10日(日) 1泊2日
【メンバー】 峡彩ランタン会会山行(9名)
【天候】 6月9日:曇り 10日:曇り後雨

【山域】 朝日連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 化穴山・ばけあなやま・1505.9m・三等三角点・新潟県、山形県
【地形図 20万/5万/2.5万】 村上/大鳥池/大鳥池
【ガイド】 越後百山(新潟日報事業社)
【温泉】 かたくり温泉ぼんぼの湯 350円 (石鹸、シャンプー)

【時間記録】
6月9日(土) 5:00 新潟発=(R.7、鶴岡、鶴岡IC、山形自動車道、庄内あさひ、荒沢 経由)=9:40 林道終点部〜10:25 発―10:38 泡滝ダム―11:45 冷水沢吊り橋〜12:20 発―12:49 七ッ滝沢吊り橋〜13:00 発―13:30 七ッ滝分岐〜13:42 発―14:30 大鳥池  (テント泊)
6月10日(日) 5:20 大鳥池発―5:52 三角池尾根取り付き―8:05 1400mピーク下〜8:30 発―10:05 三角池―10:25 大鳥池〜12:30 発―13:02 七ッ滝分岐―13:15 発―13:45 七ッ滝沢吊り橋―14:15 冷水沢吊り橋〜14:24 発―15:19 泡滝ダム―15:35 林道終点部=(荒沢、あさひ、R.112、かたくり温泉、鶴岡、R.7 経由)=20:45 新潟着

 新潟・山形県の県境線は、大朝日岳の北西に位置する西朝日岳から寒江山を経て以東岳までは北上を続け、この区間は朝日連峰の縦走路として歩く登山者も多い。しかし、この県境線は、以東岳からは西に向きを変えて、朝日スーパー林道が横断するまで、化穴山、桝形山、重蔵山といった、人がほとんど訪れない秘峰を連ねている。化穴山は、大鳥池の西の湖畔近くに位置しているが、登山道はなく、登り口の大鳥池までも歩行時間がかかることから、登ることが困難な山になっている。 
 会山行で化穴山に行くというので、参加させてもらった。一週間前に、小滝さんと小島さんが、偵察に出かけ、県境線までの偵察のつもりが、化穴山まで登ってきたという話を聞いた。稜線上まで残雪で埋まった沢を使い、稜線上は藪漕ぎはあるものの、雪堤を使えて楽をできるということであった。大鳥池まで、テント泊の荷物を担ぎ上げるのが苦労かなと思ったが、化穴山の登山は、午前中に終了のそう難しくない歩きであると気軽に考えた。
 登山口の泡滝ダムまでは、朝日連峰を大回りする必要があった。大鳥の集落を過ぎると、林道に通行止めの看板が立っていた。崖崩れのために河原に仮設道路が敷かれて、ブルが音を立てていた。どうするのかなと思ったら、小島さんは、そのまま車を乗り入れた。その先で、何台もの釣り人の車に出会い、林道を先に進むのをとがめるものはいなかった。仮設道路は、数カ所あり、しばらく工事状態は続くようであった。
 泡滝ダムの十分手前では、路上駐車の車が連なり、方向転換もままならぬ状態であった。少し戻ったところの路肩に車を停めた。この地点は、先回の以東岳訪問の時にも車を停めた地点で、この先は、デブリが残りやすい地形のようである。登山口には、東北の山を回っている大木さんが待っていた。荷物を分担して歩き出した。デブリの横をかすめて、10分ほど歩くと泡滝ダムに出て、山道が始まった。思ったよりも雪は少なく、デブリの横断もそう難しくはなく、谷に向かって雪の斜面が続いているような危険箇所もなかった。むしろ、登山道が土砂崩れで削り取られている所があり、今後長雨が続くと、まずいことになりそうであった。
 サンカヨウやニリンソウ、リュウキンカの花を見ながらも、長く感じられる林道歩きが続いた。冷水沢を吊り橋で渡った所で、昼休みになった。早朝発にもかかわらず、1時間程の歩きで昼になってしまい、新潟からは朝日は遠い。次の目標地点の七ッ滝沢まで、再びだらだら登りの道が続いた。吊り橋を渡った所で、再びひと休みになった。
 七ッ滝沢に沿ってしばらく登り、七ッ滝への道を分けると、つづら折りの急登が始まる。分岐の少し先には、苔の生えた岩の間から湧き出る清水があったので、ひと息いれて、急登に備えた。登山道は、つづら折りの水平部分が長いため、ショートカットの道が付けられている。初めのうちは、元気良くショートカットをしたものの、そのうち元気もなくなって、忠実に登山道を歩くようになってしまった。峠まであと僅かというところで、残雪のトラバースが現れた。急角度で落ち込んでいるために慎重に渡った。大鳥池までは、軽装のファミリーハイク風の登山者も入っていた。ストックも持っていなかったが、このトラバースは怖くはなかったのだろうか。
 峠部から、雪原を緩やかに下っていくと、大鳥池の畔に出た。曇り空のもと、大鳥池は、ひっそりと、湖面にさざ波を立てていた。たきたろう小屋で受付をして、脇の幕営地にテントを張った。
 時間も早いことから、三角池(みすまいけ)を見物してくることにした。明日の化穴山へは、三角池手前から雪渓に取り付く予定のため、三角池を見物できなさそうであった。小屋の前から、湖畔沿いの道を辿ると、登山道は雪原の中に消えてしまった。ブナ林の中を、磁石の方向を確かめながら進んでいくと、山際の峠部分に出て、緩やかに下っていくと、三角池の畔に出た。池は残雪に埋まって、僅かな水面が出ているだけであった。
 高橋さんと滝沢さんが、明日登る予定の雪渓を見てきたが、雪がかなり少ないというので、帰りに様子を見ていくことにした。峠部から湖畔に下って、沢の末端部にでると、残雪が割れて、水の流れがのぞいている所もできていた。雪渓上部の様子に不安を覚える状況であった。
 大鳥池に戻り、リーダーの小島さんに雪渓の様子を確認してもらうようにお願いした。夕食の準備をしながら、小滝さんの戻りを待った。
 今回の化穴山山行は、雪渓を使って時間の短縮を計ることが前提となっており、ピッケル・アイゼンを準備しての山行であった。小島さん戻って話を聞くと、先週に比べて、雪解けが急激に進んでいるとのことであった。雪渓を登っても稜線に上がれるかどうかが判らず、三角池脇の尾根の末端部から取り付くということになった。山行に暗雲が立ちこめてきた。
 昼の間、うるさかった虫も夜には姿を消して、楽しい宴会になった。とはいえ、翌朝が早いため、早めに寝ることになった。
 早朝に起きたが、朝食をしっかりとったため、出発は早くもない時間になった。三角池を右手から回り込んだ先から尾根に向かってとりついた。ひと登りで、尾根の上に出た。尾根の一段下がった所は、比較的歩きやすかった。残雪の上に出てひと息ついた。眼下に三角池を見下ろすことができた。藪を掻き分けながら尾根を辿っていくと、平坦な台地に出た。帰路のために赤布を付けながらの歩きになった。左手に登りにつかうつもりであった沢が沿うようになると、藪の密度も高くなった。沢の源頭部と出ると、雪渓が下から続いていた。
 雪渓の脇は雪が消えて草付きの現れており、急斜面を木の枝を便りに登った。みると、ゼンマイがそこらじゅうに頭を持ち上げていた。1400mピークへの山の斜面に取りかかると、急な登りが続いたが、ひどのような地形が現れて、藪の薄い所を伝うことができ、少し楽をすることができた。
 ひと休みして、ここまでの歩行時間からこの先の行程を検討した。1400mピークから先は藪が濃いという。残雪も期待できそうになく、化穴山までは行き着けそうになかった。見上げると、稜線をガスが流れて、近づいてきたピークも見え隠れの状態であった。体力もそれほど消費しておらず、時間もまだ早かったのだが、リーダーとの相談の上、行動打ち切りとなった。
 持ってきたビールを飲み干してから下山に移った。雪渓上部に出たところで、リーダー他は、このまま下れるということで雪渓に進んだが、残りの半分は、アイゼンも置いてきたことなので、無理をしないで尾根道を下ることにした。テープを頻繁に付けてきたつもりでも、枝尾根に引き込まれて、視界の閉ざされた藪尾根の難しさを体験した。
 三角池上部まで戻ったところで、沢状の窪地が残雪で埋まっているのを見て、ここを下ることにした。窪地の縁には手がかりの枝があるんどで、急斜面ではあるが、滑落の心配はなかった。一気に高度を落とすと、三角池の南側に下り立つことができた。
 大鳥池に戻り、昼食をゆっくりととった後に、テントを撤収して、下山を開始した。昼頃から雲行きが怪しくなっていたが、七ッ滝分岐の水場まで下った所で雷雨が始まった。雷の心配は無い地点であったが、稜線の上でなくて幸いであった。雨の中下山を続けていくと、雨はやんで、雨具の上を脱ぐことはできたものの、車までの道のりは遠かった。
 化穴山には登れなかったが、大鳥池の畔でキャンプしたと考えれば、楽しめた山行であった。次に化穴山を目指すときの偵察行の役にはたった。偵察行で登れて、本番の山行では登れなかったとは。残雪の山は、幸運が大きくものをいうようである。

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