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竹ノ倉山


【日時】 2001年3月20日(火) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 飯豊連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 竹ノ倉山・たけのくらやま・601.7m・三等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/大日岳/日出谷
【ガイド】 LATERNE vol.5、新潟の低山薮山
【温泉】 角神温泉赤湯 200円 石鹸のみ

【時間記録】 6:00 新潟発=(R.49、津川、R.459、角神 経由)=7:50 水沢・林道長走線起点〜8:03 発―8:25 尾根上〜8:30 発―8:47 293mピーク―10:13 竹ノ倉山〜11:04 発―12:13 293mピーク―12:21 尾根上―12:32 水沢・林道長走線起点=(赤湯入浴後往路を戻る)=15:20 新潟着

 飯豊連峰の盟主たる大日岳の西に位置する烏帽子岳からは、南西に稜線が派生し、筆塚山、大段山、棒掛山といった秘峰が連なっている。竹ノ倉山は、棒掛山と向かい合う、この稜線から阿賀野川右岸に向かって落ち込む枝尾根上にある山である。標高はそれほどないが、屹立した山頂を持ち、登頂意欲をそそる山である。
 竹ノ倉山は、昨年も登ろうと思っていたが、雪消えが早くて、登山の機会を逃してしまった。春分の日の頃と思っていたところ、晴天が巡ってきたので、竹ノ倉山に出かけることにした。
 津川に近づくと、川霧で山の姿は隠されてしまった。川面に落ち込む山の斜面は、雪が落ちて、枯れ草色が目立つようになっていた。登山口の水沢の集落は、棒掛山に登った時に訪れているが、集落内は、少し入り組んでいて判りにくい。水沢川沿いの道に入り込んだところに浄水施設があり、この脇の空き地に車を停めた。ここが林道長走線の起点で、地図上では道幅が細く変わる所のようである。林道長走線は除雪されていたが、どこまでかは判らない。
 竹ノ倉山への最後の登りは急登のため、ピッケルとアイゼンを持ち、稜線歩きのためにスノーシューを使うことにした。
 上村さんのモデルプランでは、水沢川にかかる橋の100m程手前から、山頂への急登の始まる肩部に出るコースを勧めている。雪も締まって稜線歩きには問題の無い時期なので、水沢の集落からすぐに山にとりついて、稜線伝いにアプローチすることにした。
 林道起点部には、250mピークからの尾根が急角度で落ち込んできている。林道を少し進んでこの尾根をやりすごした所の谷間から山に取り付いた。杉林の中の雪は締まっており、スノーシューのクランポンを利かせながら、快調に歩くことができた。ひと登りした所で、林道に飛び出した。浄水施設の前から、集落の方に戻るように雪に埋もれた林道が始まっていたので、これが大きく迂回してきたもののようである。林道を横断すると、左手に尾根が延びていたので、これをめざして登った。ひと登りした所でこの尾根を横断し、トラバース気味に登っていくと、250mピークの北側の鞍部に出た。思ったよりも容易に稜線に上がることができた。
 稜線上には、ワカンの跡も見てとれたが、これはこの日曜に登った吉田さんのもののようであった。
 雑木林の稜線を進んでいき、小ピークに出ると、前方に竹ノ倉山が姿を現した。足を止めて、山の姿に見入った。竹ノ倉山は、なだらかに続く稜線の先に、急峻な斜面を巡らして、青空に向かって山頂を突き上げていた。山頂に向かって、一列の木立が続いているのが、登山に用いるコースのようであった。このように山の姿を眺め、歩く内に次第に近づき、最後にその頂きにというようなコースが、多少距離が長くなろうとも好きである。山の姿を見て、歩く元気も増してきた。
 293mピークからは、杉の植林地の中に入って、展望は利かなくなった。南から延びてきた尾根に合流すると、再び雑木林が周囲に広がるようになって、展望が開けてきた。水沢川の対岸には、棒掛山がそのボリューム感のある姿を見せていた。麓の杉の植林地や登山に使った尾根を良く眺めることができた。順序としては、竹ノ倉山に登って棒掛山の偵察をしてから棒掛山登山という順番が良かったのだろうが、順序が逆になってしまった。棒掛山の斜面には、まだ雪が張り付いていた。
 マンサクの花も咲いており、飯豊の山にも春が訪れたようである。竹ノ倉山の肩に上がる350mから400mにかけては、傾斜が増した。ワカンの跡は真っ直ぐに登っていたが、スノーシューでは、トップが蹴り入れることができず、さりとて雪が柔らかくなってクランポンの利きも悪いということで、東寄りの尾根に回ってから登った。スノーシューの場合には、遠回りになるのは気にしないで、登りやすいところに回り込むようなコース取りが必要なようである。
 東側に雪庇の張り出した稜線を進んでいくと、次第に傾斜がきつくなってきた。スノーシューの登攀能力の問題以前に、見上げると、雪が落ちて地肌が現れていた。急斜面のために雪が留まらず、加えて南面にむいているため、特に雪消えが早いようである。傾斜が少し緩んだところで、スノーシューを外し、ピッケルを取り出した。ヒメコマツの列に沿って登っていくと、大岩に突き当たり、迂回しなければならなくなった。右手を見ると、沢状の雪原が急角度で落ち込み、横に亀裂が入っていた。左も急斜面ではあるが、木立が広がって、こちらの方が安全であった。慎重にキックステップを切りながら木の枝を頼りに登ると、再び尾根に乗ることができた。左右は雪の斜面が広がっているものの、ヒメコマツの列に沿っての薮漕ぎが続いた。傾斜が緩むと雪原に乗ることができ、ピッケルを雪面に突き刺しながらの登りになった。冬の間も山に登っていたのだが、ピッケルは必要としなかったので、ひさしぶりの感触であった。息は苦しいが、山頂も間近となって、気持ちも高まった。
 竹ノ倉山の山頂は、南北に長く広がっていた。東側に雪庇が張り出しており、最高点に近寄るのも慎重になる必要があった。東を眺めれば、大段山が目の前に広がり、その北東の肩越しには、大日岳や烏帽子岳が青空に浮かんでいた。北側の展望を得るために、下り斜面に入る所まで進んでみると、蒜場山が純白の姿を見せていた。どこで腰を下ろすか迷ったが、登り口に戻って、日出谷方面を眺めることにした。
 雪の上に腰をおろし、展望を楽しみながら、大休止とした。兎ヶ倉山、引入沢山、黒崎山といった、阿賀野川左岸の山々が目の前に並んでいた。人に話しても、それはどこの山と言われるのがおちの山々であるが、それぞれに思い出のある山である。陽射しは暖かく、雪の上で飲むビールも格別に美味しかった。
 下りを開始した時には、雪も柔らかくなって足がもぐるようになった。急斜面部では楽になったが、雪解けの進んだ所では、穴に落ち込むことになった。腰まで落ち込み、なんとか雪の上にはらばいになたっと思ったら、水平の姿勢のままに再び雪の中に落ち込んだ。デポしておいたスノーシューがすぐ下に見えるのに、足が一歩ずつ潜るために、なかなか近づかなかった。
 スノーシューを履くと、雪に潜ることもなく、快調な下りを続けることができるようになった。最後に竹ノ倉山を眺め、別れを告げて足早に下った。

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