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大山


【日時】 2001年3月3日(土) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 守門岳周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 大山・おおやま・484.3m・三等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/守門岳/光明山
【ガイド】 なし

【時間記録】 6:40 新潟発=(R.8、三条、R.289、下田 経由)=8:23 大谷ダム堰堤〜8:45 発―8:56 あずまや―9:55 445m〜10:00 発―10:22 大山〜11:08 発―11:15 445m―11:35 あずまや―11:45 大谷ダム堰堤=(R.290、黒水、加茂、R.403、亀田、R.49 経由)=14:15 新潟着

 下田村から会津の只見へ抜ける国道289号線は、かつての峠道の八十里越えに変わるものであるが、長年工事中のままでつながっていない。この国道289号線が、景勝地八木鼻を過ぎていよいよ山間部に入ろうとするところに、大谷川をせきとめてできた大谷ダムがある。大山は、この大谷ダムの左岸にたたずむ山である。点の記によれば、葛ヶ平と呼ばれ、大谷集落の神社から杉の植林地に通じる小径を辿って山頂に至ると書かれている。集落とは密接なかかわりを持った山のようであるが、ダムの建造によって大谷の集落は、今はない。
 3月に入り、移動性高気圧が日本を通過するようになった。晴の予想も出たので、先週下見をしておいた大山に出かけることにした。昨晩の雨は、山では雪になったようで、八木鼻を過ぎると、うっすらとシャーベット状に道路を覆うようになった。近づく赤松山と烏帽子岳は、真っ白に雪をまとい、まだ冬の装いを見せていた。
 大谷ダムの堰堤の入り口に車を停めた。R.289の除雪はここまでになっており、その先はいつ開くのかは判らない。ただ、ダムまでは冬の間も入ることができるようである。車の脇でスノーシューを履いて歩き出す準備をした。先週あったトレースも新雪に覆われて見えなくなっていた。
 ダムサイト脇の壁は、カモシカやイワナなどのタイル絵で飾られ、その上には雪崩防止柵が並んでいる。上流部に進んで、この壁が終わった所から山に取り付いた。秋に下見がてら車を走らせた時に、その先に駐車場があり、そこから展望台まで遊歩道が整備されていることを知った。まずは、その展望台なるものをめざして、左よりに方向をとった。ひと登りすると、あずまやがあり、ここが展望台のようであったが、木立に邪魔されて、眺めは良くはなかった。この先に道が通じているかと注意しながら進んだが、杉林の中の枝の雰囲気からすると、踏み跡はともかく、遊歩道のようなものはないようであった。左右に尾根が延びる谷間に入って、どちらに進むか迷った。事前の地図読みで等高線が混み合っていると気になっていたのだが、正面は露岩もある崖になっていた。
 傾斜が緩やかな右手の尾根に取り付くことにした。新雪も加わった雪は重く、スノーシューでも膝まで沈み込むラッセルになった。喘ぎながらの登りになったが、足は前に出し続けることができるので、ワカンよりは楽なことは確かである。この尾根にも壁があったが、右から回り込んで登ることができた。スノーシューのトップを蹴り込める雪の柔らかさなので、尾根の傾斜が増しても、問題なく登ることができた。
 窪地を横断して、一旦右からの尾根に乗り換え、ひと登りすると杉林の中に入り、そこを過ぎると、左右に尾根が落ち込んできている谷間に出た。奥に見える高まりが山頂のようであった。高度は445mをさしていた。このコースは、小さな尾根が合わさることが多く、楽をしようとすればコースをそれなりに考える必要がある。そのまま進んで左の尾根を登った。背後には、川内山塊の展望が広がってきたが、とりあえずは登りに専念することにした。
 頂上手前で、浅くなった谷を渡って、右手の尾根に移った。一帯は、まだそれ程伸びていない杉の植林地で、雪原の中から杉の頭部分だけが出ていた。アオモリトドマツの森を覆う雪原を思わせ、高山の気分を味わうことができた。杉林を抜けると、ひと登りで、雑木林に囲まれた大山山頂に到着した。
 登りの途中には見えなかった西方を眺めることができるようになったのだが、その方面は木立に覆われていた。隣りにある蕗山も、間に尾根が一本入っており、頭がかろうじて見える状態であった。ただ、すっぱりとナイフで削ったような斜面を見せる645mピークが、一際印象的であった。雪の付いた645mピークはちょっと登れそうにない。
 杉の植林地まで戻って大休止にした。青空が広がり、目の前には大展望が広がっていた。左端には、袴腰岳が低いとはいえ、特徴的な山頂を見せていた。粟ヶ岳が一本岳のピラミッドを従えて、高く聳え、その前には白根山や赤松山、烏帽子岳が並んでいた。その右には青里岳や矢筈岳といった川内山塊の核心部の山々。万之助山から光明山への稜線が長く横たわていた。180度、遮るもののない展望であった。いずれの山も白く輝いていた。雪の上に腰を下ろし、ビール片手に至福の時を過ごした。ダムの上にある山なので、展望は期待していたのだが、これ程とは思っていなかった。陽射しは暖かく、春の陽気であった。
 下りは、登りのトレースを横目で見ながら、適当な傾斜の所を真っ直ぐに下れば良く、一気に高度を下げることができた。ただ、雪は下りといえども重く、体力が必要であった。国道に下りると、雪の上にはスキーのトレースが奥に向かって続いており、堰堤脇には他に2台の車が停まっていた。
 大山を眺めるためにダムの対岸に渡った。対岸から見えるのは、400m付近の杉の植林地までで、実際の山頂は奥になって見えないようであった。
 一人だと温泉はもったいなく、100円の七谷コミュニティーセンターの風呂に入った。奥に見える石高城山の斜面の雪はすっかり少なくなって、木々の根の周りの穴が大きくなっていた。いよいよ春山のはじめりといっても良いようである。


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