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天蓋山、広倉山


【日時】 2000年12月2日(土)
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 朝日連峰周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 天蓋山・てんがいさん・634.2m・四等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 村上/勝木/蒲萄
【ガイド】 片雲往来語らいの山々 阿賀北の山

【山域】 朝日連峰周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 広倉山・ひろくらやま・498.8m・三等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 村上/勝木/蒲萄
【ガイド】 なし

【温泉】 朝日まほろばふれあいセンター 410円 

【時間記録】 6:30 新潟発=(R.7、蓮野IC、R.113、荒井浜、R.345、九日市、R.7、早稲田、高根、朝日山北地域広域農道、林道天蓋線 経由)=8:40 橋手前300mの脇道〜8:50 発―9:05 林道分岐―(右の林道に進み引き返し)―9:54 発―10:30 西尾根の登り口―11:00 天蓋山〜11:36 発―11:56 西尾根の登り口―12:19 林道分岐―12:32 橋手前300mの脇道=12:52 天蓋川にかかる橋手前の広場―13:25 林道分岐―13:50 林道終点広場―14:02 広倉山〜14:10 発―14:18 林道終点広場〜14:23 発―14:46 林道分岐―15:12 天蓋川にかかる橋手前の広場=(往路を戻る)=18:20 新潟着

 蒲萄山塊の西山麓に沿って延びる国道7号線と、その東の県境稜線を通過している朝日スーパー林道の間には、広大な山地が広がっている。山北村と朝日村にまたがり、広義には朝日連峰前衛の山として分類されようが、そこにある峰々が一般登山者の話題になることは少ない。
 天蓋山は、高根の集落の北側に広がる松ノ木平の東にたたずむ独立峰で、周囲の山からも目に留まる山である。
 天蓋を辞書でひくと、1.仏像などの上にかざす笠状の装飾。2.虚無僧の用いるいぐさ製の深編笠。3.僧家で蛸の隠語。という意味が載っている。岐阜県にある天蓋山、この山は中河与一の「天の夕顔」の舞台として知られているが、その名前は、仏像の頭上にかざられるきぬがさに似ていることに由来すると言われている。この朝日村の天蓋山も、仏教的意味あいがあるかどうかは判らないが、同様に笠状の形に由来しているものと思われる。
 広倉山は、高根の集落の北側に位置する山である。山頂直下まで林道が通じており、僅かな薮漕ぎで山頂に達することができる。
 天蓋山は、上村さんの「片雲往来」を読んで以来、訪れてみたいと思っていたが、林道を奥まで入らなければならないようなので、なんとなく延ばし延ばしになっていた。本格的な冬の訪れも迫り、林道が雪に閉ざされる心配も出てきたので、晴天の天気予報に誘われて出かけることにした。
 塩野町付近の国道7号線は、これまで何度通過したか判らない程であるが、その東側に入り込んだことはほとんどなかった。早稲田の交差点から県道に入り、高根川沿いに進むと、思ったよりも広々とした谷間が広がっていた。高根の集落にあった案内板を見て、道を確認したが、その中に広倉山という知らない名前があるのに興味を持った。地図を見ると、集落の北側にある名前は記載されていない三角点ピークが広倉山で、林道が山頂部まで上がっているようであった。おまけの山として丁度良いかなと心に留めた。
 松ノ木平方向には、二車線幅の立派な道が続いていた。快適なドライブになって、危うく林道天蓋線の入口を見落とすところであった。林道天蓋線は、未舗装で、路肩の草が車体をこするような所も現れた。気を使いながら林道の奥へと車を進めるのは嫌なので、歩き出すことにした。左に畑に通じる分かれ道があったので、そこに車を停めた。
 歩き出すと、200m程で、天蓋川を右岸から左岸に渡り、現在地を確認することができた。長い林道歩きが待ちかまえているようであったが、すっかり葉が落ちた冬枯れの林を眺めながらの歩きはそう苦にはならなかった。
 林道が二手に分かれ、左の道は、その先の橋で沢を渡っていることから、松ノ木平方面に進むのかと思って、右の道に進んだ。山の斜面を登った道は、稜線上に出てそのまま南の伐採地に続いていた。稜線手前で、かなり荒れた林道が左に分かれたので、この道を進むと、稜線を越して山の東斜面に出てしまった。結局、初めに迷った分岐を左に進むのが正解であった。天蓋川を渡る橋と思ったのは、枝沢にかかる橋であった。この間違いで、50分程ロスをして、結構草臥れてしまった。
 天蓋山が近づいてきた所で、杉の植林地の中のヘアピンカーブが現れた。天蓋山の山頂から南に延びる稜線までひと登りのように見えたが、天蓋山には登山道があるようなので、それを探すことにした。登山口を探しながら、天蓋山の北西の峠部分まで進んだ。登山道は、この峠部分からの北西尾根と、200m程戻ったところの西尾根が候補に思えた。200m程戻った林道のカーブ地点には、赤布が一本下がっていたので、そこが登山道のようであった。
 カーブ地点の路肩は広くなっており、北側から切り通しの上に斜めに上がる作業道の跡が通じていた。薮をかき分けて切り通しの上に出ると、天蓋山という小さなプレートが木に取り付けられていた。山の斜面にはっきりした道が続いていた。木には白ペンキのマークが所々付けられ、迷う心配も無い道であったが、木の枝を掴んで体を持ち上げるような急な登りが続いた。
 登り着いた天蓋山の狭い山頂からは、遮るもののない、360度の展望が広がっていた。東側の目の前には、将棋の駒のような山頂を持った駒ヶ岳が聳え、その後には、大鳥屋山や重蔵山の連なり、その背後に頭を覗かせている真っ白なピークは以東岳であろうか。北西にはなだらかな山容を見せる鰈山。山に魚の名前とは面白いが、山名の由来はともかく、鰈が腹這いなったような姿に見える。西には、新保山を中心にして蒲萄山塊が長々と続くのを目で追うことができた。暖かい陽射しに包まれながら山頂で腰を下ろしていると、12月ということを忘れそうであった。
 眼下には松ノ木平が箱庭のように広がり、舗装された車道が長々と続き、立派な橋がかかっているのを眺めることができた。小さな車が動いていくのを目で追うことができた。どうやら高根から大毎に新しい道が開かれて、林道天蓋線は、使われなくなったようである。
 車に戻って、鰈山も気にはかかったのだが、それは後日として、広倉山を目指すことにした。天蓋川に向かって下っていき、橋の手前の広場に車を停めた。橋を渡ると、左に林道の入口があった。林道に掛けられた鎖は外されて地面に落ちていた。林道のジグザグの登りが始まった。車の走行には支障の無い道が続き、車で登ってきてしまえばよかったかと少々後悔をした。
 林道の分岐に出て、ここが北へのトラバース地点と思い、左の道に進んだ。松ノ木平や天蓋山の眺めが広がるようになった。林道は折り返して、南へ向かうようになった。今度は、道を間違えてはいないようであった。山頂が目の前に迫ってきた所で、林道は西の山麓を巻くようになり、杉の植林地で終わった。
 山頂から続く尾根がすぐ上に見えた。杉の植林地を登り、左に曲がって稜線通しに山頂を目指した。山頂への踏み跡は見あたらず、雑木林の薮漕ぎになった。広倉山の山頂に到着したが、他の方面からの踏み跡は見あたらず、山頂標識のようなものも無かった。三角点を探したが、枯葉に埋もれているのか、見つけることはできなかった。木に邪魔されて、展望も得られない山頂であった。おまけの山として登った山なので、山頂に達っすることができただけで満足するべきなのであろう。
 下山後、鰈山の偵察を行っておくことにした。松ノ木平の中を抜けて快適なドライブコースが続いていた。右手に天蓋山が姿を変えながら見え続けていた。新しいアーチ橋の天蓋橋を渡った先で、林道天蓋線の分岐があった。天蓋山の登山口へは、この北側からアプローチした方が、近くて楽なようである。鰈山の山頂部に通じる林道入口の少し先に、林道開通の石碑が置かれていた。それを読むと、「朝日山北地域広域農道」と呼ばれるようである。広域林道や農道やらでは、このような地図にも書かれていない立派な道に出くわして驚かされることが良くある。
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